R-15
一話 『あたしに恋を教えて』
初めましての方、初めましてタトバリンクスです。
ユルーイ感じで書き始めたので、気楽に読んでください。
それではお楽しみください。
ユルーイ感じで書き始めたので、気楽に読んでください。
それではお楽しみください。
「……」
人と知り合うきっかけといえば様々だ。
例えば同じクラスで席が隣同士だったり。
例えば同じ部活だったり。
例えば家同士が近所で自然と遊ぶようになったり。
今上げた一例以外にも様々なきっかけの形がある。そんな星の数ほどの出会いがやがてかけがえない友人や恋人、そして家族の始まりとなる。
なぜこんなことを語りだしたかというと、今まさに僕は一つの出会いのきっかけに直面したからである。
「マジで……死ぬ……」
それはゴールデンウィークが明けた五月六日。久々の授業が終わった放課後の廊下。
窓から少しずつ日が傾き始めたオレンジ色の日差しが差し込む廊下で、一人の女の子が倒れていた。
「あの……大丈夫ですか……」
僕は恐る恐る近づいて女の子に声をかけてみると、彼女はガシッと僕の脚を掴んだ。
「ひっ!!」
「あたしを……第二科学室まで……連れてって……」
急に脚を掴まれて驚いて尻餅を付いてしまった僕に彼女は気にせず死にそうな声でお願いをしてくる。
「分かった!!分かったから!!とりあえず脚を離してください!!」
あまりにも恐すぎる状況だったので、僕は彼女をお願いを聞き、彼女を第二科学室まで連れていってあげた。
※※※
「いや~君のお陰で死なずに済んだよ、ありがとう」
科学室の机で向かい合いながら椅子に座る彼女は笑顔でお礼を言う。
お互いの手には準備室にあった栄養ドリンクを持っている。科学室に連れていった際に、ついでに取ってきて欲しいと言われたものだ。
彼女をチラッと見ると、顔が綺麗に整いながらも知的なメガネを掛け、綺麗に手入れされた黒髪をポニーテールで結んだ女の子。
制服のリボンから僕と同じ一年生だということが分かる。
「別にお礼を言われるほどじゃあ……」
「イヤイヤイヤ、マジで死ぬところだったから君には感謝しかないよ、え~と、確か……誰だっけ?」
「同じクラスの島田頼那だよ……佐城沙知さん……」
「あれ? そうだっけ? ごめんね、あたしって人の顔と名前を覚えるの苦手で、というかよくみんな覚えられるよね」
「まだ入学して一ヶ月だから、別にみんなが覚えているとは言いきれないけど……」
「じゃあ……何で君はあたしのこと覚えてるの?」
「うぅ……それは……」
彼女のことをちゃんと覚えてた理由を答えることができなかった。というか言えるはずもない。
「へぇ~言えない理由があるんだ~、あたし気になるなぁ~」
僕の反応を見て、面白そうなおもちゃを見つけたような悪い顔をする佐城さん。何か嫌な予感がする。
「ふ~ん、もしかしてあたしの身体でエッチな妄想とかしたりしてる?」
「はあ!?」
「あたしっておっぱい大きいから男子に自慰行為のオカズにされてると思うんだよね」
初めて話す相手にとんでもないこと口にする佐城さんにドン引きせざる追えなかった。
スタイルが良いのは認めるけど、これをさらっと言える思考回路は理解できない。
「仮にしてたとしてもそれを本人の前で言うと思う?」
「まあ、確かに……けど、あたしとしては年頃の男子がどういったシチュエーションであたしを辱しめているのか気になるんだよね」
「か、変わってるね……」
知的な容姿から繰り出される直球な猥談。あまりにもギャップがありすぎてマジで思考回路が理解できない。
「ちなみにバストは90のFカップだよ」
バスト90……Fカップか……。ダメだ、ダメだ。邪な妄想をしてしまいそうになる。
「あっ、今、あたしの胸見たでしょ」
「見てないって!!」
「ウソ付いても無駄だよ、目線で分かるよ」
「ごめんなさい!! チラッと見てました!!」
不敵な笑みを僕に向ける佐城さんに対して、恐怖を感じて、直ぐ様机に全力で頭を付ける。マジで何されるか分からない。
「素直でよろしいけど、物足りないなぁ~」
つまらなそうな顔をする佐城さん。マジで謝らなければ変な方向でからかってきたかもしれない。
「さて、話を戻して君があたしのこと覚えてたのは、もしかしてあたしのこと好きだった?」
「……違う」
「おっ!! この反応マジっぽい!! ねえねえあたしのどういうところに惚れたの!? 顔? おっぱい? お尻?」
エサに食い付いたようにグイグイと質問責めする佐城さん。この人、恥じらいってものがないな。
「おっと、話さないとこの教室から出さないし、何だったら逃げようものなら学校中に広めまくるよ!!」
有無を言わさず、素早い動きで教室の至るところの鍵を閉めて、更に脅してくる。
おかしいな。ただ行き倒れてた佐城さんを助けただけなのに何でこんなことになってるんだろう。
「それでそれで、一体あたしのどこを見て惚れたの!!」
「……一目惚れだよ……」
下手に誤魔化したりすると、変な方向に話が進むかもしれないからボソッと口にする。
「一目惚れかぁ~!! どんな感じなの!? どこで一目惚れしたの!? 教えて!!」
何でこの人、自分に対しての恋バナでそんなに盛り上がれるのだろうか。何で僕はこんな恥ずかしい思いをしなければならないんだろうか。
「言わないとダメなのか?」
「聞きたいなぁ~、聞きたいなぁ~」
キラキラと輝かせてる顔を近づけながら僕を見つめる佐城さんに、目を逸らして諦めるように話した。
「入学式の日に佐城さんをパッと見て、目が離せなくなって気づいたら好きになってた」
「入学式の日に一目惚れって……ラブコメマンガみたいな展開だね!! 興味深い!! ちなみにどこが目が離せないの!?」
「笑顔……」
「THE・王・道!! 良いじゃん良いじゃん!! 何で笑顔なの!?」
「無邪気っぽい笑顔が可愛かったから……」
「なるほどね!! エッチな見た目の女の子の子どもっぽさのギャップにエモさ感じたんだ!!」
「分析しなくていい!! 恥ずかしいから!!」
何故僕は初恋の相手にこんなことを答えているのだろうか。というか恥ずかしくないのか佐城さんは。
「何でこんなこと聞くんだよ、てか相手が自分だっていうのに恥ずかしくないのかよ」
「え~別に恥ずかしいとは思わないし、ただ単純に恋をしている人の感情とか知りたいだけ」
からっとした表情で答える彼女。この反応からして、この人はただ好奇心だけで僕の恋心を知ろうとしていただけ。
「あたしって昔から好奇心旺盛で知らないことは知るまでとことん調べないと気が済まないタイプなんだよね」
「何となくそんな気はした」
「やっぱりそう思われちゃうよね~、知らないことあるとグイグイいってよく引かれることも日常茶飯事だし、ウザがられるなんて当たり前だよ」
「でも止められないんだよね~、どんな状況だろうと、空気読めなくても、あたしは知りたいって思ったらもう行動しちゃってるから~」
自分の性質を自覚した上で、曲げるつもりはないと感じさせる彼女の言葉に僕は思わず口にした。
「何かカッコいい……」
「うぇ!? カッコいいなんて初めて言われたよ!! 何で何でそう思ったの!?」
「何て言うか生き方に芯がある感じがカッコいいって」
正直、この感想は僕が彼女に恋をしているせいで、フィルターが掛かってそんな風に思えたのかもしれない。恋愛感情がない状態で同じことを聞いたら、もしかしたら彼女のことをウザがってしまってたかもしれない。
「なるほど~芯ね……あたしは知的好奇心の赴くままに行動しているだけだけどね……君にはそんな風に見えるのか……」
僕の答えを聞いて突然あれこれ考え始める佐城さん。
「これも彼があたしに恋をしているから……それとも彼自身の感性かな……これは……ヨシッ!!」
色々とぶつぶつ何か独り言を言ったと思ったら突然、何かを決断したかのように僕の方を見る。
「確認だけど、あなたはあたしのことを好きなんだよね?」
「うん……まあ……そうだけど……」
面と向かってもう一度言うのは恥ずかしいというか照れる。てか何の確認だよ。
「で、あたしは恋を知りたいって思ってる……これってお互いに利害が一致していると思うんだよ」
「一体何の話をしているんだ……」
「つまり、あたしたちが付き合えば、お互いに欲しいものは手に入るって話だよ!!」
「……はあ!?」
一瞬、話の内容が理解できなくて、理解に遅れたが、いや、理解できたところで全く頭に追い付かない。
「君はあたしを恋人にできて、あたしは恋を知ることができる、ほらっ、Win-Winでしょ?」
「いや……確かに……そうだけど!! そんな簡単に恋人を選んで良いのか!?」
「別にあたしは恋を知れればそれで良いし、君もあたしを恋人にできる、お互いに得をできてるから問題ないって」
無邪気な笑顔で答える彼女。本当に自分が知らないことに対してなりふり構わずに行動するみたいだ。
実際に彼女の発言を耳にして、ようやく実感ができた。彼女は知的好奇心だけで生きている獣。自分が知らないものを知れるとなれば、どこまでも貪欲に食らい付いていく。
彼女の本質は無邪気とも言えるし、狂っているとも言える。
そんな彼女が恐いと思う僕がいると同時に、彼女が自分の恋人になるという事実に高揚感で高ぶる自分もいた。
佐城さんは美人だし、スタイルも良いし、何より胸が大きい。こんな人が僕の彼女になるなんて、僕の人生でもう二度とないかもしれない。
いや、しかし、知的好奇心だけで付き合おうとしてくる人だ。どう見ても見えている地雷でしかない。下手をすれば面倒事に巻き込まれるなんて一度や二度じゃ済まないはず。
「あたしは恋が知りたいの!!」
思考を巡らせてる僕の不意を突くように佐城さんは腕を掴み、真っ直ぐ僕を見つめながら──
「だからあなたがあたしに恋を教えて!!」
無邪気な笑顔でお願いする彼女を見て僕は決心した。
「分かった!! だから、佐城さんも僕の彼女になって欲しい!!」
もういい。この無邪気な笑顔が一番近くで見れるなら面倒事の十個や百個、千個だってドンと来い。
「おぉ~!! 引き受けてくれると思ってたよ、これからもよろしくね、ラインハルトくん!!」
「頼那だよ!!」
「おっと、そうだっけ? あはは、ごめんごめん」
まさか、名前すら覚えてない人と恋人になろうとするなんて思っても見なかったけど……先行き不安だ……。
そんな不安を感じているとは露知らずに無邪気な笑顔を向けたまま握った手をブルンブルン上下に振り回す佐城さんを見て思った。
僕はもう既に彼女の笑顔によって狂わされたみたいだと。
人と知り合うきっかけといえば様々だ。
例えば同じクラスで席が隣同士だったり。
例えば同じ部活だったり。
例えば家同士が近所で自然と遊ぶようになったり。
今上げた一例以外にも様々なきっかけの形がある。そんな星の数ほどの出会いがやがてかけがえない友人や恋人、そして家族の始まりとなる。
なぜこんなことを語りだしたかというと、今まさに僕は一つの出会いのきっかけに直面したからである。
「マジで……死ぬ……」
それはゴールデンウィークが明けた五月六日。久々の授業が終わった放課後の廊下。
窓から少しずつ日が傾き始めたオレンジ色の日差しが差し込む廊下で、一人の女の子が倒れていた。
「あの……大丈夫ですか……」
僕は恐る恐る近づいて女の子に声をかけてみると、彼女はガシッと僕の脚を掴んだ。
「ひっ!!」
「あたしを……第二科学室まで……連れてって……」
急に脚を掴まれて驚いて尻餅を付いてしまった僕に彼女は気にせず死にそうな声でお願いをしてくる。
「分かった!!分かったから!!とりあえず脚を離してください!!」
あまりにも恐すぎる状況だったので、僕は彼女をお願いを聞き、彼女を第二科学室まで連れていってあげた。
※※※
「いや~君のお陰で死なずに済んだよ、ありがとう」
科学室の机で向かい合いながら椅子に座る彼女は笑顔でお礼を言う。
お互いの手には準備室にあった栄養ドリンクを持っている。科学室に連れていった際に、ついでに取ってきて欲しいと言われたものだ。
彼女をチラッと見ると、顔が綺麗に整いながらも知的なメガネを掛け、綺麗に手入れされた黒髪をポニーテールで結んだ女の子。
制服のリボンから僕と同じ一年生だということが分かる。
「別にお礼を言われるほどじゃあ……」
「イヤイヤイヤ、マジで死ぬところだったから君には感謝しかないよ、え~と、確か……誰だっけ?」
「同じクラスの島田頼那だよ……佐城沙知さん……」
「あれ? そうだっけ? ごめんね、あたしって人の顔と名前を覚えるの苦手で、というかよくみんな覚えられるよね」
「まだ入学して一ヶ月だから、別にみんなが覚えているとは言いきれないけど……」
「じゃあ……何で君はあたしのこと覚えてるの?」
「うぅ……それは……」
彼女のことをちゃんと覚えてた理由を答えることができなかった。というか言えるはずもない。
「へぇ~言えない理由があるんだ~、あたし気になるなぁ~」
僕の反応を見て、面白そうなおもちゃを見つけたような悪い顔をする佐城さん。何か嫌な予感がする。
「ふ~ん、もしかしてあたしの身体でエッチな妄想とかしたりしてる?」
「はあ!?」
「あたしっておっぱい大きいから男子に自慰行為のオカズにされてると思うんだよね」
初めて話す相手にとんでもないこと口にする佐城さんにドン引きせざる追えなかった。
スタイルが良いのは認めるけど、これをさらっと言える思考回路は理解できない。
「仮にしてたとしてもそれを本人の前で言うと思う?」
「まあ、確かに……けど、あたしとしては年頃の男子がどういったシチュエーションであたしを辱しめているのか気になるんだよね」
「か、変わってるね……」
知的な容姿から繰り出される直球な猥談。あまりにもギャップがありすぎてマジで思考回路が理解できない。
「ちなみにバストは90のFカップだよ」
バスト90……Fカップか……。ダメだ、ダメだ。邪な妄想をしてしまいそうになる。
「あっ、今、あたしの胸見たでしょ」
「見てないって!!」
「ウソ付いても無駄だよ、目線で分かるよ」
「ごめんなさい!! チラッと見てました!!」
不敵な笑みを僕に向ける佐城さんに対して、恐怖を感じて、直ぐ様机に全力で頭を付ける。マジで何されるか分からない。
「素直でよろしいけど、物足りないなぁ~」
つまらなそうな顔をする佐城さん。マジで謝らなければ変な方向でからかってきたかもしれない。
「さて、話を戻して君があたしのこと覚えてたのは、もしかしてあたしのこと好きだった?」
「……違う」
「おっ!! この反応マジっぽい!! ねえねえあたしのどういうところに惚れたの!? 顔? おっぱい? お尻?」
エサに食い付いたようにグイグイと質問責めする佐城さん。この人、恥じらいってものがないな。
「おっと、話さないとこの教室から出さないし、何だったら逃げようものなら学校中に広めまくるよ!!」
有無を言わさず、素早い動きで教室の至るところの鍵を閉めて、更に脅してくる。
おかしいな。ただ行き倒れてた佐城さんを助けただけなのに何でこんなことになってるんだろう。
「それでそれで、一体あたしのどこを見て惚れたの!!」
「……一目惚れだよ……」
下手に誤魔化したりすると、変な方向に話が進むかもしれないからボソッと口にする。
「一目惚れかぁ~!! どんな感じなの!? どこで一目惚れしたの!? 教えて!!」
何でこの人、自分に対しての恋バナでそんなに盛り上がれるのだろうか。何で僕はこんな恥ずかしい思いをしなければならないんだろうか。
「言わないとダメなのか?」
「聞きたいなぁ~、聞きたいなぁ~」
キラキラと輝かせてる顔を近づけながら僕を見つめる佐城さんに、目を逸らして諦めるように話した。
「入学式の日に佐城さんをパッと見て、目が離せなくなって気づいたら好きになってた」
「入学式の日に一目惚れって……ラブコメマンガみたいな展開だね!! 興味深い!! ちなみにどこが目が離せないの!?」
「笑顔……」
「THE・王・道!! 良いじゃん良いじゃん!! 何で笑顔なの!?」
「無邪気っぽい笑顔が可愛かったから……」
「なるほどね!! エッチな見た目の女の子の子どもっぽさのギャップにエモさ感じたんだ!!」
「分析しなくていい!! 恥ずかしいから!!」
何故僕は初恋の相手にこんなことを答えているのだろうか。というか恥ずかしくないのか佐城さんは。
「何でこんなこと聞くんだよ、てか相手が自分だっていうのに恥ずかしくないのかよ」
「え~別に恥ずかしいとは思わないし、ただ単純に恋をしている人の感情とか知りたいだけ」
からっとした表情で答える彼女。この反応からして、この人はただ好奇心だけで僕の恋心を知ろうとしていただけ。
「あたしって昔から好奇心旺盛で知らないことは知るまでとことん調べないと気が済まないタイプなんだよね」
「何となくそんな気はした」
「やっぱりそう思われちゃうよね~、知らないことあるとグイグイいってよく引かれることも日常茶飯事だし、ウザがられるなんて当たり前だよ」
「でも止められないんだよね~、どんな状況だろうと、空気読めなくても、あたしは知りたいって思ったらもう行動しちゃってるから~」
自分の性質を自覚した上で、曲げるつもりはないと感じさせる彼女の言葉に僕は思わず口にした。
「何かカッコいい……」
「うぇ!? カッコいいなんて初めて言われたよ!! 何で何でそう思ったの!?」
「何て言うか生き方に芯がある感じがカッコいいって」
正直、この感想は僕が彼女に恋をしているせいで、フィルターが掛かってそんな風に思えたのかもしれない。恋愛感情がない状態で同じことを聞いたら、もしかしたら彼女のことをウザがってしまってたかもしれない。
「なるほど~芯ね……あたしは知的好奇心の赴くままに行動しているだけだけどね……君にはそんな風に見えるのか……」
僕の答えを聞いて突然あれこれ考え始める佐城さん。
「これも彼があたしに恋をしているから……それとも彼自身の感性かな……これは……ヨシッ!!」
色々とぶつぶつ何か独り言を言ったと思ったら突然、何かを決断したかのように僕の方を見る。
「確認だけど、あなたはあたしのことを好きなんだよね?」
「うん……まあ……そうだけど……」
面と向かってもう一度言うのは恥ずかしいというか照れる。てか何の確認だよ。
「で、あたしは恋を知りたいって思ってる……これってお互いに利害が一致していると思うんだよ」
「一体何の話をしているんだ……」
「つまり、あたしたちが付き合えば、お互いに欲しいものは手に入るって話だよ!!」
「……はあ!?」
一瞬、話の内容が理解できなくて、理解に遅れたが、いや、理解できたところで全く頭に追い付かない。
「君はあたしを恋人にできて、あたしは恋を知ることができる、ほらっ、Win-Winでしょ?」
「いや……確かに……そうだけど!! そんな簡単に恋人を選んで良いのか!?」
「別にあたしは恋を知れればそれで良いし、君もあたしを恋人にできる、お互いに得をできてるから問題ないって」
無邪気な笑顔で答える彼女。本当に自分が知らないことに対してなりふり構わずに行動するみたいだ。
実際に彼女の発言を耳にして、ようやく実感ができた。彼女は知的好奇心だけで生きている獣。自分が知らないものを知れるとなれば、どこまでも貪欲に食らい付いていく。
彼女の本質は無邪気とも言えるし、狂っているとも言える。
そんな彼女が恐いと思う僕がいると同時に、彼女が自分の恋人になるという事実に高揚感で高ぶる自分もいた。
佐城さんは美人だし、スタイルも良いし、何より胸が大きい。こんな人が僕の彼女になるなんて、僕の人生でもう二度とないかもしれない。
いや、しかし、知的好奇心だけで付き合おうとしてくる人だ。どう見ても見えている地雷でしかない。下手をすれば面倒事に巻き込まれるなんて一度や二度じゃ済まないはず。
「あたしは恋が知りたいの!!」
思考を巡らせてる僕の不意を突くように佐城さんは腕を掴み、真っ直ぐ僕を見つめながら──
「だからあなたがあたしに恋を教えて!!」
無邪気な笑顔でお願いする彼女を見て僕は決心した。
「分かった!! だから、佐城さんも僕の彼女になって欲しい!!」
もういい。この無邪気な笑顔が一番近くで見れるなら面倒事の十個や百個、千個だってドンと来い。
「おぉ~!! 引き受けてくれると思ってたよ、これからもよろしくね、ラインハルトくん!!」
「頼那だよ!!」
「おっと、そうだっけ? あはは、ごめんごめん」
まさか、名前すら覚えてない人と恋人になろうとするなんて思っても見なかったけど……先行き不安だ……。
そんな不安を感じているとは露知らずに無邪気な笑顔を向けたまま握った手をブルンブルン上下に振り回す佐城さんを見て思った。
僕はもう既に彼女の笑顔によって狂わされたみたいだと。
如何だったでしょうか。
こんな感じで二人の恋愛は始まっていきます。ぶっちゃユルーイ感じでやっていくので、特に気にせず、読んでいただければ幸いです。
気軽に感想や評価など頂けるとモチベにも繋がって嬉しいです。
誤字、脱字ありましたらご報告していただけると有り難いです。
それでは次回をお楽しみに。
こんな感じで二人の恋愛は始まっていきます。ぶっちゃユルーイ感じでやっていくので、特に気にせず、読んでいただければ幸いです。
気軽に感想や評価など頂けるとモチベにも繋がって嬉しいです。
誤字、脱字ありましたらご報告していただけると有り難いです。
それでは次回をお楽しみに。