残酷な描写あり
第8回 王子の誇り 息子の怒り:2-1
作中よりも過去における死ネタが含まれます。苦手な方はご注意ください。
太子が再び姿を現すと、トシュはセディカをその場に留めて前へ出た。
「あんたとお母上は、俺らを信用する気になったか」
「ああ。母上も昨夜、夢の中で父上から同じ話を聞かれたそうだ。旅の娘とその二人の従者が力になるであろうと」
「……ご主人? 王妃殿下に話を通してあるだなんて聞いていないが?」
「おまえが陛下を遮ったのでしょう」
途中でトシュに起こされたのだ。最後まで聞ければ、聞けたかもしれない。
セディカの身を案じてのことだったとはわかっているし、ただ事実を述べただけのつもりだったが、トシュは咎められたように肩を竦めた。
「なら……、改めて、お悔やみ申し上げる。お父上が安らかに眠られるよう、及ばずながら力を貸そう」
太子は頷いて——否、俯いて、拳を握り締めた。
「……三年前。……あの方士が去った日の夜。……老いたなと、言ったそうだ」
一言一言、絞り出すようだった。
「さぞお辛かろうと、慰めの言葉をおかけした母上に。老いて、容貌も衰えたと」
拳の震えは離れたセディカにも見て取れた。
「弑したのみならず、かほどの侮辱を」
母のみならず父への侮辱でもあるのだというその言葉からは、〈錦鶏〉国王がどういう夫であり、父であったかが窺えた。
「あんたとお母上は、俺らを信用する気になったか」
「ああ。母上も昨夜、夢の中で父上から同じ話を聞かれたそうだ。旅の娘とその二人の従者が力になるであろうと」
「……ご主人? 王妃殿下に話を通してあるだなんて聞いていないが?」
「おまえが陛下を遮ったのでしょう」
途中でトシュに起こされたのだ。最後まで聞ければ、聞けたかもしれない。
セディカの身を案じてのことだったとはわかっているし、ただ事実を述べただけのつもりだったが、トシュは咎められたように肩を竦めた。
「なら……、改めて、お悔やみ申し上げる。お父上が安らかに眠られるよう、及ばずながら力を貸そう」
太子は頷いて——否、俯いて、拳を握り締めた。
「……三年前。……あの方士が去った日の夜。……老いたなと、言ったそうだ」
一言一言、絞り出すようだった。
「さぞお辛かろうと、慰めの言葉をおかけした母上に。老いて、容貌も衰えたと」
拳の震えは離れたセディカにも見て取れた。
「弑したのみならず、かほどの侮辱を」
母のみならず父への侮辱でもあるのだというその言葉からは、〈錦鶏〉国王がどういう夫であり、父であったかが窺えた。