note.2 擡げるボーカルの首は、そこにある空気を吸い込んで、吐き出した。
それは無言の会話である。
しかし無音ではない。
寧ろ、言葉よりも雄弁に語る。
(この人……いや、宇宙人――めちゃくちゃうまい……!)
開幕はプログレッシブロックだった。
細かくタムを回っていくスティックは華麗な、惚れ惚れする捌きである。
試されてると思った。複雑に踏み込まれるフットペダルに急かされるように、キングはそのリズムに飛び込んだ。
(かと思いきや、今度はジャズ調……既存の曲を合わせたいとか、作曲を手伝ってほしいとか、そんなこっちゃない。殴り合いじゃねえか、これ。面白ェ!)
ノールールで始まったセッション。
視線の間に火花。
あとは音の生まれるままに、追いかけてはまた次の旋律へ飛び乗って――惜しむことなく、ちぎっては投げちぎっては投げ……そんな縦横無尽なグルーヴが白い箱を揺らし続けている。
(ていうかこれ、いつ終わるんだ? 宇宙人の体力とか、時間観念とか、俺知らねえんだけど?)
などとキングが思考を逃がすと、頭の中を読み取ったように別のリズムが叩き込まれる。まるで音楽に集中しろと言わんばかりだ。
(なんてーか、俺、歌わされてねーか? こんなこと久しく無かったな)
ホント、面白い。
こんなに面白いのか。音楽って。
8ビートが打ち鳴らされて、着地した瞬間に跳躍するような感覚をキングは心底楽しんでいた。
(デモを送っても、路上で歌っても、俺が望んだものは返って来なかった。なのに今、わけわかんねえ宇宙人とドンピシャにやり合ってんの、わけわかんねえよな? でももしここで歌ったら……いや、準備ならずっとしてきた! よしっ――)
トーンをバチっと切り替えた。
ギターの嘶き。
擡げるボーカルの首は、そこにある空気(それは空気の振動やそれを基に生まれたグルーヴ、音楽というものを含めた、ある人には感じられる一定の物)を吸い込んで、吐き出した。
nice to meet you. 俺を呼んだかい?
やっと出会えたんだ 数えきれない星の向こうから
うまくできないキャッチボールを そのままにして
覗きすぎた水玉の コントラストに落ち込んだり
それは MY INTRODUCTION
涙の数はステータス ボルテージはMAXにしとけ
It's MY INTRODUCTION
願うよりもっと 確実な fantasy 見せつけてやれ!
さあ 始めようぜ スペクタクルなフェスティバル
ようこそ 一緒に踊ろうよ Wowow Wowow Wowow
朝焼けの空 高く哮り立つんだ 映えるハートが
あの日のオリジン 歌い続けて Shout for the rising sun!
Keep on shouting for the rising sun and call the future!
キングは震えそうな手で思い描き続けていたメロディを繋げた。
そこに勢いの変わらぬビートが添えられる。
(泣くなこんな場所で! これくらいで! まだまだ完成してない……!)
音楽とは、ひとりっきりではままならぬものだ。キングは常々そう思って来た。
たまたま居合わせた誰かのビジョンが重なって、現れた道標。
呼応するもう一つの音。
キングはその後も夢中で歌った。
もとからそこにあったかのように、音楽という第三の存在が確かに白い部屋を満たしていった。
(め……っっっっっちゃくちゃ楽しかった!!!!)
結局どれくらい歌っていたのだろうか。時間感覚の乏しいこの部屋では、一瞬の出来事のようであった。
「萩原旭鳴」
しばらくぶりに聞いた宇宙人のオニイサンの声。まだスティックを両手に持ってスツールに座っている。それだけがあの時間の証明みたいだった。
「俺のわがままに付き合ってくれてどうもありがとう」
「ワガママ? 何言ってんだよ! 俺の方こそどうもありがとうだよ!!」
お互い、言葉がヘタクソなのはわかった。なぜなら、さっきより今の方が迸る何かがどう見ても静かだから。何かっていうのは何と言っていいかわからないが。
「あ、そうだ。オニイサンは名前なんてーの? 宇宙人にも名前くらいあんだろ?」
「すぐ別れるのに、呼び名が必要か?」
「あったりまえじゃん! 覚えとくよ。俺、所属してるバンドもなくって、いろんな人と演奏すること多いんだけど、すげー人は覚えときたいんだよ。名前も演奏も」
「……エール・ヴィースだ」
「エルヴィス? プレスリーじゃん! ロックの神様!」
そうじゃない、と間違いを正そうとするが、キングが騒ぐのでエール・ヴィースの表情は無になった。
「いやーまさか宇宙人と合わせることになるなんてな! 鳴かず飛ばずの人生だったけど、止めないで来て良かったぜ! はっはは、……えーっと」
ふと、ホワイト・クリスマスの渋谷に立つ自分が脳裏に過る。途端にキングの膨らみきったテンションに穴が空いた。
これから先、泣きたくなるほど自分の歌が耳に残るような演奏が、何度あるだろうか。もしかすると、二度と訪れることは無いかもしれない。
(そんなわけない……そんなわけないって、言い聞かせてやって来たけど)
一度色彩を得た空気を吸ってしまえば、ごった返した渋谷の街並みもまるでモノクロームの動かない絵画だ。そこに独りで立たされることが酷く恐ろしく感じられた。
キングはそんな妄想を見なくてもいいように、ぎゅっと瞼を閉じた。
(そうなんだよな、俺ってホームが無いんだよ。待ってるファンとか、ステージとか、仲間とか……年内のスケジュールすら無いんだよなあ……)
口ごもったキングを、やはり不思議そうな顔で見つめるベッコウ飴色――だったが。
「――っ! キーロイか?」
顔を上げると、エール・ヴィースは耳元に手をやっていて、キングには聞こえない何かに耳をすましているようだった。
「……なんだそれは? とりあえずそちらに向かう」
エール・ヴィースの左耳に、ちょうど鮮血の雫のような石を象った耳飾りがあった。そいつを指先で弾くと、一瞬にしてそこにあったドラムセットが消えてしまった。
「すまない。急用が入った」
「きゅ、急用?」
スツールもスティックすら跡形もなく消え、ギターを提げたキングの前にはエール・ヴィースだけが残っていた。
「今すぐここを出なくてはならなくてな……渋谷にお前を帰すのに、もう少し待っててくれるか?」
「はあ……」
何が何やら。事情はわからないが、今のところキングにどのような術もないワケで。出来ることといったらギターを弾いて歌うだけである。
「ここで待ってればいいの?」
「ああ。すぐ戻る」
言うが早いか。またもや白い壁に手をかざすと、中空に半透明なボタンが出現。そのうちの一つが淡く光り出した。
「おっ!? えぇー……?」
眩い光に包まれたと思ったら、既にエール・ヴィースの姿はなかった。
「どういうことだこりゃ?」
改めて思い返せば変な事ばかりだ。
「謎技術すぎる……っていうか、よく考えたらこの状況怖くない!?」
一遍に現実に引き戻された。いそいそと相棒達をケースにしまう。
今更ながら、自分のエンジニアブーツの裏にじゃりじゃりした雪がそのままこびりついているのを見つけて空恐ろしく思った。結構な時間をセッションに費やしていたのに、未だ溶けていないのだ。
「そもそもここで待ってろって言われても、宇宙人のいうすぐが地球人のすぐと同じ保障ねえじゃん! ドラムはいやに正確だったけど……それは関係ねェ! どうやってここから帰るか考えねえと!」
相棒を入れたケースをしっかりと抱えて、キングは遠近感のない部屋の端まで走った。白い格好をした子供がこの部屋を出て行ったのを見た辺りだ。きっとそこに出入り口があるはず――と踏んだが、そこには平たく硬い感触しかない。
(クソっ、これじゃあ監禁じゃねえか。ドアもねえ、窓もねえ……)
焦燥と苛立ちで力任せに期待外れだった白い壁を殴る。殴ったのに、無音。ついさっきまで音楽が鳴り響いていたのに……。拳にジンジンとした痺れに近い衝撃だけが残る。
「マジでココ、変だ! やべえやべえッ、どうすれば……あ、そうだ!」
もう一人この部屋から出て行った者がいる。エール・ヴィースだ。
「確か、こんな感じの……こうかな?」
キングは、エール・ヴィースが淡く浮かび上がるボタンを呼び出した時の動作を思い出しながら腕を振った。すると。
「こ、こんなんだっけ……?」
エール・ヴィースが相対していたボタン群とは似ても似つかない、地図と思しき絵が中空に浮かび上がった。
「なんだこれ、世界地図? じゃないな、日本が無い。無いってことはやっぱ、帰れないってこと!?」
どれほど目を皿にしても、見慣れた縦長で特徴的な島国は見当たらない。キングは端から端まで指でなぞるように何度もあの形を探す。宙に浮いている半透明な地図なのに、触れる。
ところで、キングは慌てているので頭からすっぽ抜けているが、そもそもこの地図は地球儀に描かれているようなご存知の世界地図ではない。アメリカ大陸も、インド洋も、すべてが無いし、占める海の広さすら違う。ちなみに何故か触れたという事実も、今のキングには後回しの事象だ。
「おいおいおいおいおいッ!!!!! どうすりゃあいいんだよォ……!」
万策尽きたか、キングは項垂れた。
――その時、見知らぬ世界地図の一部が光り出した。エール・ヴィースが一瞬にして姿を消した時と、同じ淡い光がキングを包み込む。
「……ん? え、ちょ……待って!? なになになにな……――――」
気が付いた頃にはもう遅い。
キングの目の前は真っ白に塗りつぶされて行った。
しかし無音ではない。
寧ろ、言葉よりも雄弁に語る。
(この人……いや、宇宙人――めちゃくちゃうまい……!)
開幕はプログレッシブロックだった。
細かくタムを回っていくスティックは華麗な、惚れ惚れする捌きである。
試されてると思った。複雑に踏み込まれるフットペダルに急かされるように、キングはそのリズムに飛び込んだ。
(かと思いきや、今度はジャズ調……既存の曲を合わせたいとか、作曲を手伝ってほしいとか、そんなこっちゃない。殴り合いじゃねえか、これ。面白ェ!)
ノールールで始まったセッション。
視線の間に火花。
あとは音の生まれるままに、追いかけてはまた次の旋律へ飛び乗って――惜しむことなく、ちぎっては投げちぎっては投げ……そんな縦横無尽なグルーヴが白い箱を揺らし続けている。
(ていうかこれ、いつ終わるんだ? 宇宙人の体力とか、時間観念とか、俺知らねえんだけど?)
などとキングが思考を逃がすと、頭の中を読み取ったように別のリズムが叩き込まれる。まるで音楽に集中しろと言わんばかりだ。
(なんてーか、俺、歌わされてねーか? こんなこと久しく無かったな)
ホント、面白い。
こんなに面白いのか。音楽って。
8ビートが打ち鳴らされて、着地した瞬間に跳躍するような感覚をキングは心底楽しんでいた。
(デモを送っても、路上で歌っても、俺が望んだものは返って来なかった。なのに今、わけわかんねえ宇宙人とドンピシャにやり合ってんの、わけわかんねえよな? でももしここで歌ったら……いや、準備ならずっとしてきた! よしっ――)
トーンをバチっと切り替えた。
ギターの嘶き。
擡げるボーカルの首は、そこにある空気(それは空気の振動やそれを基に生まれたグルーヴ、音楽というものを含めた、ある人には感じられる一定の物)を吸い込んで、吐き出した。
nice to meet you. 俺を呼んだかい?
やっと出会えたんだ 数えきれない星の向こうから
うまくできないキャッチボールを そのままにして
覗きすぎた水玉の コントラストに落ち込んだり
それは MY INTRODUCTION
涙の数はステータス ボルテージはMAXにしとけ
It's MY INTRODUCTION
願うよりもっと 確実な fantasy 見せつけてやれ!
さあ 始めようぜ スペクタクルなフェスティバル
ようこそ 一緒に踊ろうよ Wowow Wowow Wowow
朝焼けの空 高く哮り立つんだ 映えるハートが
あの日のオリジン 歌い続けて Shout for the rising sun!
Keep on shouting for the rising sun and call the future!
キングは震えそうな手で思い描き続けていたメロディを繋げた。
そこに勢いの変わらぬビートが添えられる。
(泣くなこんな場所で! これくらいで! まだまだ完成してない……!)
音楽とは、ひとりっきりではままならぬものだ。キングは常々そう思って来た。
たまたま居合わせた誰かのビジョンが重なって、現れた道標。
呼応するもう一つの音。
キングはその後も夢中で歌った。
もとからそこにあったかのように、音楽という第三の存在が確かに白い部屋を満たしていった。
(め……っっっっっちゃくちゃ楽しかった!!!!)
結局どれくらい歌っていたのだろうか。時間感覚の乏しいこの部屋では、一瞬の出来事のようであった。
「萩原旭鳴」
しばらくぶりに聞いた宇宙人のオニイサンの声。まだスティックを両手に持ってスツールに座っている。それだけがあの時間の証明みたいだった。
「俺のわがままに付き合ってくれてどうもありがとう」
「ワガママ? 何言ってんだよ! 俺の方こそどうもありがとうだよ!!」
お互い、言葉がヘタクソなのはわかった。なぜなら、さっきより今の方が迸る何かがどう見ても静かだから。何かっていうのは何と言っていいかわからないが。
「あ、そうだ。オニイサンは名前なんてーの? 宇宙人にも名前くらいあんだろ?」
「すぐ別れるのに、呼び名が必要か?」
「あったりまえじゃん! 覚えとくよ。俺、所属してるバンドもなくって、いろんな人と演奏すること多いんだけど、すげー人は覚えときたいんだよ。名前も演奏も」
「……エール・ヴィースだ」
「エルヴィス? プレスリーじゃん! ロックの神様!」
そうじゃない、と間違いを正そうとするが、キングが騒ぐのでエール・ヴィースの表情は無になった。
「いやーまさか宇宙人と合わせることになるなんてな! 鳴かず飛ばずの人生だったけど、止めないで来て良かったぜ! はっはは、……えーっと」
ふと、ホワイト・クリスマスの渋谷に立つ自分が脳裏に過る。途端にキングの膨らみきったテンションに穴が空いた。
これから先、泣きたくなるほど自分の歌が耳に残るような演奏が、何度あるだろうか。もしかすると、二度と訪れることは無いかもしれない。
(そんなわけない……そんなわけないって、言い聞かせてやって来たけど)
一度色彩を得た空気を吸ってしまえば、ごった返した渋谷の街並みもまるでモノクロームの動かない絵画だ。そこに独りで立たされることが酷く恐ろしく感じられた。
キングはそんな妄想を見なくてもいいように、ぎゅっと瞼を閉じた。
(そうなんだよな、俺ってホームが無いんだよ。待ってるファンとか、ステージとか、仲間とか……年内のスケジュールすら無いんだよなあ……)
口ごもったキングを、やはり不思議そうな顔で見つめるベッコウ飴色――だったが。
「――っ! キーロイか?」
顔を上げると、エール・ヴィースは耳元に手をやっていて、キングには聞こえない何かに耳をすましているようだった。
「……なんだそれは? とりあえずそちらに向かう」
エール・ヴィースの左耳に、ちょうど鮮血の雫のような石を象った耳飾りがあった。そいつを指先で弾くと、一瞬にしてそこにあったドラムセットが消えてしまった。
「すまない。急用が入った」
「きゅ、急用?」
スツールもスティックすら跡形もなく消え、ギターを提げたキングの前にはエール・ヴィースだけが残っていた。
「今すぐここを出なくてはならなくてな……渋谷にお前を帰すのに、もう少し待っててくれるか?」
「はあ……」
何が何やら。事情はわからないが、今のところキングにどのような術もないワケで。出来ることといったらギターを弾いて歌うだけである。
「ここで待ってればいいの?」
「ああ。すぐ戻る」
言うが早いか。またもや白い壁に手をかざすと、中空に半透明なボタンが出現。そのうちの一つが淡く光り出した。
「おっ!? えぇー……?」
眩い光に包まれたと思ったら、既にエール・ヴィースの姿はなかった。
「どういうことだこりゃ?」
改めて思い返せば変な事ばかりだ。
「謎技術すぎる……っていうか、よく考えたらこの状況怖くない!?」
一遍に現実に引き戻された。いそいそと相棒達をケースにしまう。
今更ながら、自分のエンジニアブーツの裏にじゃりじゃりした雪がそのままこびりついているのを見つけて空恐ろしく思った。結構な時間をセッションに費やしていたのに、未だ溶けていないのだ。
「そもそもここで待ってろって言われても、宇宙人のいうすぐが地球人のすぐと同じ保障ねえじゃん! ドラムはいやに正確だったけど……それは関係ねェ! どうやってここから帰るか考えねえと!」
相棒を入れたケースをしっかりと抱えて、キングは遠近感のない部屋の端まで走った。白い格好をした子供がこの部屋を出て行ったのを見た辺りだ。きっとそこに出入り口があるはず――と踏んだが、そこには平たく硬い感触しかない。
(クソっ、これじゃあ監禁じゃねえか。ドアもねえ、窓もねえ……)
焦燥と苛立ちで力任せに期待外れだった白い壁を殴る。殴ったのに、無音。ついさっきまで音楽が鳴り響いていたのに……。拳にジンジンとした痺れに近い衝撃だけが残る。
「マジでココ、変だ! やべえやべえッ、どうすれば……あ、そうだ!」
もう一人この部屋から出て行った者がいる。エール・ヴィースだ。
「確か、こんな感じの……こうかな?」
キングは、エール・ヴィースが淡く浮かび上がるボタンを呼び出した時の動作を思い出しながら腕を振った。すると。
「こ、こんなんだっけ……?」
エール・ヴィースが相対していたボタン群とは似ても似つかない、地図と思しき絵が中空に浮かび上がった。
「なんだこれ、世界地図? じゃないな、日本が無い。無いってことはやっぱ、帰れないってこと!?」
どれほど目を皿にしても、見慣れた縦長で特徴的な島国は見当たらない。キングは端から端まで指でなぞるように何度もあの形を探す。宙に浮いている半透明な地図なのに、触れる。
ところで、キングは慌てているので頭からすっぽ抜けているが、そもそもこの地図は地球儀に描かれているようなご存知の世界地図ではない。アメリカ大陸も、インド洋も、すべてが無いし、占める海の広さすら違う。ちなみに何故か触れたという事実も、今のキングには後回しの事象だ。
「おいおいおいおいおいッ!!!!! どうすりゃあいいんだよォ……!」
万策尽きたか、キングは項垂れた。
――その時、見知らぬ世界地図の一部が光り出した。エール・ヴィースが一瞬にして姿を消した時と、同じ淡い光がキングを包み込む。
「……ん? え、ちょ……待って!? なになになにな……――――」
気が付いた頃にはもう遅い。
キングの目の前は真っ白に塗りつぶされて行った。