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作者: 犬物語
実はすごい犬の"目"の話と、今後の"犬物語"の活動について
犬には犬の世界観がある

わたしたちが見ている景色は、犬が見ている景色とはちがう

物理的にも、感覚的にも、そして哲学的にも
 わたしたちは『人間』という生き物です

 それっぽい書き方をすればホモ・サピエンス。霊長類のなかでも優れた知能、学習能力をもち、器用な手を用い道具を作成し、今では自由に空を飛んだり、海を渡ったり、パソコンやスマホを介してアナタと繋がることも可能としています

 これほどの生物ですから、さぞ複雑な構造をしてるんだろうなぁと思いきや、実はわたしたちをつくる設計図『ヒトゲノム』には、たった20,000~25,000個の遺伝子しか含まれていません

 さらに書けば、同じ霊長類の『チンパンジー』や『オランウータン』の遺伝子は、わたしたちのソレと96%も一致しています

 違いはたったの4%なのです。人間独自の4%、チンパンジーやオランウータン独自の4%と考えたとしてもそこまで"差"はないはずです

 でも、わたしたちと彼らでは明確に違いがある。それは見た目だけでなく知能や身体能力など様々ですが、驚くべきことに、わたしたちが備える多くの機能――たとえば目、耳、口、四肢、爪、毛、それらの形状などは非常に似通っています

 わたしたちに近いチンパンジーなどだけでなく、たとえば『犬』にだって目があるし、耳や口、四肢があります。ただし、それらのデザインは全く異なっており、たとえばわたしたちは要所にしか毛が生えてきませんが、犬の場合全体的にもふもふのふさふさになっていますよね

 わたしたちの秀でた能力といえば『脳』でしょう。知性、知能その他多くの分野で活躍します。では犬の秀でた能力といえば? ――たとえば『嗅覚』や『聴覚』に優れいているという話はよく聞きますよね

 逆に『視力』に関する話はあまり聞きません。ではわんわんのおめめは良いのか悪いのか、はたしてどっちなのでしょうか?





:良いとも言えるし悪いとも言える:

 そもそもの前提として『犬種や個犬による』ことだけご理解ください。犬にはチワワ、ダックスフンド、レトリーバーにハスキーにウルフドッグなど多種多様です。犬種により大きさや特徴も異なるのでそれだけはご理解いただいて、ここでは一般的に言われる犬のメジカラを紹介していこうと思います

 結論を先に書くと、純粋な視力を考えると、犬のそれは人間と比べ良いとは言えません

 一般的に、犬は近くを見ることができません。30cm以内に近づくとボヤけて見えるようになり、また数百メートル先にいる人間を識別することは難しいでしょう

 犬が見ているせかい・・・も人間のソレとは異なります。ヒトは『赤・緑・青』の3原色センサーをもっていますが、犬の場合『赤・青』のセンサーだけもっています。それらを混ぜ込んだ世界なので、犬はわたしたちとはまったく異なる景色を見ていることでしょう

 一般的に「犬は赤、緑、オレンジ系を識別しにくい」とされています。センサーとして"赤"を持ってはいますが人間のように多くのセンサーをもつわけではないのですね。どうぶつ系のテレビやネットなどでたまーに「これが犬が見ている景色です!」的な感じで紹介されたりしますが、あれは研究者がそうなんじゃないかなぁ~言うてイメージした図をもとにしています

 ボール遊びの際はぜひ青色系、もしくは黄色系統にしてあげるよ良いでしょう。まあ黄色はオレンジに近づくと識別が難しくなるので個人的には青かなぁって感じ

 ここまで書くと「犬は目ぇわるいの?」と思われガチですがそうでもありません。犬はわりと視界を重要視しています



:動くヤツはすぐ仕留める:

 犬はオオカミから分岐したとされ、オオカミは優れた狩猟動物です。彼らは獲物を追いかけるため動体視力に優れています

 犬もその血というか遺伝子というか、まあそういうのを受け継いでいるので動くヤツは800~900m先でも見分けられるとされています。なので動いて逃げてく小動物たちを視界で追いかけ、茂みの中に消えていったヤツらは嗅覚や聴覚で詳細調査するってのが犬の王道パターン

 犬はとっても"夜目"が効きます。明るさセンサーが多く、水晶体(レンズ)が厚い犬の眼球は光をより効率的に取り入れることができます

 さらに、わんわんの眼球には『輝板きばん(タペタム)』と呼ばれる、まあ鏡みたいなのが網膜のウラにあるんですね。コヤツが目に入った光を反射させまくることで少ない光でも増幅して見ることができる、つまり夜間でも周囲を見ることができるようになってます

 これはどっちかってと猫のほうが有名だけど犬にもあるのでどうぞご承知おきください。たまーに犬や猫を撮影したとき目が光ってる場合があるでしょ? あれは輝板に反射した光がこちらに見えてるわけです

 動体視力がよく夜目が効く。狩猟動物ならではの生態ですね。また犬は視野も広いタイプが多くいます。まあたとえば『ブルドッグ』とかはそうでもないけど、一般的に"視覚(サイト)ハウンド"と呼ばれる子たちはながーいマズル(鼻先)をもち流線型の細長い体つきをしており、そのため広い視野を確保することができています

 とりあえず『アフガン・ハウンド』とか『ボルゾイ』とかで検索してね。彼らはめっさ広い視野をもち、優れた動体視力と脚力で自ら獲物を仕留めるハンターです



:人間といっしょに暮らしてるから:

 オオカミと比較すると、犬の眼球周辺の筋肉はよく発達しています

 アナタが犬といっしょに暮らしてるのであれば、たとえば犬がよそよそしい目・・・・・・・をしてるシーンを目撃したことがあるかもしれません。ほかにも驚愕に目を見開く・・・・・・・・とかグレた態度・・・・・をとってるとか……覚えあるでしょ?

 人間は『目』を見て相手の心情を察します。で、犬は眼球周辺の筋肉が発達してるのでいろいろな表現ができるようになっており、ヒトはその表現を見て「あ、今よそよそしいな」と判断しているのです

 まあ人間が勝手に判断してるだけなので、実際に犬の心情を察せたかどうかは未知数ですけどね

 でもね、実際犬も目で感情表現すること多いんです。自分に自信なさ気というか弱気になってるときは視線を合わせようとせず、まさによそよそしい視線になりますし、鼻先にシワを寄せて、いわゆる"睨む"という状態をつくることもあります

 エサをチラつかせたときは興味津々って感じで目を見開きますし、視線を合わせたくないときはちょっと顔をそらして目を閉じ気味にします

 『目は口ほどにものを言う』とはよくできた言葉ですが、これは人間に限らず犬にも言えることなのですね。あ、もちろん視線ひとつだけで判断せず、ちゃんとしっぽの形やふり方、耳、身体の姿勢など全体的に観察してわんわんの心情を把握しましょう



:犬は"あなた"がすきです:

 野生動物にとって、本来『目を合わせる』ってのはもうバトル寸前の火花バチバチ状態なんですね。目と目が合って恋に落ちるなんてのは人間くらいなもんですたぶんおそらくきっと

 犬も基本的には目を合わせようとしません。が、犬には『アイ・コンタクト』とう概念があり、たとえばさんぽ中などテンションが上がってるとき、良い気分のときなどは積極的に飼い主さんと目を合わせようとしてきます

 これは飼い主から情報を得ようとしてるためと考えられます。犬はけっこー賢い生き物でね、とくにボーダー・コリーとか人間としごとをして生きてきた犬種などは人間をよく見るし、視るし、観ます

 人間がなにをしてほしいのか? 自分はどうすればいいのか? それだけでなく単純に飼い主さんに甘えたかったり、楽しいって気持ちを伝えたいときにもアイ・コンタクトをとってきます。そん時ゃ笑顔を向けて「いってこい!」言うたらそりゃあもううっひょー! 言うてドッグランを駆け回るわんわんを拝むことができるでしょうたぶんおそらくきっと

 あ、ひとつ注意。犬がアイ・コンタクトするとはいえ、基本目を合わせるのは火花バチバチモードです。犬だってなんでもかんでも目ぇ合わせるワケじゃなくて、リラックスしてるときとか遊ぶ気分じゃないときとか庭でのんびりしてるときとかにしつこく目を合わせようとすると、わんわんが「え、なに? わたしになにを求めてるの?」と不安になったりしちゃうので、視線を合わせるのは犬がその気・・・になったときだけにしてあげてください

 え? そのタイミングはどうやって知るんだって? ……それはホラ、犬といっしょに暮らしてけばなんとなーくわかってきますよ



 大事なことなので何度も書きますが、ここで紹介したことは全犬種に言えることではないのでご承知おきください。犬は片手でだっこできる大きさから100kgを超える個体まで幅広く存在します

 一般的な知識をもって、じゃああなたといっしょに暮らしてるそのわんわんはどんな子なのか? どういう能力や個性をもっているのか? ってのを見極めていきましょう

 動物行動学者さんたちの果てなき探究心は、わたしたちにより多くの知識を与えてくれますが、それは『犬』というどうぶつに関する研究であり、あなたがいっしょに暮らしてる『その子』に対する研究ではありません

 いっしょにいる毛むくじゃらを愛してあげてください。そうすれば、わんわんは100倍のもふもふでアナタに恩返ししてくれるでしょううわちょっとなにするやめろ顔をなめるなべたべたにな(ry

 いぬ、すきですか? わたしはすきです。わたしはこれからも、そんないぬたちといっしょにくらしていくことでしょう

 地球がおわる、そのときまで





:犬物語の今後の活動予定:

 こっから蛇足。興味ないって方はこの際慣れてください

 これまで『つれづれグサッ』に連載してきましたが、さいきん物語的なアレコレを書いてないなってことで、ちかごろ巷で流行りの"異世界モノ"というヤツに挑戦してみたいなぁと考え始めている次第です

 構想自体はあるのですが、しかもさいきんプライベートがいろいろアレなのでゆっくり進行になるとは思いますが、これまで『つれづれグサッ』で提供してきた知識などを動員した物語を展開できたらなーと思います。とくに今回紹介した『犬』関連の話はぜひ取り入れたいし、また『心理学』系の知識にはおせわになったし助けられたので、その恩返し的な意味も込めて、そして読んでくださる方々にわたしなりのアプローチをしたく物語を作成中です

 どんな物語になるのかわかりませんが、わたし自身たのしみにしていますし、こういったテーマで書く故の独自要素なども発揮できればと思います

 『つれづれグサッ』は今後とも継続していきたいですが、いちから物語を書きたいため連載速度はカメ進行になるかもしれません。が、いずれウサギを追い抜いてゴールしてやるぜっていう所存なので感想、高評価でおうえんしていただければ幸い

 今後とも、犬物語をよろしくおねがいいたします
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