▼詳細検索を開く
作者: 犬物語
【心理学】うつっぽい人がさらに鬱になる仕組み
しゃーない、それがニンゲンっていきものなんだから
 人間には『こころ』ってのがあります

 こころは『脳のあれこれ』です。脳がもつ数ある"機能"のうちひとつがこころであり、こころとは思考、情動、意志、そのほかあれこれの精神的な働き・・・・・・を総合して指します

 人はこころをもって多くの活動をします。やりたいことを見つける、それをやる。好き嫌いを表現する、他者が傷つく姿を見ていられなくなったり、あるいは斜に構えて「おれ、そういうのヘーキだから」という態度をとることを選択する・・・・・・・のもこころの働きによるものです

 厨二病はさっさと卒業することをおすすめしますが、その症状は多くの創作的発想をもたらすので逆に厨二病のまんまのほーがいーんじゃねーかと思ったりするけど閑話休題。これはまた別の機会に考えましょう

 こころは脳のあれこれですから、脳の状態におおきな影響を受けます。たとえば気分が落ち込んでる時の思考は後ろ向きになったりしますし、逆にサイコーにハイッってやつだッ! 的な状態のときはとことん前向きに考えられたりする

 こころってのはジェットコースターなのです。が、ときとしてゲンキがなくなったこころが、さらにゲンキなくなっちゃうぜ的なパターンも存在します。なんでそんな状態になってしまうのか? それを抜け出すことができるのか? 今回はそんなお話をしていきましょう





:結論:あんま気にしねーほーがーんだわ:

 ゆううつな気分ってのは『ほっとくとだいたい良くなってく』もんです。24時間四六時中うつだぁって方はいませんし、ダウナーな性格を自称してる人・・・・・・・ほどわりと情動が激しかったりするものです

 けど、たまーに落ち込んじゃったとき、ゲンキを出そうとか明るいことを考えようとしても、さらに深みにハマッて抜け出せない。そんな暗い気持ちになってしまったことはないでしょうか?

 さっきも書いたけど、気分が落ち込んでるときって自然とネガティブ方面に物事を考えガチになっちゃうんですよ。そんな状態で「よし、ゲンキだすぞ!」とか「がんばるぞい!」言うたってムリな話なんよ

 心理学方面じゃそれはもう知られたことなんでね、たとえばある実験で『実験対象者にテキトーな心理判断をして良いことと悪いことを半々くらいに伝える』ってことをしたとします

 とりあえず、わたしの手元にある著書にて紹介されてた論文を参照してみましょう

 249人の参加者にテキトーな心理テストを行います。んで結果は良いこと悪いことを50:50みたいなバランスで言及したんですね

 ざっくり書けば良いことも書いてあるし悪いことも書いてあるってことです

 その結果を参加者に見せたところ『うつっぽい方は悪い結果ばかり注目し、良い結果を無視する傾向にある』ことがわかりました

 つまり、こころがうつっぽい人はポジティブな面を無視してネガティブな方向ばかり見ちゃうってことです

 アナタは他者から好かれるいい人ですよ! っていう文言は見ずに「アナタは将来悲観的な人生になる可能性が高いでしょう」っていう文言にはよく反応する――こころがうつっぽい方がポジティブなことを考えたり、明るく振る舞おうとすることの難しさがわかりますよね

 落ち込んでる人をゲンキづける定型文として「がんばれ!」とか「キミならだいじょーぶ!」とか「ファイトだぜ☆」みたいなワードがあったりしますが、これらは本当にうつっぽくなって落ち込んでる方には、もしかしたら逆効果になってしまうかもしれません。だからこそ、最近? は落ち込んでる人をムリに励まそうとせず、まずは自分を肯定したり、受け入れたりすることができるような言葉をかけるのがトレンドになっているようです

 だってね、いかに励ましたところでうつっぽい人は「こんなに気を使わせてるのに自分はなんてダメなんだ――」みたいな方向に進んでっちゃうのでね。じゃあそういう方々にはどんな言葉をかけてやりゃいーんだよって話

 まあ、わりとカンタンだったりします



:いっしょにあそぼ?:

 うつっぽい人がよりうつっぽくならないようなアプローチ。それは『考えさせない・他のことを考えさせる』って方法です

 そのこと・・・・について考えたらどうしてもネガティブになってしまうのであれば、そもそもそのそのこと・・・・を考えさせないようにするんです

 野球で、なんかミスってそれが原因で敗北しちゃった。これは野球というかスポーツをやってたらダレかしら経験するものです。その時はゲーム内で声をかけあって過ごしますが、いざゲームが終了して反省タイムになったらそりゃあもううつっぽいどころか「オレの……オレのせいでッ!!」みたいな感じになっちゃうもんよ

 そんなときは、まあ励ましのことばを与えるのも良いでしょうが、たとえば「ちょっと付き合ってくれる?」言うていっしょにキャッチボールをして「実はさ、投げるとき肩に違和感があるんだけど、オレのフォームどこかおかしいかな?」なんて感じに別の話をふってあげましょう

 そこから技術論に発展するもよし、監督へのグチを互いに言うもよし、なんだったら「となりのクラスの〇〇さんよくね? かわいくね?」なんていう青春真っ盛りな話題に足をつっこんでも構いません

 別のことを考えさせてる間にも、脳の状態は刻々と変化していきます。落ち込んだ状態ってのは脳の科学的反応があったりなんだったりなので時間が経てば落ち着いていきます。んで、その状態になってあらためて試合での出来事を思い出すときはうつっぽさは和らいでいるので「あの時のミスは右手の動作がよくなかったからだ。よし、次こそは練習してうまくできるようにしよう」なんて形で冷静に受け止めることができるようになってます。そのはずです

 もちろん、時として「オレのことはほっといてくれ!!」的な感じでね、ひとりグラウンドの外へ駆け出してっちゃう青春丸出し野郎もいますよ。でもそれもまた良し。ひとりで冷静になる時間も要るでしょうし、情動はジェットコースターのように乱高下するもの。ほどよいタイミングを見計らってキャッチボールでもなんでも誘ってみましょう

 そんなうまくいくのかい? ――だいじょうぶ、うまくいきます。だってアナタはチームメイトでしょ? チームとしての"絆"を信じなさい



:自分をゆるす:

 アナタ自身が"そういう状態"になったときどうするべきか? まずはなにより『自分自身の"状態"を把握し、受け入れる』ということ

 いま自分が落ち込んでいるという事実、その原因、なぜ自分がそれについて気にして落ち込んでいるか。それらを整理して、まずは自分自身のこころを受け入れることからはじめましょう

 これは『メタ認知』ということばで説明してもいいですし、あるいは『セルフコンパッション』というワードがとてもお役立ちになるでしょう。もし興味があるのであればググっていただければ幸いです

 自分自身を冷静に把握することはとても大事です。しかしそれだけでなく、自分が観察した理性による結果を感情的にも受け入れることが求められるのです

 そして、家族や信頼する人、愛する人へ向ける『思いやりの感情』を自分自身に向け、自分というかけがえのない存在をいたわりましょう。その気持ちをもつことが、アナタのうつっぽさを改善するとっかかりとなります

 人はどこか自分を偽ってしまうものです。ムリしていたり、不満を飲み込んでしまったり、自分自身の意見を言えなかったりする。それらはストレスとなり、うつっぽさだけでなくこころや論理的思考さえ霞むいろいろな問題を生み出してしまう。だからこそ、ほどよくストレス解消しつつ、自分をいたわり、大切に思い、自分がよりよい状態になるにはどうすれば良いかを考えましょう

 だいじょうぶ。アナタはアナタ自身を大切にできます。もし、アナタが今夏休みの宿題が終わらず絶望しているとしても、アナタはアナタ自身を見つめ、受け入れ、そしてしっかり宿題をやりましょう

 あ、くれぐれもともだちの回答を丸写しとかしちゃダメだよ? それをすっとそのともだちも先生から「めっ」されちゃうからね? いや今の時代は逆に「ともだち同士仲良しさんねウフフ」とか言うて許されたりするのかな? ――ちょっとそのヘンわからないのでオッサンに感想で教えてください!



 アナタはアナタの"道"がある。それを忘れず前へ進んでいきましょう。たまーに立ち止まって、振り返ってみるのも良いでしょう。そして「ここまで来たか……あっという間だったな」なんてしみじみ思うその時まで、おもしろおかしく、おちこんだりかなしんだりして生きていきましょう

 人生楽しく、そして悲しくですよ?

:参考論文:
Lauren B. Alloy,Lyn Y. Abramson,Laura A. Murray,Wayne G. Whitehouse &Michael E. Hogan
Self-referent Information-processing in Individuals at High and Low Cognitive Risk for Depression
Twitter