第2話 バケモノッッッッッ!!!!! 10 ―希望の叔父は心配性―
10
インターフォンの呼び鈴を聞いた希望がゲームを一旦やめて自室を出ると、リビングには正義の声が響き渡っていた。
「俺、希望くんの友達の赤井正義って言います! こんにちわ! ……ってまだ、『おはようございます』ですかね! へへへっ!!」
インターフォン越しでも正義の快活さはよく分かる。その快活さが、嫌な夢を見て心を黒く染めてしまっていた希望に快晴の様な笑顔を取り戻させた。
「ワハッ! 正義さんだ!」
しかし、そんな希望と対局にいたのが希望の叔父だ。インターフォンを押した正義に応対したのは正にその叔父だったのだが、叔父は希望の笑顔とは反対に怪訝な表情……
「アカイ……セイギさん? あなたがうちの希望の友達……?」
希望の叔父は昨晩から神経質になっていた。それは昨日希望に起こった最悪の事件が原因だ。今の叔父には、希望に近付く全ての人が怪しく見えている。
「はい! そうです!! すみません朝早くに、ちょっと希望くんに渡したい物がありまして!」
インターフォンの画面に映る正義は、礼儀正しくペコリと頭を下げた。
だがしかし、
「ううんッ!!」
希望の叔父は正義の会釈を小賢しいとでも言う様に咳払い。その咳払いと共に、風船の様に丸々とした顔の二重アゴがぷるんっと揺れる。
「……渡したい物? いやいや、その前に君がうちの希望と友達とは思えないが……まさか嘘をついているんじゃないか?」
「え?! なんでですか?」
正義は小首を傾げた。
「いや、だって『なんで?』も何も……」
希望の叔父が正義が嘘をついていると思った理由、それは……
「君は、高校生くらいじゃないのか? うちの希望と大分年の差があるよね? そんな君がうちの希望と友達だとは私は思えない……」
確かに、正義は少年っぽさをかなり残してるとは言え、流石に小学生には見えない。『友達だ』と言っても、年の差があり過ぎる。
「………」
希望は叔父のすぐ側に立つと、正義を怪しむその叔父の顔を斜め下から覗き込んだ。
叔父はクリームパンみたいな手を探偵が推理をする時の様にアゴの下に置いていた。意識しているのか無意識なのか、親指で何度もアゴの肉をぷるんぷるんと弾いている。
希望の叔父は普段はとても朗らかな人だ。正義に向けた厳しい表情は、そんな叔父にとって不慣れなものなのか、シワを寄せた眉間の筋肉が限界を迎えているらしくピクピクと震えている。
「はい! でも、友達なんです!!」
正義は全力全開な笑顔で端的に答えた。希望の叔父と違って正義の笑顔は全開だ。正義は笑わない日なんてないのだろう。頬の筋肉も目尻の筋肉も鍛え抜かれている。しかし、今の回答では希望の叔父の疑いは消えない。
「な、なにぃ……」
それどころか正義のニカッと笑う快活な態度は、疑ってかかる希望の叔父からすれば、"笑って誤魔化している"という風に映るのか、叔父の怪訝な表情はより深まってしまった。
「え……っとね」
そろそろ希望は二人の間に割って入ろうと口を開いた。しかしその前に……
「へへっ! 希望くんとは、"昨日"知り合ったばかりなんですけどね! それでも、俺と希望くんは友達っす!!」
「昨日っっっ!!!!」
どうやら………『昨日』、これは言ってはいけないワードだった様だ。希望の叔父は遂に怒鳴った。正義は火に油を注いでしまったらしい。
「やっぱりお前は!!!!」
慣れない激怒に、慣れぬ絶叫、叔父の声は上擦った。
「あわわわわわっ!!! おじさん、おじさん、ちょっと待って!」
沸騰した叔父に驚いた希望は、咄嗟に猫じゃらしに飛び掛かる猫の様にジャンプして、インターフォンをOFFにした。画面の向こうの正義に、叔父の怒った顔を見せない為だ。
「大丈夫! 大丈夫だよ!! この人は本当に僕の友達だから!」
「うぁっっっ!! ………の、希望、い……居たのか!!」
叔父は希望が部屋から出てきている事に気が付いてなかったみたいだ。希望の顔を見ると叔父の顔は一瞬和らぐ。でも、すぐに厳しい表情へと戻った。
「だ、ダメじゃないか部屋から出たら! 暫くは危ないから……」
「大丈夫!!」
希望は叔父が何を言おうとしているのか、すぐに察した。だから叔父が言葉を言い終える前に止めた。
「この人は本当に大丈夫だから!」
「の、希望……でもな」
普段は優しい叔父さん。読書が好き過ぎて運動不足の叔父さん。風船みたいにまん丸に太った体型が特徴の叔父さん。希望のワガママを聞いてばかりで、叔母さんにいつも怒れてる叔父さん。怒った顔なんて一度も見せた事のない叔父さん………そんな叔父さんが何故こんなにも懐疑心を膨らませているのか、その理由は希望も理解していた。
「大丈夫! この人だけは信用して! 正義さんは絶対に悪い人じゃないよ!」
『叔父は自分の事を守ろうとしてくれている』……その事を希望はしっかりと感じていた。怪しい奴から自分を守ろうとしてくれている事を。
昨日の警察からの帰り道でもそうだった。叔父は自分達家族三人の近くを通る人たち全員に、疑いの眼差しを向け、慣れないメンチを切っていた。そんな事をしているもんだから、逆に叔父が"怪しい奴"になってたくらいだ……
でも、そこまでして自分を守ろうとしてくれている事に、希望は喜びと安心感を抱いた。
だけど、たった一人。正義の事は信用してほしかった。だって正義は希望のとって特別な存在なんだ。ヒーローなんだ。
だから、希望は正義を弁護する。
「それにね、正義さんは昨日僕を助けてくれた人なんだよ!」
「た……助けた? それはどういう事だ? 昨日、誘拐犯から希望を助けたのは知らない"おじさん"だと言ってたじゃないか?」
でも叔父は信じなかった。
それもその筈、昨日希望は警察署で『助けてくれたのは知らない人。おじさんだったよ!』と答えていたのだ。何故なら、希望は正義との出会いを隠したかったから。『正義の秘密を誰にも話さない』という約束を守る為に。
だけど、今はその約束が仇となった。
「そ、それはぁ……」
叔父の質問にどう答えようか、希望は頭を一気に回転させた。
― 正義さんとの約束は絶対だ……誰にも話しちゃいけない……どうしよう?
「……お……王に……選ばれし……民……」
「な、なに??」
突然、甥の口から放たれたその名に叔父の顔は戸惑いの表情へと変わった。
「そうだよ! 《王に選ばれし民》だよ! 正義さんは《王に選ばれし民》から僕を守ってくれたんだ!」
「お………王に選ばれし民って……昨日の、あの……アレの事か?」
叔父の顔は『その名を口にするだけでも恐ろしい……』そう言う様に、正義に応対するうちに興奮して赤く染まっていった顔色が、見る見るうちに青ざめていく。
仕事柄、在宅ワークをする事の多い叔父は、防災訓練に参加する為に昨日も自宅での仕事を選んでいた。だから彼もまた《王に選ばれし民》の恐ろしさを直接肌で感じた一人だった。だから青ざめる……
「そうだよ。昨日、町に現れた奴等の事だよ。……僕はその《王に選ばれし民》が現れた時、シェルターに避難出来なかったんだ。誘拐犯から逃げてそんなに時間経ってなかったからね。それで、『どうしよう……』ってしてる時に、たまたま正義さんに出会ったんだ。正義さんは僕をすぐに安全な場所に隠してくれた。でね、ずっと僕に『大丈夫! 絶対に人間は負けない! 絶対に勝つ!』って言ってくれたんだ……だから、僕は怖くなかったし、《王に選ばれし民》から逃げる事も出来た。命の恩人だよ!」
希望は叔父が口を挟まない様に一気に話した。嘘は真実を少し変えただけに留めた。正義を信用してもらうには、なるべく本当の事を言った方が良いと考えたんだ。
「でも……」
でも、まだ叔父は納得してない様子。
「……昨日はそんな事言ってなかったじゃないか」
「もう……」
希望は一拍のため息を吐いた。
「おじさん、もういい加減にしてよ。僕の事も信用してないの?」
希望は『あぁ言えばこう言う』状態の叔父にムッとした顔を向けた。
この言葉に叔父はハッとした様子で口をまごまご……
「そ、そんな事ないよ……でも、俺は希望を心配して……」
「心配させちゃったのは僕が悪いし、してくれるのは嬉しいけど、それじゃあ僕はこのままずっとこの家から出ちゃダメなの? そんなんじゃ学校にも行けないし、友達にも会えないじゃん! それと昨日さっきの話をしなかったのは、警察に行って忙しかったでしょ? だから話すタイミングが無かっただけ!!」
希望が叔父に言い返した時、
ピンポーーーン……
再びインターフォンの呼び鈴が鳴った。
「……多分正義さんだ。おじさん、僕は行くよ。友達にくらい会わせてよ」
「いや、でも……」
叔父はインターフォンの通話ボタンを押そうとする希望の肩を掴んだ。
「はぁ…………」
肩を掴まれた希望はさっきよりも大きなため息。一度後ろを振り向いて、叔父の顔を見る。
「じゃあ、約束するよ。10分だけ。マンションからは絶対に出ないし、何かあったらすぐに呼ぶよ。もし、10分経っても戻ってこなかったら、その時は下に降りてきたら良いよ……」
そう言って希望はインターフォンの通話ボタンを押した。
インターフォンの呼び鈴を聞いた希望がゲームを一旦やめて自室を出ると、リビングには正義の声が響き渡っていた。
「俺、希望くんの友達の赤井正義って言います! こんにちわ! ……ってまだ、『おはようございます』ですかね! へへへっ!!」
インターフォン越しでも正義の快活さはよく分かる。その快活さが、嫌な夢を見て心を黒く染めてしまっていた希望に快晴の様な笑顔を取り戻させた。
「ワハッ! 正義さんだ!」
しかし、そんな希望と対局にいたのが希望の叔父だ。インターフォンを押した正義に応対したのは正にその叔父だったのだが、叔父は希望の笑顔とは反対に怪訝な表情……
「アカイ……セイギさん? あなたがうちの希望の友達……?」
希望の叔父は昨晩から神経質になっていた。それは昨日希望に起こった最悪の事件が原因だ。今の叔父には、希望に近付く全ての人が怪しく見えている。
「はい! そうです!! すみません朝早くに、ちょっと希望くんに渡したい物がありまして!」
インターフォンの画面に映る正義は、礼儀正しくペコリと頭を下げた。
だがしかし、
「ううんッ!!」
希望の叔父は正義の会釈を小賢しいとでも言う様に咳払い。その咳払いと共に、風船の様に丸々とした顔の二重アゴがぷるんっと揺れる。
「……渡したい物? いやいや、その前に君がうちの希望と友達とは思えないが……まさか嘘をついているんじゃないか?」
「え?! なんでですか?」
正義は小首を傾げた。
「いや、だって『なんで?』も何も……」
希望の叔父が正義が嘘をついていると思った理由、それは……
「君は、高校生くらいじゃないのか? うちの希望と大分年の差があるよね? そんな君がうちの希望と友達だとは私は思えない……」
確かに、正義は少年っぽさをかなり残してるとは言え、流石に小学生には見えない。『友達だ』と言っても、年の差があり過ぎる。
「………」
希望は叔父のすぐ側に立つと、正義を怪しむその叔父の顔を斜め下から覗き込んだ。
叔父はクリームパンみたいな手を探偵が推理をする時の様にアゴの下に置いていた。意識しているのか無意識なのか、親指で何度もアゴの肉をぷるんぷるんと弾いている。
希望の叔父は普段はとても朗らかな人だ。正義に向けた厳しい表情は、そんな叔父にとって不慣れなものなのか、シワを寄せた眉間の筋肉が限界を迎えているらしくピクピクと震えている。
「はい! でも、友達なんです!!」
正義は全力全開な笑顔で端的に答えた。希望の叔父と違って正義の笑顔は全開だ。正義は笑わない日なんてないのだろう。頬の筋肉も目尻の筋肉も鍛え抜かれている。しかし、今の回答では希望の叔父の疑いは消えない。
「な、なにぃ……」
それどころか正義のニカッと笑う快活な態度は、疑ってかかる希望の叔父からすれば、"笑って誤魔化している"という風に映るのか、叔父の怪訝な表情はより深まってしまった。
「え……っとね」
そろそろ希望は二人の間に割って入ろうと口を開いた。しかしその前に……
「へへっ! 希望くんとは、"昨日"知り合ったばかりなんですけどね! それでも、俺と希望くんは友達っす!!」
「昨日っっっ!!!!」
どうやら………『昨日』、これは言ってはいけないワードだった様だ。希望の叔父は遂に怒鳴った。正義は火に油を注いでしまったらしい。
「やっぱりお前は!!!!」
慣れない激怒に、慣れぬ絶叫、叔父の声は上擦った。
「あわわわわわっ!!! おじさん、おじさん、ちょっと待って!」
沸騰した叔父に驚いた希望は、咄嗟に猫じゃらしに飛び掛かる猫の様にジャンプして、インターフォンをOFFにした。画面の向こうの正義に、叔父の怒った顔を見せない為だ。
「大丈夫! 大丈夫だよ!! この人は本当に僕の友達だから!」
「うぁっっっ!! ………の、希望、い……居たのか!!」
叔父は希望が部屋から出てきている事に気が付いてなかったみたいだ。希望の顔を見ると叔父の顔は一瞬和らぐ。でも、すぐに厳しい表情へと戻った。
「だ、ダメじゃないか部屋から出たら! 暫くは危ないから……」
「大丈夫!!」
希望は叔父が何を言おうとしているのか、すぐに察した。だから叔父が言葉を言い終える前に止めた。
「この人は本当に大丈夫だから!」
「の、希望……でもな」
普段は優しい叔父さん。読書が好き過ぎて運動不足の叔父さん。風船みたいにまん丸に太った体型が特徴の叔父さん。希望のワガママを聞いてばかりで、叔母さんにいつも怒れてる叔父さん。怒った顔なんて一度も見せた事のない叔父さん………そんな叔父さんが何故こんなにも懐疑心を膨らませているのか、その理由は希望も理解していた。
「大丈夫! この人だけは信用して! 正義さんは絶対に悪い人じゃないよ!」
『叔父は自分の事を守ろうとしてくれている』……その事を希望はしっかりと感じていた。怪しい奴から自分を守ろうとしてくれている事を。
昨日の警察からの帰り道でもそうだった。叔父は自分達家族三人の近くを通る人たち全員に、疑いの眼差しを向け、慣れないメンチを切っていた。そんな事をしているもんだから、逆に叔父が"怪しい奴"になってたくらいだ……
でも、そこまでして自分を守ろうとしてくれている事に、希望は喜びと安心感を抱いた。
だけど、たった一人。正義の事は信用してほしかった。だって正義は希望のとって特別な存在なんだ。ヒーローなんだ。
だから、希望は正義を弁護する。
「それにね、正義さんは昨日僕を助けてくれた人なんだよ!」
「た……助けた? それはどういう事だ? 昨日、誘拐犯から希望を助けたのは知らない"おじさん"だと言ってたじゃないか?」
でも叔父は信じなかった。
それもその筈、昨日希望は警察署で『助けてくれたのは知らない人。おじさんだったよ!』と答えていたのだ。何故なら、希望は正義との出会いを隠したかったから。『正義の秘密を誰にも話さない』という約束を守る為に。
だけど、今はその約束が仇となった。
「そ、それはぁ……」
叔父の質問にどう答えようか、希望は頭を一気に回転させた。
― 正義さんとの約束は絶対だ……誰にも話しちゃいけない……どうしよう?
「……お……王に……選ばれし……民……」
「な、なに??」
突然、甥の口から放たれたその名に叔父の顔は戸惑いの表情へと変わった。
「そうだよ! 《王に選ばれし民》だよ! 正義さんは《王に選ばれし民》から僕を守ってくれたんだ!」
「お………王に選ばれし民って……昨日の、あの……アレの事か?」
叔父の顔は『その名を口にするだけでも恐ろしい……』そう言う様に、正義に応対するうちに興奮して赤く染まっていった顔色が、見る見るうちに青ざめていく。
仕事柄、在宅ワークをする事の多い叔父は、防災訓練に参加する為に昨日も自宅での仕事を選んでいた。だから彼もまた《王に選ばれし民》の恐ろしさを直接肌で感じた一人だった。だから青ざめる……
「そうだよ。昨日、町に現れた奴等の事だよ。……僕はその《王に選ばれし民》が現れた時、シェルターに避難出来なかったんだ。誘拐犯から逃げてそんなに時間経ってなかったからね。それで、『どうしよう……』ってしてる時に、たまたま正義さんに出会ったんだ。正義さんは僕をすぐに安全な場所に隠してくれた。でね、ずっと僕に『大丈夫! 絶対に人間は負けない! 絶対に勝つ!』って言ってくれたんだ……だから、僕は怖くなかったし、《王に選ばれし民》から逃げる事も出来た。命の恩人だよ!」
希望は叔父が口を挟まない様に一気に話した。嘘は真実を少し変えただけに留めた。正義を信用してもらうには、なるべく本当の事を言った方が良いと考えたんだ。
「でも……」
でも、まだ叔父は納得してない様子。
「……昨日はそんな事言ってなかったじゃないか」
「もう……」
希望は一拍のため息を吐いた。
「おじさん、もういい加減にしてよ。僕の事も信用してないの?」
希望は『あぁ言えばこう言う』状態の叔父にムッとした顔を向けた。
この言葉に叔父はハッとした様子で口をまごまご……
「そ、そんな事ないよ……でも、俺は希望を心配して……」
「心配させちゃったのは僕が悪いし、してくれるのは嬉しいけど、それじゃあ僕はこのままずっとこの家から出ちゃダメなの? そんなんじゃ学校にも行けないし、友達にも会えないじゃん! それと昨日さっきの話をしなかったのは、警察に行って忙しかったでしょ? だから話すタイミングが無かっただけ!!」
希望が叔父に言い返した時、
ピンポーーーン……
再びインターフォンの呼び鈴が鳴った。
「……多分正義さんだ。おじさん、僕は行くよ。友達にくらい会わせてよ」
「いや、でも……」
叔父はインターフォンの通話ボタンを押そうとする希望の肩を掴んだ。
「はぁ…………」
肩を掴まれた希望はさっきよりも大きなため息。一度後ろを振り向いて、叔父の顔を見る。
「じゃあ、約束するよ。10分だけ。マンションからは絶対に出ないし、何かあったらすぐに呼ぶよ。もし、10分経っても戻ってこなかったら、その時は下に降りてきたら良いよ……」
そう言って希望はインターフォンの通話ボタンを押した。