Exspetioa2.6.27
今日は、朝からずっと、強い雨が降り続いています。
先ほどの休息の時間に、シスター・ロベリアと、シスター・アナベル、シスター・プリムラ、シスター・パンジー、シスター・マネチア、シスター・トレニア、そして、シスター・フリージアが様子を見に来てくださいました。
シスター・ロベリアとシスター・アナベルは私の顔を見るなり、私を抱きしめ、静かにただ泣いてくださいました。シスター・プリムラとシスター・パンジーは、「ごめんなさい」「私たちがシスター・ルゴサに、きっと大丈夫だなんて声を掛けたから」「シスター・ルゴサにも申し訳が立たない」とつぶやきながら涙を流していらっしゃいました。
シスター・マネチアとシスター・トレニアも、いつもの快活な様子はなく、ただ、唇を噛んでうつむいていらっしゃいました。シスター・ルドベキアやシスター・フリージアがいらっしゃるので、皆、詳しいことを言うのは差し控えていらっしゃる様子でしたが、シスター・ルゴサが私に想いを寄せてくださっていたことを知っていらっしゃり、それを応援していたつもりだったけれど、そのことが、結局こういった悲しい結果を招いてしまったと……そう罪悪感を抱いているご様子でした。皆さんの手の甲の花びらがしおれているのが見え、私はつらくなりました。
「皆さんは何も悪くはないのです。悪いのは……」
「シスター・セナじゃないよ!」
「そう。シスター・セナは何も悪くない。シスター・ルゴサも……誰も、悪くない……」
シスター・マネチアとシスター・トレニアが、涙を拭いながらそうおっしゃいました。
「シスター・セナ」
シスター・フリージアが、私の横に膝をつきました。そして、白いハンカチーフを開きました。黒い種がありました。
「シスター・ルゴサの種です。……シスター・ルゴサを、よろしくね」
私の心に、小さな光が生まれたのを感じました。涙が、あふれ出しました。
「はい、……はい。必ず……」
私は、誓いました。必ず、シスター・ルゴサの花を咲かせます。幸せに咲かせてさしあげます。いつか神様が復活された時に再びかたちをいただける、その日まで。
休息の時間の終わりを告げる鐘が鳴り、皆さんは、椅子に座っていらっしゃったシスター・ルドベキアに一礼をして、それぞれの仕事場へと帰っていかれました。
「自分を責めすぎないでね」
「誰も悪くないのだから」
「皆あなたが大好きだからね」
そう、お言葉をいただきました。
私を心配し、愛してくださる皆さんに、心から感謝いたします。
――皆さんに会いに来ていただいて、私は、気持ちがかたまりました。
まず、シスター・ルゴサのこと。シスター・ルゴサが蟲になってしまったことは、私も、誰も、悪くはなかったことなのだと思うようにしたいと思います。皆さんが、私に、自分を嫌いならないでほしいと願ってくださるから。私が私を責めて、嫌いになって、心が渇いて、体が枯れて、亡んでしまうことになったら……きっと、皆さんを悲しませてしまいます。私は、大好きな皆さんを大切にするために、私の心を大切にしたいと思います。
次に、ニゲラ――あのお方のこと。
私は、やっぱり、あのお方が私につけこんで、この東の修道院を壊そうとしているとは思えません。
どうしても自分を責めて、涙があふれてしまうたび、あのお方のお言葉を思い出しては、何度も助けられているのです……。あんなに温かいお言葉が、私を騙すためのものだなんて、そんなはずはありません。
ですが、今回のことでよくわかりました。私が、自分の気持ちや考えで動いてしまうと、間違いを引き起こしてしまうのだと……。誰かを傷つけ、不幸にしてしまうのだと……。
マザーのおっしゃる通り、私は、誰も幸せにすることができないのだと思います。
それでもやっぱり、この世界に存在するすべてに、幸せになっていただきたいのです。
だから私は、あのお方とのかかわりを、二度ともたないと決めました。
先ほどの休息の時間に、シスター・ロベリアと、シスター・アナベル、シスター・プリムラ、シスター・パンジー、シスター・マネチア、シスター・トレニア、そして、シスター・フリージアが様子を見に来てくださいました。
シスター・ロベリアとシスター・アナベルは私の顔を見るなり、私を抱きしめ、静かにただ泣いてくださいました。シスター・プリムラとシスター・パンジーは、「ごめんなさい」「私たちがシスター・ルゴサに、きっと大丈夫だなんて声を掛けたから」「シスター・ルゴサにも申し訳が立たない」とつぶやきながら涙を流していらっしゃいました。
シスター・マネチアとシスター・トレニアも、いつもの快活な様子はなく、ただ、唇を噛んでうつむいていらっしゃいました。シスター・ルドベキアやシスター・フリージアがいらっしゃるので、皆、詳しいことを言うのは差し控えていらっしゃる様子でしたが、シスター・ルゴサが私に想いを寄せてくださっていたことを知っていらっしゃり、それを応援していたつもりだったけれど、そのことが、結局こういった悲しい結果を招いてしまったと……そう罪悪感を抱いているご様子でした。皆さんの手の甲の花びらがしおれているのが見え、私はつらくなりました。
「皆さんは何も悪くはないのです。悪いのは……」
「シスター・セナじゃないよ!」
「そう。シスター・セナは何も悪くない。シスター・ルゴサも……誰も、悪くない……」
シスター・マネチアとシスター・トレニアが、涙を拭いながらそうおっしゃいました。
「シスター・セナ」
シスター・フリージアが、私の横に膝をつきました。そして、白いハンカチーフを開きました。黒い種がありました。
「シスター・ルゴサの種です。……シスター・ルゴサを、よろしくね」
私の心に、小さな光が生まれたのを感じました。涙が、あふれ出しました。
「はい、……はい。必ず……」
私は、誓いました。必ず、シスター・ルゴサの花を咲かせます。幸せに咲かせてさしあげます。いつか神様が復活された時に再びかたちをいただける、その日まで。
休息の時間の終わりを告げる鐘が鳴り、皆さんは、椅子に座っていらっしゃったシスター・ルドベキアに一礼をして、それぞれの仕事場へと帰っていかれました。
「自分を責めすぎないでね」
「誰も悪くないのだから」
「皆あなたが大好きだからね」
そう、お言葉をいただきました。
私を心配し、愛してくださる皆さんに、心から感謝いたします。
――皆さんに会いに来ていただいて、私は、気持ちがかたまりました。
まず、シスター・ルゴサのこと。シスター・ルゴサが蟲になってしまったことは、私も、誰も、悪くはなかったことなのだと思うようにしたいと思います。皆さんが、私に、自分を嫌いならないでほしいと願ってくださるから。私が私を責めて、嫌いになって、心が渇いて、体が枯れて、亡んでしまうことになったら……きっと、皆さんを悲しませてしまいます。私は、大好きな皆さんを大切にするために、私の心を大切にしたいと思います。
次に、ニゲラ――あのお方のこと。
私は、やっぱり、あのお方が私につけこんで、この東の修道院を壊そうとしているとは思えません。
どうしても自分を責めて、涙があふれてしまうたび、あのお方のお言葉を思い出しては、何度も助けられているのです……。あんなに温かいお言葉が、私を騙すためのものだなんて、そんなはずはありません。
ですが、今回のことでよくわかりました。私が、自分の気持ちや考えで動いてしまうと、間違いを引き起こしてしまうのだと……。誰かを傷つけ、不幸にしてしまうのだと……。
マザーのおっしゃる通り、私は、誰も幸せにすることができないのだと思います。
それでもやっぱり、この世界に存在するすべてに、幸せになっていただきたいのです。
だから私は、あのお方とのかかわりを、二度ともたないと決めました。