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作者: 里年翠(りねん・すい)
任務説明:readme
大型モニタに、中年の男性の姿が映し出された。
深いしわの刻まれた顔に、疲労の色が濃く滲んでいる。
しかし、その目は強い意志に満ちていた。

「諸君」男性の声が響き渡る。
「私は管理者のタカハシだ。諸君に与えられた任務について説明しよう」

イチは背筋を伸ばし、真剣な眼差しで大型モニタを見つめた。
ナナは冷静に、しかし鋭い目つきで情報を待ち構えている。
一方、ニゴロは少し落ち着かない様子で、両手をもじもじさせていた。

タカハシは淡々と、しかし重みのある口調で話し始めた。
「諸君の任務は、瓦礫撤去だ。人類に襲いかかった大災害から20年。我々は地下に逃れ、生き延びてきた。しかし、地上の復興なくして人類に未来はない」

「瓦礫...撤去?」ニゴロが首を傾げる。
「それって、ガレキを片付けるってこと?」

イチが優しく微笑んで説明を加えた。
「そうよ、ニゴロ。私たちは地上を清掃して、人間が再び住めるようにするのね」

ナナは冷静に分析を始めた。
「つまり、我々の任務は人類の生存領域の拡大と、地上環境の回復が目的ということですね」

タカハシは頷いた。
「その通りだ。しかし、この任務には大きな危険が伴う。放射能汚染、不安定な建造物、有害物質...様々な脅威が諸君を待ち受けている」

イチの表情が引き締まる。
「分かりました。私たちに任せてください」

ニゴロは少し不安そうな顔をしたが、すぐに明るい声で言った。
「僕たち、頑張るよ!ねえ、ナナ?」

ナナはクールに答えた。
「当然です。それが我々の存在意義レゾンデートルなのでしょうから」

タカハシの目に、かすかな温もりが宿った。
「諸君の協力に感謝する。人類の未来は、諸君の手に委ねられている」

モニタの電源が落ちると、三体のアンドロイドは顔を見合わせた。
そこには決意と、かすかな不安、そして期待が入り混じっていた。

イチが静かに口を開いた。
「さあ、行きましょう。私たちの任務が、ここから始まるわ」

ニゴロは元気よく飛び跳ねた。
「うん!新しい世界が待ってるんだね!」

ナナは冷静に、しかし目に決意の光を宿して言った。
「効率的に、そして確実に任務を遂行しましょう」

三体のアンドロイドは、地下室の扉に向かって歩み始めた。
その足取りは軽やかで、まるで希望に満ちた未来へと歩み出すかのようだった。
扉が開くと、そこには未知の世界が広がっていた。
薄暗い地下室に、期待と決意が満ちあふれる。
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