▼詳細検索を開く
作者: 里年翠(りねん・すい)
眠れる巨人
じめじめとした空気が漂う地下通路を、イチ、ニゴロ、ナナの三人は慎重に進んでいた。
ほのかに光る彼女たちの目が、闇を切り裂いていく。

「ねえ、この場所すごくミステリアスじゃない?」
ニゴロが小声で言う。
「まるで秘密基地みたい!」

イチは周囲を警戒しながら答える。
「確かに不思議な雰囲気ね。でも油断は禁物よ。」

突然、ナナが立ち止まる。
「待ってください。前方に大きな空間を検知しました。」

三人が慎重に足を進めると、そこには広大な地下ホールが広がっていた。
そして、ホールの中央に横たわる巨大な人型の影。

「あっ!」ニゴロが驚きの声を上げる。
「あれって...アンドロイド?」

イチは目を見開いて言う。
「まさか...こんな場所に...」

ナナが分析を始める。
「巨大アンドロイドです。しかし、現在は停止状態のようです。」

三人は静かにその巨大なアンドロイドに近づいていく。
月明かりのような薄暗い光が、アンドロイドの金属的な表面を照らしていた。

「わぁ...」ニゴロが感嘆の声を上げる。
「すごく大きい。どのくらい昔のモデルなんだろう?」

イチが慎重に観察する。
「かなり古そうね。でも、なぜこんな場所に...?」

ナナが詳細なスキャンを行う。
「このモデルは我々よりもはるかに古いものです。大災害以前の技術が使用されています。」

「じゃあ、起動させられるのかな?」
ニゴロが目を輝かせて言う。

「ちょっと待って。」イチが制止する。
「それは危険かもしれないわ。」

ナナが冷静に意見を述べる。
「確かにリスクは高いです。しかし、このアンドロイドが持つ情報は、我々のミッションにとって極めて有用である可能性があります。」

三人は沈黙し、互いの顔を見合わせる。
月明かりのような薄明かりの中、彼女たちの表情が浮かび上がる。

イチが深く息を吐く。
「...そうね。でも、慎重に行動しましょう。」

「やったー!」
ニゴロが小さくガッツポーズをする。

ナナが頷く。
「感謝。 最大限の注意を払いつつ、起動の準備を進めます。」

イチが静かに巨大アンドロイドに手を伸ばす。
「ねえ、あなた...私たちと一緒に、新しい世界を見てみない?」

その瞬間、巨大アンドロイドのまぶたがかすかに動いたような気がした。
三人のアンドロイドの冒険は、思いもよらない展開を迎えようとしていた。
Twitter