R-15
あたし赤ちゃんができたみたいなの
「ええ。まじで!」
教室中に果歩ちゃんの大きな驚愕の声が響き渡った。慌ててあたしと美羽ちゃんで制したよ。はあ。やっぱり話すんじゃなかったかなあ。と思ったが、あたしは苦笑いをして、「仕方がないか。」と声に出した。
ちょっと果歩ちゃんはあぶなっかしいけど、きっとこのふたりは色々と相談に乗ってくれることだろう。こんなことを話しても決して引くことも無く、親身になってくれる友人がふたりもいるなんてあたしは恵まれている。
「それでふたりのご両親はなんて言っているの?」
美羽ちゃんが一番の核心をついてきた。あたしは首を横に振りながら、
「今のところ味方はゼロ。」
美羽ちゃんは、はあっとため息をつきながら、
「そりゃそうだわね。」
「わたしと美羽ちゃんは優江の味方だよ。」
胸をはって果歩ちゃんが言った。味方はゼロじゃなかった。ここにしっかりといることをあたしは忘れていたわ。あたしにとってはこんなに頼りになる味方はいない。父も母も今は敵だから。
もし、岳人がいたら何て言うのかな。
「ねえねえ。体の中に赤ちゃんがいるってどんな感じ?」
果歩ちゃんが目を輝かせて質問してくる。美羽ちゃんも話が外にばれないようにするためか、身をあたしにすり寄せて話を聞く体制に入った。
この感じ。あたしの自慢の友達ふたりが生み出すこの優しい情調がたまらなく好きなのだ。大概の人はあたしがこんな話を打ち明けたら、
「本当に産むの?」
とか
「産んで大丈夫なの?」
とかずれた質問をしてくるだろう。だけどふたりはそんなことは聞いてこない。もっと夢や希望のある話が出来るのだ。
「なんだかね。おなかのあたりがポンワリと暖かいの。」
あたしも自慢げに話すことが出来る。
「優江のおなか、触ってもいい?」
その問いにあたしは笑顔で頷いた。果歩ちゃんの手ってとても小さい。今でも小学生みたいな小さな手だ。でも、その小さな手と比べても、お腹の暖かい部分はもっと小さくて狭いんだよって果歩ちゃんに伝えた。
「よし。それなら。」
と言って果歩ちゃんはほっぺたをあたしのお腹に軽く押しつけて、上下左右にそのほっぺたを動かした。まるで赤ちゃんの動きをそのほっぺたで追いかけるように。果歩ちゃん、あたしの話し聞いていた?果歩ちゃんの小さな手でも暖かい部分を探すのは難しいのに、顔全体でなんてとらえられないよ。
「こうなったら、点でとらえるんじゃなくて、面で暖かさをとらえるんだよ。」
そんなことを言う。そうして、
「本当だ。あったかい。すごく小さな部分だけど確かにまじで暖かいよ。」
興奮しながらそういった。そんなことをしている光景をみて、どうした?的間が妊娠でもしたかって周りの男子にからかわれてちょっとあたしはトキッとしたけど、果歩ちゃんは、
「そうかもしれないよ。」
と真面目な顔をして男子を見つめた。それがかえって冗談ぽく見えるんだ。本当にすごい子だなあ。
じゃあ、こんどは美羽ちゃんがと果歩ちゃんと同じようにほっぺたをあてて、あたしのお腹の熱を感じた。あたしは、
「ね。すごいでしょ。ちゃんと暖かいでしょ。」
と言って3人笑いながら喜びを分かち合えた。
そうなの。命の誕生ってこんな風に幸せなものであるべきだと思うの。みんなで笑って喜びあいたい。お互いの家族もそして周りの友達も。
昨晩みたいのはあたしは間違っていると思う。例えいくら社会のルールをそぐわない形で生まれてくる子供であったとしてもだ。新しい命が誕生するためには、せめて笑顔で包まれる環境を用意してあげたい。親として。
乱暴な言い方なのは承知だが、どうやって育てて、どうやって生活していくなんてことは後で考えればいいことなのだ。
そんなことは間違っているという人が大半だということは十分理解している。だけどあたしには子供をつくるなんてことは今しか出来ないことなのだ。時間があたしには残されていないのだから。
教室中に果歩ちゃんの大きな驚愕の声が響き渡った。慌ててあたしと美羽ちゃんで制したよ。はあ。やっぱり話すんじゃなかったかなあ。と思ったが、あたしは苦笑いをして、「仕方がないか。」と声に出した。
ちょっと果歩ちゃんはあぶなっかしいけど、きっとこのふたりは色々と相談に乗ってくれることだろう。こんなことを話しても決して引くことも無く、親身になってくれる友人がふたりもいるなんてあたしは恵まれている。
「それでふたりのご両親はなんて言っているの?」
美羽ちゃんが一番の核心をついてきた。あたしは首を横に振りながら、
「今のところ味方はゼロ。」
美羽ちゃんは、はあっとため息をつきながら、
「そりゃそうだわね。」
「わたしと美羽ちゃんは優江の味方だよ。」
胸をはって果歩ちゃんが言った。味方はゼロじゃなかった。ここにしっかりといることをあたしは忘れていたわ。あたしにとってはこんなに頼りになる味方はいない。父も母も今は敵だから。
もし、岳人がいたら何て言うのかな。
「ねえねえ。体の中に赤ちゃんがいるってどんな感じ?」
果歩ちゃんが目を輝かせて質問してくる。美羽ちゃんも話が外にばれないようにするためか、身をあたしにすり寄せて話を聞く体制に入った。
この感じ。あたしの自慢の友達ふたりが生み出すこの優しい情調がたまらなく好きなのだ。大概の人はあたしがこんな話を打ち明けたら、
「本当に産むの?」
とか
「産んで大丈夫なの?」
とかずれた質問をしてくるだろう。だけどふたりはそんなことは聞いてこない。もっと夢や希望のある話が出来るのだ。
「なんだかね。おなかのあたりがポンワリと暖かいの。」
あたしも自慢げに話すことが出来る。
「優江のおなか、触ってもいい?」
その問いにあたしは笑顔で頷いた。果歩ちゃんの手ってとても小さい。今でも小学生みたいな小さな手だ。でも、その小さな手と比べても、お腹の暖かい部分はもっと小さくて狭いんだよって果歩ちゃんに伝えた。
「よし。それなら。」
と言って果歩ちゃんはほっぺたをあたしのお腹に軽く押しつけて、上下左右にそのほっぺたを動かした。まるで赤ちゃんの動きをそのほっぺたで追いかけるように。果歩ちゃん、あたしの話し聞いていた?果歩ちゃんの小さな手でも暖かい部分を探すのは難しいのに、顔全体でなんてとらえられないよ。
「こうなったら、点でとらえるんじゃなくて、面で暖かさをとらえるんだよ。」
そんなことを言う。そうして、
「本当だ。あったかい。すごく小さな部分だけど確かにまじで暖かいよ。」
興奮しながらそういった。そんなことをしている光景をみて、どうした?的間が妊娠でもしたかって周りの男子にからかわれてちょっとあたしはトキッとしたけど、果歩ちゃんは、
「そうかもしれないよ。」
と真面目な顔をして男子を見つめた。それがかえって冗談ぽく見えるんだ。本当にすごい子だなあ。
じゃあ、こんどは美羽ちゃんがと果歩ちゃんと同じようにほっぺたをあてて、あたしのお腹の熱を感じた。あたしは、
「ね。すごいでしょ。ちゃんと暖かいでしょ。」
と言って3人笑いながら喜びを分かち合えた。
そうなの。命の誕生ってこんな風に幸せなものであるべきだと思うの。みんなで笑って喜びあいたい。お互いの家族もそして周りの友達も。
昨晩みたいのはあたしは間違っていると思う。例えいくら社会のルールをそぐわない形で生まれてくる子供であったとしてもだ。新しい命が誕生するためには、せめて笑顔で包まれる環境を用意してあげたい。親として。
乱暴な言い方なのは承知だが、どうやって育てて、どうやって生活していくなんてことは後で考えればいいことなのだ。
そんなことは間違っているという人が大半だということは十分理解している。だけどあたしには子供をつくるなんてことは今しか出来ないことなのだ。時間があたしには残されていないのだから。