R-15
部屋に戻ってからもあたしはおかしい
やがて彼は大きくからだをよじらせてそして今度はあたしを膝の上にのせたままあたしを突き動かすくらい激しく動いた。あたしのからだの熱さも絶頂を迎える。肩で大きく息をする彼を抱き締めたままあたしはきちんと彼に伝わるように言ったわ。
「亮君、愛しているよ。」
と。その時あたしは泣いていた。-
既視感と言うのか、デジャビュと言うのか。あたしの目の前に白くてぼんやり光るなにかが現れた。それは光と呼ぶにはあまりにもおぼつかない程度の明るさしかなかったし、輝きもなかった。ただ、それはとても優しいものだった。なぜか分からないけど優しいものだとあたしは認識した。何年ぶりになるだろう。あたしは最初にこれを見たときから自分の死と死ぬ日というものを受入れてきたのだ。
久しぶりに見たそのぼんやりとした光は、最初に見たときと同じように暗闇に溶け込むように消えていった。
あたしはそこで目が覚めた。目が覚める直前に見たものは夢の中のものだとはっきり分かっていた。だから、目を開いたときにあたしは眠っていたのだとすぐ理解した。
「しまった。」とまずは思った。初めて通された彼の家のリビングで、しかも愛する人と初めて結ばれたその直後にこんなに熟睡してしまうなんて、デリカシーとか、あるいは夢のない女だと思われても仕方ない。
あたしはそう思われるのが嫌。今でもまだ、人目とか体面を気にする女だったから。半ば混乱しながら目を覚ましたけれど、どうやらあたしは亮君の膝を枕にして眠ってしまったようだった。頭を彼の膝に乗せたまま見上げると、彼はあたしの髪の毛を優しく撫でていてくれていた。
笑顔で「おはよう。」と言ってくれた彼に対してあたしはほっぺにキスをすることで返した。
その日のあたしは心が真っ暗になることはなかった。いつ以来だろうか分からないくらい久しぶりに明るい気持ちで過ごすことが出来た。それは自分の家に帰ってからも、お風呂に入ってからも、ベッドに入ってからも続いた。
この不思議な和やかなで穏やかな快感はなんだろう。あたしはすぐにこれが恋や愛という類のものだと悟ったの。これまで長い間理解出来なった言葉の意味が今日という短い時間でしっかりと腑に落ちた。この晩あたしは何度もベッドに頭まで潜り込んだ。いや、ずっとそうしているわけではなくて出たり入ったり。ベッドの掛け布団を少し持ち上げればそこで亮君が笑顔で迎えてくれる気がしたのね。
もちろんそんなことが起こるわけはないのだが、熱で火照ったあたしの目や肌にはさもそこに彼がいるように感じられた。その感覚があまりに楽しくて愛おしくて気恥ずかしくて、何度も何度も同じ行為を繰り返した。
「亮君、愛しているよ。」
と。その時あたしは泣いていた。-
既視感と言うのか、デジャビュと言うのか。あたしの目の前に白くてぼんやり光るなにかが現れた。それは光と呼ぶにはあまりにもおぼつかない程度の明るさしかなかったし、輝きもなかった。ただ、それはとても優しいものだった。なぜか分からないけど優しいものだとあたしは認識した。何年ぶりになるだろう。あたしは最初にこれを見たときから自分の死と死ぬ日というものを受入れてきたのだ。
久しぶりに見たそのぼんやりとした光は、最初に見たときと同じように暗闇に溶け込むように消えていった。
あたしはそこで目が覚めた。目が覚める直前に見たものは夢の中のものだとはっきり分かっていた。だから、目を開いたときにあたしは眠っていたのだとすぐ理解した。
「しまった。」とまずは思った。初めて通された彼の家のリビングで、しかも愛する人と初めて結ばれたその直後にこんなに熟睡してしまうなんて、デリカシーとか、あるいは夢のない女だと思われても仕方ない。
あたしはそう思われるのが嫌。今でもまだ、人目とか体面を気にする女だったから。半ば混乱しながら目を覚ましたけれど、どうやらあたしは亮君の膝を枕にして眠ってしまったようだった。頭を彼の膝に乗せたまま見上げると、彼はあたしの髪の毛を優しく撫でていてくれていた。
笑顔で「おはよう。」と言ってくれた彼に対してあたしはほっぺにキスをすることで返した。
その日のあたしは心が真っ暗になることはなかった。いつ以来だろうか分からないくらい久しぶりに明るい気持ちで過ごすことが出来た。それは自分の家に帰ってからも、お風呂に入ってからも、ベッドに入ってからも続いた。
この不思議な和やかなで穏やかな快感はなんだろう。あたしはすぐにこれが恋や愛という類のものだと悟ったの。これまで長い間理解出来なった言葉の意味が今日という短い時間でしっかりと腑に落ちた。この晩あたしは何度もベッドに頭まで潜り込んだ。いや、ずっとそうしているわけではなくて出たり入ったり。ベッドの掛け布団を少し持ち上げればそこで亮君が笑顔で迎えてくれる気がしたのね。
もちろんそんなことが起こるわけはないのだが、熱で火照ったあたしの目や肌にはさもそこに彼がいるように感じられた。その感覚があまりに楽しくて愛おしくて気恥ずかしくて、何度も何度も同じ行為を繰り返した。