Exspetioa2.7.12
午後の「神の学び」の時間の後、マザーのお部屋に、シスター・ルドベキアとシスター・アザレアが入っていらっしゃいました。
マザーはヴェールを被り、私たち三人を扉の前に並ばせると、こうおっしゃいました。
「シスター・ルドベキアは、今日をもって、シスター・セナの警護から外れなさい。シスター・アザレアも、罪女ニゲラの監視から外れなさい。ただし二人とも、蟲が出現した際は必ず出動し、シスター・セナを守ることを最優先で動くこと。それから、今日の就寝の時間の鐘が鳴り終わったら、罪女ニゲラを牢から解放しなさい」
二人とも、「承知いたしました」と美しく一礼されました。私も、一礼しました。
日記はここまでにして、これから私は、隣の空き部屋の支度を整えます。以前いただいたお花のお返しとはいかないのですが、私が育てたお花を二輪、机に飾らせていただきたいと思います。喜んでくださると嬉しいです。
ああ、神様。あのお方をお赦しくださり、本当にありがとうございます。神様の愛の深さに、私はますます、神様を尊く、いとおしく感じております。
私はずっと、神様に感謝し、愛を抱き続けます。
いつか神様が復活されたら、皆で一緒に、幸せな楽園を築けますように。
* * *
とても心に残ったことだったので、就寝の時間は過ぎているけれど、書き記しておきたいと思います。
先ほど彼女を、シスター・ルドベキア、シスター・アザレアとともに、牢に迎えに行ってまいりました。シスター・アザレアの、イクス・モルフォの力「節制」――触れたものを意のままに操るというお力のたまものか、壊れた壁も鉄格子も、すべて元の通りに直っていました。
彼女は、壁にもたれて、膝を抱えて座っていらっしゃいました。
「あら。来てくれたの、セナ」
「マザーから、牢から出ていいと、ご許可をいただきました。私の隣のお部屋をご用意しています。一緒に、行きませんか」
今度は私が、手を差し伸べました。シスター・アザレアが、鍵を開けてくださいました。扉が開くと、彼女は、私の手のひらにそっと、美しい花の咲く手を重ねてくださいました。
彼女の新しい部屋の前にたどり着くと、シスター・アザレアは何も言わず、ご自分のお部屋に帰っていかれました。シスター・ルドベキアは壁に寄りかかりました。
「しばらくはここで見張るように、マザーから言われていてね」
「そんな……私の警護の任が解けて、やっとベッドで眠っていただけるかと思ったのに」
「私の部屋のベッドを使う? 私はセナと一緒に寝るわ」
びっくりして肩が跳ねました。シスター・ルドベキアは、「大丈夫。しっかり見張るよ」と彼女を睨みました。
彼女は、私が整えた部屋を喜んでくださいました。二輪の花も、「綺麗ね」と褒めてくださいました。よかったです。
「それでは、おやすみなさい」
「おやすみ、セナ」
そう言ったのに、私たちは、しばらく見つめ合っていました。
彼女の温かいほほ笑みが、こんなにすぐ近くにある。
そのことがたまらなく嬉しくて。彼女も、そう思ってくださっていることが伝わってきて。
心が重なり合っている感覚が、とても心地よくて……。
ずっと見つめ合っていたい。そう思うほど、幸せなひと時だったのでした。
マザーはヴェールを被り、私たち三人を扉の前に並ばせると、こうおっしゃいました。
「シスター・ルドベキアは、今日をもって、シスター・セナの警護から外れなさい。シスター・アザレアも、罪女ニゲラの監視から外れなさい。ただし二人とも、蟲が出現した際は必ず出動し、シスター・セナを守ることを最優先で動くこと。それから、今日の就寝の時間の鐘が鳴り終わったら、罪女ニゲラを牢から解放しなさい」
二人とも、「承知いたしました」と美しく一礼されました。私も、一礼しました。
日記はここまでにして、これから私は、隣の空き部屋の支度を整えます。以前いただいたお花のお返しとはいかないのですが、私が育てたお花を二輪、机に飾らせていただきたいと思います。喜んでくださると嬉しいです。
ああ、神様。あのお方をお赦しくださり、本当にありがとうございます。神様の愛の深さに、私はますます、神様を尊く、いとおしく感じております。
私はずっと、神様に感謝し、愛を抱き続けます。
いつか神様が復活されたら、皆で一緒に、幸せな楽園を築けますように。
* * *
とても心に残ったことだったので、就寝の時間は過ぎているけれど、書き記しておきたいと思います。
先ほど彼女を、シスター・ルドベキア、シスター・アザレアとともに、牢に迎えに行ってまいりました。シスター・アザレアの、イクス・モルフォの力「節制」――触れたものを意のままに操るというお力のたまものか、壊れた壁も鉄格子も、すべて元の通りに直っていました。
彼女は、壁にもたれて、膝を抱えて座っていらっしゃいました。
「あら。来てくれたの、セナ」
「マザーから、牢から出ていいと、ご許可をいただきました。私の隣のお部屋をご用意しています。一緒に、行きませんか」
今度は私が、手を差し伸べました。シスター・アザレアが、鍵を開けてくださいました。扉が開くと、彼女は、私の手のひらにそっと、美しい花の咲く手を重ねてくださいました。
彼女の新しい部屋の前にたどり着くと、シスター・アザレアは何も言わず、ご自分のお部屋に帰っていかれました。シスター・ルドベキアは壁に寄りかかりました。
「しばらくはここで見張るように、マザーから言われていてね」
「そんな……私の警護の任が解けて、やっとベッドで眠っていただけるかと思ったのに」
「私の部屋のベッドを使う? 私はセナと一緒に寝るわ」
びっくりして肩が跳ねました。シスター・ルドベキアは、「大丈夫。しっかり見張るよ」と彼女を睨みました。
彼女は、私が整えた部屋を喜んでくださいました。二輪の花も、「綺麗ね」と褒めてくださいました。よかったです。
「それでは、おやすみなさい」
「おやすみ、セナ」
そう言ったのに、私たちは、しばらく見つめ合っていました。
彼女の温かいほほ笑みが、こんなにすぐ近くにある。
そのことがたまらなく嬉しくて。彼女も、そう思ってくださっていることが伝わってきて。
心が重なり合っている感覚が、とても心地よくて……。
ずっと見つめ合っていたい。そう思うほど、幸せなひと時だったのでした。