残酷な描写あり
第八十話「亜玲澄の選択」
たった一つの選択が今後の生死を決める……運命は賭け事が好きなのだろうか。それによって絶望する姿を見て影で嘲笑う事が運命にとっての至福なのだろうか。
然り。むしろそれしか当てはまらない。そうでないと人間という生き物は挫折を味わう事が無いだろう。
「俺は――」
今正に、白神亜玲澄にも選択を強いられていた。それも突然起こり、今にも生徒同士の乱闘が続いている。何故か先生に短剣を投げた生徒は他の生徒にタコ殴りにされ、今や瀕死状態だ。
『おい、早くしねぇと死んじまうぜ!』
分かってるからあまり急かすな。冷静な判断が出来なくなるだろ。
考えてる内にも乱闘は激しさを増していく。ついには短剣を投げた生徒も殴ったり蹴ったりと反撃をするようになった。事が大きくなっている。一刻も早くしなければ犠牲者が増える。
――ここで止めて怒りを全て買うか、それともここで生徒を見殺しにするのか。先生もずっと黙っている。まるで俺を試しているかのようだ。
「お前にネフティスメンバーに選ばれる価値なんてねぇんだよ!!」
「そもそもこのタイミングで人を殺そうなんてあんた異常よ!」
「俺は――!!」
……力を貸してくれ。勇気を出すための力を貸してくれ……!
「『二重人格』!!」
「「――!?」」
刹那、亜玲澄の右手の薬指にはめてあるスタニッシュリングが太陽の如く輝きだす。その眩しさに全員が光を遮る動作をする。その後右手から火球を精製し、集団に向かって投げつける。
「うわあああ!!」
「きゃあああ!!」
あれほど一人の生徒をボコボコにしておいたくせに、強大な魔法には呆気なく逃げる。情けないにも程がある。
「おいおいてめぇらよお! 学校生活初日からいじめなんて見た事ねぇぞおい!!」
「な、何だお前は……何者なんだ!?」
「俺はこの1年B組の白神亜玲澄しか当てはまんねぇだろうが。ま、元々弱い者いじめなんていうしょうもねぇ事してるてめぇらなんかに名乗る名はねぇけどよ!!」
再び右手から太陽を精製しては投げつける。生徒達が一斉に逃げる。ボコボコにされた生徒は呆然として亜玲澄を見ていた。
「こいつのした事も大概じゃねぇが……お前らも中々に酷いステージだったぜ。劇団四季目指すんなら今から演劇学校行ったらいいぜ!」
「何だこいつ……舐めやがって!!」
すると生徒達が一斉に亜玲澄に迫ってくる。剣といい魔法といい、あらゆる攻撃を使ってくる。
「『慈愛無き太陽』」
右手を挙げると同時に太陽が徐々に大きくなる。振り下ろすと太陽が生徒達目掛けて迫ってくる。
「に……逃げろおおおお!!!」
あの短剣を投げた生徒も含め、先生以外の全員が教室から出ようとする。
「刮目しやがれ……弱い者いじめしたてめぇらへの裁きだぜえええ!!!」
亜玲澄が精製した太陽が床について大爆発を起こすかと思ったその時、天井から何故か滝のようなものが流れ落ち、太陽を跡形もなく蒸発させてしまった。
「は……??」
「え……?」
亜玲澄を含め、全員が驚く。何故なら亜玲澄の目の前には先生がいたからだった。
「ふむ……これがネフティス推薦者の強大なる力、か……」
一体何をしたんだと思った刹那、思い切り腹を殴られた。いや、拳が亜玲澄の腹部に風穴を開けた。
「がっ……はぁっ……!!」
亜玲澄は血を流しながらその場に倒れる。それを見てほとんどの生徒の目が恐怖に染まっていた。それでも先生は表情を一切変える事は無かった。
「こんなものではまだまだだな。もっと筋力を鍛えなければな……おい、誰か生徒会を呼んでくれ。早急にな」
――くそ……、何なんだあいつ……バケモンかよっ……!!
たった一撃で致命傷を与えた元ネフティスメンバーの先生への恐怖心が更に高まってしまった。今後コミュニケーションとれるのだろうか……
――この判断は、正しかったのか……?
然り。むしろそれしか当てはまらない。そうでないと人間という生き物は挫折を味わう事が無いだろう。
「俺は――」
今正に、白神亜玲澄にも選択を強いられていた。それも突然起こり、今にも生徒同士の乱闘が続いている。何故か先生に短剣を投げた生徒は他の生徒にタコ殴りにされ、今や瀕死状態だ。
『おい、早くしねぇと死んじまうぜ!』
分かってるからあまり急かすな。冷静な判断が出来なくなるだろ。
考えてる内にも乱闘は激しさを増していく。ついには短剣を投げた生徒も殴ったり蹴ったりと反撃をするようになった。事が大きくなっている。一刻も早くしなければ犠牲者が増える。
――ここで止めて怒りを全て買うか、それともここで生徒を見殺しにするのか。先生もずっと黙っている。まるで俺を試しているかのようだ。
「お前にネフティスメンバーに選ばれる価値なんてねぇんだよ!!」
「そもそもこのタイミングで人を殺そうなんてあんた異常よ!」
「俺は――!!」
……力を貸してくれ。勇気を出すための力を貸してくれ……!
「『二重人格』!!」
「「――!?」」
刹那、亜玲澄の右手の薬指にはめてあるスタニッシュリングが太陽の如く輝きだす。その眩しさに全員が光を遮る動作をする。その後右手から火球を精製し、集団に向かって投げつける。
「うわあああ!!」
「きゃあああ!!」
あれほど一人の生徒をボコボコにしておいたくせに、強大な魔法には呆気なく逃げる。情けないにも程がある。
「おいおいてめぇらよお! 学校生活初日からいじめなんて見た事ねぇぞおい!!」
「な、何だお前は……何者なんだ!?」
「俺はこの1年B組の白神亜玲澄しか当てはまんねぇだろうが。ま、元々弱い者いじめなんていうしょうもねぇ事してるてめぇらなんかに名乗る名はねぇけどよ!!」
再び右手から太陽を精製しては投げつける。生徒達が一斉に逃げる。ボコボコにされた生徒は呆然として亜玲澄を見ていた。
「こいつのした事も大概じゃねぇが……お前らも中々に酷いステージだったぜ。劇団四季目指すんなら今から演劇学校行ったらいいぜ!」
「何だこいつ……舐めやがって!!」
すると生徒達が一斉に亜玲澄に迫ってくる。剣といい魔法といい、あらゆる攻撃を使ってくる。
「『慈愛無き太陽』」
右手を挙げると同時に太陽が徐々に大きくなる。振り下ろすと太陽が生徒達目掛けて迫ってくる。
「に……逃げろおおおお!!!」
あの短剣を投げた生徒も含め、先生以外の全員が教室から出ようとする。
「刮目しやがれ……弱い者いじめしたてめぇらへの裁きだぜえええ!!!」
亜玲澄が精製した太陽が床について大爆発を起こすかと思ったその時、天井から何故か滝のようなものが流れ落ち、太陽を跡形もなく蒸発させてしまった。
「は……??」
「え……?」
亜玲澄を含め、全員が驚く。何故なら亜玲澄の目の前には先生がいたからだった。
「ふむ……これがネフティス推薦者の強大なる力、か……」
一体何をしたんだと思った刹那、思い切り腹を殴られた。いや、拳が亜玲澄の腹部に風穴を開けた。
「がっ……はぁっ……!!」
亜玲澄は血を流しながらその場に倒れる。それを見てほとんどの生徒の目が恐怖に染まっていた。それでも先生は表情を一切変える事は無かった。
「こんなものではまだまだだな。もっと筋力を鍛えなければな……おい、誰か生徒会を呼んでくれ。早急にな」
――くそ……、何なんだあいつ……バケモンかよっ……!!
たった一撃で致命傷を与えた元ネフティスメンバーの先生への恐怖心が更に高まってしまった。今後コミュニケーションとれるのだろうか……
――この判断は、正しかったのか……?