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作者: ビーグル
序章 ―世界の終わり―



 空に開いた大きな穴が、人々の日常を壊していった。

 人類の誰もが、今日は昨日と同じく穏やかな時間が流れ、そして明日がやってくる……そう信じていたのに。
 


 この日の事を人類は忘れはしない、


 戦いの始まりを告げる鐘が轟き、


 目映き光が空を割ったこの日の事を………


 悪に選ばれし王が現れたこの日の事を………


 
 しかし、人類は絶望に陥らなかった。

 何故なら、世界を救う為に《英雄》が立ち上がったから。


 真っ赤な英雄は空を飛んだ―――大事な約束を果たす為に。


 ― ガキ英雄譚ッッッッッ!!!!!~世界が滅びる未来を知った五人の少年少女はヒーローになる約束をした~ ―


 はじまり………


 はじまり………
 

 ―――――

  序章


 世界が滅びを迎えたその日、最後に残された男の頬に一筋の涙が流れた。


― 何も出来なかった……

― 見ている事しか出来なかった……


 太陽の光も、星の煌めきも失われ、全てが消えた世界で、枯れ果てた筈の涙は何を意味するのか。
 絶望か、哀しみか、それとも懺悔か……

 その答えを知った時、

 男はゆっくりと瞼を閉じた。

 終幕の鐘が鳴った"あの日"から、開き続けた瞼を。

 遠い昔に別れた友を思い出しながら、

 永遠の眠りをもたらす者を求めて



 世界を滅ぼした己に、恨みをこめて……
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