▼詳細検索を開く
作者: 犬物語
【栄養学】なんで食べなきゃ生きてけないの?【三大栄養素】
ちょっと手を伸ばせばいろんなモノが食べられる時代

そんな時代だからこそ、ちょっと栄養について考えてみよう
 人間に限らず、すべての動物は多かれ少なかれ食わなければ生きていけません

 より正確には『外部から栄養を摂取』しなきゃダメってこと。動物がもつ代表的な手段は『口』だね。口に食べ物を入れて、噛んで、ごっくんして、消化器官で溶かしたり、吸収したりすることで栄養を取り入れている流れ

 たとえば、成虫になると何も食べなくなる虫(ホタル・カイコなど)がいますが、これは子孫繁栄だけが目的になり、自身の存続を求めるよう設計されてないから、という考察がされています。そのため、こういった虫たちが成虫になった後の寿命は極端に短いです

 さらに、口を持たないビックリな生き物もいますが、そういう生物は口とはまた違った手段で栄養を生み出したりしています。植物の光合成もそうですし、身体の中にエネルギーを生み出す細菌を住まわせて共生するなんて手段もありますね

 気になった方は『マシコヒゲムシ』でググってみてください

 食わなきゃイッてまう。それが生命の宿命。なぜか? ――生物は生命維持のためにエネルギーを作ったり、身体の部品を更新し続けたりしなければなりません。身体は常にダメージを受けてるので頻繁なメンテナンスが必要なのよ紫外線とかでDNAぶっ壊されてるんだぜ?

 わたし達の身体は常に入れ替わり続けている。この現象を『代謝』と呼びます。で、そういった活動に必要なのが、今回ご紹介する三大栄養素。これを知っとくと「もっとバランスよく食べなきゃ(使命感」みたいになれるので、どうぞ最後までお付き合いいただければ幸い

 ってことで、早速書き書きしていきましょう





:三大栄養素ってなんだ?:

 はじめに答えを書いちゃいましょう。三大栄養素ってのは以下のみっつを指します

・炭水化物
・脂質
・たんぱく質

 ヒトの身体の場合おおよそ6割が水分ですが、その他上記の物質ほか、ビタミン・ミネラルが含まれています。これらを合わせて5大栄養素とも呼びますが、ビタミン・ミネラルについては後の機会に取り上げたいと思います。以下、参照した本に記されたおおよその割合

男性
 水分:61%
 たんぱく質:17%
 脂質:16%
 糖質:0.5%
 ミネラルその他:5.5%
女性
 水分:51%
 たんぱく質:14%
 脂質:30%
 糖質:0.5%
 ミネラルその他:4.5%

 おいおいちょっと待てと、三大栄養素である炭水化物はドコに書かれてるんだというツッコミがあるかと思います。端的に書けば糖質はそうなのですが、これにはちょっとした理由があるのよ

・炭水化物 = 糖質 + 食物繊維

 食物繊維も糖質っちゃあ糖質なんだけど、これらは『ヒトの消化器官が消化できない(しにくい)糖質』なので別カテゴリになってます

 はい、実は人間の身体って炭水化物の割合って少ないんです。けど現代社会の食事は糖質ガッツリ含まれている。だからこそ(オブ)ちょっとふくよか(ラート)な方が多いよって社会的な問題になったりするんだけどそれはまた別の話。今回は三大栄養素をよりくわしく掘り下げていく話だからね

 冒頭で書いたように、生き物は食べなきゃイッてしまわれます。必要だから食べる。じゃあ、それぞれの栄養素はいったいナニに活用されてるのでしょう?





:エネルギーか生命維持か:

 これも先に答えを書いちゃおう。以下三大栄養素の役割になります

・炭水化物
  エネルギー原
・脂質
  エネルギー原
  身体の構成材料
・たんぱく質
  エネルギー原
  身体の構成材料
  身体機能調節

 どれも共通してエネルギー原になるって役割がありますね。身体にとってのエネルギーってのはつまり"熱"のことで、それを生み出してくれるので、これらは専門用語で『三大熱量素』とも呼ばれています

 身体の構成材料、つまり"構成素"にあたるのが脂質とたんぱく質。たんぱく質はさらに身体の機能を調節する"調節素"にもなります

 身体は複数の『エネルギーの生み出し方』があり、以下が生み出せるエネルギー量になります

・炭水化物
  1g あたり 4kcal
・脂質
  1g あたり 9kcal
・たんぱく質
  1g あたり 4kcal

 脂質強すぎて草。じゃあ肉食いまくればいいんかって思うけどそうカンタンじゃないのでバランス良く食べましょう

 三大栄養素はそれぞれちゃんとエネルギー原になる回路が用意されてますが、それをいちいち紹介すると文字数がアレになっちゃうので次の機会にしましょう





:炭水化物は必要なのですよ:

 炭水化物、まあ糖質 + 食物繊維だけど、これを分けるのは消化できるかできない(しにくい)かってだけです

 糖質にはもっとも小さな単位である単糖、つまりグルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)などがあり、それらが合体したものは二糖類、多糖類とグループが変わってきます

・単糖類
  最小単位の糖質
・二糖類
  糖と糖が合体したヤツ
・多糖類
  さらに合体したヤツ

 わたしたちの身近にある『砂糖』はグルコースとフルクトースが合体した糖です

 食物繊維は水に解ける水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があります。水溶性は海藻や果物、不溶性は一般的な野菜に甲殻類が多いとイメージすればいいでしょう

 上記で書いたように三大栄養素すべてがエネルギー原たりえます。これはつまり「え、じゃあ炭水化物いらなくね?」ってなりそうだよね。実際必要ないっちゃあないんです。だからこそ糖質制限っつー減量法があったり、大会に向け減量中のボディビルダーの中にはほんとマジで徹底的に糖質を管理してる方もいるようですからね

 かくいうわたし(犬物語)も最大40kgの減量に成功してたりするのですが、それはまあ個人的な話ということでひとつ

 炭水化物はエネルギー原にしかならない。けどなんでみんな食べまくるのか? ――それは『身体が主に炭水化物をエネルギー原としているから』です。もちろん脂質やたんぱく質もエネルギーとして使うのですが、炭水化物、つまり糖質はすぐにエネルギーとして活用できるのでとても有り難い存在です

 さらに、糖質の最小単位である『グルコース = ブドウ糖』は脳のエネルギー原でもあります。近年は乳酸やケトン体なども見つかってますが、これらはあくまで『ブドウ糖が枯渇した時の緊急策』だとイメージしてください

 基本は糖質。これがなきゃ脳はボケェ~っとする。だからこそ、舌は糖質がたっぷり含まれる『甘いもの』を好むよう設計されており、脳みそちゃんも「甘いもの! はよ! はよよこせ!」言うてるんです

 腹が減るのは血糖値が下がる、つまり血液中の糖質量が減ってきて脳が「糖質がない! ヤバい! 食え! もっと食え!」言うてるからなんです。炭水化物はそんくらい重要なエネルギー原だってことを覚えといてください

 エネルギー原だけしか脳が無いのか? と問われるとそうでもなく、実はほんのり身体の構成要素としても活躍しますがごく僅か。まあ、せいぜい潤滑油として細胞の間におジャマしてるか、核酸の構成材料としてさり気なく添えられてるかくらいです

 エネルギー原としてはもっぱら頼りになる。けどそれ以外はほぼ使われない。けど身体にたっぷりある糖質はドコに行くのか? ――もうおわかりですよね? いちど溜まったおなかのプニプニはなかなか落ちません。普段から節制した食生活をこころがけましょう



 炭水化物の構成要素として『食物繊維』がありますね。これは消化されない、しにくい糖質ですが、わたしたちが消化できないかわりに腸内細菌の大好物となっております

 腸内細菌がそれらをモシャモシャ(入)あんどブリュリュ(出)することで短鎖脂肪酸などの有益な物質が生産されます。なので、こういった視点で見ると食物繊維も1から2kcalくらいのエネルギーを生み出してるんですよね

 国では日本人の健康のために「1日でこんだけ食うといいよ」っていう『日本人の食事摂取基準』ってのが策定されています。アナタ自身がどれほど炭水化物を食えばいいのかいちどチェックしてみるのも良いでしょう。ぜひシェアした情報をチェックしてみてください

厚生労働省、日本人の食事摂取基準2020年版:炭水化物
ttps://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586559.pdf
厚生労働省 e-ヘルスネット、炭水化物/糖質
ttps://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-018.html





:にく食え肉!:

 水で落ちにくいギットギトしたアブラ、洗うときめんどうだよねぇ

 脂質とは『水にとけず有機溶媒に解ける物質の総称』です。常温で液体の有機化合物、まあエタノールとかクロロホルム的なあれこれね。理解できないって方はスルーしても、いやこの際ですから覚えましょう

 脂質も複数の種類があり、基本は『脂肪酸 + 何か』という形。一般的にわたしたちが食べるのは単純脂質で、ほか以下のように分けられています

・単純脂質
  脂肪酸とアルコールのエステル
・複合脂質
  単純脂質の一部にリン酸、糖などがくっついたヤツ
・誘導脂質
  上記ふたつの加水分解で生まれたヤツ

 エステルってのは、まあ……脂肪酸とアルコールが合体するとき、それらを構成する物質から『水』が生まれるのよ。で、水は水のまま独立してその他のヤツが合体する、それがエステル結合といいます

 水って水素と酸素じゃん? Aに水素、Bに酸素があってこいつらが合体するとき、水素と酸素が水になってサヨナラする代わりにその他全部が合体して別の物質になるイメージ



 代表的な単純脂質は『トリアシルグリセロール』といいます。みんなだいすき脂肪、中性脂肪、油脂ってのがソレ。これも食べ過ぎるとお腹にたっぷり溜まるからご注意ください

 脂肪酸くんはけっこうなエネルギー原になるので他栄養素の倍以上のパワーになります。が、こいつをエネルギー原として使うとケトン体と呼ばれるブツができちゃって身体が酸性に傾いちゃうの。糖質制限するとこういう状態になりやすくなる。これを軽減するには大量の水が要求される。ダイエット中の方はくれぐれもご注意ください。なんだったら重曹(強アルカリ)を溶かした水飲むとかテクニックあるけど例によって別の機会に

 脂質の基本は『細胞膜の構成物』です。脂質が水をはじいてくれるのはアナタもご存知よね? 細胞膜の材料になることで身体のあちこちが溶け合っちゃうのを防いでくれるの

 ほか、脂質は脂溶性ビタミンの補給を助けたりするのでしっかり食べることが重要。まあ、食い過ぎは糖質と同じく溜め込むのでほどほどに。脂質のエネルギー比が増えると動脈硬化や糖尿病など生活習慣病リスクバク上がりだから、重ねがさねほどほどの食事をお楽しみください

厚生労働省、日本人の食事摂取基準2020年版:脂質
ttps://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586558.pdf
厚生労働省 e-ヘルスネット、脂肪/脂質
ttps://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-014.html





:ボディビルダーじゃなくてもたんぱく質を食え!:

 炭水化物、脂質と異なりなにかと不足しガチなのがたんぱく質。これらは複雑な鎖状の化合物で、主に以下の元素から構成されています

・水素
・酸素
・炭素
・窒素
・硫黄

 脂質、炭水化物との違いは『かならず"窒素"が含まれている』ということ。これテストに出るから覚えといてねー

 で、たんぱく質と呼べるにはある程度のデカさが求められ、それまでは『アミノ酸』と呼ばれています。代表的なのはボディビルダーが大好きなロイシン、イソロイシンとか、あと健康に気を使ってる方ならトリプトファンという名前にピンとくるでしょう。グルタミンもアルギニンもそうだし、たんぱく質を構成するアミノ酸は20種類存在します

 アミノ酸が複数、まあ2から50くらいを『ペプチド』と呼んで、それ以上結合したながーい鎖をたんぱく質と呼ぶようになります

 たんぱく質は常に分解と結合を繰り返し、身体のありとあらゆる構成材料になります

 筋肉はもちろん、五臓六腑に骨、細胞のありとあらゆるブツはたんぱく質で構成されています。っていうか、わたしたちの設計図であるDNAはアミノ酸を合成するための設計図だったりします

 代謝に欠かせない酵素もつくりし、身体の機能を調整するペプチドホルモンも作るし、免疫も作るし、血液を固める物質も作るし、血中の脂質を運搬するし、血液やリンパ液などの浸透圧も調整するし、もちろんエネルギー原としても活用される

 もうチートすぎて笑うくらい。これだけの説明でもう『たんぱく質を食べない理由がない』ってことに気づくよね。ただ、たんぱく質がエネルギー原として活用されるってよほどの自体、まあ普段でもやってないとは言わないけどよほど・・・なので気をつけましょう。たとえば糖質制限でうまく脂質を摂取できてない時に起こったりするのでお気をつけください

 たんぱく質を食べ過ぎるとどうなるか? ――たんぱく質を貯蔵する機能はないので、これは一度分解されグリコーゲン(糖質の一種)や脂質に変換され活用されます。つまりそれまでに炭水化物と脂質をドカ食いしてたアナタはご愁傷さまです

 そのほか、体重1kgあたり2g以上摂取してると腎臓に余計な負荷を書けすぎてるのでご注意ください。ボディビルダーはそのヘンも計算してやってるけど一般の方は割けるか、しっかり勉強した上で自己責任になっちゃうので、ええ



 炭水化物や脂質は意識しなくてもたっぷり食えるけど、たんぱく質はなかなか規定量に達しない、もしくは達したとしてもそれまでに炭水化物と脂質を食い過ぎちゃってるパターンもある。ってことで、たんぱく質に関しては豊富な食材を紹介しておきましょう

・肉
・卵
・魚
・大豆製品
・牛乳

 世の中のボディビルダーがこぞってお買い求めする商品がコチラになります。基本はやっぱり肉なんだけど、肉は得てして脂質も豊富なので『鶏肉』をチョイスすると良いでしょう

 豚や牛などでも『赤身肉』が比較的脂質少ない感じ。あとは『ゼラチン』って呼ばれるヤツもたんぱく質豊富だけど食物アレルギーなどにお気をつけください

 卵はタンパク質量の目安となる『アミノ酸スコア』が100とすばらしい食材。黄身も白身もすばらしい栄養素なので残さずいただきましょう

 魚は基本的にタンパク質の宝庫です。ボディビルダーは予算やモロモロの効率でサーモンをチョイスすることが多いようですね。もうタンパク質たけほしい! って方はかつお節とかイカのあたりめとかで集中ゲットするのもいいかもしんない。あたりめメッチャ硬いけどね

 大豆製品はソイプロテインという植物由来のタンパク質を摂取するに最適です。豆腐納豆豆乳もうなんでもござれって感じ。スッキリした味わいなのでぜひともお試しください

 牛乳は三大栄養素がバランスよく摂取できる意味でも素晴らしいですね。市販されるプロテインは牛乳からヨーグルトを作った時の"上澄み"の部分が主成分になっています。貴重な栄養素なのでヨーグルトの液体を捨てないようお願いします

 不足しガチなたんぱく質、これらの栄養素を活用してうまーい感じに食べてってください

厚生労働省、日本人の食事摂取基準2020年版:たんぱく質
ttps://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586557.pdf
厚生労働省 e-ヘルスネット、アミノ酸
ttps://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-001.html
厚生労働省 e-ヘルスネット、たんぱく質
ttps://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-044.html



 これらは三大栄養素と呼ばれるのは『生き物にとってなくてはならないモノだから』です。わたしたちは食べなきゃ生きてけません。じゃあナニを食べればいいか、つまりどんな栄養素を摂取すればいいんかと研究してったら、大枠で3種類の栄養素に分けられるよねってことが明らかになったのです

 この他ビタミンやミネラルなども重要視されていることから五大栄養素なんてのもありますし、なんだったら◯大栄養素的なのいーっぱいあります。まあ蛇足として覚えといてください

 これらの栄養素のほか、わたしたちは『水』も必要とします。水がなかったら一週間保たないレベル。ってことで、水は食事以外でも毎日グビッといきましょう

 アナタの身体はアナタが食べたモノでできている。そう思えば、きっとアナタの食生活が変わります。それらは習慣となって、アナタの身体を確実に変えてくれるでしょう

 どうぞ健康的なお食事ライフを。アナタの心身の健康に乾杯!

厚生労働省 日本人の食事摂取基準
ttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html
Twitter