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作者: 犬物語
【宇宙】この世界に"時間"など存在しない【ループ量子重力理論】
DIO様終了のお知らせ?

いやいやそんなコトはないのよ。これは「こう考えれば"時間"の正体がわかるよね?」ってだけよ
 わたしたちが暮らすこの世界。一般的には宇宙と呼ばれ、様々な物質があり、もしくはなにもない虚無の空間があり、銀河があり、太陽があり、地球があり、そしてアナタがいます

 この宇宙は数多くのルール不文律があり、重力、電磁気力、弱い力、強い力という4つの力だけで成り立っています

 強い力があるからこそ物質が生まれ、弱い力があるからこそ物質は変質し、電磁気力があるからこそ電気が在り、重力があるからこそあらゆる物質は惹かれ合う――これらの法則に従い、わたしたちは今日まで存続することができました

 人は考える葦である。どこぞの哲学者だかなんだかが言ったそれのとおり、人類は好奇心をもってありとあらゆるナゾを解き明かし続けています。この宇宙に散りばめられたナゾは、そんな人間をしても難解不可思議な分野でございます。とくに「重力ってなんだ?」ってのがマジ難易度高くてこまっちゃうの

 4つの力とか重力理論とかいろいろ書いてるけど、それに関しては他Web小説投稿サイトさんにアップしてる『つれづれグサッ』を参照いただくか、もしくはビーノベさんでも重力波的な話題として『【宇宙】この世界を満たす"波"を観測する【重力】』を書いたのでそちらを参照いただければ幸い

 ひとことで書けば「重力はナゾが多い」んです。他の力と比べ観測が難しい故に多くの説が生まれており、そのなかでもおもしろい理論である『ループ量子重力理論』を今回紹介しようと思いました。ってことでさっそく書き書きしてきましょう

 注意:宇宙関連についてある程度知識をもってないと追いつけない話題となります。ほんのり4つの力とか量子力学的なお話を履修してきてください





:重力にも"場"があるんだよ:

 ループ量子重力理論は「重力場には"これ以上分解できないまとまり"があって、それらがネットワークを組んでるんだよ」という理論です

 この世界は"場"で満たされています。場所があるからこそアナタやわたし、地球などが存在できる。音が空気という"場"を連続して伝わることでわたしたちの耳に届くように、重力もまた"重力場"という場を通して伝わっています

 力が"場"を通して伝わっていく。これは電磁気力にも言えることで、電磁気力の場合は電場と地場が交互に生まれることで永遠と遠くに向かうことができますが、重力の場合重力場がこれ以上分解・・・・・・できない大きさ・・・・・・・で存在し、それらが互いにネットワークを形成することで重力を生み出しているのです

 この構造は生物の"細胞"をイメージするとわかりやすいでしょう。細胞ひとつがこれ以上分解できない重力場で、それがとなりの細胞とネットワークを形成して重力が伝わるための"場"を生み出しているイメージです

 細胞そのものを『ループ』と呼び、細胞核にあたる部位を『ノード』と呼びます。だいたいこんな感じ伝われ


⦿⦿⦿⦿⦿
⦿⦿⦿⦿⦿
⦿⦿⦿⦿⦿
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※ ◯がループ、●がノード

 実際はこのように整然と揃ってはおらず、3次元なので奥行きもあります。んで、各ノードくんが最寄りのノードと"線"を繋がればループ量子重力理論のイメージ図になります

 このイメージを『スピンネットワーク』と呼びます。で、もっとも重要なのは『ループひとつが時空そのもの』ということ。つまりこの⦿くんが空間の最小単位となります

 空間の最小単位。これさらっと書いたけどとんでもないことなのよ。だって『空間自体が連続的ではなく、離散的に量子化されている』ということなんだもの。つまりこのネットワークが崩壊した日にゃあ……もしかしたらわたしたちの身体がビリビリに破れ去る瞬間が見られるかもですね、いや見たくはないかぐろてっすくぅ~

 ここまで突拍子もない理論を解説してきましたが、宇宙に関するというか量子力学は基本すら支離滅裂に見えるので耐えてください



:歴史と改良:

 重力理論はアインシュタインが1915年ごろから提唱してる『一般相対性理論』に基づいています。逆に言えば100年以上経ってもモダンな重力理論が誕生してないっつーことなんだけどそこは割愛

 現在の重力理論研究は、一般相対性理論で説明された「重力とはなにか?」に関する数式をあれこれ弄って理論発展させるのがトレンドです。んで20世紀後半になって、一般相対性理論に基づき「時空の歪みを量子化できないかな?」と考えた方々がいました

 時空の歪み。わたしたちは存在するだけで周囲の時空を歪ませます。質量をもつすべての存在が自由を歪ませることができますが、わたしたちにくらべ地球がはるかに強い歪み力をもってるので、地球と人の間の空間が歪み、結果として『人が地球に引っ張られている』という見え方になります。実際はわたしたちも地球を引っ張ってるんですよ?

YouTubeチャンネル、でんじろう先生のはぴエネ!【公式】Mr. Denjiro's Happy Energy!
ttps://youtu.be/9s74DzzCSW8

 時空の歪みはよく"ゴム板にボールを乗せる"ことで説明されます。へこんだゴムの分だけ時空が歪んだということです。それはそれでわかりやすいのですが、これゴム板だから"ゆがみの最小単位"がわからないですよね? ――上記学者さんたちは、その歪みの最小単位を求めようとした、つまり量子化しようとしたわけです

 イメージするなら上記ゴム板を『砂場』にした感じでしょうそこにボールを置くと周囲の砂部分がへこみますが、その砂粒ひとつひとつを細かく検証して"最小単位のゆがみ"を求めていった感じ

 学者さんたちが一般相対性理論に矛盾内数学的計算式を試みていき、その結果『ホイーラー・ドウィット方程式』が誕生しました。ホイーラーさんとドウィットさんが考えたからこういうネーミングなのです

 これまで時空は"滑らかな値"をとると考えられてきましたが、上記方程式では一定の"最小単位"ごとに値をとることになります。この方程式は誕生当時多くの批判や問題を抱えていましたが、それらは少しずつ研究改良が重ねられていき今でも進化し続けています



:時間なぞ存在しない:

 この理論のおもしろいところ、それは『時間の概念が存在しない』ということに尽きるでしょう

 わたしたちは"時間"を感じています。それどころか時間の概念を積極的に取り入れ時計というアイテムを作り出し、世界共通して同じ時間感覚をもつよう教育され、太陽や月という"時間の流れを感じさせてくれる存在"と共に過ごしていますね

 じゃあ、たとえば太陽や月が存在せず、なにもない虚無空間に置かれ、時間を示すアイテムがなにもない環境にいたらどうなるでしょう? ――実は心理学やらなにやらの実験でそういった変化がないと時間感覚が狂ったり、孤独により時間感覚が狂ったりすることは知られています

 人が感じる時間は、これまでの生活習慣や社会通念により文字通り"感じている"だけに過ぎないのです。では重力理論における時間はどうなのでしょう?

 上記方程式には"時間"の変数が組み込まれていません。つまり時空ではなく空間(重力場)だけの方程式と呼べるでしょう。しかしループ量子重力理論においてそれは大きな問題ではありません。なぜなら空間の変化が・・・・・・時間の変化を・・・・・・起こしている・・・・・・からです

 ループ量子重力理論では、物理的な現象として"時空の量子"がネットワークを形成することでその都度・・・・時空が生じる・・・・・・のです

 時空の量子は絶えずゆらいでおり、それが時間状態なのか空間状態なのか区別できません。乱暴に書いてしまえば、このネットワークの状態変化こそが時間の変化と書くこともできます。イタリアの理論物理学者でありループ量子重力理論の第一人者でもある『カルロ・ロヴェッリ』氏は、この量子化された重力理論について「時間は存在しない」とさえ言ってのけました

 時間は『過去 → 今 → 未来』に流れているように感じますね。が、実は物理学の世界において"時間の向き"ってわりと曖昧なんです。たとえば棒にヒモを吊るして球をぶら下げ、それを持ち上げて手を話すと振り子のようにフリフリし始めますよね? それを撮影して逆再生したらどうなるでしょう? ――どちらも『同じ場所をフリフリしてる映像』が撮影できます。これを見比べるとどちらが通常再生でどちらが逆再生かわかりません

 いや、もちろん時間が経てば動かなくなるので「あ、こっちが逆再生だ」ってのはわかりますが――これは振り子が揺れるためにもってたエネルギーが空気抵抗などにより"熱エネルギー"に変換されるからで、熱エネルギーに変換されなければ振り子は永遠とフリフリし続けることができるでしょう

 熱力学では『熱力学第2法則(エントロピー増大の法則)』という断固とした決まりがあり、これは時間とともに不可逆性な変化をもつので時間は一方向・・・・・・に固定されます……が! 逆に書けばエントロピー増大の法則が関係なければ時間の方向性がアッチコッチに動いてもわりと自由度が高いということ。そこに時間という概念はない! と書いちゃってもいいのかもしれない

 けどわたしたちはしっかり『過去 → 現在 → 未来』を認識してるじゃん? これはいったいどういうことなの? って話だよね――上記のように、物理学では『エントロピー(秩序性)が増大(無秩序性に移行)する方向』がすなわち時間の方向となります。ただ人間は時間と空間がいっしょになった時空の広がりをすべて一挙に認識することはできません。じゃあどうやって『時間の進行』を認識するのでしょう?

 わたしたちは『エントロピー低 → 高になった』という順序で認識し、それを時間の経過として解釈するのです。つまり時間という概念は存在せず、わたしたちが勝手に『時間』という存在を定義し、認識していることになります

 物理学の世界では、時間の向きは『エントロピーが増大する方向』としてしか定義されていません。が、実はそれすらも人間が生み出した幻想で、この宇宙には過去も現在もなく『今』しかないとしたら――時間とは果たして何だというのでしょうか?



 ここまでループ量子重力理論に関する話をしてきました。なるべくわかりやすく解説してきましたが、宇宙関連のお話はわたしたちの常識をぶっ壊すルールが横行するので理解がたいへんですよね

 ぶっちゃけぜんぜんわからん! って方はいさぎよく高評価を、わりとわかった! という方はコメントお願いします。宇宙関連は神秘的で魅力たっぷりな世界なのでこれからも応援いただければ幸い
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