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作者: 星埜銀杏
レベル16 異常事態に異常なし
「うむっ」

 ジョンドット五世ことムキムキ言語が一つ頷く。

「モブよ。その手に隠し持っているモノはなんだ? それは毒針ではないのか?」

 ジョン。

 アハっ。

 バレてますって。普通にバレてますよ。クソう。

 思うのだが、生きるって、なかなか思うようにいかないってヤツだな。これは。

 まあ、思考が読まれているから、……当たり前っちゃ当たり前の話なんだがな。

 よく考えればだ。というか自分の考えなしに、さすがはモブキングになる男と、絶賛、自画自賛中。真っ白インでの空であろう天を仰ぎ、仰げば尊しを歌う。直立不動で視線は真っ直ぐに。蛍の光が聞こえ、この店は閉店だと知らせてくる。

 言うまでもないが、真っ白インのなごやか、という名古屋実在のパチンコ店だ。

 遺影ッ!

「ククク」

 ふんふんふん、ぶぉん。ぶぉん。ぶぉん。キッ!

 俺は敢えて不敵に嗤った後、長髪を揺らし挑発。

 ジョン。ジョンドット五世と同じジョンだわよ。

 更に毒針を振り続け、富嵐と富岳のどっちが強いのか、と己に強く問うてみる。

 その心はと問われれば、そもさんせっぱの心だ。

 遺影ッ!

「毒針が恐いのか? それともアレか。本当は俺がモブキングになれる器だからこその警戒なのか? それともアレか。まるで嘘みたいな物語って事なのか?」

 ムキムキ言語が静かに微笑み、その後、答える。

「うむ。主が制御不能だという答えに間違えはない。少なくとも侮れない存在だとは思っておる。ゆえに試した。余らが見放すと、どうなるのか、を知る為にな」

 おおう?

 ちょっと待て。少しだけ待ってよ。浜野あさり。

 ……ギネスに登録されたらしいぞ。知らんけど。

 ベテルギウスとドライフラワーを歌うのは優里だが、ツバメはYOASOBIだったりしないか? いや、今は、そんな事は、どうでもいいのだ。それよりも大事なのは、さね魔人とムキムキ言語による新たな犠牲者を出さぬ事こそが必定ッ!

 だから。

 ふんふんふん、ぶぉん。ぶぉん。ぶぉん。キッ!

 ここは。

 ここは敢えて強気に出て更に挑発してやんぜッ!

 単発な短髪に短パンを履き、あんパンを喰らい。

 ふんふんふん、ぶぉん。ぶぉん。ぶぉん。キッ!

 ジョン。

 俺じゃなきゃ見逃しちゃうね。ソレが定説。ディフェンスに定評のある池上だ。

「だから毒針を刺そうとしているのはバレておるのだ。それでも毒針を振り続けるのか。主はな。……思うのだが、それはビチなりにやる気を示しておるのか?」

 おおう?

 またビチに戻ったぞ。俺の呼称が。胡椒を鼻に振り鼻を故障させハックシュン。

 沼駿先生だ。世界を変えるべく漫画を描く超人。

 左門君はサモナーの作者で、今は、超巡・超条先輩を描かれている大先生だぜ。

 実は、ここだけの話だが、この世の神は、その新連載が好きすぎてジャンプの16号を買うのを忘れたくらいだ。まあ、好きなのは確かなのだが、それって、どうよ? って話だな。無論、そんなツッコミは黙殺の木蓮と黙々な沈黙戦だぜ?

 ふんふんふん、ぶぉん。ぶぉん。ぶぉん。キッ!

 俺が、やる気を示している。そう思うか? 本当に、そう思うのか? お前は。

 敢えて思考を0にして一心不乱に振っている事に気づかないのか?

 阿呆が。

 ふんふんふん、ぶぉん。ぶぉん。ぶぉん。キッ!

「むむ。一体、なにを考えているのか、それは分からんが、それでも主は合格したのだ。モブキングになれる器だと。その証左こそが制御不能という事実なのだ」

 ふんふんふん、ぶぉん。ぶぉん。ぶぉん。キッ!

 ハァハァ。流石に疲れてきたぞ。でも、もう少し。あと少しだぜ。

 自分が苦しい時は相手も苦しい。だからこそ、もう少しなんだ。あと少しだぜ。

 ジョン。

「ジョンドット五世、制御不能に関しては、もはやコチラで制御する必要なしと判断したんだろ。だったらビチの好きなようにやらせればいいじゃないのかい?」

「……そうだな。香恋。余とした事が余計な口出しだったようだな」

「そうさね。ジッと成り行きを見守るのが吉さね」

 さね魔人とムキムキ言語の二人が納得している。

 阿呆が。

 阿呆が。

 阿呆共。

 死ねぇ!

 遺影ッ!

 と俺は無心になり、ある意味で無我の境地にさえ到り、毒針を振り続ける。その様は、まるでチアでの相撲のようであり、ブレイクダンスを踊る一休さんにも見える。わからんちんども、とっちめちん。あぁ、あぁ、なむさんだ。ナコルル。

 ふんふんふん、ぶぉん。ぶぉん。ぶぉん。キッ!

 するり。

 ぶおん。

 よしッ!

「うおっ」

 ぷすり。

 よし。よし。ナイスだ。俺ッ!

 だわよ。

 一体、なにが起こったのか。そんなのは簡単な事だ。ずっと毒針を振り続けて疲れ果てた俺の手からブツが、すっぽ抜けたのだ。ブツ? なんだ? なんて言う無粋なヤツは死ね。ブツと言ったらブツだ。毒針に決まっているじゃないか。

 ククク。

 そして。

 先ほどの、うおっ、は、ムキムキ言語のソレだ。

 つまり。

 ヤツの阿呆な尻に毒針が刺さったのだ。見事に。

 いや、もちろん尻ではないのかもしれんが、とにかく刺さったのだ。毒針がだ。

 華麗なる一族の謎解きはディナーのあとで、とカレーを食べるのはダルシムだ。

 遺影ッ!

 いくら思考を読んでいても流石に無我に到った俺のナイスな作戦は読めなかっただろうが。もちろん、さね魔人はマジンガーで魔神ブウなのかもしれんが、とにかくSDガンダムだぜ。もちろんユニコーンだな。赤と白の機体が期待させるぜ。

 ちくしょうめぇ。死ねぇい、ムキムキ言語よッ!

 遺影ッ!

「ぐおお」

 なんて転スラでの他機が死ぬ時の断末魔のような叫び声をあげるムキムキ言語。

 いや、転スラを読んだ事がないので、もしかしたら失礼な物言いかもしれんが。

 知らん。

 素無視。

 ジョン。

 そんな事よりも大事なのはムキムキ言語に毒針が刺さったという事。そして見事に6回に1回の確率での即死を引いた事だ。だからこそムキムキ言語は苦しんでいるのだ。俺を殺し〔不可抗力も含め〕まくった罪をあがなえ。阿呆どもがぁ。

 武者ガンダムと仮面ライダー鎧武のフューチャー・ザ・トゥ・バックⅢだぜよ?

 むきき。

 見猿、岩猿、着飾る、の下に眠る埋蔵金だべさ。

 しゃれこうべ博士とドクロベエ様の狂宴な笑い。

 高笑い。

 ホホ。お仕置きだべぇ~。孫には甘い普通のお爺ちゃんだべぇ~。

 ジョン。

 と喜んでいる俺に淡々とした口調とトーンで、さね魔人が言った。ふふふ、と。

「やっぱりビチはビチさね。珍読の意味も分かってない。無論、それがそれであるからこそ哲学者が素足で逃げ出すレベルのビチなんさね。ビチはね。ククク」

 と……。
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