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作者: 金星タヌキ
R-15
part Kon 10/17 am 11:04





「んー……まだ ナイショ」


 あきちゃんが カバンの中身を聞いてきた。
 エプロンドレスって教えてあげても よかったんだけど 少し考えて もうちょっとだけ 秘密にしておくことにする。

 せっかく サプライズで用意したんだから。

 やっぱ あきちゃんの部屋に着いてからジャーン!ってゆー方が盛り上がる気がする。
 ……そして これは ホントに 秘密だけど 少しだけ下心もあったりする。


「あー ここです。うちに着きました」


 どうやら あきちゃんの家に着いたらしい。
 2~3台は 余裕で停められそうな 大きなシャッター付の半地下ガレージの横の階段を あきちゃんは スタスタと上っていく。
 慌てて ついて上る。
 
 上がった先のポーチには 立派な木製のドア。
 ガレージの上の部分は 芝生が敷いてあってお庭になってる。
 花壇もあって ガーベラやマリーゴールドが 風に揺れていた。

 うちのお好み焼き屋とは 比べ物にならない立派なお家。
 だけど お屋敷とか 豪邸 ってほどでも無い。
 
 まあ 予想通りといえば予想通り。
 桜台の山手のお家って だいたいこれくらい。

 
 でも あきちゃんちらしい家だなぁって思う。
 あきちゃんってお嬢様だけど 金銭感覚がぶっ飛んでたりとか そういうワケじゃない。
  
 服 買ってるのは あたしもよく行く 国道沿いの量販店。
 化粧品も百均。
 おサイフの中身も似たようなもん。

 でも ちょっとした小物とか センスがよくて上品な高級品を使ってたりする。
 例の桜草のハンカチとか。

 
 このお家も そんな感じ。
 周りのお家と大きさとかは 変わんないんだけど センスがよくて 上品で お洒落。
 細かいところまでこだわって作ってあるんだろうなってゆーのが素人目にも分かる。
 あきちゃんのお父さんが設計したお家って言ってた。

 あきちゃん(ってゆーかの)凝り性な感じって お父さん譲りなのかな?

 

 
「ママー こんのさん来たよー」


 吹き抜けの広い玄関。
 
 右側は 作り付けの靴箱。
 胸の高さ辺りは 飾り棚になっていて 花瓶に薄オレンジの薔薇が生けられていた。
 仄かに薔薇の香りが玄関に漂ってる。

 左側も作り付けのキャビネットになっている。
 こちらは大きなガラスの扉がついている。
 中には 陶器でできた天使の人形やクリスタルの置物が並べられている。
 
 明らかにアンティークってゆー感じのヤツもある。
 ……きっと トンでもない値段だったりするんだろうな。
 カバン ぶつけないように気をつけなきゃ…。

 そんなこと考えてたら 奥の扉が開いて あきちゃんのお母さんが姿を現した。


「紺野さん いらっしゃい。まぁ 今日も美人ねぇ」


 お母さんは 顔見るなり いきなり褒めてくれる。
 あきちゃんの褒め上手は お母さん譲りみたい。

 7月も思ったけど お母さんは どう見ても30台。
 あきちゃんのより もっと明るい栗色の髪。
 肩上くらいのその髪が フワッと広がっていて スゴく華やか。
 横髪が 緩く縦ロールになってるのって 自分でセットしたんだろーか?


「こんにちは。お邪魔します」

「どうぞ。どうぞ。ゆっくりしていってね」

「あの 急に遊びに来たいとか言って ご迷惑だったんじゃないですか? それに お昼ご飯まで…」

「あら。いいのよ~」


 ここで 一旦 間を取って あきちゃんを見遣りながら


「亜樹ちゃんが 家に友達 呼びたいなんて 初めてだったし おばさん 嬉しくって…」

 
 えっ?
 あたし お家に呼んでもらった初めての〈友だち〉なんだ…。
 ……それって けっこう〈特別〉かも…。

 
 ちょっとドキッとする。

 でも そのあとの展開は さらにドキドキだった。
 

「ほら 亜樹ちゃんって こんなんだから お友達も少ないんじゃないかって…… 」

「止めろって!ツマンないこと喋らないって 約束しただろ!?」


 えっ?
 ええっ?

 今のって?
 あきちゃんの声?


「こんのさん 上がってください。アタシの部屋 行きましょう」


 あきちゃんに押されるようにして 階段を上がる。

 ……さっきのって 絶対 あきちゃんの声だったよね?

 いつもと ぜんぜん しゃべり方違うんデスけど……?
 ………。
 ……。
 …。

 
           to be continued in “part Kon 10/17 am 11:12”
 
 
 
 
 

 
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