装備はステータスより見た目重視です
防御力なんて飾りです
(ぐぬぬ……さっきから手のひらで転がされっぱなしだよ)
あっちの服からこっちの生地。帽子にインナー。見繕っているようで、それらを購入するでもなく、それでも、彼女はなんらかの情報をそれらから取得してるような気がした。
「おもしろいよなぁこの世界は」
「たとえば?」
「自然と人の暮らしがゴッチャになってるだろ? フラーでは当たり前のようにあちこちの国の建物が共存して、ここではもっぱら石の家ばかり。ここの土地柄を考えりゃ、もっと珪藻土のレンガが使われてていいものを」
「けーそーど?」
「気にすんな。ま、デザイナーへの文句はさておき……新しい装備ついでに私服も物色しようって魂胆だろ?」
あたりまえのようにこちらの目的を看破してきた。やはりこの女油断ならぬぅ。
「そう警戒すんなって。おれも同じさ」
言って、また適当な服に目を通す。うんと唸りつつ、さくらは鋭い目を棒にした。
「あかりが好きそーだなコレ」
「あかり? だれそれ」
「腐れ縁みてーなもんさ。切っても切れない憎らしい首輪だけど……見せてやろうか」
言って、さくらはひとつのジーンズに手を伸ばした。
「スキル、鑑定」
「あっ」
彼女が呪文を口にした瞬間、さくらとジーンズの間に青い光がピカッと光る。
電球のようなまぶしさに目を薄めると、それはやがて円盤となり妙な文字列を形成していった。
「ぼうぎょりょく、ぷらすなな?」
ほかにもある。
「おんみつ、ぷらすに。るっくす、ぷらすはち……これって」
つまり、この服を着るとこんくらいステータスアップしますよってこと?
「ご名答。でもさぁ、ここの服マジでよえー。普通ならふたケタあってもおかしくないのに」
また目が棒になった。さくらって実は感情を表に出すタイプかもしれない。
「ダメだな。おれは他を当たるけどどうする?」
「えー」
せっかく入ったばかりのお店だし、もうちょっといろいろ見てみたい。
けど、さくらとも一緒にショッピングしたい。そんな思いの板挟み。いろいろ考えつつ、わたしは別ベクトルからお気持ち表明した。
「ステータスばっか気にするなんてつまんなくない?」
「え?」
さくらは目を点にした。まるで、ハナから選択肢になかったように。
「それ以外何を気にしろってんだよ」
(あー、なるほど)
サっちゃんと同じタイプか。とりあえず隠せるトコ隠せりゃいーみたいな。でもって、さくらはステータス的な強さを求めてると。まるで男子だな。
そういえば、彼女の衣装は素材こそ丈夫だけどツギハギだらけでオシャレ感のカケラもない。動きやすさと機能性重視? カラーリングは奇跡的におんなの子してるけど、なんかもうちょい遊び心がなぁ。
(よし)
「もうちょっとたのしもーよ!」
「あ、こらっ!」
めぼしいブツを引っ掴み、わたしはさくらを引きずって試着室へと飛び込んだ。
「ンだよいきなり」
「脱いで」
「は?」
「いーから!」
さくらの衣服を剥がしにかかった。もちろん抵抗されたけどそこは隠密スキルに長けた手腕よ。本気で拒否られる前にさっさと脱がしてしまえ!
「おー意外とおっきー」
「こんのバカ! いい加減にしねーと――」
一枚いちまいテイクオフするわけですからぁ、そりゃあ見えるとこ見えちゃうわけでして。そのまま柔らかさもチェックしたいトコですがその瞬間に脳天直撃もらいそうなのでさすがにパス。
「あ、オイ!」
わたしは在庫に彼女の衣装をぜんぶ突っ込んだ。それを目の当たりにしたさくらがガチめのトーンで抗議の声をあげる。さあ急げ、どれを着せてやろうか。
「はいこれ!」
「なぁっ!?」
キャワワなおんなの子といったらピンクのワンピースでしょ!
(知らんけど)
るっくすぷらすひゃくくらいあるんじゃない?
「着替えましょう」
「そんなの着るか!」
拒否られてもどの道これ着ないと出られないので、イヤイヤ言いつつも彼女はさしたる抵抗をしなかった。されるがままにすっぽり被せられ袖を通され、襟からちょこんと飛び出した少女の顔はすこしむず痒そうにして、それまでの印象をさんびゃくろくじゅうど変えてくれた。
「おーいいね!」
「うぅぅ、なんでおれがこんなヒラヒラしたのを」
(じゃあソックスはどうしよ)
候補はふたつ。純白か漆黒か。方やピンクとかけ合わせた清純な透明感、方やダークなトーンでエレガンスさを強調。うーんどっちも捨てがたい!
(よし、こっちだ)
とことん欲張っちゃおう。
「くそ、股の下がスースーする」
「はいコレ」
ただ渡しても履かないだろうからこっちでやる。え? 他人に靴下を履かせるの難しくないかって?
(わたしアサシンですよ?)
「……」
さくらはもう諦めたのか呆れたのかよくわからん表情で黙ったままです。試着室は縦長で身体を倒すことができないので、彼女には立ったまま純ニーハイを、純白のニーハイソックスを脚部に通させていただきます。
最後はアクセントに真っ黒くて柔らかめのローファー。
「よし、これで完璧」
「はぁ……満足したか?」
かわいらしい少女は虚無な表情と声色で試着室の扉を開いた。
あっちの服からこっちの生地。帽子にインナー。見繕っているようで、それらを購入するでもなく、それでも、彼女はなんらかの情報をそれらから取得してるような気がした。
「おもしろいよなぁこの世界は」
「たとえば?」
「自然と人の暮らしがゴッチャになってるだろ? フラーでは当たり前のようにあちこちの国の建物が共存して、ここではもっぱら石の家ばかり。ここの土地柄を考えりゃ、もっと珪藻土のレンガが使われてていいものを」
「けーそーど?」
「気にすんな。ま、デザイナーへの文句はさておき……新しい装備ついでに私服も物色しようって魂胆だろ?」
あたりまえのようにこちらの目的を看破してきた。やはりこの女油断ならぬぅ。
「そう警戒すんなって。おれも同じさ」
言って、また適当な服に目を通す。うんと唸りつつ、さくらは鋭い目を棒にした。
「あかりが好きそーだなコレ」
「あかり? だれそれ」
「腐れ縁みてーなもんさ。切っても切れない憎らしい首輪だけど……見せてやろうか」
言って、さくらはひとつのジーンズに手を伸ばした。
「スキル、鑑定」
「あっ」
彼女が呪文を口にした瞬間、さくらとジーンズの間に青い光がピカッと光る。
電球のようなまぶしさに目を薄めると、それはやがて円盤となり妙な文字列を形成していった。
「ぼうぎょりょく、ぷらすなな?」
ほかにもある。
「おんみつ、ぷらすに。るっくす、ぷらすはち……これって」
つまり、この服を着るとこんくらいステータスアップしますよってこと?
「ご名答。でもさぁ、ここの服マジでよえー。普通ならふたケタあってもおかしくないのに」
また目が棒になった。さくらって実は感情を表に出すタイプかもしれない。
「ダメだな。おれは他を当たるけどどうする?」
「えー」
せっかく入ったばかりのお店だし、もうちょっといろいろ見てみたい。
けど、さくらとも一緒にショッピングしたい。そんな思いの板挟み。いろいろ考えつつ、わたしは別ベクトルからお気持ち表明した。
「ステータスばっか気にするなんてつまんなくない?」
「え?」
さくらは目を点にした。まるで、ハナから選択肢になかったように。
「それ以外何を気にしろってんだよ」
(あー、なるほど)
サっちゃんと同じタイプか。とりあえず隠せるトコ隠せりゃいーみたいな。でもって、さくらはステータス的な強さを求めてると。まるで男子だな。
そういえば、彼女の衣装は素材こそ丈夫だけどツギハギだらけでオシャレ感のカケラもない。動きやすさと機能性重視? カラーリングは奇跡的におんなの子してるけど、なんかもうちょい遊び心がなぁ。
(よし)
「もうちょっとたのしもーよ!」
「あ、こらっ!」
めぼしいブツを引っ掴み、わたしはさくらを引きずって試着室へと飛び込んだ。
「ンだよいきなり」
「脱いで」
「は?」
「いーから!」
さくらの衣服を剥がしにかかった。もちろん抵抗されたけどそこは隠密スキルに長けた手腕よ。本気で拒否られる前にさっさと脱がしてしまえ!
「おー意外とおっきー」
「こんのバカ! いい加減にしねーと――」
一枚いちまいテイクオフするわけですからぁ、そりゃあ見えるとこ見えちゃうわけでして。そのまま柔らかさもチェックしたいトコですがその瞬間に脳天直撃もらいそうなのでさすがにパス。
「あ、オイ!」
わたしは在庫に彼女の衣装をぜんぶ突っ込んだ。それを目の当たりにしたさくらがガチめのトーンで抗議の声をあげる。さあ急げ、どれを着せてやろうか。
「はいこれ!」
「なぁっ!?」
キャワワなおんなの子といったらピンクのワンピースでしょ!
(知らんけど)
るっくすぷらすひゃくくらいあるんじゃない?
「着替えましょう」
「そんなの着るか!」
拒否られてもどの道これ着ないと出られないので、イヤイヤ言いつつも彼女はさしたる抵抗をしなかった。されるがままにすっぽり被せられ袖を通され、襟からちょこんと飛び出した少女の顔はすこしむず痒そうにして、それまでの印象をさんびゃくろくじゅうど変えてくれた。
「おーいいね!」
「うぅぅ、なんでおれがこんなヒラヒラしたのを」
(じゃあソックスはどうしよ)
候補はふたつ。純白か漆黒か。方やピンクとかけ合わせた清純な透明感、方やダークなトーンでエレガンスさを強調。うーんどっちも捨てがたい!
(よし、こっちだ)
とことん欲張っちゃおう。
「くそ、股の下がスースーする」
「はいコレ」
ただ渡しても履かないだろうからこっちでやる。え? 他人に靴下を履かせるの難しくないかって?
(わたしアサシンですよ?)
「……」
さくらはもう諦めたのか呆れたのかよくわからん表情で黙ったままです。試着室は縦長で身体を倒すことができないので、彼女には立ったまま純ニーハイを、純白のニーハイソックスを脚部に通させていただきます。
最後はアクセントに真っ黒くて柔らかめのローファー。
「よし、これで完璧」
「はぁ……満足したか?」
かわいらしい少女は虚無な表情と声色で試着室の扉を開いた。