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作者: 犬物語
【運動】結局"身体を動かす"のが最強のストレス対策【脳科学】
身体を動かすと体力が減っていく

けど逆に心は回復していくの

ふしぎだよねぇ~
 運動するとなんか気分がスッキリする。これはダレもが経験則で知ってる"常識"的な何かですね

 え? 疲れるからイヤだ? ――べつにアスリート並の量走れ言うワケじゃなくて、10分くらいテキトーに歩き回ってみてよスッキリするから

 ふしぎだよね。でもよく考えてみるとぜんぜん不思議じゃないの。だってココロとは脳のあれこれ。端的に書けば、ココロとは『脳がもつ"機能"のうちのひとつ』なんだから

 脳に血流が回ればなんか脳が活性化しそうってのはなんとなくわかるじゃん? でも、実際はアナタが思っている以上のことがバチバチ繰り広げられてるの。だからこそ『運動すると脳がスッキリする』ってのはアナタ自身の経験でも、そして科学的な世界でも常識として成り立っている

 ココロとカラダは表裏一体。本日はそんな話を紹介していきましょう





:運動は最大級の不健康対策:

 〇〇すれば健康にイイ! □□すれば体の調子が良くなる! ――巷ではこういった"健康テクニック"がイロイロ言われてますね

 でもまあ、アナタもなんとなーくわかると思うけど"それだけ"じゃそこまで劇的な改善は望めません。そりゃあまあ、上記を実践して実際に良くなった、という例はあるでしょう。しかし、それらをよく観察してみると、〇〇健康法を試し始めたことをキッカケに『普段の生活態度』もつられて改善したため、結果的にその健康法に効果があった、というパターンが得てしてあります

 筋トレしてたらいつの間にか食事に気を使うようになってた的なね

 実際問題、間食のおやつを食べないとか寝る前にお菓子食べないスマホ見ないとか、だれでもできるカンタンなテクニックはあります。けどそれらを差し置いてスッゲー効力を発揮するのが『運動』です

 極端な例。ずっと同じ姿勢のままで身体がカタくなって気分悪い……そんな時、ただ背伸びをしただけで「あ、身体が軽くなった」的な感覚に包まれることがあるでしょう

 背伸びっていうたったそれだけ・・・・・・・の運動・・・でリラックスできた。これスゲーことじゃない?

 日本の運動習慣やらなにやらを調査するのは『厚生労働省』と『スポーツ庁』ですが、試しにスポーツ庁で調べてみたら『20歳以上のスポーツ実地率は52.3%』とありました。令和4年度における結果なので、ざっくり書いて最近は2人に1人が運動習慣をもっている、的な感じ。うーんもうちょい増えてもいいと思うんだけどなぁ~みんな仕事にプライベートに忙しいかなぁ

 運動不足は総死亡率、虚血性心疾患、糖尿病、骨粗鬆症などまあたくさんの疾患の罹患率に関連があります。逆にほどよい運動は、アナタの身体にメリットばかり生み出します。具体的にどんなあれこれがあるのでしょう?

スポーツ庁、令和4年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」 の結果
ttps://www.mext.go.jp/sports/b_menu/houdou/jsa_00133.html
厚生労働省、健康日本21 身体活動や運動について
ttps://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b2f.html





:運動による脳科学的な恩恵:

 運動をすると『セロトニン』が増える、というのはアナタも聞いたことがありますよね

 セロトニンは幸せホルモンとまで言われる神経伝達物質。こやつが脳にたっぷりあると、精神を安定させ幸福感を感じやすくさせてくれたり、海馬の神経新生を促進して抗うつ効果をもたらしたりとまあ恩恵だらけですね

 ちょっと前まで、脳神経は『生まれた後はドンドン増えるけど、成人した後新しく生み出されることなくドンドン減少し続ける』なんて言われてきましたが、近年の研究によりしっかり脳神経が新しく作られていることがわかりました

 筋トレに限らず、運動するとたんぱく質がドンドン合成されます。が、それは筋肉を成長させるためのアレコレだけじゃなく、血流に乗って脳までたどり着き、そこで多くの恩恵をもたらすことになります。たとえば成長や発達を促進するホルモン『インスリン様成長因子1(IGF-1)』や『血管内皮成長因子(VEGF)』、さらに『脳由来神経栄養因子(BDNF)』などだね

 IGF-1は身体の成長と大きく関連し、たとえば犬の大きさはIGF-1をたくさん分泌するほど大きい犬種になることが明らかになっています

 VEGFはその名の通り血管の新生を促してくれるたんぱく質で、新しい血管をどんどん作ってくれる優れもの。腫瘍と呼ばれるアレは、逆にこのVEGFをどんどん生み出して自分を成長させるワルいヤツなので、逆にVEGFの働きを阻害することで腫瘍の成長を抑える――いわゆる兵糧攻めというかそういう治療法をします

 BDNFは神経の新生を促してくれるありがたいたんぱく質。海馬、大脳皮質などで活発になるので学習、記憶、高度な思考などで最大限の恩恵を与えてくれるでしょう

 ボディビルダーってなんか怖いというか凶暴なイメージある? ――実はね、筋トレしてる人ってけっこうスマートな思考回路をお持ちなのよ。それは筋肉があるからケンカ余裕的な意味じゃなく、もしかしたら脳が冴えわたってスマートな思考ができるからかもしれませんね

 心臓ちゃんは全身に血液を運ぶ役割があります。指先の末端まで循環させなきゃいけないのでそれはもう激務なんですが、運動というあえて心拍を・・・・・・上げる行為・・・・・を行うことで末端の末端まで血液循環を促進。すると、心臓は平静時の心拍をムリして上げることがなくなるので帰って総合的な心臓の負担を抑えられる可能性もある

 運動不足だと常日頃からヒィヒィ言いながらドックンドックンやってく必要がある

脳「あー……さいきん心臓動かすの疲れるなぁ」

心臓「ちょっと休んでいい?」

五臓六腑「!?」

 ――こんな未来にならぬよう、日頃から運動習慣をつけておきたいですね





:運動とストレス:

 ストレスってイヤだよね

 まいにちを行きていくなかで、多かれ少なかれ人はストレスと向き合うことになります。あ、勘違いしないでほしいんですが、ストレスって実は心身にとって重要な存在だったりします

 運動だって見方を変えれば『身体的ストレス』を、あえて自らに与えていることになります。筋トレなんかわかりやすいよね。わざわざ自分自身の筋繊維がぶっこわれるようなことをしてなにが楽しいんだとツッコミを入れたくなる方も少なくないでしょう

 けどあれは『成長』に必要なもの。身体にストレスを与えて、ほどよくダメージを与えることで筋繊維くんに「このままではダメだ!」と思わせてたんぱく質を使い合成しまくり、以前より強靭な筋肉になって蘇る。このループがボディビルダーのガチムチを生み出しているのです

 こころも同じことがいえます。日々ほどよいストレス・・・・・・・・を受けてこころを鍛えるからこそ人は強くなれるのです。が、受けるストレスがキャパオーバーだからこそ、人はこころの病にかかり、多くの悪影響を受けてします

 ――アナタがそのような危機に瀕していたら、すぐに逃げるようお勧めします。健全なココロがあってこそのアナタ・・・です。わたしはアナタという存在を応援しますよ

 上記で紹介したたんぱく質は、神経の新生だけでなく生存戦略にも役立ちます。筋肉の収縮によって生み出されたそれらの因子は血流に乗って脳にたどり着き、脳神経をありとあらゆるストレスから護ってくれるのです

 運動によって細胞内のエネルギー生産はより効率的になり、運動によって受けたストレスを排除するうれしい清掃サービス・・・・・・もあります。運動自体もストレスになるけど、運動後はそのストレスを払拭して余りあるほどのリターンがあるってことです

 運動習慣は『エネルギーを生み出す仕組み』をよりスムーズに働かせるようになり、普段の血糖値を下げたりグルコース量のコントロールも容易になります。慢性的に受けるストレスも、運動によって生み出されるこれらの処理で脳活動を活発にし"ストレスに負けない脳"をつくるのに役立ちます。ストレスホルモンの悪名高い『コルチゾール』くんが増えないよう監視したり、セロトニンなどの有益な神経伝達物質をいい感じに増やしてくれたり、平常時の心拍を抑えてくれたり、これらの恩恵で「わたしは"わたし"をうまく制御できている」という感覚に包まれたり――

 もう運動しない選択肢なくね?



 最新研究では、これらの知見に加えてより詳細な研究もされ続けています。ほかに脳の成長に関わる因子はなにか、なぜこれらの物質が脳神経を新生してくれるのか……今後どのような発見があるか楽しみですね

 ここでは基礎的なことを紹介しましたが、もうちょっと深掘りしたい方は上記用語について検索してみるか、もしくはジョン・J・レイティ氏著『脳を鍛えるには運動しかない!』という本が個人的におすすめです。初出年こそ2009年と古く感じますが、現代の研究における基礎的内容を網羅した良書となっております

 運動がいいのはわかってるけどやる気やきっかけがほしいなぁ――って方、ここで読んだ今、この瞬間こそ絶好の機会です。なにも毎日1時間歩けなんて書きません。はじめは家の周辺を10分くらい周ってみたり、近所の人と会うのが恥ずかしいって方は近くの河川敷に赴くのも良いでしょう。ちょっとマネーあるよって方は自宅にマシーンを用意するなんて選択肢もあります

 きっかけ、というワケではありませんが、わたし自身『犬のさんぽ』という名目で毎日運動しております。もううちの子散々歩きとおしても「え? もう帰るの?」って顔しやがってかわいいなぁ

 なんでもいいんです。アナタが「よし、やろう!」と決めたタイミングでも「まあ、とりあえず試しに」と考えたタイミングでも、その1歩が結果的にアナタの身体を変えてくれます

 先々のことなんて考えなくていい。とにかく『目の前の1歩』から始めていきましょう。アナタの心身の健康を祈っています

厚生労働省、健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023
ttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/undou/index.html
健康長寿ネット、運動の"動機づけ"
ttps://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/kenkou-zoushin/undou-kouka-gai.html
東洋大学、運動を習慣化する秘訣
ttps://www.toyo.ac.jp/link-toyo/life/exercise_habits
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