残酷な描写あり
第二幕 18 『着せ替え人形』
私達は神界を離れ現実世界へと戻ってきた。
前回同様、ほんの一瞬も経過していないようだ。
「あれ~?」
「どうした?ミーティア」
あ、状況を理解していないミーティアが混乱してる。
カイトさんは、私達がもう神界に行ってきたことは分からないよね。
「ミーティア、し~っ、ね?」
「うん。し~っ!」
ミーティアを静かにさせて、もう少し祈りを捧げるふりをする。
「じゃあ、行きましょうか」
「…もう話は出来たのか?」
「ええ、こっちでは一瞬ですからね。詳しい話は外に出てから…」
あ、そう言えばなんて説明しようか…
う~ん、『神の依代』、人造人間である事は話すとして、魂云々の話は私の事情も絡んでくるからなぁ…
よし、誤魔化そう。
リル姉さんの印を持つ私の影響を受けた、とかなんとか。
完全に嘘ではないのがミソだね。
そして、私達は神殿の外に出て、中央広場にある噴水の縁に腰掛けて神界での出来事を話す事にした。
「…と言う事らしいです」
神界で姉さん達と話した内容を一部誤魔化しながら伝える。
ミーティアは噴水が気になるみたいで、手を水に突っ込んでじゃぼじゃぼ掻き回して遊んでいる。
…そのお水大丈夫かな?
「神の依代、人造人間…それで、お前のことを母と慕うのか。俺が父なのは何でなんだ…?」
「え?そ、それはよく分からないですね~」
「ふむ?…しかし、人造人間というのは成長はするのか?ずっと子供のままという事は無いのか?」
「ああ、それなら大丈夫みたいですよ。精神の成長…いろんな経験をさせることで、肉体もそれに合わせて成長するらしいです。普通の人間よりむしろ成長は早いかもしれませんね。あと、寿命が長かったり、普通の人間の身体よりスペックは高かったりするみたいですが、身体の構造自体は普通の人間とそれほど変わらないそうです」
「そうか、安心したよ。まあ、普通に接していけば良いんだよな」
「はい、それでいいと思います。一人の人間として、成長を見守ってあげたいです」
ある意味、もう一人の私。
そりゃあ愛情も湧くというものだ。
…ああっ!?
「こらっ!ミーティア!そこに入っちゃダメっ!濡れちゃうよ!」
もう、お転婆なんだから。
誰に似たのやら…
「さて、私達はミーティアの服を買いに行こうと思うんですけど、カイトさん付き合ってもらえません?」
「ああ、構わない」
「ふふ、ありがとうございます」
向かうのは、以前ミラージュケープを購入したユリシアさんの服飾店。
あそこならミーティアに似合う可愛い服がたくさん揃ってるはずだ。
今から楽しみだ。
「ああ、ここです」
「ふわぁ~、おようふくがたくさんだね~」
「…ちょっと俺は入りにくいな」
「大丈夫ですよ!さあ、中に入りましょう」
まあ、その気持ちは分かるけどね。
外でポツンと立ってるのも変でしょ。
カランカラン~、とドアベルの音を立てて中に入る。
「いらっしゃいませ~。あ、カティアさんこんにちは」
「こんにちは~」
「にちわ~!」
「…こんにちは」
「あら、ご一家で…」
「ち、違います、この子は…親戚の子で、こちらは…ぼ、冒険者仲間です」
どもりながら答える…
いや、カイトさんが冒険者仲間なのはその通りだし。
「今日はこの子の服を見ようと思いまして」
「そうですか。では、子供服はこちらになります」
案内された子供服コーナーにはシンプルなものからフリルたっぷりのものまで、色とりどりの洋服が。
さすがの品揃えに目移りしちゃうね。
「うわ~、きれいなふくがいっぱいだよ、ママ~!」
「そうだね~、ミーティアの好きなお洋服を選んでね」
たくさんの洋服に目をキラキラさせている。
ちっちゃくても女の子だね。
まあ、元が私の魂って言うのもあるんだろうけど。
「ママ!これがいい!」
「どれどれ。…へぇ~、いいセンスしてるじゃない」
子供が好きそうなふりふりのフリル付とか選ぶと思ったら、比較的シンプルな若草色のワンピースを選んできた。
「ママといっしょ!」
「ん?ああ、そうだね」
確かに私とお揃いに見えなくもないかな。
う~ん、なんて可愛い子なのかしら!
「じゃあ、それは後で試着するとして…他にも選びましょう」
一着だけじゃ足りないからね。
3~4着くらいは欲しいところだ。
そうしていくつか気に入ったものをキープして、試着タイムとなる。
その間、カイトさんは居心地悪そうにしていた。
まあ、女の子の買い物になかなか口出しはできないか。
何だかごめんなさいね…
「じゃあ、試着しよっか」
「は~い!」
そして、試着室に入ってとっかえひっかえミーティアを着替えさせていくのだが…
結局、あれもこれもとキープした服は10着にも及ぶ。
だってどれも可愛いんだもの。
「きゃー!可愛い~!」
「こっちも、凄く似合ってますよ」
「こっちはどうかな!?」
「うにゃ~!?」
次から次へと、着せ替え人形の如く着替えさせられて、ミーティアは目を白黒させている。
ごめんね~、でもママ止まらないのよ~。
ユリシアさんも一緒になって楽しんでるふうだ。
そんな時、ふとユリシアさんがなにかに気づいたように呟く。
「あら?…これって…」
ユリシアさんの方を見ると、もともとミーティアが着ていた服を皺にならないように畳んでいるところだった。
「どうしました?」
「あ、いえ。ミーティアちゃんが着ていたこの服、それにその靴も。もしかして魔道具ですか?」
「へ?魔道具?」
一見なんの変哲もないシンプルなワンピースに革の靴。
…でも、そう言われて改めて見てみると…
「あ…魔力が…?」
「そうなんですよ。どのような効果は分かりませんが…もしかしたら妹なら分かるかもしれません」
「ああ、プルシアさんですか」
「ええ。お店には行かれたそうですね」
「はい。面白いお店でした」
しかし、この服が魔道具かもしれないとは…
…しかし、よく考えてみれば中に入る魂によって様々な姿になる人造人間がサイズピッタリの服を着ているのは不自然だ…
多分、そのあたりが関係してるんだろう。
「ちょっと気になりますね。このあとプルシアさんのお店にも行ってみます。欲しいものもありますし」
そう結論付けて、再びミーティアの着せ替えを再開する。
「ママ!?もうおわり~!」
「あとちょっとだから!ねっ!?」
「…大丈夫か?ミーティア?」
「ママが…こわかったの…」
「あはは…ごめんね~。どれもこれも可愛いかったからつい…」
散々着替えさせられてミーティアはお疲れだ。
…ちょっとやり過ぎたかも。
彼女は今、一番最初に自分で選んだ若草色のワンピースを着ている。
他に購入した物は私の拡張鞄に全部入ってる。
結局何度も着せ替えて悩みながら選んだのは6着。
そのほかに下着や靴下などの小物なども纏めて購入した。
結構な散財だったが、ユリシアさんの好意でかなり値引きしてもらったので助かった。
「さて。一応用事は終わったけど。ミーティアの着ていた服のことも気になるし、プルシア魔道具店に行ってみようかな?」
「ああ、その前に武具店に行ってもいいか?すぐそこだから…いや、その前に昼ごはんかな?」
「ごはん!おなかすいた~」
「そうだね、ちょうどいい時間か。じゃあどこか近場で食べてから武具店ということで」
ということで、今日このあとの行動が決まった。
前回同様、ほんの一瞬も経過していないようだ。
「あれ~?」
「どうした?ミーティア」
あ、状況を理解していないミーティアが混乱してる。
カイトさんは、私達がもう神界に行ってきたことは分からないよね。
「ミーティア、し~っ、ね?」
「うん。し~っ!」
ミーティアを静かにさせて、もう少し祈りを捧げるふりをする。
「じゃあ、行きましょうか」
「…もう話は出来たのか?」
「ええ、こっちでは一瞬ですからね。詳しい話は外に出てから…」
あ、そう言えばなんて説明しようか…
う~ん、『神の依代』、人造人間である事は話すとして、魂云々の話は私の事情も絡んでくるからなぁ…
よし、誤魔化そう。
リル姉さんの印を持つ私の影響を受けた、とかなんとか。
完全に嘘ではないのがミソだね。
そして、私達は神殿の外に出て、中央広場にある噴水の縁に腰掛けて神界での出来事を話す事にした。
「…と言う事らしいです」
神界で姉さん達と話した内容を一部誤魔化しながら伝える。
ミーティアは噴水が気になるみたいで、手を水に突っ込んでじゃぼじゃぼ掻き回して遊んでいる。
…そのお水大丈夫かな?
「神の依代、人造人間…それで、お前のことを母と慕うのか。俺が父なのは何でなんだ…?」
「え?そ、それはよく分からないですね~」
「ふむ?…しかし、人造人間というのは成長はするのか?ずっと子供のままという事は無いのか?」
「ああ、それなら大丈夫みたいですよ。精神の成長…いろんな経験をさせることで、肉体もそれに合わせて成長するらしいです。普通の人間よりむしろ成長は早いかもしれませんね。あと、寿命が長かったり、普通の人間の身体よりスペックは高かったりするみたいですが、身体の構造自体は普通の人間とそれほど変わらないそうです」
「そうか、安心したよ。まあ、普通に接していけば良いんだよな」
「はい、それでいいと思います。一人の人間として、成長を見守ってあげたいです」
ある意味、もう一人の私。
そりゃあ愛情も湧くというものだ。
…ああっ!?
「こらっ!ミーティア!そこに入っちゃダメっ!濡れちゃうよ!」
もう、お転婆なんだから。
誰に似たのやら…
「さて、私達はミーティアの服を買いに行こうと思うんですけど、カイトさん付き合ってもらえません?」
「ああ、構わない」
「ふふ、ありがとうございます」
向かうのは、以前ミラージュケープを購入したユリシアさんの服飾店。
あそこならミーティアに似合う可愛い服がたくさん揃ってるはずだ。
今から楽しみだ。
「ああ、ここです」
「ふわぁ~、おようふくがたくさんだね~」
「…ちょっと俺は入りにくいな」
「大丈夫ですよ!さあ、中に入りましょう」
まあ、その気持ちは分かるけどね。
外でポツンと立ってるのも変でしょ。
カランカラン~、とドアベルの音を立てて中に入る。
「いらっしゃいませ~。あ、カティアさんこんにちは」
「こんにちは~」
「にちわ~!」
「…こんにちは」
「あら、ご一家で…」
「ち、違います、この子は…親戚の子で、こちらは…ぼ、冒険者仲間です」
どもりながら答える…
いや、カイトさんが冒険者仲間なのはその通りだし。
「今日はこの子の服を見ようと思いまして」
「そうですか。では、子供服はこちらになります」
案内された子供服コーナーにはシンプルなものからフリルたっぷりのものまで、色とりどりの洋服が。
さすがの品揃えに目移りしちゃうね。
「うわ~、きれいなふくがいっぱいだよ、ママ~!」
「そうだね~、ミーティアの好きなお洋服を選んでね」
たくさんの洋服に目をキラキラさせている。
ちっちゃくても女の子だね。
まあ、元が私の魂って言うのもあるんだろうけど。
「ママ!これがいい!」
「どれどれ。…へぇ~、いいセンスしてるじゃない」
子供が好きそうなふりふりのフリル付とか選ぶと思ったら、比較的シンプルな若草色のワンピースを選んできた。
「ママといっしょ!」
「ん?ああ、そうだね」
確かに私とお揃いに見えなくもないかな。
う~ん、なんて可愛い子なのかしら!
「じゃあ、それは後で試着するとして…他にも選びましょう」
一着だけじゃ足りないからね。
3~4着くらいは欲しいところだ。
そうしていくつか気に入ったものをキープして、試着タイムとなる。
その間、カイトさんは居心地悪そうにしていた。
まあ、女の子の買い物になかなか口出しはできないか。
何だかごめんなさいね…
「じゃあ、試着しよっか」
「は~い!」
そして、試着室に入ってとっかえひっかえミーティアを着替えさせていくのだが…
結局、あれもこれもとキープした服は10着にも及ぶ。
だってどれも可愛いんだもの。
「きゃー!可愛い~!」
「こっちも、凄く似合ってますよ」
「こっちはどうかな!?」
「うにゃ~!?」
次から次へと、着せ替え人形の如く着替えさせられて、ミーティアは目を白黒させている。
ごめんね~、でもママ止まらないのよ~。
ユリシアさんも一緒になって楽しんでるふうだ。
そんな時、ふとユリシアさんがなにかに気づいたように呟く。
「あら?…これって…」
ユリシアさんの方を見ると、もともとミーティアが着ていた服を皺にならないように畳んでいるところだった。
「どうしました?」
「あ、いえ。ミーティアちゃんが着ていたこの服、それにその靴も。もしかして魔道具ですか?」
「へ?魔道具?」
一見なんの変哲もないシンプルなワンピースに革の靴。
…でも、そう言われて改めて見てみると…
「あ…魔力が…?」
「そうなんですよ。どのような効果は分かりませんが…もしかしたら妹なら分かるかもしれません」
「ああ、プルシアさんですか」
「ええ。お店には行かれたそうですね」
「はい。面白いお店でした」
しかし、この服が魔道具かもしれないとは…
…しかし、よく考えてみれば中に入る魂によって様々な姿になる人造人間がサイズピッタリの服を着ているのは不自然だ…
多分、そのあたりが関係してるんだろう。
「ちょっと気になりますね。このあとプルシアさんのお店にも行ってみます。欲しいものもありますし」
そう結論付けて、再びミーティアの着せ替えを再開する。
「ママ!?もうおわり~!」
「あとちょっとだから!ねっ!?」
「…大丈夫か?ミーティア?」
「ママが…こわかったの…」
「あはは…ごめんね~。どれもこれも可愛いかったからつい…」
散々着替えさせられてミーティアはお疲れだ。
…ちょっとやり過ぎたかも。
彼女は今、一番最初に自分で選んだ若草色のワンピースを着ている。
他に購入した物は私の拡張鞄に全部入ってる。
結局何度も着せ替えて悩みながら選んだのは6着。
そのほかに下着や靴下などの小物なども纏めて購入した。
結構な散財だったが、ユリシアさんの好意でかなり値引きしてもらったので助かった。
「さて。一応用事は終わったけど。ミーティアの着ていた服のことも気になるし、プルシア魔道具店に行ってみようかな?」
「ああ、その前に武具店に行ってもいいか?すぐそこだから…いや、その前に昼ごはんかな?」
「ごはん!おなかすいた~」
「そうだね、ちょうどいい時間か。じゃあどこか近場で食べてから武具店ということで」
ということで、今日このあとの行動が決まった。