第3話 空が割れた日 22 ―ジャスティススラッシャーッッッッッ!!!!!―
22
セイギに向かって飛んできた光弾は、やはりセイギに真っ直ぐに向いていた光体が発射したモノだけだった。
それ以外の光体が発射した光弾は、散りゆく花弁の様に不規則に飛んでいく。
しかし、隊列を崩し更に照準も乱れた光体の群れではあったが、乱れて放たれた光弾が仲間に当たる事はなく、神の手はセイギに差し伸べられているのか、光体に伸ばされているのかまだ分からない……だが、セイギは神にはすがらない。今、信じているのは自分のみ。自分の力だけだ。
「ボッズー、しっかり支えててくれよ! 頼むな!!」
「あぁ、分かってるぜボッズー! 任せろ!!」
光弾は高速で飛んでくる、小指の先ほどの大きさに見えていたモノがあっという間に目の前に迫る。
「はぁぁぁぁぁぁ!!!!」
セイギは大剣を振り上げた。
ギラギラとした太陽が背中を照らす中、高熱を発する光弾が迫る。目が眩む程の暑さと熱さ、まるで灼熱地獄に落とされたみたいだ。
でもセイギはそんな事で負けやしない。迫る光弾を真っ正面から迎え討つ。
「ドリャァ!!!」
光弾は熟れた果実か、セイギの大剣は何の抵抗も受けず光弾を真っ二つに斬り裂いた。そして、斬られた光弾は無数の光の粒となり大剣の刃へと吸い込まれていく。
覚えているだろうか?空が割れた直後に現れた光体との戦闘でもセイギは光弾を斬り、そして斬られた光弾が光の粒となって大剣に吸い込まれていった事を。
「ヨシッ!!」
セイギはこれを狙っていた。光体を挑発したのも、"光弾を斬る"これが目的だったからだ。
それは何故なのか、それは、大剣には隠された能力があるからだ。
「1発目ボズ!!!」
ボッズーは吠えた。だが、逆転に向かっての戦いはまだまだ始まったばかり。セイギに照準を向けている光体は100いる内の半分、およそ50……半分とはいえ決して少ない数ではない。多いと言っても過言ではない数だ。セイギはその1発目を斬っただけ、セイギは自分に向かってくる全ての光弾を斬ろうとしているんだ、残り49発、まだまだだ。そして、一瞬でも油断すれば、斬り損じれば、被弾は免れないだろう。もし1発でもくらってしまえば、残り全てをくらう事にもなる。
それに立ち向かうのに頼れるのは、セイギ自身の動体視力と運動神経だけだ。
セイギがその身に纏ったスーツは変身した者の身体能力を何倍にも増幅させ人間の力を超えさせる、だが、だからと言って敵との戦闘において"自動的に体が動いてくれる"なんて事はない、結局はその者の能力が問われるのだ。
セイギはボッズーに言っていた。
『こっからアイツらに逆転するには、俺の腕次第なんだ』と。
その通りなんだ。迫る光弾全てを斬る事が出来るかはセイギの腕次第なんだ。
正に、生と死の境目……生きるか死ぬか、のるかそるか……
だからセイギは……
光弾を斬って、斬って、ぶった斬った!!!
高速で飛んでくる光弾の雨をセイギはぶった斬っていく。
否、太陽を背に浮かぶセイギに目掛けて光弾は天に向かって上っていくのだから"雨"というのはおかしいだろう。だが、大雨だ。どしゃ降りの雨がセイギ向かって飛んでくる。斬っても斬っても一秒の間もなく光弾はセイギの眼前に現れる。
「ドリャァ!!! テェャアーーー!!! オリャァ!!」
雄叫びを上げながらそいつらをセイギは縦に横に斜めにと次々に斬っていった。
「17!! 18!! 19!!」
ボッズーのカウントはあっという間に半分に近付いた。
そして、セイギが斬る度に光弾は光の粒となり大剣へと吸い込まれていく。
吸い込む度に、大剣の刃は黄金に光り輝く。吸い込めば吸い込む程にその輝きは増していく。まるで光弾の力を大剣の力へと変えていく様に。
否、"変えていく様に"ではない。実際に光弾の力は大剣の力へと変わっているのだ。
そう……これこそがこの白き大剣の本当の能力。だからセイギはこの光弾との真っ向勝負に挑んだんだ。
では、光弾の力を大剣の力へと変えてセイギは何をするつもりなのか、それは全ての光弾を斬った時に分かるだろう。
「トイヤッ!! ジョワッ!! デアッー!!!」
「27!! 28!! 29!!」
光弾の雨も高速ならば、セイギもそうだ。セイギは青空に残像を残しながら、光弾を斬って、斬って、斬りまくった。
しかし、光弾を吸収する度に大剣は重くなり、剣を振る力を必要とした。だがしかし、セイギは自分の腕が折れようが、引きちぎられようが構わないとでも言うように、大きく振りかぶって光弾を斬っていった。
「ハッ!! ドリャッ!! トリヤァーーー!!!」
気付けばセイギは右手だけで持っていた大剣を両手でないと持てなくなっていた。
それでもまだまだ光弾は飛んでくる。『やまない雨はない』とよく聞くが、光弾の雨が止む事はないのだろうか……
いや、ボッズーのカウントを聞いてみよう。
「37!! 38!! 39!! 40!!」
残りテンカウントまで来ていた。
ここまでほんの一分足らずの時間しか経っていない。しかし、思い出してほしい。光体が光弾を発射してから出来る隙は数十秒しかないのだ。で、あるのならば、最初に光弾を発射した光体が攻撃の準備を終えるのはもうすぐではなかろうか。もし、その光体が攻撃準備を終えてしまえば、たとえ50発目を斬ったとしても、51発目が生まれてしまう事になる。そして、それは続々と続き、それこそ"やまない雨"となってしまう。
「ダァーーッッ!! エイッ!! テェヤッ!!!」
「41!! 42!! 43!!」
そして、思い出してほしい事はもう一つ。光体が前進している事だ。反対にセイギは停止している。光弾を斬り始めてもうすぐ一分、その間にセイギと光体との距離はドンドン縮まってきてしまっていた。
「オリャッ!! ドリャッ!! ウリャァ!!!」
「44!! 45!! 46!!」
セイギはボッズーの力を借りて追い掛けてくる光体との距離を開け、光体をバグらせた。でも、もしその距離がまた縮まったらどうなるのだろうか……光体のバグりは治まり、再びセイギ達を籠の中の鳥にしようとするのではないだろうか。
「ドリャァ!!! テェャアーーー!!! オリャァ!!」
しかし……そんな心配は無用だったようだ。
「47!! 48!! 49!!」
何故なら、遂にその時が来たのだから……
「タァァァァーーーーッ!!!!」
50発目!!!
セイギは遂に50発目の光弾を斬った。
「50発目!! やった!! やったぞボッズーッ!!!」
「あぁ……なんとか、かんとか………」
セイギはもうヘトヘトだった。全身にはビッショリと汗をかいて、両腕は震えている。50発もの光弾の力を吸収した大剣の重さは100kgを超えているのではなかろうか。
「あぁ……ちくしょ……重てぇ、でも、ヨイショ……っと」
そんな大剣を、セイギは再びギュッと握り直した。
まだ終わりじゃないんだ。今はただ逆転に向かっての準備を終えただけ。まだ光体との決着はついていない。
それに、セイギとボッズーの目の前、すぐそこには、群れの先頭を飛ぶ光体が来ていた。およその目視で2mも無いくらいの距離に。そのすぐ後ろにも、そのまたすぐ後ろにも光体はいる。
更に、その光体達はもうすぐにでも二度目の光弾を撃ってきそう。ブルブルと激しく震えている。もし再度の50発が放たれたら、今度はセイギは負けてしまうだろう。
だから、セイギは休まない。
「はぁ……はぁ……やるぞ、ボッズー……」
ボロボロの両腕に鞭打って、セイギは重たい大剣を振り上げた。
「あぁ……」
ゴクリ、ボッズーは生唾を飲み込んだ。
「行くぜ……決めるぜぇ……」
決意の言葉を口にすると、セイギは一瞬、瞼を閉じた。そして、瞼を開くと同時に
「ジャスティス! スラッシャァァーー!!!!」
猛獣のような雄叫びを上げ、セイギは大剣を振り下ろした。
セイギが振り下ろした大剣は空を斬る。そして、空を斬った大剣の刃からは残像が如く縦に弧を描いた光輝く黄金のオーラが発射された。
それは光弾の力を凝縮させたエネルギーの塊。
その塊は光体の群れの先頭を飛ぶ光体に向かって飛んで行き、
ドガーーーーンッッッ!!!
光体を真っ二つに斬り裂き、爆発四散に破壊した。
そうだ……これだ、これこそがセイギの狙い。敵の力を大剣の力へと変えて撃ち出す、セイギの必殺技と呼ぶべき技。
その名も《ジャスティススラッシャー》
この技を光体にくらわせる為に、光体との真っ向勝負をセイギは選んだのだ。
そして、大剣から放たれたジャスティススラッシャーは群れの先頭の光体を破壊しただけでは終わらない。大剣に吸収した光弾50発分の力は莫大だった。ジャスティススラッシャーは光体を破壊し続け突き進む。
2体、3体……4体、5体……10体……20体……30体……
ジャスティススラッシャーに直接斬られなかった光体も、攻撃を受けた光体が爆発した衝撃をくらい、誘爆される様に爆発する。
その光景はさながらドミノ倒し。
まだまだ続く、40体……50体……60……70……80……90……残り10体、その10体は未だ円形の布陣を保っている。
90体目はその円のすぐ上空に居た。
ガガガガガ………!!!
90体目の爆発の衝撃が、残った10体の体を震わせる。
そして、ジャスティススラッシャーはセイギから見て円形の布陣の一番上、時計で言えば12時の場所に陣取った光体をぶった斬った。
ドガーーーーンッッッ!!!
ぶった斬られた光体は大爆発、当然だ。更にその爆発は左右の光体を襲い、爆発させ、更に更にその爆発が新たな爆発を呼び、連鎖は続く。
ドドドドドドッ!!ドガーーーーンッ!!!
円を保っていた光体10体の爆発が、大空に大輪の花を咲かせた。
「へへっ……やったぜぇ」
セイギは呟いた。
そうだ、やったんだ。遂に、100体にも及ぶ光体の群れをセイギはやっつけた。
第3話『空が割れた日』 完
セイギに向かって飛んできた光弾は、やはりセイギに真っ直ぐに向いていた光体が発射したモノだけだった。
それ以外の光体が発射した光弾は、散りゆく花弁の様に不規則に飛んでいく。
しかし、隊列を崩し更に照準も乱れた光体の群れではあったが、乱れて放たれた光弾が仲間に当たる事はなく、神の手はセイギに差し伸べられているのか、光体に伸ばされているのかまだ分からない……だが、セイギは神にはすがらない。今、信じているのは自分のみ。自分の力だけだ。
「ボッズー、しっかり支えててくれよ! 頼むな!!」
「あぁ、分かってるぜボッズー! 任せろ!!」
光弾は高速で飛んでくる、小指の先ほどの大きさに見えていたモノがあっという間に目の前に迫る。
「はぁぁぁぁぁぁ!!!!」
セイギは大剣を振り上げた。
ギラギラとした太陽が背中を照らす中、高熱を発する光弾が迫る。目が眩む程の暑さと熱さ、まるで灼熱地獄に落とされたみたいだ。
でもセイギはそんな事で負けやしない。迫る光弾を真っ正面から迎え討つ。
「ドリャァ!!!」
光弾は熟れた果実か、セイギの大剣は何の抵抗も受けず光弾を真っ二つに斬り裂いた。そして、斬られた光弾は無数の光の粒となり大剣の刃へと吸い込まれていく。
覚えているだろうか?空が割れた直後に現れた光体との戦闘でもセイギは光弾を斬り、そして斬られた光弾が光の粒となって大剣に吸い込まれていった事を。
「ヨシッ!!」
セイギはこれを狙っていた。光体を挑発したのも、"光弾を斬る"これが目的だったからだ。
それは何故なのか、それは、大剣には隠された能力があるからだ。
「1発目ボズ!!!」
ボッズーは吠えた。だが、逆転に向かっての戦いはまだまだ始まったばかり。セイギに照準を向けている光体は100いる内の半分、およそ50……半分とはいえ決して少ない数ではない。多いと言っても過言ではない数だ。セイギはその1発目を斬っただけ、セイギは自分に向かってくる全ての光弾を斬ろうとしているんだ、残り49発、まだまだだ。そして、一瞬でも油断すれば、斬り損じれば、被弾は免れないだろう。もし1発でもくらってしまえば、残り全てをくらう事にもなる。
それに立ち向かうのに頼れるのは、セイギ自身の動体視力と運動神経だけだ。
セイギがその身に纏ったスーツは変身した者の身体能力を何倍にも増幅させ人間の力を超えさせる、だが、だからと言って敵との戦闘において"自動的に体が動いてくれる"なんて事はない、結局はその者の能力が問われるのだ。
セイギはボッズーに言っていた。
『こっからアイツらに逆転するには、俺の腕次第なんだ』と。
その通りなんだ。迫る光弾全てを斬る事が出来るかはセイギの腕次第なんだ。
正に、生と死の境目……生きるか死ぬか、のるかそるか……
だからセイギは……
光弾を斬って、斬って、ぶった斬った!!!
高速で飛んでくる光弾の雨をセイギはぶった斬っていく。
否、太陽を背に浮かぶセイギに目掛けて光弾は天に向かって上っていくのだから"雨"というのはおかしいだろう。だが、大雨だ。どしゃ降りの雨がセイギ向かって飛んでくる。斬っても斬っても一秒の間もなく光弾はセイギの眼前に現れる。
「ドリャァ!!! テェャアーーー!!! オリャァ!!」
雄叫びを上げながらそいつらをセイギは縦に横に斜めにと次々に斬っていった。
「17!! 18!! 19!!」
ボッズーのカウントはあっという間に半分に近付いた。
そして、セイギが斬る度に光弾は光の粒となり大剣へと吸い込まれていく。
吸い込む度に、大剣の刃は黄金に光り輝く。吸い込めば吸い込む程にその輝きは増していく。まるで光弾の力を大剣の力へと変えていく様に。
否、"変えていく様に"ではない。実際に光弾の力は大剣の力へと変わっているのだ。
そう……これこそがこの白き大剣の本当の能力。だからセイギはこの光弾との真っ向勝負に挑んだんだ。
では、光弾の力を大剣の力へと変えてセイギは何をするつもりなのか、それは全ての光弾を斬った時に分かるだろう。
「トイヤッ!! ジョワッ!! デアッー!!!」
「27!! 28!! 29!!」
光弾の雨も高速ならば、セイギもそうだ。セイギは青空に残像を残しながら、光弾を斬って、斬って、斬りまくった。
しかし、光弾を吸収する度に大剣は重くなり、剣を振る力を必要とした。だがしかし、セイギは自分の腕が折れようが、引きちぎられようが構わないとでも言うように、大きく振りかぶって光弾を斬っていった。
「ハッ!! ドリャッ!! トリヤァーーー!!!」
気付けばセイギは右手だけで持っていた大剣を両手でないと持てなくなっていた。
それでもまだまだ光弾は飛んでくる。『やまない雨はない』とよく聞くが、光弾の雨が止む事はないのだろうか……
いや、ボッズーのカウントを聞いてみよう。
「37!! 38!! 39!! 40!!」
残りテンカウントまで来ていた。
ここまでほんの一分足らずの時間しか経っていない。しかし、思い出してほしい。光体が光弾を発射してから出来る隙は数十秒しかないのだ。で、あるのならば、最初に光弾を発射した光体が攻撃の準備を終えるのはもうすぐではなかろうか。もし、その光体が攻撃準備を終えてしまえば、たとえ50発目を斬ったとしても、51発目が生まれてしまう事になる。そして、それは続々と続き、それこそ"やまない雨"となってしまう。
「ダァーーッッ!! エイッ!! テェヤッ!!!」
「41!! 42!! 43!!」
そして、思い出してほしい事はもう一つ。光体が前進している事だ。反対にセイギは停止している。光弾を斬り始めてもうすぐ一分、その間にセイギと光体との距離はドンドン縮まってきてしまっていた。
「オリャッ!! ドリャッ!! ウリャァ!!!」
「44!! 45!! 46!!」
セイギはボッズーの力を借りて追い掛けてくる光体との距離を開け、光体をバグらせた。でも、もしその距離がまた縮まったらどうなるのだろうか……光体のバグりは治まり、再びセイギ達を籠の中の鳥にしようとするのではないだろうか。
「ドリャァ!!! テェャアーーー!!! オリャァ!!」
しかし……そんな心配は無用だったようだ。
「47!! 48!! 49!!」
何故なら、遂にその時が来たのだから……
「タァァァァーーーーッ!!!!」
50発目!!!
セイギは遂に50発目の光弾を斬った。
「50発目!! やった!! やったぞボッズーッ!!!」
「あぁ……なんとか、かんとか………」
セイギはもうヘトヘトだった。全身にはビッショリと汗をかいて、両腕は震えている。50発もの光弾の力を吸収した大剣の重さは100kgを超えているのではなかろうか。
「あぁ……ちくしょ……重てぇ、でも、ヨイショ……っと」
そんな大剣を、セイギは再びギュッと握り直した。
まだ終わりじゃないんだ。今はただ逆転に向かっての準備を終えただけ。まだ光体との決着はついていない。
それに、セイギとボッズーの目の前、すぐそこには、群れの先頭を飛ぶ光体が来ていた。およその目視で2mも無いくらいの距離に。そのすぐ後ろにも、そのまたすぐ後ろにも光体はいる。
更に、その光体達はもうすぐにでも二度目の光弾を撃ってきそう。ブルブルと激しく震えている。もし再度の50発が放たれたら、今度はセイギは負けてしまうだろう。
だから、セイギは休まない。
「はぁ……はぁ……やるぞ、ボッズー……」
ボロボロの両腕に鞭打って、セイギは重たい大剣を振り上げた。
「あぁ……」
ゴクリ、ボッズーは生唾を飲み込んだ。
「行くぜ……決めるぜぇ……」
決意の言葉を口にすると、セイギは一瞬、瞼を閉じた。そして、瞼を開くと同時に
「ジャスティス! スラッシャァァーー!!!!」
猛獣のような雄叫びを上げ、セイギは大剣を振り下ろした。
セイギが振り下ろした大剣は空を斬る。そして、空を斬った大剣の刃からは残像が如く縦に弧を描いた光輝く黄金のオーラが発射された。
それは光弾の力を凝縮させたエネルギーの塊。
その塊は光体の群れの先頭を飛ぶ光体に向かって飛んで行き、
ドガーーーーンッッッ!!!
光体を真っ二つに斬り裂き、爆発四散に破壊した。
そうだ……これだ、これこそがセイギの狙い。敵の力を大剣の力へと変えて撃ち出す、セイギの必殺技と呼ぶべき技。
その名も《ジャスティススラッシャー》
この技を光体にくらわせる為に、光体との真っ向勝負をセイギは選んだのだ。
そして、大剣から放たれたジャスティススラッシャーは群れの先頭の光体を破壊しただけでは終わらない。大剣に吸収した光弾50発分の力は莫大だった。ジャスティススラッシャーは光体を破壊し続け突き進む。
2体、3体……4体、5体……10体……20体……30体……
ジャスティススラッシャーに直接斬られなかった光体も、攻撃を受けた光体が爆発した衝撃をくらい、誘爆される様に爆発する。
その光景はさながらドミノ倒し。
まだまだ続く、40体……50体……60……70……80……90……残り10体、その10体は未だ円形の布陣を保っている。
90体目はその円のすぐ上空に居た。
ガガガガガ………!!!
90体目の爆発の衝撃が、残った10体の体を震わせる。
そして、ジャスティススラッシャーはセイギから見て円形の布陣の一番上、時計で言えば12時の場所に陣取った光体をぶった斬った。
ドガーーーーンッッッ!!!
ぶった斬られた光体は大爆発、当然だ。更にその爆発は左右の光体を襲い、爆発させ、更に更にその爆発が新たな爆発を呼び、連鎖は続く。
ドドドドドドッ!!ドガーーーーンッ!!!
円を保っていた光体10体の爆発が、大空に大輪の花を咲かせた。
「へへっ……やったぜぇ」
セイギは呟いた。
そうだ、やったんだ。遂に、100体にも及ぶ光体の群れをセイギはやっつけた。
第3話『空が割れた日』 完