第4話 王に選ばれし民 13 ―ボッズー、セイギを救うんだ!!―
13
騎士の斬撃はセイギのボディスーツにも影響を与えた。セイギのスーツはエラーを起こしてしまったのか、バチバチと激しい火花を散らし、その火花は痛みと同じく斬撃を受けた胴体から始まり、すぐに全身に広がっていく。
そして、全身に広がった火花が消えた時、セイギは赤井正義の姿へと戻っていた……
「セイギッッッッッ!!!」
ボッズーはセイギが弾き飛ばされると、すぐに彼を追い掛けた。
― マズイ……!!!
その目に、セイギが一瞬にして赤井正義へと戻る姿が映る。
宙を飛ぶ正義のスピードは速い、このままの勢いで建物にぶつかれば、いやそうじゃなくても生身の体で地面へと落ちれば、ピエロの望み通りの形になってしまうだろう。
『ぐちゃぐちゃ』の『めちゃめちゃ』だ……
「馬鹿な事しやがってボズ!!! 正義のバカヤローーーッッッ!!!」
ボッズーは必死になって追い掛けた。
『今すべき最善の選択を選んできていた筈の赤井正義は、遂に間違えを選んでしまったのだろうか?』もし、世界中の人々にこう問い掛けて、世界中の人々が『赤井正義は間違えた』と答えても、ボッズーはそうは思いたくなかった。
『正義が選んだ選択は間違いじゃない』と思いたかった。
『未来、正義が《王に選ばれし民》に勝つ為に必要な成長を得るには、奴等の攻撃を受ける事は必要な危険であった』と思いたかった。
― 絶対証明する……絶対証明するんだボズよな? 正義!! そうだろ? 今の自分は間違いじゃなかったって、証明するんだボズよな!!
ボッズーは正義を必死に追い掛けながら、心の中で問い掛けた。気を失ってしまった正義に届く気がしたから。
― でも、証明する為には今死んだら意味ないぞボッズー!! 生きなきゃダメだぞ!! それに、お前は人類の希望なんだ!! 人類がアイツらに勝つ為には、お前は死んじゃダメなんだボズ!! それに……それに……
『それに……』、なによりも、正義はボッズーの親友なんだ。ボッズーは『世界を救う為』とか『正義は間違えていないと証明する為』だとか、そんな理屈が無くても、絶対に正義を死なせたくなかった。
「バカヤローーーッッッ!!!」
ボッズーは叫んだ。叫び続けた。気が付けばボッズーは、翼の怪我も忘れてビュビューンモードへと変形していた。
"上の翼"で空気を取り込み、その空気を"下の翼"でジェット噴射が如く噴き出し、猛スピードで正義を追い掛ける。
「いかせるかバカヤローーーッッッ!!!」
ボッズーの叫びは自分自身に向けての鼓舞でもあった。叫べば叫ぶ程にボッズーのスピードは上がっていく。
「根性ぉぉぉぉ!!!!!」
正に根性。精神力でボッズーは正義を追い掛ける。
あともう少し……
あともう少し……で、正義に追い付く。
「ウオーーーーー!!! 正義ぃぃ!!!」
遂にボッズーは正義のすぐ真上にまで近付いた。
そして、ボッズーは素早く高度を落とし、仰向けになって飛ぶ正義に伸し掛かる様にしてその肩を掴んだ。
「ウワッーーーー!!!!!」
しかし、
「いうこと聞けボッズーーーッッ!!!」
宙を飛ぶ正義のスピードは速い、速過ぎる、全く緩む事が無い。
それだけ騎士の力が強かったのだ。
「クッ……クッソォッッッ!!!」
ボッズーは正義を捕まえられても全くコントロールする事が出来なかった。逆にボッズーもそのスピードに飲まれて一緒に飛ばされてしまいそうになる。
だからボッズーは再び叫んだ。
「根性ぉぉぉぉ!!!!!」
歯を食い縛って全身に力を込めてより強い力でジェット噴射を発射する。
「ボケカスコラァ! あとでバニラアイス10個だかんなぁぁぁぁぁぁ!!!!」
そう言ってボッズーは正義を掴んだ手に最大限の力を込めた。そして、腕の筋肉を使って正義の体を引き上げる様に持ち上げ始めた。
何をするつもりなのか、それは、猛スピードで飛ぶ正義を自分のコントロール下に置く為に………急上昇だ。
間違っているかも知れない、勉強なんてした事の無いボッズーだ、知識なんてありゃしない。でも、感覚的にボッズーはこれが一番の方法だと判断した。
何故ボッズーがそう判断したのか、それはボッズーには空の上に正義を運ぼうとする"レール"が見えたんだ。本当はそんな物は有りはしないのだが、ボッズーには見えた。
そのレールの上を列車の様に正義が走っている、いや飛んでいると思ったんだ。
だから、そのレールから脱線させれば正義をコントロール下に置けるとボッズーは考えた。
「ぐぬぉぉぉぉぉ!!!!」
しかし、レールから脱線させるのはそう簡単ではない。
ボッズーが力を込めて持ち上げようとしても、正義の体はほんの少し動いただけ。それだけだ。依然として正義はレールの上を飛んでいる。
「もっとぉ!! もっとぉぉお!!!」
でもボッズーは諦めない。そんな選択肢は持っていない。
より腕に力を込めると、腕からはピキピキと筋の切れる音を聞こえた。しかし、幸いにして今は痛みを感じない。アドレナリンが出ているからだ。だからボッズーは気にしない、痛みなんか後で感じれば良いだけの話だ。
「絶対に助けるボズぅぅぅぅ!!!!」
腕が引き千切れようが関係ない。『正義を救いたい!!』今、ボッズーはただそれだけを考えていた。だだそれだけを………
そして、その想いがボッズーに最大限を超えた限界突破の力を与える。
「ぐぬぉぉぉぉーーーーーッッ!!!!」
芸術家の攻撃を強引に抜け出してボッズーを救った時のセイギと同じだ。友を助けたいと願う気持ちが、ボッズーに限界を超えた力を湧き上がらせる。
「ぐぐぐぐぐぐぐぅぅーーーーー!!!!」
赤井正義の体は、段々と空に走るレールの上から離れていく。
肩が離れ、腰が離れ、そして遂に足の先まで全てがレールから離れた。
「ヤッターーーーーーッッッッッ!!」
喜びの声を上げとると同時に、ボッズーと正義は太陽に向かって一直線に飛んで行った。
騎士の斬撃はセイギのボディスーツにも影響を与えた。セイギのスーツはエラーを起こしてしまったのか、バチバチと激しい火花を散らし、その火花は痛みと同じく斬撃を受けた胴体から始まり、すぐに全身に広がっていく。
そして、全身に広がった火花が消えた時、セイギは赤井正義の姿へと戻っていた……
「セイギッッッッッ!!!」
ボッズーはセイギが弾き飛ばされると、すぐに彼を追い掛けた。
― マズイ……!!!
その目に、セイギが一瞬にして赤井正義へと戻る姿が映る。
宙を飛ぶ正義のスピードは速い、このままの勢いで建物にぶつかれば、いやそうじゃなくても生身の体で地面へと落ちれば、ピエロの望み通りの形になってしまうだろう。
『ぐちゃぐちゃ』の『めちゃめちゃ』だ……
「馬鹿な事しやがってボズ!!! 正義のバカヤローーーッッッ!!!」
ボッズーは必死になって追い掛けた。
『今すべき最善の選択を選んできていた筈の赤井正義は、遂に間違えを選んでしまったのだろうか?』もし、世界中の人々にこう問い掛けて、世界中の人々が『赤井正義は間違えた』と答えても、ボッズーはそうは思いたくなかった。
『正義が選んだ選択は間違いじゃない』と思いたかった。
『未来、正義が《王に選ばれし民》に勝つ為に必要な成長を得るには、奴等の攻撃を受ける事は必要な危険であった』と思いたかった。
― 絶対証明する……絶対証明するんだボズよな? 正義!! そうだろ? 今の自分は間違いじゃなかったって、証明するんだボズよな!!
ボッズーは正義を必死に追い掛けながら、心の中で問い掛けた。気を失ってしまった正義に届く気がしたから。
― でも、証明する為には今死んだら意味ないぞボッズー!! 生きなきゃダメだぞ!! それに、お前は人類の希望なんだ!! 人類がアイツらに勝つ為には、お前は死んじゃダメなんだボズ!! それに……それに……
『それに……』、なによりも、正義はボッズーの親友なんだ。ボッズーは『世界を救う為』とか『正義は間違えていないと証明する為』だとか、そんな理屈が無くても、絶対に正義を死なせたくなかった。
「バカヤローーーッッッ!!!」
ボッズーは叫んだ。叫び続けた。気が付けばボッズーは、翼の怪我も忘れてビュビューンモードへと変形していた。
"上の翼"で空気を取り込み、その空気を"下の翼"でジェット噴射が如く噴き出し、猛スピードで正義を追い掛ける。
「いかせるかバカヤローーーッッッ!!!」
ボッズーの叫びは自分自身に向けての鼓舞でもあった。叫べば叫ぶ程にボッズーのスピードは上がっていく。
「根性ぉぉぉぉ!!!!!」
正に根性。精神力でボッズーは正義を追い掛ける。
あともう少し……
あともう少し……で、正義に追い付く。
「ウオーーーーー!!! 正義ぃぃ!!!」
遂にボッズーは正義のすぐ真上にまで近付いた。
そして、ボッズーは素早く高度を落とし、仰向けになって飛ぶ正義に伸し掛かる様にしてその肩を掴んだ。
「ウワッーーーー!!!!!」
しかし、
「いうこと聞けボッズーーーッッ!!!」
宙を飛ぶ正義のスピードは速い、速過ぎる、全く緩む事が無い。
それだけ騎士の力が強かったのだ。
「クッ……クッソォッッッ!!!」
ボッズーは正義を捕まえられても全くコントロールする事が出来なかった。逆にボッズーもそのスピードに飲まれて一緒に飛ばされてしまいそうになる。
だからボッズーは再び叫んだ。
「根性ぉぉぉぉ!!!!!」
歯を食い縛って全身に力を込めてより強い力でジェット噴射を発射する。
「ボケカスコラァ! あとでバニラアイス10個だかんなぁぁぁぁぁぁ!!!!」
そう言ってボッズーは正義を掴んだ手に最大限の力を込めた。そして、腕の筋肉を使って正義の体を引き上げる様に持ち上げ始めた。
何をするつもりなのか、それは、猛スピードで飛ぶ正義を自分のコントロール下に置く為に………急上昇だ。
間違っているかも知れない、勉強なんてした事の無いボッズーだ、知識なんてありゃしない。でも、感覚的にボッズーはこれが一番の方法だと判断した。
何故ボッズーがそう判断したのか、それはボッズーには空の上に正義を運ぼうとする"レール"が見えたんだ。本当はそんな物は有りはしないのだが、ボッズーには見えた。
そのレールの上を列車の様に正義が走っている、いや飛んでいると思ったんだ。
だから、そのレールから脱線させれば正義をコントロール下に置けるとボッズーは考えた。
「ぐぬぉぉぉぉぉ!!!!」
しかし、レールから脱線させるのはそう簡単ではない。
ボッズーが力を込めて持ち上げようとしても、正義の体はほんの少し動いただけ。それだけだ。依然として正義はレールの上を飛んでいる。
「もっとぉ!! もっとぉぉお!!!」
でもボッズーは諦めない。そんな選択肢は持っていない。
より腕に力を込めると、腕からはピキピキと筋の切れる音を聞こえた。しかし、幸いにして今は痛みを感じない。アドレナリンが出ているからだ。だからボッズーは気にしない、痛みなんか後で感じれば良いだけの話だ。
「絶対に助けるボズぅぅぅぅ!!!!」
腕が引き千切れようが関係ない。『正義を救いたい!!』今、ボッズーはただそれだけを考えていた。だだそれだけを………
そして、その想いがボッズーに最大限を超えた限界突破の力を与える。
「ぐぬぉぉぉぉーーーーーッッ!!!!」
芸術家の攻撃を強引に抜け出してボッズーを救った時のセイギと同じだ。友を助けたいと願う気持ちが、ボッズーに限界を超えた力を湧き上がらせる。
「ぐぐぐぐぐぐぐぅぅーーーーー!!!!」
赤井正義の体は、段々と空に走るレールの上から離れていく。
肩が離れ、腰が離れ、そして遂に足の先まで全てがレールから離れた。
「ヤッターーーーーーッッッッッ!!」
喜びの声を上げとると同時に、ボッズーと正義は太陽に向かって一直線に飛んで行った。