残酷な描写あり
第百一話「神が下す運命」
任務 ロスト・ゼロ作戦の成功
遂行者 黒神大蛇、白神亜玲澄、エレイナ・ヴィーナス、武刀正義、カルマ、エイジ、ミスリア・セリウス、クロム・セリウス
この長崎市からは、既に光も闇も消えていた。残るはスラムと化した街とそれを照らし出す太陽、そして神にひれ伏す一人の人間のみだった。
「ぐっ……がはっ」
血を吐くも血の味がしない。まるで味覚が奪われたかのようだ。もはや痛覚しか感じられない。力が入らない。軽々と振っていた剣がずっしりと重く感じる。
「ふむ……人間如きにもこの我に傷をつける存在がいたとはな。我にもまだ世界の未知なる真実があるということか」
両手から剣を消し、目の前に倒れるエイジの首を左手で掴む。
「うぐっ……」
痛い。首の骨が折れそうになる。片手で握りつぶされる林檎はこういう気持ちなのだろうか。
「エイジ……いや、今はあえてアストレアと言っておこう。今の貴様はあの頃によく似ている。生まれ変わり……なのかもしれぬな」
「あがっ……!」
首を絞める力が一気に強くなる。思わず声が出る。視界が霞んできた。死が迫ってきてるのだろうか。
……俺は、もう死ぬのか。カルマを、大蛇達を、皆を置いて先に逝くのか…………
「……だが、人は結局我には……神には抗えぬのだ。運命にも抗えないのだ。地球は直に滅ぶ。神々の怒りによって……愚かなる人間共を存在ごと消し去る。
たとえ魔王を仕えし『勇者』の生まれ変わりであろうお前でさえも、この運命を断ち切れない」
「――!?」
やっぱり、そうか……こいつはアルスタリアの生徒なんかじゃない。本物の神だ。水星でいうトリトン王のような、何かを司る神……
「ぐっ……!!」
まぁ、人間が馬鹿なのは否めないな……『常夏の血祭り』なんてものを作っては同類で殺し合い、豊かなる地を鮮血で満たすのだから。結局は戦争だ。無意味なことでただ星を血で染めては命を投げ捨て、刃を振るっては星を錆にしてしまう。
「安心しろ、すぐにこの世の人間共を全て消し去ってやる。『常夏の血祭り』などという下らん祭典もこの手で終わらせてやろう」
「お……まえは…………」
結局人間は命を芽生えさせてはすぐに散らす存在なんだ。同時に在るもの全てを生み出しては腐らせる。愚か以上のなにものでもない。
ファウストの言う通りだ……人間は一人でも多く消えるべきだ。当然俺も含まれる。人を救うために人を殺す……そんなものなんて最初からいらないんだよ。結局は神々が創ったとされる星を汚してるのだから。
あぁ……これ、ただの学祭なんだよな。イメージと全然違ったな。むしろこんな事普通ありえない。祭りは楽しむものだって、カルマやディアンナ、それに国王様も……言ってたのに。
「さらばだ……愚かな人間の一人よ。そして、かつての我が宿敵よ」
――刹那、プツンッと何かが切れた音がした。それと同時に視界が暗転した。あぁそうか、死んだのか。悪魔の手で首を摑まれて、握りつぶされてしんだのか、俺……いや、僕は。
あぁ……もう君に合わせる顔が無くなっちゃったな。僕にはもう生まれ変わる価値なんてものも無いんだろうな。
『そうだ。もう貴様は生まれ変わる事はない。むしろこれが貴様の……反逆者の辿る運命なのだ。貴様はその実験台にしか過ぎなかったのだ。
……最後に教えてやろう。その反逆者の名は――――』
「――!!」
その名を聞いて、僕は悟ってしまった。今の僕の恩人の名が、突然聞こえた謎の者の口から発せられた。姿は見えなくとも、確かに言ったのだ。
――ヤマタノオロチ。それは、あの時水星で出会った青年……黒神大蛇である事に。
遂行者 黒神大蛇、白神亜玲澄、エレイナ・ヴィーナス、武刀正義、カルマ、エイジ、ミスリア・セリウス、クロム・セリウス
この長崎市からは、既に光も闇も消えていた。残るはスラムと化した街とそれを照らし出す太陽、そして神にひれ伏す一人の人間のみだった。
「ぐっ……がはっ」
血を吐くも血の味がしない。まるで味覚が奪われたかのようだ。もはや痛覚しか感じられない。力が入らない。軽々と振っていた剣がずっしりと重く感じる。
「ふむ……人間如きにもこの我に傷をつける存在がいたとはな。我にもまだ世界の未知なる真実があるということか」
両手から剣を消し、目の前に倒れるエイジの首を左手で掴む。
「うぐっ……」
痛い。首の骨が折れそうになる。片手で握りつぶされる林檎はこういう気持ちなのだろうか。
「エイジ……いや、今はあえてアストレアと言っておこう。今の貴様はあの頃によく似ている。生まれ変わり……なのかもしれぬな」
「あがっ……!」
首を絞める力が一気に強くなる。思わず声が出る。視界が霞んできた。死が迫ってきてるのだろうか。
……俺は、もう死ぬのか。カルマを、大蛇達を、皆を置いて先に逝くのか…………
「……だが、人は結局我には……神には抗えぬのだ。運命にも抗えないのだ。地球は直に滅ぶ。神々の怒りによって……愚かなる人間共を存在ごと消し去る。
たとえ魔王を仕えし『勇者』の生まれ変わりであろうお前でさえも、この運命を断ち切れない」
「――!?」
やっぱり、そうか……こいつはアルスタリアの生徒なんかじゃない。本物の神だ。水星でいうトリトン王のような、何かを司る神……
「ぐっ……!!」
まぁ、人間が馬鹿なのは否めないな……『常夏の血祭り』なんてものを作っては同類で殺し合い、豊かなる地を鮮血で満たすのだから。結局は戦争だ。無意味なことでただ星を血で染めては命を投げ捨て、刃を振るっては星を錆にしてしまう。
「安心しろ、すぐにこの世の人間共を全て消し去ってやる。『常夏の血祭り』などという下らん祭典もこの手で終わらせてやろう」
「お……まえは…………」
結局人間は命を芽生えさせてはすぐに散らす存在なんだ。同時に在るもの全てを生み出しては腐らせる。愚か以上のなにものでもない。
ファウストの言う通りだ……人間は一人でも多く消えるべきだ。当然俺も含まれる。人を救うために人を殺す……そんなものなんて最初からいらないんだよ。結局は神々が創ったとされる星を汚してるのだから。
あぁ……これ、ただの学祭なんだよな。イメージと全然違ったな。むしろこんな事普通ありえない。祭りは楽しむものだって、カルマやディアンナ、それに国王様も……言ってたのに。
「さらばだ……愚かな人間の一人よ。そして、かつての我が宿敵よ」
――刹那、プツンッと何かが切れた音がした。それと同時に視界が暗転した。あぁそうか、死んだのか。悪魔の手で首を摑まれて、握りつぶされてしんだのか、俺……いや、僕は。
あぁ……もう君に合わせる顔が無くなっちゃったな。僕にはもう生まれ変わる価値なんてものも無いんだろうな。
『そうだ。もう貴様は生まれ変わる事はない。むしろこれが貴様の……反逆者の辿る運命なのだ。貴様はその実験台にしか過ぎなかったのだ。
……最後に教えてやろう。その反逆者の名は――――』
「――!!」
その名を聞いて、僕は悟ってしまった。今の僕の恩人の名が、突然聞こえた謎の者の口から発せられた。姿は見えなくとも、確かに言ったのだ。
――ヤマタノオロチ。それは、あの時水星で出会った青年……黒神大蛇である事に。