第1話 少年とタマゴ 12 ―生きててくれ……俺が絶対助けっから!―
12
「降りろ!」
そう男は叫びながら、ナイフを指示棒の様にして車外を指した。
結局男はナイフを少年から離してくれる事は無かった。
「はい……」
少年は言われるがまま車を降りようとドアを開けた。
しかし、何故だか男は、降りようとする少年の腕を引っ張り車内に引き戻した。
「やっぱダメだ。お前なんか今までの奴と違うわ、俺から降りる」
そう早口で言いながら、語尾を閉める前に男はリュックを持ったまま先に車を降りていった。
男に無理矢理引っ張られた少年は仰け反る形で倒れ、車の天井を仰ぎ見た。
天井が波のように揺れて見える。
― あぁ…頭がぼんやりする。まさか殴られるとは思ってなかった……クソッ……口も鼻も血でグッチョリだ。気持ちわりぃ……
少年は流れた血を手の甲で拭った。
― あの野郎、さっき何つった?
少年の脳内で男が発した言葉が繰り返される。
「今までの奴……そう言ったよな」
少年は自分自身に確かめるように、呟いた。
「やっぱりか……それじゃあ、やっぱりこれは……」
少年はダンボールジョーカーの人形を強く握った。
「………生きててくれ……俺が絶対助けっから!」
「降りろ!」
そう男は叫びながら、ナイフを指示棒の様にして車外を指した。
結局男はナイフを少年から離してくれる事は無かった。
「はい……」
少年は言われるがまま車を降りようとドアを開けた。
しかし、何故だか男は、降りようとする少年の腕を引っ張り車内に引き戻した。
「やっぱダメだ。お前なんか今までの奴と違うわ、俺から降りる」
そう早口で言いながら、語尾を閉める前に男はリュックを持ったまま先に車を降りていった。
男に無理矢理引っ張られた少年は仰け反る形で倒れ、車の天井を仰ぎ見た。
天井が波のように揺れて見える。
― あぁ…頭がぼんやりする。まさか殴られるとは思ってなかった……クソッ……口も鼻も血でグッチョリだ。気持ちわりぃ……
少年は流れた血を手の甲で拭った。
― あの野郎、さっき何つった?
少年の脳内で男が発した言葉が繰り返される。
「今までの奴……そう言ったよな」
少年は自分自身に確かめるように、呟いた。
「やっぱりか……それじゃあ、やっぱりこれは……」
少年はダンボールジョーカーの人形を強く握った。
「………生きててくれ……俺が絶対助けっから!」