第2話 絶望を希望に変えろ!! 2 ―三個だボズよ―
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「おうよッッ!!!」
タマゴは威勢良く吠えた。
「仕方ないボッズーねッ! 今日はトコトンお前についていくボッズーよ! お前を信じるボッズー!!!」
タマゴは鼻息荒くそう言った。
タマゴは少年の心を、正義の心を信じる事にしたんだ。
『顔も知らぬ誰かを助けようとする心、その心が世界を救い、その心を裏切れば世界は悪の手に堕ちる。もしこの世に本当に神様がいるのならば、自分に今そう教えてくれている……』とタマゴは思った。
― 世界を救う為の戦いは、もう既に始まってるんだボズね
「さぁ~て! 何をするボッズーか? もちろん俺にも何かやらせるつもりなんだろボズ? あぁ~でも、あまり疲れるような事はやめてくれよ! こう見えても俺の体は繊細なんだからなボッズー!!」
と言いながらも、タマゴの表情を見れば分かる。どうやらやる気満々だ。
その言葉を聞いた少年は大きな声で笑った。
「アハッ! アハハハハハ!!」
感激したんだ。
タマゴが自分を信じてくれた事に。タマゴから感じる友情に。
ちょっとタマゴの切り替えの早さに驚きはしたが……
「ほらほら、笑ってる場合じゃないボッズー! 俺達には時間が無いんだボズよ! 何をしたら良いんだボズか? 早く指示をしろボッズー!!」
タマゴは少年を催促するように、短い腕を組んで右足で地面を踏み鳴らす動作をした。
空中に浮かんでいるから足踏みの音はしないけども。
「へへっ! そうだな!」
少年はタマゴの頭をガッシガッシと撫でた。
「ありがとう!!」
そして、
「ヨッシャァ!!」
少年もタマゴと同じく鼻息荒く吠え、気合いを入れる様にダウンジャケットの柔らかい裾を捲り上げた。
「んじゃ、全力で協力してもらうぜ!!」
「おうよッッ!!!」
「へへっ!」
少年は再び吠えたタマゴにコクリと頷き返すと、気絶するボンを指差した。
「んじゃ、まずはアイツをどっかに隠してもらいたい!」
「ほほん! 簡単だボズな! 隠すのはどこでも良いボズか?」
「あぁ、工場ん中は暗い、場所は任せる。チョウが戻ってきた時、コイツが気絶してるのを見付けたら厄介だからな!」
「ほいやっさ! 了解!了解ッ!! そんなモン楽々だボズ!」
タマゴは気前良く返事をすると、花弁がひらひらと舞う様にボンの胸の上へと降り立った。
「ほら、よっこいしょ!」
タマゴは薄汚れたボンのTシャツの襟元をアヒルの足に似た足でむんずと掴むと「よっこいしょ!」と言いながらも軽々しく持ち上げてしまった。
小柄なボンだが、腕捲りをしたTシャツから見える腕は筋肉質で胸板だって厚い。ガッツリ鍛えている感じがする体つきだ。
そんなボンを体長30センチくらいのタマゴが持ち上げた。しかも、完全にだ。
「エクソシスト」に出てくる悪魔に取り憑かれた女の子を思い出してほしい、彼女の様にボンの体はタマゴが掴む襟元を頂点に、力が抜けた頭や手足をぶらんと垂らしながら完全に宙に浮いてしまっている。
しかも、タマゴの顔を見ても汗もかいていなければ苦しそうでもない。いたって普通だ。ボンの体は風船にでもなってしまったのだろうか。
「んで、コイツを隠したら次は何をしたら良いんだボズ? まだあるんだろ?」
タマゴはボンを持ったまま少年に尋ねた。
「へへぇ……」
少年はまた笑った。
でも今度のはいつものニカッとした笑顔じゃない。苦笑いだ。それは、これから自分が要求する事がタマゴにとっては少しキツイ要求だという事をタマゴの事をよく知る少年には分かっていたからだ。
だが、よく知っているからこそ、今はそのタマゴの"能力"に頼るのが一番だという事も少年は分かっていた。
だから、お願いするしかない。
少年はタマゴを指差した。
「お前の"目"を使って、俺と同じように捕まった人がどこに居るのかを探してほしい!」
少年がそう言うと、間髪入れずにタマゴが叫んだ。
「やっぱりかぁ~~!!」
どうやらタマゴも少年がどんな要求をしてくるのか勘づいていたらしい。残念そうに瞑る瞼はバッテンだ。
「あ………」
少年が『やっぱり無理か?』と口を開きかけた時、ソレを制するようにすぐにタマゴがまた喋った。
「三個ね! 三個だボズよ!」
「へ?」
「だからぁ~! 三個だボズよ!」
タマゴがもう一度繰り返し言うと、少年はやっとその意味を理解した。
「あっ! う……うん! 三個な!三個! じゃあ、やってもらえるか?」
慌てて言う少年に、タマゴは捲し立てる様にこう言った。
「おう、そん代わりハーゲンダッツにしてくれよボズ! 無理だったらスーパーカップでも良いボッズー! モチロン、味はバニラだボッズー!!」
タマゴの大好物、それはバニラアイス。
食べても食べても飽き足らないくらいの大好物だ。
「お……おう!」
「ぐへへぇ~~」
「おうよッッ!!!」
タマゴは威勢良く吠えた。
「仕方ないボッズーねッ! 今日はトコトンお前についていくボッズーよ! お前を信じるボッズー!!!」
タマゴは鼻息荒くそう言った。
タマゴは少年の心を、正義の心を信じる事にしたんだ。
『顔も知らぬ誰かを助けようとする心、その心が世界を救い、その心を裏切れば世界は悪の手に堕ちる。もしこの世に本当に神様がいるのならば、自分に今そう教えてくれている……』とタマゴは思った。
― 世界を救う為の戦いは、もう既に始まってるんだボズね
「さぁ~て! 何をするボッズーか? もちろん俺にも何かやらせるつもりなんだろボズ? あぁ~でも、あまり疲れるような事はやめてくれよ! こう見えても俺の体は繊細なんだからなボッズー!!」
と言いながらも、タマゴの表情を見れば分かる。どうやらやる気満々だ。
その言葉を聞いた少年は大きな声で笑った。
「アハッ! アハハハハハ!!」
感激したんだ。
タマゴが自分を信じてくれた事に。タマゴから感じる友情に。
ちょっとタマゴの切り替えの早さに驚きはしたが……
「ほらほら、笑ってる場合じゃないボッズー! 俺達には時間が無いんだボズよ! 何をしたら良いんだボズか? 早く指示をしろボッズー!!」
タマゴは少年を催促するように、短い腕を組んで右足で地面を踏み鳴らす動作をした。
空中に浮かんでいるから足踏みの音はしないけども。
「へへっ! そうだな!」
少年はタマゴの頭をガッシガッシと撫でた。
「ありがとう!!」
そして、
「ヨッシャァ!!」
少年もタマゴと同じく鼻息荒く吠え、気合いを入れる様にダウンジャケットの柔らかい裾を捲り上げた。
「んじゃ、全力で協力してもらうぜ!!」
「おうよッッ!!!」
「へへっ!」
少年は再び吠えたタマゴにコクリと頷き返すと、気絶するボンを指差した。
「んじゃ、まずはアイツをどっかに隠してもらいたい!」
「ほほん! 簡単だボズな! 隠すのはどこでも良いボズか?」
「あぁ、工場ん中は暗い、場所は任せる。チョウが戻ってきた時、コイツが気絶してるのを見付けたら厄介だからな!」
「ほいやっさ! 了解!了解ッ!! そんなモン楽々だボズ!」
タマゴは気前良く返事をすると、花弁がひらひらと舞う様にボンの胸の上へと降り立った。
「ほら、よっこいしょ!」
タマゴは薄汚れたボンのTシャツの襟元をアヒルの足に似た足でむんずと掴むと「よっこいしょ!」と言いながらも軽々しく持ち上げてしまった。
小柄なボンだが、腕捲りをしたTシャツから見える腕は筋肉質で胸板だって厚い。ガッツリ鍛えている感じがする体つきだ。
そんなボンを体長30センチくらいのタマゴが持ち上げた。しかも、完全にだ。
「エクソシスト」に出てくる悪魔に取り憑かれた女の子を思い出してほしい、彼女の様にボンの体はタマゴが掴む襟元を頂点に、力が抜けた頭や手足をぶらんと垂らしながら完全に宙に浮いてしまっている。
しかも、タマゴの顔を見ても汗もかいていなければ苦しそうでもない。いたって普通だ。ボンの体は風船にでもなってしまったのだろうか。
「んで、コイツを隠したら次は何をしたら良いんだボズ? まだあるんだろ?」
タマゴはボンを持ったまま少年に尋ねた。
「へへぇ……」
少年はまた笑った。
でも今度のはいつものニカッとした笑顔じゃない。苦笑いだ。それは、これから自分が要求する事がタマゴにとっては少しキツイ要求だという事をタマゴの事をよく知る少年には分かっていたからだ。
だが、よく知っているからこそ、今はそのタマゴの"能力"に頼るのが一番だという事も少年は分かっていた。
だから、お願いするしかない。
少年はタマゴを指差した。
「お前の"目"を使って、俺と同じように捕まった人がどこに居るのかを探してほしい!」
少年がそう言うと、間髪入れずにタマゴが叫んだ。
「やっぱりかぁ~~!!」
どうやらタマゴも少年がどんな要求をしてくるのか勘づいていたらしい。残念そうに瞑る瞼はバッテンだ。
「あ………」
少年が『やっぱり無理か?』と口を開きかけた時、ソレを制するようにすぐにタマゴがまた喋った。
「三個ね! 三個だボズよ!」
「へ?」
「だからぁ~! 三個だボズよ!」
タマゴがもう一度繰り返し言うと、少年はやっとその意味を理解した。
「あっ! う……うん! 三個な!三個! じゃあ、やってもらえるか?」
慌てて言う少年に、タマゴは捲し立てる様にこう言った。
「おう、そん代わりハーゲンダッツにしてくれよボズ! 無理だったらスーパーカップでも良いボッズー! モチロン、味はバニラだボッズー!!」
タマゴの大好物、それはバニラアイス。
食べても食べても飽き足らないくらいの大好物だ。
「お……おう!」
「ぐへへぇ~~」