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影なる存在と転じると不可解な仕草と
バールドア城内の壁付近にある木の物陰では、フウルリスクが思考を巡らせていた……。

泪たちはムドルとコルザがくるのを待っていた。しかし、ふとムドルが低度の方向音痴だという事を思い出し……。
 ここはバールドア城の広場。そこから西側の城壁付近に生い茂る木々の物陰では、一人の男が辺りを警戒し広場の様子をみていた。
 
 
 この男は、フウルリスク・ペシア、二十三歳。白っぽい薄紫で数ヶ所に赤いメッシュが入った長い髪を、前髪ごと無造作に後ろで縛っている。
 
 見た目は中世的な顔立ちで、声も女と間違えられる程だ。服装は冒険者のような魔道士系の装備をしている。
 
 ティハイドの家臣の一人だが、主に裏で動くことが多いため表に顔を滅多に出すことはなく。そのため、フウルリスクの存在を知る者は少ない。
 
 勿論、このバールドア城の者が知る訳もなく……。
 
 
 周囲を見渡したあと考え始める。
 
(ティハイド様に調べろと言われた。ですが、この状況でどうしろと? いつも、ボクに無理難題を……困ったものです。さて、どうしようかなぁ)
 
 そう思いながら広場を見据えた。
 
「……とりあえず、民衆に紛れますか」
 
 そう言い広場へと向かい歩きだす。
 
 
 
 ――場所は移り、ここは市場街の空き家――
 
 
 あれからグレイのもとに、ムドルさんから魔法の便箋が送られてきた。それをグレイは読んでいる。
 
「グレイ、ムドルさん……なんて?」
 
「こっちに、二人でくるそうだ。それと、自分のことで話したいことがあるとも書いてある」
 
「そうなのじゃな。ムドルは何を打ち明ける気なのじゃ」
 
 それを聞きグレイはメーメルの方を向いた。
 
「さあな……そこまで書いていない。来てからになりそうだな」
 
「そうなんだね。そういえば、この場所は分かってるの?」
 
「ああ、問題ない。手紙に簡単な地図を書いておいた」
 
 メーメルはそれを聞き不安な表情を浮かべる。
 
「心配じゃ。どんな地図かはしらぬが。道に迷わなければよいがのう」
 
 そのことを聞いた私は、ムドルさんが低度の方向音痴だという事を思い出した。
 
「そういえば、そうだった。まぁ、コルザ様も一緒だから……大丈夫だとは思うが」
 
「そうじゃな。一人じゃない、多分……大丈夫じゃろう」
 
 そう言うもののメーメルは、心配な表情を浮かべている。
 
「んー……やっぱり、心配だ。迎えに行ってくる」
 
「待つのじゃ。ここは妾が迎えに行った方が良いと思うのじゃが」
 
「いや、俺が行く。メーメルは、ルイとここに居てくれ」
 
 グレイは私の方に視線を向けた。なぜか顔が赤いようにみえる。
 
 なんでグレイがそんなことを言ったのか、私は理解できなかった。
 
「……なるほどのう。そういう事か……。なんとなく分かったのじゃ」
 
「すまない。それとメーメル、ムドル宛に手紙を書いて送って欲しい。俺が、そっちに向かったと……」
 
「分かったのじゃ」
 
 そう言いメーメルは頷く。
 
 私は二人のやり取りが一部、分からなかった。だけど、聞かない方がいいと思いやめる。
 
 その後グレイは、この場から離れムドルさんとコルザのもとに向かった。
 
 それを確認するとメーメルは、ムドルさん宛てに手紙を書く。それから便箋をムドルさん宛てに送る。
 
 そして私とメーメルは話をしながら、グレイが二人を連れてくるのを待ったのだった。
読んで頂きありがとうございますヽ(^o^)

『迷子の迷子のムドルさん、貴方のお家はどこですか〜♪』by泪
『迷子になったのか?』byグレイフェズ
『替え歌だよ』by泪
『本人は、なんて言うだろうな』byグレイフェズ
『あーそうだね。でも、なんで笑ってるの?』by泪
『あり得すぎるから、つい』byグレイフェズ
『誰が、でしょうか?』byムドル
『これはルイが歌ってたから』byグレイフェズ
『なるほど、ルイさんのせいにするつもりですか』byムドル
『だから、俺はぁ〜』byグレイフェズ
『逃しませんよ』byムドル

と、いう事で次話もよろしくお願いします(*^▽^*)
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