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作者: さや
残酷な描写あり R-15
無力
────先輩は孤児である。
その話を聞いたのは約1か月前、『協会』で働いている職員さんからだった。
 
「........あまり、こういう話はしちゃいけないんだけどね」
 
「彼女は、森で拾われたんだ。『魔獣』と戦闘したのかあたりには血痕と魔力の残滓が残されて、その中でただ一人座り込んでいたのを見つけた魔法少女たちが『協会』に連れていき保護した」
 
「無茶苦茶な戦闘痕から彼女が戦いに慣れていないことは明白で、つい最近魔法少女としての力に目覚めたのだろうと『協会』は推測し、尋問官の私がなぜ森の中にいたのかを尋ねた。
────しかし、彼女は答えなかった。どこに住んでいるのか、家族はいるのか、なにか連絡機器は持っているのか、それらの質問すべてに彼女は黙秘を続けた。最後に帰る場所はあるのか尋ねたんだ。そして、初めて小さな声で
 
『.......ない』
 
と私の質問に答えてくれたんだ。その後は『協会』の偉い人たちと相談してね、彼女が暮らす場所を『協会』が提供しようという話になり、『協会』内の施設で暮らしてもらうことになった。ただ無償というわけにいかなかったから彼女がもらう報酬の一部を差し引く形にはなったけどね」
 
「魔法少女として活動し始めた彼女はあまり周りとなじめてなくてね。あまり喋ろうともしないし毎日滝行に行っていて*、ちょっと周りから浮いていたから」
 
「────けど、君が来てくれた。あの一切周りと関わろうとしなかったあの子が自分から話しかけに来てくれる子なんて君が初めてだったんだ」
 
「だから、あの子を頼んでもいいかな。最初彼女と話したときにどこか危うさを感じたんだ。そして、私にはそれを止めることができないこともね。けれど、君ならきっと彼女を止められる。長年魔法少女を見てきた私の目に狂いはないよ」
 
そう頼まれて、私は元気よく答えた。
私にはよく先輩の危うさはわからなかったけれど、きっとなんとかなるだろう。
そんな楽観的な予感を信じて。
 
そしてその報いを受けるのは、かなり早かった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「ぐうぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!????この俺が、こんな小娘たちに負けるなんてぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
 
「これで終わり!はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
 
私と先輩で四天王の一人であるサメ怪人シャーク侯爵を追い詰め、そしてとどめを刺す。
その瞬間
 
 
 
 
 
「────情けないわねぇ。その程度の魔法少女二人に負けるだなんて」
 
 
 
 
 
何者かが私の剣を弾いた。
 
「っ!?あなたは誰!?」
 
「私ぃ?淫魔のサキュバスよ。この情けない鮫と一緒に四天王をやっているわ。ほら、さっさと立ちなさい。帰るわよ、ここで倒されると困るの」
 
「逃がさない!」
 
「じゃまねぇ。────ほら、『魅了』」
 
「っ!さやか!」
 
刹那、背中から衝撃が走る。その主が先輩だと知った時にはもう、遅かった。

「ぅ………………?」
 
とろんと蕩けたような目で淫魔を見つめる先輩。
 
「先輩!?しっかりして下さい!!」
 
すぐさま駆け寄って目を覚させようとする、しかし
 
「ああもう、うるさいわねぇ。ちょっとそこで黙って転がってなさい」
 
「きゃ!?────むぐっ?!?!」
 
体をリングのようなもので縛られ、口枷のようなものを付けられる。
バタバタと暴れるがただ拘束が強まるだけだった。
 
「ほら、こちらにおいで」
 
「………………………♡」
 
ふらふらと淫魔に近づいて行く。
まるで、灯りを見つけた虫のように。
 
「んふふ、随分と可愛らしい子を捕まえられたわ。────鮫、あんたはさっさと本部に帰って。ここから先は男子禁制よ」
 
「まーたコレクション増やすつもりか…………。ちゃんと最後まで面倒みろよ?こっちだって処理するの大変なんだからな」
 
処理────とても穏やかではない単語が聞こえて私はさらに抵抗を激しくする。
だがしかし拘束はびくともせず、己の虚しさと無力さを加速させるだけだった。
 
「んー?そんなにこの子が大事なの?でも残念、この子はもう私のもの。うふふ、貴方の魔力はどんな味なのかしら」
 
先輩の腰を抱き上げ、そのまま私に見せつけるように────深い口付けを交わした。
 
「っっっ〜〜〜〜!!!♡♡♡♡」
 
こちらまで聞こえてくる水音。
それに合わせてビクビクと痙攣する先輩。
そして、それらを見ているしかない私。
 
「ん〜!とてもおいしいわぁ。少しえぐみがあるけど、それがアクセントになっててとっても私好み。ほら、まだまだあるでしょう?」
 
時折息継ぎをしながら淫魔と先輩はディープキスを重ねていく。
だんだんと強張っていた先輩の体から力が抜けていき、力無く震えるだけになった時、淫魔はディープキスをやめた。
 
「ふにゃぁ♡へっへっへっへっ.........♡♡♡♡」
 
「ふふ、ワンちゃんみたいにペロンと舌を出しちゃって…………」
 
「あ゛♡あ゛ッ♡あ゛ッ~~~~♡♡」
 
「そんなに舌弄られるの気持ち良いの?すっかり敏感になったわねぇ」
 
口からまろび出た舌を指でカリカリされて悶える先輩。
芋虫のように這いつくばって惨めな抵抗をするしかない私は、ただただ泣きそうな程悔しかった。
 
「あとは『淫紋』を付けて………ってあら?もう付いてるじゃない。わたしの子たちが先に目を付けてたのかしら。まあでも子の物も親のものみたいな物だし、貰っちゃいましょう」
 
『淫紋』────それは淫魔に敗北し、屈服した証。
そして所有者が性的興奮を感じるたびに成長していく。
そして完全体になった時、淫魔の奴隷となることが確約される契約のようなものである。
 
なぜそんなものが先輩の体にあるのか。私は理解できなかった。
先輩が今までかたくなに肌の露出を避けていた理由はこれだったのだろうか。
 
「ふふ、まだまだ小さな『淫紋』だけど、魔力を流しながらギュってしてあげると.......♡」
 
「ほお゛ォ!?♡♡♡」
 
淫魔によって破られた衣装から見える下腹部を淫魔が強く押すたびに先輩は力なく震え、痙攣する。
 
「うんうん、上手く排卵だせてえらいわぁ。これで『魔獣』との交尾をつつがなくできるわね。さて、最後にこの子の記憶をすべて改ざんすれば終わり。今度はちゃんと壊れないように飼ってあげるから心配しないでねぇ」
 
「ん~~~~~~!ん~~~~~!」
 
やめて。
まって。
その叫びは全て押しこめられて、先輩の頭に手が当てられた。
その瞬間
 
「っっっっっ!?!?!?!?!?」
 
まるで熱したやかんに触れた様にすぐさま手を引っ込めた。
 
「なによ、なんなのよこの記憶は.......!?私?こんな無様に小娘に負けるのが私!?そんなわけない!私たちはこんな奴に負けてない!.........じゃあ何?なんなのよこの記憶は?!........違う、違う、違う!」
 
淫魔はうわ言のように意味不明な言葉を叫びながらどこかへ飛び去って行ってしまった。
今起きた現象に理解が追い付かずぽかんとしていると、私を縛っていた拘束が解けた。
 
「..........先輩っ!」
 
そしてすぐさま今だにビクビクしている先輩のもとへ向かい、抱き上げる。
今起きたことを考えるより先輩を救助することが先決。そう思い、私は『協会』へ急いだ。
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