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作者: 犬物語
【依存症】麻薬はなぜ恐ろしいのか?【毒】
すべての物質は毒にもなるし薬にもなる

今回はほぼほぼ『毒』として扱われるこいつの話
 麻薬とはなんでしょう? ――ヘロインやコカイン、モルヒネのようなものを総称して"麻薬"と呼ぶのは知ってますが、その正確な定義を知ってるって方はそうそういないと思います

 医学的に麻薬を紹介すると『麻酔作用のある薬物の総称』です。麻酔ってのは身体の神経の伝達を止めちゃうヤツ。手術とかで使って痛みをなくしてくれる便利なおクスリだね

 よく耳にする"医療用麻薬"なんてワードがあったりしますが、あれは麻薬のなかでもお国から「医療用として使うなら許可するよ」とされ使ってる麻薬で、おクスリ関連は以下の4大法律で規制されております

・麻薬及び向精神薬取締法
・大麻取締法
・覚せい剤取締法
・あへん法

 こやつらは依存性があるっつー厄介な点があります。使用が常習化するとより強く、より大量のおクスリを求めるようになり、乱用することで身体のあちこちがおかしくなり、しかし依存性は強いのでさらに"強さ"を追い求めるようになり――行き着く先にあるのはいろんな意味・・・・・・での破滅です

 どんなモノでも使い方によっては薬になり、そして毒にもなる。本日はそんな毒と薬の話、麻薬について書いていきましょう





:麻薬ってなんだ?:

 麻薬は『麻酔作用のある薬物の総称』と書きましたね。麻酔作用を活かし医療現場て活用されるおクスリで、麻薬及び向精神薬取締法によって医療用に使用が許可されるモノです

 代表的な医療用麻薬としてモルヒネ、フェンタニル、メサドンなどがあります(オピオイド)。一方、法律によって「作るな、持つな、渡すな、輸出や輸入するな」などいろんな禁止事項が定められているブツがあります

 そうだね、覚醒剤だね。ほかにもヘロイン、コカイン、MDMA、大麻などまあいっぱいあります――ほかに、世の中の悪い人ってのは法の"穴"をかいくぐる術をもっていて「いやいや、このおクスリはコカインに似てるけど"この部分"が違うでしょ? だからこれコカインじゃないんだよ!」的なやり方で合法を謳おうとしてるんだけど、現行の法律ではそういった範囲も規制できるよう法改正され続けております。現状イタチごっこというのが歯がゆいでしょうが、今後も法改正が進んでいくことは間違いないでしょう

 法律における麻薬は、上記法律『麻薬及び向精神薬取締法 別表第一』にまとめられています。ぜんぶで76種あるので一部をご紹介しましょう

・アセチルメタドール
・ノルアシメタドール
・アルファメプロジン
・プロポキシフェン
・モラミド中間体

 難しい用語ばっかでオラわがんね。その他いろんな定義が書かれてるので、とりあえず上記法律をシェアしときましょう

e-Gov法令検索
ttps://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=328AC0000000014





:麻薬と依存性:

 麻薬の恐ろしさは『依存性』にあります。文字通り脳を変化させてしまい、それなしでは生きられなくなる恐ろしい物質なのです

 脳は基本ニューロンの電気信号で通信していますが、ニューロン同士は『神経伝達物質』と呼ばれる物質をキャッチボールしています。そのなかに『ドーパミン』と呼ばれるブツがあり、これは人が快感を覚えるために重要なものですね

 何かを達成したとき、成功したとき、その他"うれしいこと"にはだいたいこの物質が関わっています。が、ドーパミンが出続けてしまうと心と身体のバランスが崩れてしまうため、脳はこういった物質を制御する機能が備わっています

 ところが、麻薬にはドーパミンの放出を促進したり、逆に、ドーパミンを出しすぎないようにする機能を阻害するブツがあったりして、こうした麻薬が吸収されたらドーパミンがドバドバ放出されドバドバキャッチボールされ、過剰な快楽に飲み込まれで脳みそちゃんが「あへぇ~」ってなっちゃうのです

 言っとくけど笑えないからね?

 一度こういった変化があると、脳はその状態・・・・がふつうだ、という感じになっちゃうのです。んで、一度起こった変化はそうそう元に戻せなくなり、つまり依存性がどんどん進んでっちゃうのです

 これは医療用に使われる麻薬でも同じこと。だからこそ麻薬を取り扱うお医者さんや麻酔科医はしっかり学んで、しっかり管理して患者の状態を把握しつつ活用しています。誤った麻薬の乱用は医療用麻薬であっても依存性がマッハになり、いわゆる乱用と呼ばれる状態になり、それらは"中毒"となって命に関わる状態へ移行していく

 依存状態は中毒という症状につながる。そうご理解ください。古い時代、コカ・コーラにコカインが含まれていた時代があったり、白内障用の点眼液にコカインが含まれていたこがあったり、戦時中はガッツリ『ヒロポン』なんて商品もあったりしましたが、現代は法規制がされ、医療的にしっかり管理されています

 巷では法規制をかいくぐろうと、次々新しいブツが生まれているようです。が、そういったものはすべて"ヤバいブツ"であることをご承知おきください

警視庁、違法薬物の取り締まりについて
ttps://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kurashi/drug/drug/drug.html





:快楽のメカニズム:

 さきほど『ドーパミン』という脳内伝達物質を紹介しました。これは何かしたの成功体験、スポーツをした後の爽快感、睡眠や食欲、性欲などが満たされたときなどに放出される"報酬"的な物質です

 快感は人間にとって大きな活力になります。これは人間以外の動物にとっても同じで、たとえば実験的に『レバーを押すとドーパミンがドバドバ出るよう脳に細工をされたネズミ』さんは、そりゃあもう食事なんてそっちのけでレバーを押し続けたという実験があったりします

 脳とひと言でいっても、そこには大きく分けて脳神経細胞(ニューロン)と神経こう細胞(グリア細胞)と呼ばれるヤツらが住んでいます

 脳には血管が伸びていて、そこからいろんな栄養を取り出したり、逆に老廃物を血管に送り込んだりするわけですが、なんでもかんでも脳内に侵入されたら溜まったもんじゃないでしょ? ――なので、脳血管には『血液脳関門』と呼ばれる厳重な扉があります

 扉を管理してるのは『アストロサイト』というグリア細胞です。こいつが血管に巻き付いて必要な物質だけを取り出したい・・・・・・――のですが、実はちっちゃい物質とある種の資質はすり抜けたりしちゃうんですよね、ええ

 だからアルコールはフリーパスで脳に侵入できたりします。それと同じく、一部のおクスリは脳内にドバドバ侵入できちゃうんです。覚醒剤、コカインなどの物質は、快楽を司るドーパミンをドバドバ放出させたり、再吸収を阻害したりして、脳は制御不能な快楽に包まれてしまうのです

脂質に溶けた覚醒剤「ちぃーッス」

アストロサイト「よし通れ」

脳「アカン……あれ、でも気持ちぃ。ってかこの状態がふつう・・・・・・・・じゃない?」

 行き着く先はコレ・・なので、えー違法薬物の使用は厳禁でよろしくおねがいします



 大事なことだから何度でも書くけど『麻薬はダメ、ゼッタイ』だからね?

 麻薬は人の脳を壊す。だからこそ法律で規制されている。快楽が得られるからって安々と手を出していいモノじゃないんです

 世の中にはたくさんの『毒と薬』で満ちています。というか、すべての物質は毒であり、同時に薬でもあるのです。麻薬は一部医療用として活用され、お医者さんたちが用法用量を適切に守っているからこそ『薬』としての顔を見せてくれるだけ

 乱用するならそれはすべて『毒』です。決して手を出さぬよう、アナタの身体を守ってあげてください。アナタの心身の健康を祈っています
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