▼詳細検索を開く
作者: タアアタ
残酷な描写あり
第26話 この世界に突然に
変化がくることもない、
巨大な竜は倒され、
竜の遺骸を祀る間に切り分けられて、
新しい人々に分配される毎日だ。

どこぞの人がモンスターに変貌を遂げたとしても、
たちまちクエストで始末されてしまう。
それまでの過程を文士に頼っている故に、
なかなか、カタチになって届いては来ない。

悪魔が現れて社会を悪くしようと企てる、
そのたくらみを知った誰かが解決に向けて努力する。
それをうまく文に出来たらどれだけ良いことか、
にも関わらず、それを見たように描けるものはいない、
誰もが遠くから見つめている状態で、
遠のく意識をかろうじて保っているかのようで、
かすかな呼吸で全てが描かれている。

もってこの世界の寿命は唐突に尽きようとしていた、
起きる現象、事象、どれをとっても突拍子も無いようで、
起きたということだけがかろうじてわかる程度、
深く知ろうとしなければ分かるはずもない今世である。

知識がすべてを物語るなら、すべての知識を捨ててしまおう、
残ったのは呼吸だけである。吸って吐く。呼吸だけ。

世界に呼吸だけが残った。
Twitter