第9話 図書室にて、勉強
プリ庭での学園生活が始まって数日、大きな問題に直面していた。
「授業についていけなくてつらい」
今日一日授業を受けてみてわかったのだが、ハルトの学力はあまり良いとは言えなかった。頭が悪いわけではなく、真面目に勉強するのを止めてしまっている事が原因だ。……これは果たして自業自得に入るのだろうか?
(ともかく、図書室で学力を上げなきゃ! ……ゲームでは図書室に行くとステータスが上がるけど、どうなんだろ?)
この世界に来ても僕はまだどこかゲームをプレイしている感覚なのかもしれない。とはいえ今の自分の学力をこれ以上低いまま放置しておけない。そう思い今日から放課後に図書室で居残り勉強を始めたのだった。
(問題なのは、この世界じゃ常識が全然違うってところだ。前の知識があまり通用しないんだよね……)
勉強を避けてきたハルトにとっては、まず知識量が足りないために固有名詞ばかりの文章を読む段階で躓いてしまう状況だった。数日間受けた授業内容はまず文章を問題なく読める前提で話が進んでしまうために、授業にどんどん置いていかれてしまうのである。
(うーん……思っていたより大変だな、これは)
まずは文章をまともに読めるレベルにならないといけない。この状態から今の授業に追いつくことが出来るのだろうか。そう思うとかなりの不安が押し寄せてきた。机に開いていた教科書から一度意識を切り離すと、なんだか周囲が僕を見てざわついていた。
「え?あのハルトが図書室で勉強を……?」
「見間違いかしら?いいえ、これはきっと白昼夢ね……」
「き、きっと本の読みすぎね……帰って休憩用の本を読むことにするわ」
(……なんか、表現や行動が独特な人多いな)
僕が図書室に入ってからわずか数分でこの言われようである。確かに去年はこの場所に一度も訪れた覚えがない。通常は静かな空間であるはずが、僕がいることによって皆が集中できない状態になってしまった。
(ダメだ、とても集中できそうにない。皆の迷惑にもなりそうだし、続きは家でやろう)
次からは本を何冊か借りて家で読むことにしよう。ハルトがここにいることは、僕にとっても図書室にいる彼らにとってもあまりよろしくない。何冊か借りる本を探そうと思い教科書を閉じる。
その時、周囲の目線が自分では無い方に集まっている事に気が付いた。目線を上げると、机の向かい側から僕に話しかけるタイミングを伺っている様子の女生徒が立っていたのである。
「あの、貴方はハルト・ユークリウッド君……で合っていますか?」
「はい。そうですけど……って、えぇっ!?」
何と、リリア・フレイルが僕に話しかけてきたのだ。ここが図書室であることをすっかり忘れて、僕は大声で驚いてしまった。
「授業についていけなくてつらい」
今日一日授業を受けてみてわかったのだが、ハルトの学力はあまり良いとは言えなかった。頭が悪いわけではなく、真面目に勉強するのを止めてしまっている事が原因だ。……これは果たして自業自得に入るのだろうか?
(ともかく、図書室で学力を上げなきゃ! ……ゲームでは図書室に行くとステータスが上がるけど、どうなんだろ?)
この世界に来ても僕はまだどこかゲームをプレイしている感覚なのかもしれない。とはいえ今の自分の学力をこれ以上低いまま放置しておけない。そう思い今日から放課後に図書室で居残り勉強を始めたのだった。
(問題なのは、この世界じゃ常識が全然違うってところだ。前の知識があまり通用しないんだよね……)
勉強を避けてきたハルトにとっては、まず知識量が足りないために固有名詞ばかりの文章を読む段階で躓いてしまう状況だった。数日間受けた授業内容はまず文章を問題なく読める前提で話が進んでしまうために、授業にどんどん置いていかれてしまうのである。
(うーん……思っていたより大変だな、これは)
まずは文章をまともに読めるレベルにならないといけない。この状態から今の授業に追いつくことが出来るのだろうか。そう思うとかなりの不安が押し寄せてきた。机に開いていた教科書から一度意識を切り離すと、なんだか周囲が僕を見てざわついていた。
「え?あのハルトが図書室で勉強を……?」
「見間違いかしら?いいえ、これはきっと白昼夢ね……」
「き、きっと本の読みすぎね……帰って休憩用の本を読むことにするわ」
(……なんか、表現や行動が独特な人多いな)
僕が図書室に入ってからわずか数分でこの言われようである。確かに去年はこの場所に一度も訪れた覚えがない。通常は静かな空間であるはずが、僕がいることによって皆が集中できない状態になってしまった。
(ダメだ、とても集中できそうにない。皆の迷惑にもなりそうだし、続きは家でやろう)
次からは本を何冊か借りて家で読むことにしよう。ハルトがここにいることは、僕にとっても図書室にいる彼らにとってもあまりよろしくない。何冊か借りる本を探そうと思い教科書を閉じる。
その時、周囲の目線が自分では無い方に集まっている事に気が付いた。目線を上げると、机の向かい側から僕に話しかけるタイミングを伺っている様子の女生徒が立っていたのである。
「あの、貴方はハルト・ユークリウッド君……で合っていますか?」
「はい。そうですけど……って、えぇっ!?」
何と、リリア・フレイルが僕に話しかけてきたのだ。ここが図書室であることをすっかり忘れて、僕は大声で驚いてしまった。