残酷な描写あり
第59話 勇士
悪竜の肉体はそのまま崩れて都市に残り、王城の形を半ば残したまま、
ユジリアの中にひとつの巨大な影となり、ひとつの歴史の象徴となった。
また、王城本丸をほぼ無傷で解体することが可能となり、内部に、閉じ込められた、
ユジリア王を救う事も同時に可能となったというから。
人の手で何かを為し得るという事がいかに効を奏するかがよく知れた。
「見事な勝利だったいや、鮮やかな手さばき」
「まさかあのにっくき悪竜、
トンベンマガスガトリクトを人の手で葬るとは」
将軍、お呼び、家臣団、は五人組みに称賛の声を送る。
「あなたがたが来なければ今頃、ユジリアは滅んでいたことでしょう、いや、かつてのユジリアはもう滅んだといって良いはずですね」
「我々は、魔法の力を扱い、そのチカラに驕り、溺れていました、故に、今回の事であらためて魔法の使い道をしかと見極める時に来ていたと知りました」
「そのようだな」
「陛下!!」
ユジリア王がその姿を奥の間から現した、
「陛下!!ご無事でしたか!!」
「陛下!まだ、お休みになられた方が!!」
「いや、今日という日に休むことが出来ようか」
ユジリア王は玉座に座ると、
「我は全てを悪竜とともに見ていた、自らの町が燃えるのを、都市が悪竜に蹂躙されるのをなにも出来ぬままに、みていた」
その様はいかであったろうか、ほんに無力で、まま、それでいて、悪竜の意識と同期したかのようであった、悪竜は自らの欲するものを食し、自らの住む大地を侵してまで進み、その尾を引くことでどれだけの恨みを買っていたことか、それは若き日のワシと大国ユジリアが驕って勇み足で、先陣をきっていくあの頃とよく似ていた。
年老いる前の若き国がおかした多くの過ちがそこにはあったのだ。
「王よ」「王よ」「陛下がそのようなことをお気になさることはないのです」
「家臣として、陛下のお気持ちを知ることが出来なかったことが悔やまれます」
「いや今は、勇士殿達を労う場であったな」
剣豪、魔法使い、僧侶、盗賊、文士見習い
タメク!イセイ!シングレ!ダノマ!アヤト!
「はい」
「はい」
「はい」
「はい」
「はい」
「そちらは確かな勇気を示し、かの悪竜トンベンマガスガトリクトを見事葬った!
このこと、ユジリア国は確かに記憶し、それを後世に語り継いでいくことだろう!
みごとであった!! 勇士度の達よ!!」
拍手喝采、万歳三唱、
「万歳、剣豪タメク万歳! 槍の名手!!!」
「万歳、魔法使いイセイ万歳! 魔法使いの中の魔法使い!!!」
「万歳、僧侶シングレ万歳! 神に祝福されしもの!!!」
「万歳、盗賊ダノマ万歳! 戦況を見極めしもの!!!」
「そして文士アヤトよ! そちの報告があってはじめて今回のことは知れた、
故にこのユジリア大勲章はそちに送るものとしよう!!」
「あ、ありがたきしあわせ!!」
「万歳!! 文士アヤト万歳! 勇士達のその雄姿を記録せしもの!!!」
「さあ、今夜は壮大な宴じゃ、宴席の中心はもちろん五人方である!!」
ユジリア王国の贅を尽くした数々の振る舞いものが巨大なテーブルに並べられ、
絶対に食べきることは出来ないだろう量の御馳走が大皿でずらりとのせられた。
「すごいわ! あれだけの破壊のあとで、こんなに食糧が残ってたのね!」
「皆からの気持ちです! あの悪竜を退治したことは魔術ギルドづてで伝わり、
各地から、転移陣を通って送られてきた振る舞いものなのですよ!」
「なんだかとっても賑やかで素敵ね! おどりましょう!!」
「ああ、そうだな!! 花まで咲いてやがるからな!!!!」
「まさか、悪竜退治がここまでのことになるなんて驚きですよ!」
「神の祝福があって、お恵みを頂けることが、こんなにも皆の心を温かくするとは」
「はっはっは!カタいことは言いっこ無しだぜ! もう悪竜はいないのだからな!」
悪竜はいないのだろうか? 本当にいなくなったのだろうか?
未だ見つかっていない一等文士であった悪竜使いは、今はどこにいるのだろうか?
あらゆる魔術を駆使しても見つからない理由はいかだろうか?
文士は多くあるが、この謎が見つからないままで憶測ばかりが飛び交う、
しかし今は討ち果たした悪竜に目を向けることにしよう、
かの悪竜が喰らいしものは元はユジリア王国であったものである故に、
被害を受けた住民に富の再配分として、悪竜の全身から取れる鱗と宝石が与えられ、
これを戦災孤児が通う孤児院に寄付するものも多くあり、その統治が、
行き届いたものとしてしれた。
復興のために、各地に退避していた魔術師ギルドの一員が帰ってきて、
悪竜の身体を形作る、魔法のレンガを解体し、これを整理している時に、
「これは」変形したオリハルコン弾頭が多く発見された。
元は転生人たちの血と肉によって異世界魔導転生速射砲より放たれたものであるが、
一流の魔術師からは、その弾頭が禁忌によって射出されたものだと理解した、
それもオリハルコンの性質が魔力に対する絶対の信頼性があるものであった故に、
深く、悪竜の肉体をえぐるには神霊の助けを得ないほかにはない物だと分かったからである。
オリハルコン弾頭は合計して1126発、もって1126人の異世界転生人が犠牲となって、かの悪竜を撃退しえたということとなり、彼らを祀る祭壇が、慰霊碑が、元悪竜の尾がとぐろを巻いていた地方に作られ、その雄姿を確かなものとして記した。
悪を悪の力で滅すること、これを禁ずる時代が確実に足元にきていた。
もともとオーバーキル気味だった魔導砲をさらに強化したものの使用は、王と、各国の法により禁じられ、法の則したときのみに扱われるように調整された。
ここにユジリアを中心とした国家のありかたが問われる時代が来たのである。
ユジリアの中にひとつの巨大な影となり、ひとつの歴史の象徴となった。
また、王城本丸をほぼ無傷で解体することが可能となり、内部に、閉じ込められた、
ユジリア王を救う事も同時に可能となったというから。
人の手で何かを為し得るという事がいかに効を奏するかがよく知れた。
「見事な勝利だったいや、鮮やかな手さばき」
「まさかあのにっくき悪竜、
トンベンマガスガトリクトを人の手で葬るとは」
将軍、お呼び、家臣団、は五人組みに称賛の声を送る。
「あなたがたが来なければ今頃、ユジリアは滅んでいたことでしょう、いや、かつてのユジリアはもう滅んだといって良いはずですね」
「我々は、魔法の力を扱い、そのチカラに驕り、溺れていました、故に、今回の事であらためて魔法の使い道をしかと見極める時に来ていたと知りました」
「そのようだな」
「陛下!!」
ユジリア王がその姿を奥の間から現した、
「陛下!!ご無事でしたか!!」
「陛下!まだ、お休みになられた方が!!」
「いや、今日という日に休むことが出来ようか」
ユジリア王は玉座に座ると、
「我は全てを悪竜とともに見ていた、自らの町が燃えるのを、都市が悪竜に蹂躙されるのをなにも出来ぬままに、みていた」
その様はいかであったろうか、ほんに無力で、まま、それでいて、悪竜の意識と同期したかのようであった、悪竜は自らの欲するものを食し、自らの住む大地を侵してまで進み、その尾を引くことでどれだけの恨みを買っていたことか、それは若き日のワシと大国ユジリアが驕って勇み足で、先陣をきっていくあの頃とよく似ていた。
年老いる前の若き国がおかした多くの過ちがそこにはあったのだ。
「王よ」「王よ」「陛下がそのようなことをお気になさることはないのです」
「家臣として、陛下のお気持ちを知ることが出来なかったことが悔やまれます」
「いや今は、勇士殿達を労う場であったな」
剣豪、魔法使い、僧侶、盗賊、文士見習い
タメク!イセイ!シングレ!ダノマ!アヤト!
「はい」
「はい」
「はい」
「はい」
「はい」
「そちらは確かな勇気を示し、かの悪竜トンベンマガスガトリクトを見事葬った!
このこと、ユジリア国は確かに記憶し、それを後世に語り継いでいくことだろう!
みごとであった!! 勇士度の達よ!!」
拍手喝采、万歳三唱、
「万歳、剣豪タメク万歳! 槍の名手!!!」
「万歳、魔法使いイセイ万歳! 魔法使いの中の魔法使い!!!」
「万歳、僧侶シングレ万歳! 神に祝福されしもの!!!」
「万歳、盗賊ダノマ万歳! 戦況を見極めしもの!!!」
「そして文士アヤトよ! そちの報告があってはじめて今回のことは知れた、
故にこのユジリア大勲章はそちに送るものとしよう!!」
「あ、ありがたきしあわせ!!」
「万歳!! 文士アヤト万歳! 勇士達のその雄姿を記録せしもの!!!」
「さあ、今夜は壮大な宴じゃ、宴席の中心はもちろん五人方である!!」
ユジリア王国の贅を尽くした数々の振る舞いものが巨大なテーブルに並べられ、
絶対に食べきることは出来ないだろう量の御馳走が大皿でずらりとのせられた。
「すごいわ! あれだけの破壊のあとで、こんなに食糧が残ってたのね!」
「皆からの気持ちです! あの悪竜を退治したことは魔術ギルドづてで伝わり、
各地から、転移陣を通って送られてきた振る舞いものなのですよ!」
「なんだかとっても賑やかで素敵ね! おどりましょう!!」
「ああ、そうだな!! 花まで咲いてやがるからな!!!!」
「まさか、悪竜退治がここまでのことになるなんて驚きですよ!」
「神の祝福があって、お恵みを頂けることが、こんなにも皆の心を温かくするとは」
「はっはっは!カタいことは言いっこ無しだぜ! もう悪竜はいないのだからな!」
悪竜はいないのだろうか? 本当にいなくなったのだろうか?
未だ見つかっていない一等文士であった悪竜使いは、今はどこにいるのだろうか?
あらゆる魔術を駆使しても見つからない理由はいかだろうか?
文士は多くあるが、この謎が見つからないままで憶測ばかりが飛び交う、
しかし今は討ち果たした悪竜に目を向けることにしよう、
かの悪竜が喰らいしものは元はユジリア王国であったものである故に、
被害を受けた住民に富の再配分として、悪竜の全身から取れる鱗と宝石が与えられ、
これを戦災孤児が通う孤児院に寄付するものも多くあり、その統治が、
行き届いたものとしてしれた。
復興のために、各地に退避していた魔術師ギルドの一員が帰ってきて、
悪竜の身体を形作る、魔法のレンガを解体し、これを整理している時に、
「これは」変形したオリハルコン弾頭が多く発見された。
元は転生人たちの血と肉によって異世界魔導転生速射砲より放たれたものであるが、
一流の魔術師からは、その弾頭が禁忌によって射出されたものだと理解した、
それもオリハルコンの性質が魔力に対する絶対の信頼性があるものであった故に、
深く、悪竜の肉体をえぐるには神霊の助けを得ないほかにはない物だと分かったからである。
オリハルコン弾頭は合計して1126発、もって1126人の異世界転生人が犠牲となって、かの悪竜を撃退しえたということとなり、彼らを祀る祭壇が、慰霊碑が、元悪竜の尾がとぐろを巻いていた地方に作られ、その雄姿を確かなものとして記した。
悪を悪の力で滅すること、これを禁ずる時代が確実に足元にきていた。
もともとオーバーキル気味だった魔導砲をさらに強化したものの使用は、王と、各国の法により禁じられ、法の則したときのみに扱われるように調整された。
ここにユジリアを中心とした国家のありかたが問われる時代が来たのである。