残酷な描写あり
第百十話「死神を狩る刃」
任務 ロスト・ゼロ作戦の成功
遂行者 黒神大蛇、白神亜玲澄、エレイナ・ヴィーナス、武刀正義、カルマ、エイジ、ミスリア・セリウス、クロム・セリウス
「死神と化した英雄は、このベディヴィエルが断ち斬ってみせよう」
カペラへのとどめの一撃はベディヴィエ ルの剣によって防がれた。衝撃波が走り、ハウステンボスを更に戦場と化していく。
「……どうやら殺されたいようだな。生徒会長たる者が」
「死神に殺されるとは実に光栄だ。今まで殺されかけた事すらも無いのでね」
「……戯言を」
残像すら見えない速さで互いに剣を振っては交わる。軌道と火花が一つの芸術になる。それを知る由も無く二人は目の前の敵を斬る一心だった。
「前回の礼だ、私の本気を見せてあげよう……『神器解放』」
ベディヴィエルが唱えながら剣を振り下ろした瞬間、炎を纏っていた剣がとてつもない冷気を解き放った。
「っ……」
目の前まで迫る絶対零度の刀身を受け止める。触れずとも伝わる冷気で指の感覚が無くなり、次第に剣を握る力が弱まる。
「私を炎の騎士だと侮ったな……死神!」
「……そうだな。炎属性しか魔法が使えない生徒会長などいるはずが無いからな。むしろ待ち遠しかったぞ」
右手に力が入らず、両手で剣を握って全体重をかけて力を加える。しかし呆気なく魔剣が弾き飛ばされ、目にも止まらぬ速さで両腕が切断される。
「っ……!」
冷たい。両腕が凍り始めてきたのか。このまま俺を凍死させる気か。
「カペラっ……!」
「私とした事が……少し油断しただけよ。もう同じ真似はしないわ」
空間が歪む。更にベディヴィエルが右足を踏み込んで突進してくる。剣及び両腕が失われた今、俺に回避手段は無い。ただ目の前に迫る雷を帯びた刃に斬り裂かれ、再び全身が焼かれるのだろう。とれだけ抗おうとも、結果は変わらないのか――
「大蛇さんっ!!」
「クロムっ……!」
俺を呼ぶ声で誰か分かってしまう。俺の髪色に似た鎧を身につけたクロムがベディヴィエルの目の前まで迫り、黒剣を左から振り払う。
「くっ……もう一人いたのか!」
「今度は私が相手です……ベディヴィエル・レント!!」
鼓膜が破れてしまいそうな程甲高い音と共にベディヴィエルが後ろに引き下がる。それと同時に空間爆発が起きるも、寸前に左手で俺を後ろに押し出しつつ前進する。
「任せてください、大蛇さん。ベディヴィエルとは因縁の仲なので!!」
そう言い残してベディヴィエルとの距離を詰めていく。ベディヴィエルの顔に少し焦りが滲み出てきたが、体制を元に戻して剣を構える。
「『無月斬響』」
クロムの刀身が月光のように輝き、上段から弧を描くように空間を裂く。間一髪でベディヴィエルが背中を反らして避ける。
「その光……クロム!!」
「えぇ、そうですとも……共に生徒会長の座を賭けて剣を交えた時が懐かしいですね、ベディヴィエル!」
生徒会長、副会長に挟まれながらも恐れもせず、クロムはベディヴィエルに剣を振り続ける。
「くっ……、くそっ……」
そんな姿をただ見つめる俺は冷気と己の無力さに歯を食いしばる事も出来ずに地面に転がった。
「ぅ……ぁ…………」
身体を包む影がいつの間にか消え、両腕から血が大量に抜けていく。
意識と共に遠くで魔剣が地面に落ちる音が聞こえた気がした。
『主様……主様っ!!』
魔剣の声すらも霞んではすぐに消えて――
遂行者 黒神大蛇、白神亜玲澄、エレイナ・ヴィーナス、武刀正義、カルマ、エイジ、ミスリア・セリウス、クロム・セリウス
「死神と化した英雄は、このベディヴィエルが断ち斬ってみせよう」
カペラへのとどめの一撃はベディヴィエ ルの剣によって防がれた。衝撃波が走り、ハウステンボスを更に戦場と化していく。
「……どうやら殺されたいようだな。生徒会長たる者が」
「死神に殺されるとは実に光栄だ。今まで殺されかけた事すらも無いのでね」
「……戯言を」
残像すら見えない速さで互いに剣を振っては交わる。軌道と火花が一つの芸術になる。それを知る由も無く二人は目の前の敵を斬る一心だった。
「前回の礼だ、私の本気を見せてあげよう……『神器解放』」
ベディヴィエルが唱えながら剣を振り下ろした瞬間、炎を纏っていた剣がとてつもない冷気を解き放った。
「っ……」
目の前まで迫る絶対零度の刀身を受け止める。触れずとも伝わる冷気で指の感覚が無くなり、次第に剣を握る力が弱まる。
「私を炎の騎士だと侮ったな……死神!」
「……そうだな。炎属性しか魔法が使えない生徒会長などいるはずが無いからな。むしろ待ち遠しかったぞ」
右手に力が入らず、両手で剣を握って全体重をかけて力を加える。しかし呆気なく魔剣が弾き飛ばされ、目にも止まらぬ速さで両腕が切断される。
「っ……!」
冷たい。両腕が凍り始めてきたのか。このまま俺を凍死させる気か。
「カペラっ……!」
「私とした事が……少し油断しただけよ。もう同じ真似はしないわ」
空間が歪む。更にベディヴィエルが右足を踏み込んで突進してくる。剣及び両腕が失われた今、俺に回避手段は無い。ただ目の前に迫る雷を帯びた刃に斬り裂かれ、再び全身が焼かれるのだろう。とれだけ抗おうとも、結果は変わらないのか――
「大蛇さんっ!!」
「クロムっ……!」
俺を呼ぶ声で誰か分かってしまう。俺の髪色に似た鎧を身につけたクロムがベディヴィエルの目の前まで迫り、黒剣を左から振り払う。
「くっ……もう一人いたのか!」
「今度は私が相手です……ベディヴィエル・レント!!」
鼓膜が破れてしまいそうな程甲高い音と共にベディヴィエルが後ろに引き下がる。それと同時に空間爆発が起きるも、寸前に左手で俺を後ろに押し出しつつ前進する。
「任せてください、大蛇さん。ベディヴィエルとは因縁の仲なので!!」
そう言い残してベディヴィエルとの距離を詰めていく。ベディヴィエルの顔に少し焦りが滲み出てきたが、体制を元に戻して剣を構える。
「『無月斬響』」
クロムの刀身が月光のように輝き、上段から弧を描くように空間を裂く。間一髪でベディヴィエルが背中を反らして避ける。
「その光……クロム!!」
「えぇ、そうですとも……共に生徒会長の座を賭けて剣を交えた時が懐かしいですね、ベディヴィエル!」
生徒会長、副会長に挟まれながらも恐れもせず、クロムはベディヴィエルに剣を振り続ける。
「くっ……、くそっ……」
そんな姿をただ見つめる俺は冷気と己の無力さに歯を食いしばる事も出来ずに地面に転がった。
「ぅ……ぁ…………」
身体を包む影がいつの間にか消え、両腕から血が大量に抜けていく。
意識と共に遠くで魔剣が地面に落ちる音が聞こえた気がした。
『主様……主様っ!!』
魔剣の声すらも霞んではすぐに消えて――