犬「ハゲはハゲでも計画されたハゲだから(震え声」【被毛】
ただ『毛がない』だけの犬種だと思わないでね
タイトルを見て「あ、これヘアレス・ドッグについて書かれてるな」とわかったアナタは犬好き確定。いっしょにおいしいお酒を呑みましょう
犬「ボクも呑んで良い?」
人「キミはアルコールで◯ぬからダウト」
犬はアルコール分解できないからね、しかたないね
世の中いろんなわんちゃんがいます。犬の多様性のヒミツは犬の遺伝子にあり、彼らは突然変異を起こしやすいからあのような多様性を発揮しています
たとえば、犬の大きさは『インスリン様成長因子1(IGF-1)』という遺伝子が強く影響し、胴長短足の犬は『線維芽細胞増殖因子4(FGF4)』という遺伝子によって形作られることが明らかになっています
遺伝子にはわたしたちを形作る情報が記述されており、人間の場合は19,500、犬の場合は18,500ほどの遺伝子情報が詰め込まれています。当然ながら『被毛』に関する情報も刻まれており、それらの組み合わせによっていろいろなタイプの姿になっていきます
長かったり短かったり、シングルにダブルコート、色、質感、そして今回取り上げる『そもそも毛が無い』ってパターンもあります。つまりハゲてるってことだね
あまりハゲハゲ書きまくってると「また髪の毛のはなししてる……」的なかなしい雰囲気になっちゃうので、すこしふさふさ状態のお話も交えながら書き進めていきましょう
ちなみに、わたしはふさふさです。アナタはどうですか?
:シングルコートとダブルコート:
ハゲの話をする前にふさふさの話をしていきましょう。犬の被毛は多種多様に分かれており、人間と違って二重構造になってる場合もあるのです
表面にある長いおけけに隠れ、その奥にびっしり生え揃ってる下毛。こういうタイプを『ダブルコート』と呼びます。季節の変わり目でめっさ抜けるので、たとえば『サモエド』のようなフッサフサの犬種の場合、ゴミ袋がいっぱいになってしまうくらい毛が抜けます
・下毛
やわらかい毛が密集している
断熱機能がある
・上毛
水や汚れを弾く
剛毛で硬い
上毛だけの子が『シングルコート』ね。家庭犬として人気のプードル、ハウンド系統はだいたいシングル。サモエドやハスキー、レトリーバーなど多くの犬種がダブルコートになっています
犬の毛にアレルギーを持ってる方は、抜け毛が少ないシングル、まあ個体名を言うならプードルちゃんを選択肢に入れといてください
:犬の毛柄たくさんありすぎ問題:
犬の遺伝子多様性は、人間にとって昔から馴染みあるものでした。なので、人間はそれらを利用して仕事が得意な犬種、見た目が良い犬種、大きさなどいろんなタイプの犬をデザインしていきました
その結果、犬の被毛は多くのバリエーションをもっています。その一部を紹介しましょう。けっこーいるので画像検索とかで確かめながら見てみるといいよ
・ベルトン
小さな斑点が散らばったタイプ
イングリッシュ・セター、ジャーマン・ショートヘアード・ポインターなど
・バイカラー
白地に他色の2カラー
色により細かい名称あり(白地に茶=ブレンハイム
ボーダー・コリー、キャバリア・キングチャールズ・スパニエルなど
・ブルー
青みがかった灰色
チャウチャウ、グレート・デーンなど
・ブリンドル
2色が縞模様を描くようなタイプ
ボストン・テリア、ケアーン・テリアなど
・ブラウン
褐色や茶色に近い系統
別名が多い
チェサピーク・ベイ・レトリーバー、スパニッシュ・ウォーター・ドッグなど
・ドミノ
"アフガン・ハウンド"限定スタイル
頭部に"逆富士"のような色模様があり、胴の背、両側を全体的に淡くオーバーレイした被毛タイプ
サルーキや他犬種がこのタイプの場合『グリズル』と呼ぶ
・フォーン
淡い被毛にところどころ黒の差し毛。とくに鼻周りが黒く染まる
パグ、イングリッシュ・マスティフなど
・ハールクイン
"グレート・デーン"限定スタイル
白地に黒の不規則な斑模様
・マール
白系統の明るい地毛に濃い色で斑点が散らばる
シェットランド・シープドッグ、オーストラリアン・シェパードなど
ちょっち書きすぎたかな? ドミノに関しては『アフガン・ハウンド ドミノ』で画像検索してください。そのほか犬の"柄"に関してはこのサイトが良さげだったのでシェアりんぐしておきましょう
・トリマーのための犬の被毛図鑑
ttps://www.dogfan.jp/color/index.html
:犬の毛色たくさんありすぎ問題:
犬の被毛に関する遺伝子は、わたしが参考にしてる著書によれば8つ特定されているようです。詳しくは2019年出版『アーダーム・ミクローシ』氏著『犬の博物図鑑』をご参照ください
で、遺伝子には対立したモノが存在して、たとえば耳の中がカサカサかシットリか、とか血液型がうんぬんといった例で紹介されますね
どちらが形質として現れるか、つまり優性(顕性)か劣勢(潜性)かによって最終的な結果になるのですが、犬の毛色の場合それらが幅広い結果を生み出しています
・アグーチ
1本の被毛に濃淡がある
キツネやネズミの"臆病さ"とも関連しているとされる
犬の場合5つの対立遺伝子が存在し
"アグーチシグナルタンパク質"を制御すると考えられている
・ブラウン
褐色や茶色に近い系統(上記解説参照
2つの対立遺伝子が存在し
"ユーメラニン"と呼ばれる黒い色素の生成を制御する
つまりブラウンに『なる・ならない』のいずれか
・ディルート
薄色、淡い被毛を表す言葉
色素沈着の強度に関わる対立遺伝子が存在する
薄くなる例)ブラックがグレーに
・エクステンション(遺伝子
犬の"全体的な色合い"に関わり
とくに黄色と黒に影響する
5つの対立遺伝子が知られており
"ユーメラニン"を発現させるかどうかを決定づける
これらの影響で『ブラック・ブラウン・レッド・イエロー・アグーチ』など
様々な被毛が生まれる
・優性ブラック(遺伝子
色の"パターン"を決定づける
3つの対立遺伝子が知られており
これらの影響で『アグーチ・ブリンドル』など様々な被毛が生まれる
・マール
白系統の明るい地毛に濃い色で斑点が散らばる(上記解説参照
2つの対立遺伝子が存在し、パールの"パターン"を制御する
対立遺伝子(M型)は目と耳の異常と関連しており
マールの犬同士を交配させてはならない
・ハールクイン
グレート・デーン限定、白地に黒の不規則な斑模様(上記解説参照
対立遺伝子は1つしか存在しない(2つ以上あると胚の時点で死亡してしまう)
ハールクインのパターンをもつには『マール対立遺伝子(M型)』も最低1つ必要
・斑点
斑点模様
2つもしくは4つの対立遺伝子が存在し
これらの影響で斑点の"数・分布"が決定される
ちょっと専門的な話が続いてるね。みんな追いつけてるかな? 整理してわかりやすくしてるけどまだ難しいようならごめんね。ちなみにって話。これらの研究は『先天的な遺伝子疾患を抱える子犬を産ませない』的な方向で重要だったりします。これとこの犬種のこの遺伝子を組み合わせたらヤバい、的なのを発見できるし、今まで人間はムチャな配合をしてきたのでね――今でも一部の犬種は呼吸が難しかったり、噛み合わせが難しかったりするなどいろいろあるんですよ
これからの時代、わんちゃんに負担のない組み合わせで配合してってほしいですね
:じゃあ、髪の毛の話をしようか:
いや、まあ犬は全身なんだけどね
被毛がない、いわゆる『ヘアレス・ドッグ』はけっこーな種類があります。まあ日本で登録されてるのは10種もないけど、とりあえず代表的なヘアレス・ドッグは以下をご参照ください
ジャパン・ケネルクラブ
・ショロイツクインツレ
ttps://www.jkc.or.jp/archives/world_dogs/2569
・ペルービアン・ヘアレス・ドッグ
ttps://www.jkc.or.jp/archives/world_dogs/2543
・チャイニーズ・クレステッド・ドッグ
ttps://www.jkc.or.jp/archives/world_dogs/1986
なんか個性的な名前の子がいるけど、ショロくんは別名『メキシカン・ヘアレス・ドッグ』と呼ばれています
彼らの形を決定づけるのはやはり『毛がある・ない』という遺伝子。ヘアレスの対立遺伝子には『H(顕性)・h(潜性)』があって、両親から受け継いだ組み合わせによってヘアレスが誕生する場合があります
・Hとh
→ ヘアレス
・hとH
→ ヘアレス
・HとH
→ 胚のうちに死亡、再吸収
・hとh
→ パウダーパフ
パウダーパフってのはうっすらと毛が生えてる状態のことね
Hが顕性、つまりハゲます。ただハゲハゲの場合胚のうちに死んじゃって再吸収されちゃうので、生まれてくる子どもは必ずH,hをもつ形になります(ヘテロ接合体)
:ハゲになる遺伝子:
上記のような犬種は『FOX13』という遺伝子によって決定されます。細胞はまず幹細胞ってのがあって、それが骨とか筋肉とかの細胞に分化していくのですが、FOX13はその前の『外胚葉』という、卵子が分割した結果生まれたヤツと深く関わっていきます
FOX13は外胚葉に「〇〇になってね」的な刺激を与える役割をもっているのですが、FOX13に異常があると細胞分化ができなくなり、被毛への分化が進まなくなってしまうのです。なお、この場合被毛だけでなく歯の分化もままならなくなります
ほか"SGK3"などヘアレスに関わる遺伝子がありますが、もし気になる方は『犬 ヘアレス 遺伝子』的なワードでググってみてください
前段落でパウダーパフという形質を紹介しましたが、ヘアレス犬はなんでもかんでもハゲってワケじゃありません。うっすらと毛が生えてたり、部位によってはもっさもさのふっさふさだったりします。チャイニーズ・クレステッド・ドッグなんかはその特徴が顕著に現れていますね。上記遺伝の例はこの犬種のものです
ヘアレス・ドッグは他の犬とちがって表皮が露わになっているので、人間と同じようにお肌ケアがとても重要になります。あと犬は基本毛で覆われてるので冬でもヘーキヘーキなんだけど、ヘアレスは人間と同じなのでサムーイってなっちゃいます
クリーム塗って服着せて、しっかりわんちゃんをいたわってあげましょう。日本でヘアレス・ドッグを見られる機会はそうありません。もし、そんなわんちゃんたちを見たらアナタは運が良い。さりげなく近づいて、さりげなくもふもふ、いやペチペチしてあげましょう
人間といっしょに暮らす犬という生き物。その多様性は人間を魅了し、今では無くてはならない存在となっています。いっしょに仕事をしたり、さんぽしたり、とくに理由はないけど側にいたり――この子たちといつまでも、末永く仲良くしていきたいですね
アナタと、アナタの"家族"に幸あれ!
犬「ボクも呑んで良い?」
人「キミはアルコールで◯ぬからダウト」
犬はアルコール分解できないからね、しかたないね
世の中いろんなわんちゃんがいます。犬の多様性のヒミツは犬の遺伝子にあり、彼らは突然変異を起こしやすいからあのような多様性を発揮しています
たとえば、犬の大きさは『インスリン様成長因子1(IGF-1)』という遺伝子が強く影響し、胴長短足の犬は『線維芽細胞増殖因子4(FGF4)』という遺伝子によって形作られることが明らかになっています
遺伝子にはわたしたちを形作る情報が記述されており、人間の場合は19,500、犬の場合は18,500ほどの遺伝子情報が詰め込まれています。当然ながら『被毛』に関する情報も刻まれており、それらの組み合わせによっていろいろなタイプの姿になっていきます
長かったり短かったり、シングルにダブルコート、色、質感、そして今回取り上げる『そもそも毛が無い』ってパターンもあります。つまりハゲてるってことだね
あまりハゲハゲ書きまくってると「また髪の毛のはなししてる……」的なかなしい雰囲気になっちゃうので、すこしふさふさ状態のお話も交えながら書き進めていきましょう
ちなみに、わたしはふさふさです。アナタはどうですか?
:シングルコートとダブルコート:
ハゲの話をする前にふさふさの話をしていきましょう。犬の被毛は多種多様に分かれており、人間と違って二重構造になってる場合もあるのです
表面にある長いおけけに隠れ、その奥にびっしり生え揃ってる下毛。こういうタイプを『ダブルコート』と呼びます。季節の変わり目でめっさ抜けるので、たとえば『サモエド』のようなフッサフサの犬種の場合、ゴミ袋がいっぱいになってしまうくらい毛が抜けます
・下毛
やわらかい毛が密集している
断熱機能がある
・上毛
水や汚れを弾く
剛毛で硬い
上毛だけの子が『シングルコート』ね。家庭犬として人気のプードル、ハウンド系統はだいたいシングル。サモエドやハスキー、レトリーバーなど多くの犬種がダブルコートになっています
犬の毛にアレルギーを持ってる方は、抜け毛が少ないシングル、まあ個体名を言うならプードルちゃんを選択肢に入れといてください
:犬の毛柄たくさんありすぎ問題:
犬の遺伝子多様性は、人間にとって昔から馴染みあるものでした。なので、人間はそれらを利用して仕事が得意な犬種、見た目が良い犬種、大きさなどいろんなタイプの犬をデザインしていきました
その結果、犬の被毛は多くのバリエーションをもっています。その一部を紹介しましょう。けっこーいるので画像検索とかで確かめながら見てみるといいよ
・ベルトン
小さな斑点が散らばったタイプ
イングリッシュ・セター、ジャーマン・ショートヘアード・ポインターなど
・バイカラー
白地に他色の2カラー
色により細かい名称あり(白地に茶=ブレンハイム
ボーダー・コリー、キャバリア・キングチャールズ・スパニエルなど
・ブルー
青みがかった灰色
チャウチャウ、グレート・デーンなど
・ブリンドル
2色が縞模様を描くようなタイプ
ボストン・テリア、ケアーン・テリアなど
・ブラウン
褐色や茶色に近い系統
別名が多い
チェサピーク・ベイ・レトリーバー、スパニッシュ・ウォーター・ドッグなど
・ドミノ
"アフガン・ハウンド"限定スタイル
頭部に"逆富士"のような色模様があり、胴の背、両側を全体的に淡くオーバーレイした被毛タイプ
サルーキや他犬種がこのタイプの場合『グリズル』と呼ぶ
・フォーン
淡い被毛にところどころ黒の差し毛。とくに鼻周りが黒く染まる
パグ、イングリッシュ・マスティフなど
・ハールクイン
"グレート・デーン"限定スタイル
白地に黒の不規則な斑模様
・マール
白系統の明るい地毛に濃い色で斑点が散らばる
シェットランド・シープドッグ、オーストラリアン・シェパードなど
ちょっち書きすぎたかな? ドミノに関しては『アフガン・ハウンド ドミノ』で画像検索してください。そのほか犬の"柄"に関してはこのサイトが良さげだったのでシェアりんぐしておきましょう
・トリマーのための犬の被毛図鑑
ttps://www.dogfan.jp/color/index.html
:犬の毛色たくさんありすぎ問題:
犬の被毛に関する遺伝子は、わたしが参考にしてる著書によれば8つ特定されているようです。詳しくは2019年出版『アーダーム・ミクローシ』氏著『犬の博物図鑑』をご参照ください
で、遺伝子には対立したモノが存在して、たとえば耳の中がカサカサかシットリか、とか血液型がうんぬんといった例で紹介されますね
どちらが形質として現れるか、つまり優性(顕性)か劣勢(潜性)かによって最終的な結果になるのですが、犬の毛色の場合それらが幅広い結果を生み出しています
・アグーチ
1本の被毛に濃淡がある
キツネやネズミの"臆病さ"とも関連しているとされる
犬の場合5つの対立遺伝子が存在し
"アグーチシグナルタンパク質"を制御すると考えられている
・ブラウン
褐色や茶色に近い系統(上記解説参照
2つの対立遺伝子が存在し
"ユーメラニン"と呼ばれる黒い色素の生成を制御する
つまりブラウンに『なる・ならない』のいずれか
・ディルート
薄色、淡い被毛を表す言葉
色素沈着の強度に関わる対立遺伝子が存在する
薄くなる例)ブラックがグレーに
・エクステンション(遺伝子
犬の"全体的な色合い"に関わり
とくに黄色と黒に影響する
5つの対立遺伝子が知られており
"ユーメラニン"を発現させるかどうかを決定づける
これらの影響で『ブラック・ブラウン・レッド・イエロー・アグーチ』など
様々な被毛が生まれる
・優性ブラック(遺伝子
色の"パターン"を決定づける
3つの対立遺伝子が知られており
これらの影響で『アグーチ・ブリンドル』など様々な被毛が生まれる
・マール
白系統の明るい地毛に濃い色で斑点が散らばる(上記解説参照
2つの対立遺伝子が存在し、パールの"パターン"を制御する
対立遺伝子(M型)は目と耳の異常と関連しており
マールの犬同士を交配させてはならない
・ハールクイン
グレート・デーン限定、白地に黒の不規則な斑模様(上記解説参照
対立遺伝子は1つしか存在しない(2つ以上あると胚の時点で死亡してしまう)
ハールクインのパターンをもつには『マール対立遺伝子(M型)』も最低1つ必要
・斑点
斑点模様
2つもしくは4つの対立遺伝子が存在し
これらの影響で斑点の"数・分布"が決定される
ちょっと専門的な話が続いてるね。みんな追いつけてるかな? 整理してわかりやすくしてるけどまだ難しいようならごめんね。ちなみにって話。これらの研究は『先天的な遺伝子疾患を抱える子犬を産ませない』的な方向で重要だったりします。これとこの犬種のこの遺伝子を組み合わせたらヤバい、的なのを発見できるし、今まで人間はムチャな配合をしてきたのでね――今でも一部の犬種は呼吸が難しかったり、噛み合わせが難しかったりするなどいろいろあるんですよ
これからの時代、わんちゃんに負担のない組み合わせで配合してってほしいですね
:じゃあ、髪の毛の話をしようか:
いや、まあ犬は全身なんだけどね
被毛がない、いわゆる『ヘアレス・ドッグ』はけっこーな種類があります。まあ日本で登録されてるのは10種もないけど、とりあえず代表的なヘアレス・ドッグは以下をご参照ください
ジャパン・ケネルクラブ
・ショロイツクインツレ
ttps://www.jkc.or.jp/archives/world_dogs/2569
・ペルービアン・ヘアレス・ドッグ
ttps://www.jkc.or.jp/archives/world_dogs/2543
・チャイニーズ・クレステッド・ドッグ
ttps://www.jkc.or.jp/archives/world_dogs/1986
なんか個性的な名前の子がいるけど、ショロくんは別名『メキシカン・ヘアレス・ドッグ』と呼ばれています
彼らの形を決定づけるのはやはり『毛がある・ない』という遺伝子。ヘアレスの対立遺伝子には『H(顕性)・h(潜性)』があって、両親から受け継いだ組み合わせによってヘアレスが誕生する場合があります
・Hとh
→ ヘアレス
・hとH
→ ヘアレス
・HとH
→ 胚のうちに死亡、再吸収
・hとh
→ パウダーパフ
パウダーパフってのはうっすらと毛が生えてる状態のことね
Hが顕性、つまりハゲます。ただハゲハゲの場合胚のうちに死んじゃって再吸収されちゃうので、生まれてくる子どもは必ずH,hをもつ形になります(ヘテロ接合体)
:ハゲになる遺伝子:
上記のような犬種は『FOX13』という遺伝子によって決定されます。細胞はまず幹細胞ってのがあって、それが骨とか筋肉とかの細胞に分化していくのですが、FOX13はその前の『外胚葉』という、卵子が分割した結果生まれたヤツと深く関わっていきます
FOX13は外胚葉に「〇〇になってね」的な刺激を与える役割をもっているのですが、FOX13に異常があると細胞分化ができなくなり、被毛への分化が進まなくなってしまうのです。なお、この場合被毛だけでなく歯の分化もままならなくなります
ほか"SGK3"などヘアレスに関わる遺伝子がありますが、もし気になる方は『犬 ヘアレス 遺伝子』的なワードでググってみてください
前段落でパウダーパフという形質を紹介しましたが、ヘアレス犬はなんでもかんでもハゲってワケじゃありません。うっすらと毛が生えてたり、部位によってはもっさもさのふっさふさだったりします。チャイニーズ・クレステッド・ドッグなんかはその特徴が顕著に現れていますね。上記遺伝の例はこの犬種のものです
ヘアレス・ドッグは他の犬とちがって表皮が露わになっているので、人間と同じようにお肌ケアがとても重要になります。あと犬は基本毛で覆われてるので冬でもヘーキヘーキなんだけど、ヘアレスは人間と同じなのでサムーイってなっちゃいます
クリーム塗って服着せて、しっかりわんちゃんをいたわってあげましょう。日本でヘアレス・ドッグを見られる機会はそうありません。もし、そんなわんちゃんたちを見たらアナタは運が良い。さりげなく近づいて、さりげなくもふもふ、いやペチペチしてあげましょう
人間といっしょに暮らす犬という生き物。その多様性は人間を魅了し、今では無くてはならない存在となっています。いっしょに仕事をしたり、さんぽしたり、とくに理由はないけど側にいたり――この子たちといつまでも、末永く仲良くしていきたいですね
アナタと、アナタの"家族"に幸あれ!