残酷な描写あり
第百六話「魔女VS英雄」
任務 ロスト・ゼロ作戦の成功
遂行者 黒神大蛇、白神亜玲澄、エレイナ・ヴィーナス、武刀正義、カルマ、エイジ、ミスリア・セリウス、クロム・セリウス
長崎県佐世保市――
爆発が起きた場所にもう迷いは無かった。間違いなくハウステンボスだ。そこ以外考えられなかった。
「大蛇さん……」
「あぁ、俺の言った通りだ。犠牲が増える前に行くぞ」
早急に入場チケットを購入し、ゲートを通る。その直後再び爆発音が聞こえた。地図でいうとアドベンチャーパークと呼ばれる場所付近で聞こえた。
間違いなくあそこに先程戦ったギール以上の生徒がいる。油断は一切出来ない。
「……任務開始だ」
二人共に剣を抜き、アドベンチャーパークに向かって走り出した。
近づく度に爆発音が大きく聞こえ、爆風で徐々に吹き飛ばされそうになる。爆発による煙で段々視界が悪くなる。
「くっ……、この煙は……」
「まずいですよ、大蛇さん。この爆発の威力といいこれ程の妨害が出来る者は、生徒会副会長カペラしかいません」
おいおい冗談はよしてくれクロム。こんな時に生徒会……それも副会長と遭遇するかよ普通。
……まぁ、丁度いい。ここで副会長にはご退場願うとしよう。
「恐らくそいつだけだ。二人でタコ殴りにするぞ」
「言い方が……いえ、何でもありません。行きましょう」
と、一歩前に進んだ時だった。
「あら、まだ生き残ってたのね。それか新しく私の領域に入り込んだ馬鹿か」
「「――!!」」
いつからそこにいた。今までずっとそんな所にいなかっただろ。何で今俺達の背後にいるんだ。意味が分からない。
「……大人しく灰になりな。『空間破裂』」
刹那、俺の目の前で大爆発が起きた。咄嗟に目を瞑ったが、時すでに遅しだった。
「ちっ……!」
顔面に襲いかかる痛みに耐え、俺は背後の人影に剣を振る。しかし、そこには人影すら無かった。
「ほら、捉えてみなさい。どうせ君達じゃ出来ないでしょうけど」
「私を忘れたとは言わせませんよ……『月蝶斬』!」
俺を狙う魔女の背後にクロムがつき、両手で剣を構える。刀身がアメジスト色に輝き、振る度にまるで複数の蝶が乱れ飛ぶように剣先が軌道を描いた。
「ちっ、鼠め!『摩破擦発』!!」
クロムが描く無数の軌道に空間が歪み、それらから無数の爆発が起きる。いとも簡単にクロムを爆発の炎に包む。
「くっ……!!」
俺はこの隙に両足で地を蹴り、右手に持つ剣を後ろに引く。一瞬飛んだタイミングを狙って魔女の腹部めがけて魔剣を穿つ。
俺が持つ技で最も速く攻撃出来る突き技『瞬影』である。
「邪魔っ……!」
魔女は空いた右手でパチンッと指を鳴らす。その後、鼓膜が破れてしまいそうな程甲高い音が俺の魔剣と謎の障壁から鳴り響いた。
「うっ……何だこの障壁は……!」
「貴方如きの剣では破られないわ。諦めて屍になる事ね」
もう一度指が鳴る音が聞こえ、すぐに空間が爆発する。俺の剣を防ぐ障壁が無数の欠片となって四散し、全身に突き刺さる。
「うっ……!」
「大蛇さん!」
「たかが1年生が私に勝てると思わない事ね」
容赦無用に冷徹な口調で現実を押し付ける。心臓から一気に凍りそうになる程に冷たい口調だった。間違いなく、あの人は若手嫌いだ。弱いものが嫌いなんだ。それも自分を強く見せるために。
「ふっ……たかが1年生でも生徒会長と互角に戦った身だからな。油断したら即座にお前の祭りはフィナーレを迎えるぞ?」
「それはこっちのセリフよ。まぁ、油断しなくても貴方はすぐに負けるだろうけど」
再び空間が歪み始めた。爆発の予兆だ。クロムの方にもそれが見え始めた。このまま俺達を一気に殺す気だ。何とかして避けなければ。
「っ……!」
瞬間、空間が爆発を起こす寸前に右足を蹴って距離を取る。そして爆発して……と思いきや、その爆発が連鎖するように発生して俺どの距離を確実に詰めていた。
「『追跡爆裂』」
ちっ、魔法が追尾してくるとか冗談だろ!
このまま距離とっても時間の問題って事か!
「くそっ、クロムが押しやられる前に何とかしなければ……!」
距離を取るのを諦め、正面に剣先を向けるようにして構える。
「……行けるか」
『こ、怖いですけど……や、やってみましゅ!』
最後に噛んだのは無視し、魔剣に籠められた魔力を使うよう指示する。刀身が禍々しいオーラを纏い、軌道に合わせて激しく燃え上がる。
「『はああっ!!』」
全身を限界まで捻り、回転力を上げる。まるで円を描くかのように縦に剣を振る。それに合わせて闇の炎が軌道に彩を加える。
「『死鳥之火霊』」
勢いを加えた斬り上げで黒い炎が追尾する空間爆発を飲み込む。
「飲み込んだっ……!?」
「クロム、そのまま耐えろ。俺が片をつける」
「えぇ、任せてください!」
ふらつきながらも何とか着地し、切り替えるべく右手で剣をペンのように回す。改めて柄を強く握り、深呼吸をする。
……連撃を行ってもあの障壁が来れば絶対に破られない。それに砕け散ったらまた全身に傷を負うことになる。
なら答えは一つ。一撃で勝負を決めるまで。
右足を後ろに引き、剣を後ろに構えたまま突進する。助走をある程度つけたところで右足で勢いよく飛ぶ。
「うおおおおおお!!!!」
勝負はこの一撃に賭けられた。女神が微笑むのは魔女か、英雄か――
遂行者 黒神大蛇、白神亜玲澄、エレイナ・ヴィーナス、武刀正義、カルマ、エイジ、ミスリア・セリウス、クロム・セリウス
長崎県佐世保市――
爆発が起きた場所にもう迷いは無かった。間違いなくハウステンボスだ。そこ以外考えられなかった。
「大蛇さん……」
「あぁ、俺の言った通りだ。犠牲が増える前に行くぞ」
早急に入場チケットを購入し、ゲートを通る。その直後再び爆発音が聞こえた。地図でいうとアドベンチャーパークと呼ばれる場所付近で聞こえた。
間違いなくあそこに先程戦ったギール以上の生徒がいる。油断は一切出来ない。
「……任務開始だ」
二人共に剣を抜き、アドベンチャーパークに向かって走り出した。
近づく度に爆発音が大きく聞こえ、爆風で徐々に吹き飛ばされそうになる。爆発による煙で段々視界が悪くなる。
「くっ……、この煙は……」
「まずいですよ、大蛇さん。この爆発の威力といいこれ程の妨害が出来る者は、生徒会副会長カペラしかいません」
おいおい冗談はよしてくれクロム。こんな時に生徒会……それも副会長と遭遇するかよ普通。
……まぁ、丁度いい。ここで副会長にはご退場願うとしよう。
「恐らくそいつだけだ。二人でタコ殴りにするぞ」
「言い方が……いえ、何でもありません。行きましょう」
と、一歩前に進んだ時だった。
「あら、まだ生き残ってたのね。それか新しく私の領域に入り込んだ馬鹿か」
「「――!!」」
いつからそこにいた。今までずっとそんな所にいなかっただろ。何で今俺達の背後にいるんだ。意味が分からない。
「……大人しく灰になりな。『空間破裂』」
刹那、俺の目の前で大爆発が起きた。咄嗟に目を瞑ったが、時すでに遅しだった。
「ちっ……!」
顔面に襲いかかる痛みに耐え、俺は背後の人影に剣を振る。しかし、そこには人影すら無かった。
「ほら、捉えてみなさい。どうせ君達じゃ出来ないでしょうけど」
「私を忘れたとは言わせませんよ……『月蝶斬』!」
俺を狙う魔女の背後にクロムがつき、両手で剣を構える。刀身がアメジスト色に輝き、振る度にまるで複数の蝶が乱れ飛ぶように剣先が軌道を描いた。
「ちっ、鼠め!『摩破擦発』!!」
クロムが描く無数の軌道に空間が歪み、それらから無数の爆発が起きる。いとも簡単にクロムを爆発の炎に包む。
「くっ……!!」
俺はこの隙に両足で地を蹴り、右手に持つ剣を後ろに引く。一瞬飛んだタイミングを狙って魔女の腹部めがけて魔剣を穿つ。
俺が持つ技で最も速く攻撃出来る突き技『瞬影』である。
「邪魔っ……!」
魔女は空いた右手でパチンッと指を鳴らす。その後、鼓膜が破れてしまいそうな程甲高い音が俺の魔剣と謎の障壁から鳴り響いた。
「うっ……何だこの障壁は……!」
「貴方如きの剣では破られないわ。諦めて屍になる事ね」
もう一度指が鳴る音が聞こえ、すぐに空間が爆発する。俺の剣を防ぐ障壁が無数の欠片となって四散し、全身に突き刺さる。
「うっ……!」
「大蛇さん!」
「たかが1年生が私に勝てると思わない事ね」
容赦無用に冷徹な口調で現実を押し付ける。心臓から一気に凍りそうになる程に冷たい口調だった。間違いなく、あの人は若手嫌いだ。弱いものが嫌いなんだ。それも自分を強く見せるために。
「ふっ……たかが1年生でも生徒会長と互角に戦った身だからな。油断したら即座にお前の祭りはフィナーレを迎えるぞ?」
「それはこっちのセリフよ。まぁ、油断しなくても貴方はすぐに負けるだろうけど」
再び空間が歪み始めた。爆発の予兆だ。クロムの方にもそれが見え始めた。このまま俺達を一気に殺す気だ。何とかして避けなければ。
「っ……!」
瞬間、空間が爆発を起こす寸前に右足を蹴って距離を取る。そして爆発して……と思いきや、その爆発が連鎖するように発生して俺どの距離を確実に詰めていた。
「『追跡爆裂』」
ちっ、魔法が追尾してくるとか冗談だろ!
このまま距離とっても時間の問題って事か!
「くそっ、クロムが押しやられる前に何とかしなければ……!」
距離を取るのを諦め、正面に剣先を向けるようにして構える。
「……行けるか」
『こ、怖いですけど……や、やってみましゅ!』
最後に噛んだのは無視し、魔剣に籠められた魔力を使うよう指示する。刀身が禍々しいオーラを纏い、軌道に合わせて激しく燃え上がる。
「『はああっ!!』」
全身を限界まで捻り、回転力を上げる。まるで円を描くかのように縦に剣を振る。それに合わせて闇の炎が軌道に彩を加える。
「『死鳥之火霊』」
勢いを加えた斬り上げで黒い炎が追尾する空間爆発を飲み込む。
「飲み込んだっ……!?」
「クロム、そのまま耐えろ。俺が片をつける」
「えぇ、任せてください!」
ふらつきながらも何とか着地し、切り替えるべく右手で剣をペンのように回す。改めて柄を強く握り、深呼吸をする。
……連撃を行ってもあの障壁が来れば絶対に破られない。それに砕け散ったらまた全身に傷を負うことになる。
なら答えは一つ。一撃で勝負を決めるまで。
右足を後ろに引き、剣を後ろに構えたまま突進する。助走をある程度つけたところで右足で勢いよく飛ぶ。
「うおおおおおお!!!!」
勝負はこの一撃に賭けられた。女神が微笑むのは魔女か、英雄か――