第2話 絶望を希望に変えろ!! 8 ―頼んだぞ……―
8
ドゴンッ!!!!
― 爆弾ッ?!
少年はそう思って、音が聞こえた方向を仰ぎ見た。
― 違う……隕石………か?
工場の屋根に大きな穴が空いている。そこから大きなスポットライトの様な光が差し込んでくる。その光が落ちる先を見ると、見慣れた顔。タマゴがいた。
タマゴは手足を振り回しながら「ギャーギャー!!」と喚くチョウをぶら下げて、落ちた瓦礫が舞わせた埃が作るスモークの中に浮いていた。
「痛ぇ~! 痛ぇよぉ!!」
「ほらほら、泣くなって! 男だろボッズー!」
「うるせぇよぉ! ふざけんなお前! なんて事しやがんだぁ~~! 腕が! 腕が折れてるよぉ~痛ってぇよ~~!」
「ハハハハハハ! 腕が折れてたらそんな振り回せないボッズーよ! ほらほら、もっと叫べ! 兄貴を呼ぶんだボッズー! 兄貴、助けてくれぇ~て!」
― なるほどな。大騒ぎってこういう事か
少年が声にせずにそう呟いていると、タマゴに煽られたチョウが涙で汚れた顔を震わせて大きな声で叫んだ。
「うぉぉぉ~~あ!! もうヤダよぉ! 兄貴ぃ助けてくれぇ~~~!!!」
チョウの必死の叫びは空虚な工場の中に木霊した。それは拡声器でも使ったかの様で、目視で10m以上離れている少年の耳にもハッキリと聞こえた。
その時、
ガチャ……
ドアノブが回る音が聞こえた。
少年は息を潜める。天井の穴から差し込むスポットライトで工場の暗闇に白が混ざってしまったから。部屋から出てきたリーダー格の男がこちらを向いたら少年の存在に気が付いてしまうかもしれない。
だが、その心配は無用だった。
扉を勢いよく開けて部屋から飛び出てきたリーダー格の男は、少年のいる方向に気を止める事は無かった。
天井の穴、そしてそこから差し込む光、そして何よりもタマゴの存在に驚いて、すぐそばに潜む少年に気付く暇も無かったのだから。
「な……なんだ……」
リーダー格の男は一瞬戸惑いを見せた。
でも、すぐに
「なんだ……なんだテメェーは!!!」
怒号をあげるとタマゴの所に向かって走り出した。
少年はリーダー格の男が走り去って行くのを確認すると、全開にされた前開きの扉が閉まる前にそのドアノブを掴んだ。
チラリと後ろを振り向いて、騒ぎ続けるタマゴを見る。
「頼んだぞ……」
少年は自分が入れるだけの隙間を開けて部屋の中へと侵入した。
ドゴンッ!!!!
― 爆弾ッ?!
少年はそう思って、音が聞こえた方向を仰ぎ見た。
― 違う……隕石………か?
工場の屋根に大きな穴が空いている。そこから大きなスポットライトの様な光が差し込んでくる。その光が落ちる先を見ると、見慣れた顔。タマゴがいた。
タマゴは手足を振り回しながら「ギャーギャー!!」と喚くチョウをぶら下げて、落ちた瓦礫が舞わせた埃が作るスモークの中に浮いていた。
「痛ぇ~! 痛ぇよぉ!!」
「ほらほら、泣くなって! 男だろボッズー!」
「うるせぇよぉ! ふざけんなお前! なんて事しやがんだぁ~~! 腕が! 腕が折れてるよぉ~痛ってぇよ~~!」
「ハハハハハハ! 腕が折れてたらそんな振り回せないボッズーよ! ほらほら、もっと叫べ! 兄貴を呼ぶんだボッズー! 兄貴、助けてくれぇ~て!」
― なるほどな。大騒ぎってこういう事か
少年が声にせずにそう呟いていると、タマゴに煽られたチョウが涙で汚れた顔を震わせて大きな声で叫んだ。
「うぉぉぉ~~あ!! もうヤダよぉ! 兄貴ぃ助けてくれぇ~~~!!!」
チョウの必死の叫びは空虚な工場の中に木霊した。それは拡声器でも使ったかの様で、目視で10m以上離れている少年の耳にもハッキリと聞こえた。
その時、
ガチャ……
ドアノブが回る音が聞こえた。
少年は息を潜める。天井の穴から差し込むスポットライトで工場の暗闇に白が混ざってしまったから。部屋から出てきたリーダー格の男がこちらを向いたら少年の存在に気が付いてしまうかもしれない。
だが、その心配は無用だった。
扉を勢いよく開けて部屋から飛び出てきたリーダー格の男は、少年のいる方向に気を止める事は無かった。
天井の穴、そしてそこから差し込む光、そして何よりもタマゴの存在に驚いて、すぐそばに潜む少年に気付く暇も無かったのだから。
「な……なんだ……」
リーダー格の男は一瞬戸惑いを見せた。
でも、すぐに
「なんだ……なんだテメェーは!!!」
怒号をあげるとタマゴの所に向かって走り出した。
少年はリーダー格の男が走り去って行くのを確認すると、全開にされた前開きの扉が閉まる前にそのドアノブを掴んだ。
チラリと後ろを振り向いて、騒ぎ続けるタマゴを見る。
「頼んだぞ……」
少年は自分が入れるだけの隙間を開けて部屋の中へと侵入した。