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残酷な描写あり
2話 気づいたら死んでました
【気づいたら死んでました】

 常太郎ツネタロウは夢を見ていた。

  常吉「はて私はなにをしてる?」

 遠くから声がする。なんだろうか。聞いたことの無い声がする。でも呼ばれてる気がする。
 急に痛みが走る!何が起きたんだ!?
 ひとまずまわりを見渡そうと起きようとする。

  常吉「ここは。どこ?」

 大男に声を掛けられてるのが分かる。

  大男「ようやく起きたか。あまりにも起きないからビンタしたら起きたわ」

 大男は笑いながら話す。

 どこか気分が悪い。なぜなぐられなきゃいけないのか。

  大男「お前は前世ぜんせいでは常吉ツネキチと呼ばれてた。お前はこれからお前の先祖せんぞを助けてこなくてはいけない。いいか?お前はな、先祖せんぞの歴史を変える者として生きていくんだ。お前のこれまでの経験けいけんはそのまま使えるようにしてある。それから先祖の歴史をお前の身体からだに入れてある。気になったら思い出すようにコメカミを押しながら考えろ。そうすれば経験に無いことも調べられる。このことは、誰にも言うではないぞ。まぁ言ったところで誰も信用しないがな。ガハハハハハ。では、これより新しい人生を生きろ!」

 大男は、常太郎の話も聞かずに念術ねんじゅつを使って飛ばされた。

 前世ぜんせと言われ私は死んだのだとわかった。両親に会えなくなり、育ててくれた材木商ざいもくしょうの人たち。学校に行かせてくれた旦那だんなさん。仕事を教えてくれた手代てだいさん。明るく見送ってくださったみんな。申し訳ない気持ちでいたたまれなかった。これから新しい人生として生きろと言われたが、どうしたものか。まったく分からない。どうしたらよいのかさえ分からない。

 だが、思い出すような仕草しぐさだけでなんとなくわかるらしい。あとでやってみよう。なんだか眠くて仕方ない。とりあえず寝るとしよう。

 
【めざめ】

 遠くで呼んでる声がする。
 太・・太・・・太郎!!
 目をます。

  ??男「おお!太郎が起きたぞ!薬師くすしを呼べ!」
  家の者らしき男「はっ!ただいま!!」

 薬師とは、現在の開業医かいぎょうい。クリニックと調剤薬局ちょうざいやっきょくを足して2でった感じの職業しょくぎょう
 しばらくすると、薬師がノシノシと廊下ろうかきしませながらやってきた。

  ??男「太郎が目を覚ましました!」
  薬師「ほう。雷に当てられたのに目を覚ますのが思いのほか早かったわ。うん。みゃくも安定している。まだ、火傷やけどあともある。無理に動かしてはいかんぞ。では。わしはこれで」
  ??男「分かりました!ありがとうございます!」

 薬師は部屋を出て行く。

 常太郎は太郎になったことに慣れない。

  太郎 [ かたわらにいるこの男は父親か?随分ずいぶんと身なりが良い。自分の先祖は、農民じゃないのか?おそらくここは武家ぶけ。まだわからないが武家だと仮定かていして、なぜ農民になってしまったのだろうか。それに部屋がキレイであたたかい着物ふとん。ひとまずさぐりをいれてみるか]
  太郎「父上」
  ??男「おお!気がついたか!」

 流れからして父だと思い当てずっぽうで言ったら当たった。さぐりは成功。  

  太郎「父上。私はなぜ皆から見守られているのですか?」
  父「覚えておらぬか。お前は、そこの池で釣りをしてるところへ落雷らくらいがあってな。近くの木に落が落ちたのだが、運悪く木がけお前の釣り竿ざおに当たり、お前は腕に大きな火傷をつけてしまったんだ。今はゆっくり寝ていやしなさい」
  太郎[腕の痛みや関節かんせつ違和感いわかんを感じ腕を動かし肩を回そうとするも火傷のため思ったように回せない。武家の子が刀を思うように振れないとなると。困ったな。指はどうだ?大丈夫少し引っ張られる感じはあるが指は動く。火傷が落ち着き練習すれば文字は書けそうだ。寝てろと言われたんだから寝ていた方が良さそうだ。ありがたくもう少し寝ていよう]


【神を信じますか】


まぶしい

  太郎「まずい!こんな時間まで寝てしまった。起きて準備しないと。食事抜きになる!」

 ガバッと起き上がる

  太郎「いたたた。そうだった. 火傷してたんだっけか。ってことはそうか。ここには旦那だんなさんがいないのか。そうか。ここは一体どこなんだ」
  ??女「太郎さまが起きてらっしゃいます!ささ、太郎さまもうしばらく寝ててくだされ」

 太郎は言われるがまま布団に入る。

  ??女「太郎さま、かゆをお持ちしました。ゆっくりでいいのでお食べください」

 太郎は布団の上で粥を食べ再び眠りにつく。



  大男「どうだ?今までの生活と全然違うだろ!?」

 男は笑ってる

  太郎「ああ全然違うな。あのさ、さっきから気になってるんだけど、俺のしゃべ口調くちょう変わったんだけどどういうこと?」
  大男「それな。お前のことぞうぞうぬしがめんどくさいって。太郎が住んでるとこ東の国だからな。方言ほうげんも違うから仕方ないさ。これで、スムーズに進むと神は喜んでるぞ」
  太郎「すむ?よくわからんが、この口調で良いなら良いんだ。んで、あの親らしき男たちは何者なんだ?」
  大男「それは自分で聞いてよ。ここで全部教えたら面白くないじゃん」
  太郎「なに笑ってんだよ。この火傷あとなおるんだろうな?」
  大男「ん?治んないよ。これから一生いっしょうその火傷痕を背負せおって生きていくんだよ」

 太郎は深いため息をき一言

  太郎「。。。そうか」
  大男「でも顔とかは問題ないし、長袖ながそでの着物をいつでも着てたら大丈夫だよ。れてるでしょ?着物」
  太郎「慣れてるっていうか、んまぁ、それしか持ってないしな。そっか、着物で隠せるから大丈夫か」

 大男は手を振って遠ざかっていく。

 

 太郎は眠りから覚め、周りを見渡す。なにか情報は無いだろうか。起き上がると食事の時には気づかなかったが、刀が見えた。天井の近くには、槍がある。

  太郎[ そこから推測すいそくするに、やはりお武家さんの家か]

 ゆっくり立ち上がり散策さんさくする。

  太郎「古い家屋かおくなのは確かだが、柱もはりもしっかりしてる。いい家だ。旦那さんの店も立派だったが、それ並の家。さぞかし立派なお武家さんなんだろう」
  ??女中じょちゅう「太郎さま!もう起き上がって良いのですか?」

 笑いながら言う。

  太郎「ああ。いつまでも寝ていられないからね。少し動こうと思ってね」
  ??女中「奥さま!太郎さま起き上がりましたー」
  奥さまと呼ばれた女性「太郎!もういいの?いつも冬になったら風邪かぜをひいていつまでもゴロゴロしてるのに。どうしたのかしら。人が変わったみたいね。それでもいいわ。太郎が元気そうなら」

 少し複雑ふくざつな気分。元の太郎は覇気はきの無い男だったのか?

  父「太郎!見違みちがえたな!いい男になったぞ!ハハハハハ。火傷痕あとは治らないが、男たるもの傷の一つやニつ有った方が様になる!これでいつでもよめむかえれるな」

 父は、笑いながらハゲます。

  太郎「父上!私はまったく自分の事を思い出せないのです。私は一体なんなのですか?」
  父「そうか記憶きおくを失ってるのか。これから本家ほんけ登城とじょうしてくるから帰ったらくわしく話そう。いいな?それまで養生ようじょうしてなさい」

 笑顔で家を出る。

 思い出した。気がつき目を覚ましてから一度も行ってない場所があった。

  太郎「かわやはどちらに!?」

 事なきを得た
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