▼詳細検索を開く
残酷な描写あり
8話 当主 恒太郎
【これまでのあらすじ】

 明治生まれの常太郎。大阪の材木商で丁稚生活をしていた。旦那と手代に認められ単身四国へ。道中に地震に遭い土砂崩れに巻き込まれ命を失う。常太郎の先祖である徳川幕府2代目将軍徳川秀忠の時代へ転生。わずか100石の分家の嫡男として転生。
 右肩に大きな火傷を負い思うように動かせない。健康。体格の良さと前世での記憶と知識を兼ね備えた優秀な人材。知識と人柄から寺子屋の師範になり経営。
 大御所の家康の死去に伴い、父恒興は江戸に発つ。しばらくして戻ると慣れぬ作業と膨大な刻を経て屋敷に戻ると体調を崩しやすくなる。
 二毛作を試しに始める。
 寺子屋を覗く不審な男が迫る。
祇園ギオン参上さんじょう

 恒太郎は、城へ呼ばれた。理由は特に聞かされていない。不安な気持ちと、父の職場でもある祇園城に呼ばれたのだ。不安と期待がじった何とも言えない気持ち。
 祇園城の謁見えっけんの間にて待つ。時間がつのが早く感じる。初めての謁見。藩主はんしゅは、本多正純ホンダマサズミ。この年4月に大御所おおごしょ家康イエヤスうしない、先月6月には、正純の父正信マサノブ死去しきょしたばかり。そのこともあり、小山に一時的に江戸エドより戻られた。これらに何かしらの不満ふまんや問題でもあるのだろうか。
 足音がする。平伏へいふくし待つ。

  正純「おもてを上げて楽にするが良い」
  恒太郎「はは。本多恒興の嫡男の恒太郎と申します」
  正純「うむ」
  正純[礼儀作法れいぎさほうも出来ておるな。よいぞ]
  正純「今回呼んだのは、恒太郎お前さんのことを知りたくてな。良かったら少し話していくと良い」

 思い過ごしであった

  正純「緊張きんちょうしておるようだな。まぁ仕方ないれぬことをしてるのだ。お前さんの身分みぶんではなかなか入れる場所ではないからな。では本題ほんだいに入ろうか。お前の父恒興からも聞いていたが、以前の恒太郎と違うと何かと話題だ。人は簡単に心を入れえるのは難しいことだ。勉学はあまり得意では無かったとも聞いている。なにがあって変わったのだ?良かったら話してはくれんか?」
  恒太郎「私は、目覚めざめる以前の記憶きおくがございません。気付くと本多太郎でした。ですが、頑丈がんじょうな体は、元の太郎のおかげということもあり、生活の変化に戸惑とまどいながらもこうして今があるのは、父上のお陰です。寺子屋に通うまでの間に書物をいくつかり何度も読み直してるうちに、自分の今の生活を見返みかえすことが出来ました。心の入れ替えはしてません。素直すなおに話を聞き素直に思ったことを口にしてる。それだけです」
  正純「そうか。記憶が無いのか。おかしな質問しつもんをするぞ。時折ときおりいるのだが、お前さんは転生者てんせいしゃではないのだな?」
  恒太郎「てん。せいしゃ?とはどういうことでしょう」
  正純「いやな。一度死んだ者が、過去や未来から来た者を指す言葉だそうだ。これまでにも何人かはたまたそれ以上かわからぬが、この日ノ本に転生者と呼ばれるものたちがいるそうだ」

 文字の書き方を説明。

  恒太郎「転生者かどうか確証かくしょうはありませんが、もしかしたら私も転生者なのでしょうか。夢の中に出て来る大きな男がいるんですが、その男によると私は、二百五十年後からこの時代に来たようなのです。こんな突拍子とっぴょうしもないことは誰に言っても信じられないでしょう。なので、ここまで言わずに過ごしてきました。しかし、正純様に言われて、もしかしてと思い」
  正純「うんうん。これは良い。過去の転生者ならあまり意味が無いから話を聴くのはこれっきりにしようと思ってたが、二百五十年後の未来から来たならばその後の未来も知ってるかもしれんからな。そうか。それはよく言ってくれた」
  恒太郎「いえ。信じてもらえただけで充分じゅうぶんです。今の私は混乱こんらんしてます。こんな突拍子もない話を受け入れていただけたのですから。ですが殿。私は、歴史にはうといです。読み書きや計算は出来ますが、歴史という部分には疎いため、殿のお役に立てるかどうかはわかりません。未来のことまではわかりません。申し訳ありません」

 夢に出て来る大きな男はコメカミを押せば分かることだが、即座そくざに答えられないということをあんに伝えている。あまり期待されないように低く伝える。

  正純「なるほど。それはそれで面白い。おぬしの性格や気遣きづかいのできるところは非常ひじょうに面白い。またお主と話せる日が来ること願っておるぞ。それから、お主が気にしていた転生者というのは儂以外には口にしない方が良いぞ。変に勘繰かんぐられたりしても困るだろうしな」

 正純は、恒太郎をみとめた。お前からお主に変わった。大事に思うあまりに呼び方を変えたようだ。素直な性格せいかくをしていることが分かる。

  恒太郎「その転生者というのはどこで知ったんですか?」
  正純「信長ノブナガ様がご存命ぞんめいの頃に、弥助ヤスケという男がいてな。色黒いろぐろの男で背が高くてな。何度か会ったが気の優しい良い男だった。そのうち話せるようになったから聞いたんだ。お前はどこの国から来た?すると、海の向こうとだけ。弥助は、なんのために日ノ本に来たのかもわからない。ただ、真っ暗な地中ちちゅういきおいよく走るはこのようなものに乗っていたそうだ。箱の中は明るいと言うてたな。気づいたらこの時代の奴隷どれいとして運ばれて居たところを宣教師せんきょうしらに助けられたそうだ。恒太郎の時代にはあったのか?そのような箱は」
  恒太郎「いえ、存じ上げませぬ。わたしの時は、汽車きしゃしか知りませぬ」
  正純「ん?それは初めて聞くぞ。汽車とはなんだ」
  恒太郎「かなり抽象ちゅうしょう的になりますが。黒くかたい鉄のかたまりに石炭せきたん燃料ねんりょうに走る乗り物です。馬より速く黒いけむりきながら走ります。人の座るところを客席きゃくせきと言い、木で出来ていて長く座っているとしりが痛くなります。私は何度か乗せてもらいました」
  正純「それ面白そうだな。おっと、もっと話を聞きたいが、すまぬ。ときのようだ。またその続きを聞かせてはくれぬか?今日は楽しかった。また声を掛ける。来て話してくれ」



屋敷に戻る

 城であったことを両親に言える範囲はんいで伝えた。

  恒興「そうか。殿に気に入ってもらったか。少し気難きむずかしいところがあるから心配していたが。良かったな。いつ呼ばれても良いように、準備だけはしておきなさい」
  恒太郎「父上。ありがとうございます。精進しょうじんいたします」

 恒興はより一層悪化いっそうあっかしていく。労咳ろうがいで先が無いことが分かり、主君しゅくん正純に手紙ふみを送る。

 元和げんな元年・2年と寒く一部で飢饉ききんが発生している。


【交代】

霜月しもつき

 恒興の住むはなれに家族を呼び寄せた

  恒興「皆集まってくれたか。皆すまない。日に日に身体が弱ってるのは自分でも分かる。いつまでたもてるかわからない。いつ倒れても良いように、恒太郎を当主とうしゅにしようと思う。わし隠居いんきょすることに決めた。まだ元服げんぷくしたばかりでいささか心配ではあるが、儂が死んでからでは心の準備もできんだろう。これより、恒太郎を当主にすることにした。異論いろんは許さん」

 身体は弱り起きているのがツラ彦作ヒコザに支えられてようやく座っている。空気の入れ替えがしやすいように、障子しょうじふすまはすべて開いたままで始まった。

  恒興「よいな。恒太郎。かりにも元服して人を教える立場にある。弱気なことを言えば、子供たちはたちまちに心配し恒太郎の評判が下がる。恒太郎はいつも通りにつとめなさい。また、当主になったからと言って、えらそうになってはいかん。世間せけんではまだまだぴよっ子だ。幸い誰にでも偉ぶるような性格では無いからさほど心配はしてないが、恒太郎のことだ。出世すると儂は思っておる。その時に、加増かぞうされておごることなくつとめなさい。身分に関係なく誰にでも同じようにせっしなさい」

 厳しくも愛のある言葉で激励げきれいする

  恒興「勘違かんちがいするな。儂らはあくまでも正純様をささえるためにある。すべては正純様にささげよ。正純様が隠居いんきょされたのちは恒太郎の好きにすると良い。それまでは最後までしたがえ。感謝を忘れるな。我らが農民から武士に取り上げられ家臣かしんにまで取り立ててくださった本多弥八郎ヤハチロウへの奉仕ほうしすることを忘れるな」

 話せるうちに話しておきたいと身体にむちを打ちながら伝える。恒太郎だけでなく、集まったすべてのものに対してでもある。恒太郎があやまった道に進むものなら皆で助けてやって欲しいという気持ちが込められている。
 妻のトラと娘の詩麻。女中じょちゅうのカメ。下男げなん彦作ヒコザ。皆涙ぐみながら話を聞く。妹詩麻は母トラに抱きつき泣き声を父に聞かれぬよう顔をうずめ泣く。

  恒興「儂はこれより隠居する。そのむねは、正純様に恒太郎お前がこの書状しょじょうたずさえて謁見えっけんしてまいれ。正純様に今後のことをよく聞いてきなさい。家の事は、恒太郎にすべてまかせる。儂はそれにしたがう。儂に気にすること無く正純様を助けよ」
  恒太郎「わかりました。お任せください。父上は体調回復たいちょうかいふくだけ努めてくだされ。私から最初の指示しじ命令めいれいです。必ず守ってくだされ。あきめめず私をずっと見守みまもってくだされ」

 鼻をすすりながら父に願いを伝える

  恒興「恒太郎に嫁をもらう前に隠居することになるとは不甲斐ふがいない。だが詩麻の嫁入よめいりまで生きるからな。恒太郎にそう命令されたからな。ははは。ははは。詩麻は母から多くを学びなさい。良き相手を見つけてやるからな」
  恒太郎「父上。私と詩麻の相手を見つけてくだされ。楽しみにしておりますぞ」

 恒太郎の言葉を聞いて安心し、彦作の肩をつかみながらゆっくり。ゆっくりと倒れとこにつく。寒い中熱い親子の会話の屋敷もめ切った。ツラく悲しい思いも最後はみな笑顔だった。明るく世代交代せだいこうたいが行われた。

 父に言われた通り、書状しょじょうたずさ正装せいそうにて城へ向かう。着物は父が着用していたものを借り着用。
 突然とつぜん登城とじょうのためしばらひかえ室にて待つ。
 ようやく謁見できる。

  正純「待たせたな。表を上げよ」
  恒太郎「殿。父より書状をあずかってまいりました。こちらを」

 小姓こしょうに書状を手渡す

  正純「。。。そうか。隠居するまでにいたったか。わかったと伝えてくれ」
  恒太郎「はっ」
  正純「お主の家系かけいは真面目につかえてくれてくれている。信頼のおける者たちばかりだ。恒太郎も続けて儂につかささえて欲しい」
  恒太郎「かしこまりました。全身全霊ぜんしんぜんれいお仕えいたします」
  正純「また来いとは言ったがこのような形で会うことになるとはな。恒興の気持ちを無駄むだにすること無く我を支えよ」
  恒太郎「ははっ」
  正純「では、言い渡す。これまで前当主ぜんとうしゅは祇園城にて文官ぶんかんとしてつとめていたが、恒太郎お主は登城はしなくて良い。今の寺子屋でハゲめよ。お主には期待をしている。この先なにかしら相談そうだんすることもあるだろう。儂の話し相手になってくれ」
  恒太郎「もったいなきお言葉。また、過分かぶんなる指導しどうに感謝いたします」

 寺子屋勤めを正式せいしきに認められた。その上で

  正純「寺子屋勤めにハゲめ。そして、寺子屋から新たな師範しはんを育てよ。なるべく早急そうきゅうにだ。お主ひとりで切り盛りするのは苦労するだろう。助けになるものをお主自身で育てよ」

 正純からの当分とうぶんの指示は、師範の育成いくせいとなった。今までのように教えるだけではなく次の世代せだいを育てるという任務にんむ。人を見る目がわれる。今までに経験したことの無い分野ぶんや突入とつにゅうすることとなった。
 緊張とこれからの自分に対しての楽しみで武者震むしゃぶるいするほど。


【相談はしてみるに限る】
師走しわす

 恒太郎がこの時代に来て丸1年。目まぐるしく変化があり忙しい日々を過ごしている。慣れないことが続いている。ネッコの手もりたいほど忙しい。今までは、父に助けられながらだったが、今は、当主になり家族をやしなわなくてはならない。そこへ、師範しはんになる人材じんざいさがし育成させなくてはならない。
 ゆっくりひまな時に書物を読んでいたあの頃がなつかしい。冬の収穫しゅうかくわずかながら増えつつある。少しずつ少しずつ変わっていく。
 そんな中、恒興が危篤きとく状態じょうたいへ。年末真っ只中ただなかのこの時期じきに、家族が一堂いちどう屋敷やしきに集まる。この日だけは、養子ようしに出ていた二郎と三郎も来てくれた。二郎は、常陸ヒタチの国宍戸ししど藩の飯田イイダ家から魚の干物ひものとシジミを土産みやげとして。三郎は下総シモフサの国佐倉サクラ藩の臼井ウスイ家からうなぎを二。養子に出されて半生はんせい養父ようふと過ごす日々の方が多くなった今だが、実の父のことは忘れていない。せいのつくものを土産にした。
 しかし、土産を口にすること無く恒興は、労咳ろうがいにより息を引き取った。
 最後の言葉は息もえに懸命けんめいに感謝の言葉を振りしぼる。

  恒興「よく来てくれた。皆の顔が見れて儂は幸せ者だ。良き人生だった」

 せきを切るかのように皆泣く。
 隠居して間もなく。まるで、自身の死を知っているかのように。
 弟たちが持参じさんした土産は恒興の口には入らなかったが、弟たちが帰るまでに一族で食べ終える。

  恒太郎「父上は常々、我ら家族をあんじ、養子に出た二郎と三郎のことを気にしておられた。最期さいご看取みとってくださり。んぐ。ありがとう。ございます。本当に来ていただき感謝の言葉でしか返すことが出来ませんが。スンスン。父はお喜びの言葉で締めくくられました。んぐ。我ら家は違えども父は同じ。本多恒興の息子と娘。我ら子供たちは長く生きよう!そして、主君を支えよう!父をえる者となろう!きっと父はそれを望んでらっしゃる。我らはしぶとく主君のために生き残るのだ。二郎!三郎!私からも感謝する。そなたたちにこうして再会さいかいできたことを心から感謝する。次はいついかなる時に出会うかわからぬが、皆無事に達者たっしゃらせ」

 涙ながらに一族を代表して伝えた。
 ふたりの弟たちは、立派になられた兄の言葉に胸を打たれる。以前の凡人ぼんじんな兄を知っているからだ。
 詩麻は、うれしい気持ちと何を言ってるのか分からないけれど、きっと良いことを言ってるのだとさっしうれしさから涙があふれ出る。
 兄たちをしたう詩麻を見て大きくなったと思う弟たち。幼い時に別れている。それでもまだ幼い詩麻が笑顔で泣いているのを見て安心。
 翌朝よくあさ、二郎と三郎は途中とちゅうまで一緒に行き、別れて自分たちを待つ屋敷へと帰っていった。
 危篤きとくから葬儀そうぎまで寺子屋は臨時休業りんじきゅうぎょうとし。
 葬儀の翌日よくじつから寺子屋へ。休むことなく働く。寺子屋の収入しゅうにゅうびび々たるもの。
 晦日みそかには、ふたりに給金きゅうきんを支払う。カメに2500文。ヒコザに3000文。
 ふたりはことわるが、正月をむかえるにあたり大事だいじな給金であるとして断りを退しりぞけた。



元和げんな3年如月きさらぎ

 正純から登城せよと通達つうたつ。江戸での将軍しょうぐんへの新年しんねんの挨拶がひと段落だんらくし小山に一時滞在たいざいしている。

  正純「よくぞ来た。恒興の葬儀に顔を出せなくてまぬ」
  恒太郎「とんでもございません。そのお言葉だけで十分でございます」
  正純「今日呼び立てたのは、先日伝えた育成のけんはどうなっておる」
  恒太郎「はい。二・三人ほどしぼっておりますが、他所よそからくる浪人ろうにんを迎え入れようかと考えております。育成になっていないので殿のお考えとは違います。ではなぜ、浪人を迎えるかと考えたのは、大人が一人は必要だと考えたからです。責任せきにんを持って取り組んで欲しいのです」

 殿に対し物怖ものおじせずに、案と理由の説明をした。肝がわり当主としての心構こころがまえが出来つつあるようだ。

  正純「なるほど。だが浪人をやとうとなると赤字あかじになるのではないか?お主のろくでは家が苦しくなるであろう。いかがいたす」
  恒太郎「現在寺子屋に通っているのは、元服げんぷく前の子供たちです。せめて元服していればまかせられるのですが。短期間たんきかんに見つけるとしたら浪人かと考えました」
  正純「そうであろうな。だが浪人を探すにも時はかかる。それに浪人は一時いちじしのぎでメシのタネ程度ていどにしか思ってない。最低さいていでも一年は勤められる者が良いだろう。教わる子供たちの事を考えると短期間で変わると学びに身が入らないだろう」

 寺子屋人事じんじに頭をなやます。

  正純「では、こうしてはどうだろうか。恒太郎に期待しているのは事実じじつ。よし!恒太郎に五十石ごじゅっこく加増かぞうする。あわせて百五十石にする。そこで、浪人をかかえればめんだろ。ただし、し抱えた者がなんらかで、離れることがあった場合、五十石減俸げんぽうとする。家臣かしんを持つことを許可きょかする。これでどうだ」

 思わぬところで加増かぞうを言い渡され、目を丸くする。

  恒太郎「。。。うけたまわります。早急そうきゅう対応致たいおういたします」


 屋敷に戻り報告ほうこく

  恒太郎「母上、なんと五十石の加増を受けました。ただしこれは、家臣を雇うことになります。家計かけいはこのままでお願いします。浪人を一人雇います。あと、彦作はこのまま下人として雇い、雇った浪人を私のともとして働いてもらいます。それら給金きゅうきんあまった金は、百姓のために使います。色々と研究けんきゅうに使いたく思っております。申し訳ございません」
  トラ「良いことです。私たちのらしは以前と同じで充分じゅうぶんなのです。良い人材ひとが見つかると良いですね」
  恒太郎「はい。それで、新たに抱える浪人は、当家とうけの屋敷に住まわせます。はなれを使おうと考えてます」
  トラ「それで良いでしょう。良い人材が見つかることを願っております。ではカメに日中にっちゅう離れの空気の入れ替えや寝間ねまの準備をさせましょう」

 父恒興が恒太郎に伝えた「出世」と「加増」が早速決まる。
 恒興が息を引き取った離れに新たに家臣を住まわせる。

心の声は《心の声として発言するよ》と二重カッコを使います。
これからも少年ツネタロウをよろしくお願いします。
Twitter