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作者: 鈴奈
Exspetioa2.12.21
 昨晩、ベッドの中で目をつむり、夢のことを思い出していたら、ニゲラ様の背後に並ぶ鉄甲冑さんたちに紛れ、赤い髪の、短いスカートを履いた方のお姿があったことを思い出しました。
 私は休息の時間、その方の特徴をニゲラ様にお伝えし、ご存知かどうかを確かめました。

「ああ、ラジアータだわ」

 やっぱり。私はえもいわれぬ感動を覚えました。なんとなく、そんな気がしたのです。

「ニゲラ様と似た格好をされていましたね」

「私が真似したの。彼女の格好、素敵だなって思ったから」

 それを聞いて、私は少し驚きました。いつも自信たっぷりでご自身を貫かれているニゲラ様に、真似をするお相手がいるなんて。私は、「ラジアータ」のことが気になりました。

「どんなお方なのですか?」

「そうね。そんなに深くかかわったわけではないけれど……私は、好きだったわ。友人に、なれたらよかったのだけど」

 ニゲラ様は、いい思い出だったかのようにつぶやかれました。
「ラジアータ」は神様を二回も絶望に堕としたとされる方ですが、ニゲラ様がお話しされるご様子から、素敵な方であるように思えました。

「いつか、お話してみたいです」

「なに? セナ、私を妬かせようとしてる?」

「そんなつもりはないのですが……!」

「冗談よ。かわいいんだから」

 ニゲラ様はくすくす笑いました。

「まあ、でも、危ない奴でもあることには違いないわ。彼女の持つ毒は心を操る毒だから、直接肉体を亡ぼすことはできないけれど、彼女の毒を受けた蟲たちは私たちの肉体を亡ぼす毒が使えてしまうし、わからないことが多すぎる。でも、神の幸せを奪うためならどんなことでもやるような奴よ。本当に、話そうだなんて思っちゃだめよ」

 私はおとなしくうなずきました。
 ですが――このまま、蟲の現象がおさまらなかったら、私はやっぱり、お話しした方がいいのではないかと思うのです。
「ラジアータ」本人に、どうしてこんなことをしているのか、共存できる道はないかをお訊きして、お互いが幸せになれる方法をみつけていけたらと思うのです。
 
 まもなく、二十五日。大礼拝の日が近づいてきました。
 神様が一日も早く復活されますよう、そして、復活された神様が、幸せな楽園で過ごされるよう、より強くお祈りしたいと思います。
 神様に愛を。
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