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作者: 鈴奈
Exspetioa2.9.29
 今日も、ニゲラ様が朝一番に私を起こしに来てくださいました。
 ドキドキする胸を落ち着かせると、昨日のマザーのご命令が思い出されて、落ち込んでしまいました。ニゲラ様にお話をすると、

「ふうん。かなりの束縛家ね。誰かさんと同じ」

 とさらりとしたご様子でおっしゃいました。
 誰かさんとは、どなたでしょう。今になって、もしかしたら私のことかもしれないと思いはじめました。以前私は、自分だけのニゲラ様でいてほしいという思いを告白しました。ニゲラ様はこのことを束縛と捉えられたのかもしれません。もしそうなら、誤解です。私は、束縛したいという気持ちはありません。むしろ、自由でいらっしゃるニゲラ様のことを素敵だと思っていますし、ニゲラ様にはむしろ、ずっとそのままでいていただきたいと思っているのです。明日、弁明させていただかなくては……。
 話が少しそれました。この時の話に戻します。
 ニゲラ様は、お言葉を続けられました。

「セナはそれでいいの?」

「私は……いやです。ですが、破ってしまったら、ニゲラ様が追放されてしまわれるかもしれないし……。どうしたらいいのでしょう……」

 私は、手紙のやりとりを提案しました。ですが、「私、手紙を書くの好きじゃないの」とあっさり断られてしまいました。それに、会えなくなってしまうという問題の解決にはつながりません。
 ニゲラ様は、「心配ない。そんなの口から出任せだわ。私に敵うはずがないもの」と鼻で嗤いました。

「本当に追放できるなら『追放する』とわざわざあなたに言う前に、とっとと追放しているはずよ。それをしないっていうことは、追放できるすべがないということ。つまり、追放という言葉を使って、あなたを脅して、自分の思い通りにしようとしているだけ」

 私は、そっか……と納得し、少し安心いたしました。
 それであるなら、普段通りにしていて、問題ないかもしれません。
 ……と、思いましたが、休息の時間にシスター・アザレアと、風紀を正すための「規則」の話し合いをするお約束になっていたのでした。規則が決定するまでは、結局、ニゲラ様とのお話の時間が減ってしまうことになりそうです。
 私は、少しさみしく思えました。

「あの……お返事はいりません。時折、お手紙を書いてもよろしいでしょうか……」

「大丈夫よ、セナ。私に、いい考えがあるの」

 ニゲラ様はにこりとほほ笑みましたが、それがどのような考えなのか、何もおっしゃいませんでした。
 気になったけれど、仕事を促され、私はおとなしく仕事にとりかかりました。

 休息の時間の鐘が鳴り終わると、シスター・アザレ――
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