残酷な描写あり
R-15
魔力纏い
残りの授業はサムの授業に戻り、レンは真面目に授業を受ける。
今日は魔法戦闘学の座学。
「さて、今日の授業は魔法戦闘を行う上で大事な技術【魔力纏い】の理論を教えていく。まず、魔法銭湯において攻撃魔法の速度と威力は重要だ。だが、それだけで勝つ事は難しい。ハウルはそれをよく知っているな?」
サムがそう訊くと嫌そうな顔をしてそっぽ向く。
「先日の屋外競技場半壊事件でハウルは当事者だったが、全く攻撃が通らなかっただろう?あれは【魔力纏い】という技術でダメージを軽減する技術だ。魔法というのは実はかなり効率が悪くてな、使用魔力から詠唱のロスと現象の発現と使用時間と規模を差し引いたのが魔法なんだ」
魔法が便利である反面、効率が悪いという事実にレンは驚く。
どんな距離からでも魔法を放って攻撃することができ、近ければ肉体を強くさせる魔法を使えば白兵戦もできる。
一人一つの魔法であっても魔道具によるサポートでカバーする。
魔法を持たないレンには知ることができなかった。
「魔法の威力が相手の魔力の壁を越えられなかったら、まずダメージを与えられない。ハウルが特級クラスの女子に攻撃が通らなかったのはそういう事。だが【魔力纏い】は硬いが万能では無い。強い魔法は魔力の分軽減できるが、防御に回した魔力は失われる。それに魔力を纏った打撃や斬撃なら少しずつでも削ることができる。そう、【魔力纏い】の壁は【魔力纏い】の打撃で突破できることを知っておくんだ」
レンはリコとハウルの決闘を思い出していた。
ハウルの剣撃が通らなかった時、殴打による攻撃に切り替え、リコの魔力を少しずつだが、削っていた。
そして、魔力の解放でハウルを吹き飛ばす。
レンは少し考えて手を上げる。
「先生!魔力自体は飛ばせないんですか?」
「頭まで劣ってるんかよ!」
「なんでだよ!普通に疑問に思っただけだろ!それにオレはハウルじゃなくて先生に話してるんだ!」
「あぁっ!?誰に向かって物を言ってんだ!お前の時間なんて無駄だから黙ってろって言ってんだよ!」
「はーいそこまで」
サムは二人の間に立ち、口喧嘩を制止する。
ハウルは頬杖を付いてサムから目を逸らす。
レンはそんなハウルの態度にムッとしていると、サムに頭をポンポンと叩かれる。
「レンの疑問はよく分かる。でも、少しは予習しような?とりあえず座って」
レンはサムの言葉に首を傾げ、言われた通り着席する。
教壇に戻り、レンの方へと視線を向ける。
「レンは魔法を持っていないから、その辺の技術を知らないだろう?魔力というのは身体から切り離すと大気に奪われるんだ。魔法は自分の体から魔力を切り離す技術でもあるんだ。ほら、火の玉の魔法だって体から魔力を切り離しているだろう?あれは魔力に命令を与えて契約する事で大気が魔力を奪えないようにしているんだ」
「そうだったんですね……」
レンは悔しそうな顔をして拳を握りしめる。
魔法を使えないレンに知ることができない事であった。
ただ、それ自体は教科書にも記載されているものであり、レンの予習不足だという指摘も反論できなかった。
「まあ、ポチおは技術的にできないか模索しているとは聞いているぞ。まだ、実現していないがな」
「……!」
レンはポチおがまだ実現できていない技術と聴き、表情が少しだけ明るくなる。
しかし、国内最高の魔法技術士を以てしても達成できていない事を理解すると、落ち込んでしまう。
授業はトラブルがそれ以上起こらず終了し、部室に向かう。
部室の扉を開けると甘い香りが漂っており、首を傾げる。
「お疲れ様〜。リコさん、早いね」
「あ……はい。お疲れ様です。私も先程来たばかりです」
「はぁ……」
レンは荷物を置いて机に突っ伏す。
そんな様子を見たリコは首を傾げて口を開く。
「どうされたのですか?」
「ううん。今日さ、【魔力纏い】を習ったんだけど、魔力が体を離れると消える事を知らなくてさ……。その、ハウルとケンカしちゃったし先生にも注意されちゃった……」
「そうだったのですね。……ん。……確かに魔力は大気に還っていきますから仕方がないですが……。……ふぅ」
「リコさんどうしたの?」
リコは少し頭を押さえ、じっと動きを止める。
レンは心配になりリコの背中を摩る。
そして再び甘い香りがレンの嗅覚に届けられた。
匂いの元はリコだと分かる。
今までにない匂いに戸惑っていると、リコはゆっくりと立ち上がる。
「レン君、ごめんなさい。私、少し体調が良くないみたいです。保健室に寄って、早退します」
リコは足早に帰り支度をし、帰っていった。
レンは一人になった部室で胸に手を当ててリコの出ていった扉を見つめていた。
(なんでか分からないけど……すごくドキドキしてる……)
レンは何故か高まる鼓動に疑問を感じつつ、日課である【結合】の訓練を行うのである。
そして、この日はメリルも来ることが無かったのであった。
今日は魔法戦闘学の座学。
「さて、今日の授業は魔法戦闘を行う上で大事な技術【魔力纏い】の理論を教えていく。まず、魔法銭湯において攻撃魔法の速度と威力は重要だ。だが、それだけで勝つ事は難しい。ハウルはそれをよく知っているな?」
サムがそう訊くと嫌そうな顔をしてそっぽ向く。
「先日の屋外競技場半壊事件でハウルは当事者だったが、全く攻撃が通らなかっただろう?あれは【魔力纏い】という技術でダメージを軽減する技術だ。魔法というのは実はかなり効率が悪くてな、使用魔力から詠唱のロスと現象の発現と使用時間と規模を差し引いたのが魔法なんだ」
魔法が便利である反面、効率が悪いという事実にレンは驚く。
どんな距離からでも魔法を放って攻撃することができ、近ければ肉体を強くさせる魔法を使えば白兵戦もできる。
一人一つの魔法であっても魔道具によるサポートでカバーする。
魔法を持たないレンには知ることができなかった。
「魔法の威力が相手の魔力の壁を越えられなかったら、まずダメージを与えられない。ハウルが特級クラスの女子に攻撃が通らなかったのはそういう事。だが【魔力纏い】は硬いが万能では無い。強い魔法は魔力の分軽減できるが、防御に回した魔力は失われる。それに魔力を纏った打撃や斬撃なら少しずつでも削ることができる。そう、【魔力纏い】の壁は【魔力纏い】の打撃で突破できることを知っておくんだ」
レンはリコとハウルの決闘を思い出していた。
ハウルの剣撃が通らなかった時、殴打による攻撃に切り替え、リコの魔力を少しずつだが、削っていた。
そして、魔力の解放でハウルを吹き飛ばす。
レンは少し考えて手を上げる。
「先生!魔力自体は飛ばせないんですか?」
「頭まで劣ってるんかよ!」
「なんでだよ!普通に疑問に思っただけだろ!それにオレはハウルじゃなくて先生に話してるんだ!」
「あぁっ!?誰に向かって物を言ってんだ!お前の時間なんて無駄だから黙ってろって言ってんだよ!」
「はーいそこまで」
サムは二人の間に立ち、口喧嘩を制止する。
ハウルは頬杖を付いてサムから目を逸らす。
レンはそんなハウルの態度にムッとしていると、サムに頭をポンポンと叩かれる。
「レンの疑問はよく分かる。でも、少しは予習しような?とりあえず座って」
レンはサムの言葉に首を傾げ、言われた通り着席する。
教壇に戻り、レンの方へと視線を向ける。
「レンは魔法を持っていないから、その辺の技術を知らないだろう?魔力というのは身体から切り離すと大気に奪われるんだ。魔法は自分の体から魔力を切り離す技術でもあるんだ。ほら、火の玉の魔法だって体から魔力を切り離しているだろう?あれは魔力に命令を与えて契約する事で大気が魔力を奪えないようにしているんだ」
「そうだったんですね……」
レンは悔しそうな顔をして拳を握りしめる。
魔法を使えないレンに知ることができない事であった。
ただ、それ自体は教科書にも記載されているものであり、レンの予習不足だという指摘も反論できなかった。
「まあ、ポチおは技術的にできないか模索しているとは聞いているぞ。まだ、実現していないがな」
「……!」
レンはポチおがまだ実現できていない技術と聴き、表情が少しだけ明るくなる。
しかし、国内最高の魔法技術士を以てしても達成できていない事を理解すると、落ち込んでしまう。
授業はトラブルがそれ以上起こらず終了し、部室に向かう。
部室の扉を開けると甘い香りが漂っており、首を傾げる。
「お疲れ様〜。リコさん、早いね」
「あ……はい。お疲れ様です。私も先程来たばかりです」
「はぁ……」
レンは荷物を置いて机に突っ伏す。
そんな様子を見たリコは首を傾げて口を開く。
「どうされたのですか?」
「ううん。今日さ、【魔力纏い】を習ったんだけど、魔力が体を離れると消える事を知らなくてさ……。その、ハウルとケンカしちゃったし先生にも注意されちゃった……」
「そうだったのですね。……ん。……確かに魔力は大気に還っていきますから仕方がないですが……。……ふぅ」
「リコさんどうしたの?」
リコは少し頭を押さえ、じっと動きを止める。
レンは心配になりリコの背中を摩る。
そして再び甘い香りがレンの嗅覚に届けられた。
匂いの元はリコだと分かる。
今までにない匂いに戸惑っていると、リコはゆっくりと立ち上がる。
「レン君、ごめんなさい。私、少し体調が良くないみたいです。保健室に寄って、早退します」
リコは足早に帰り支度をし、帰っていった。
レンは一人になった部室で胸に手を当ててリコの出ていった扉を見つめていた。
(なんでか分からないけど……すごくドキドキしてる……)
レンは何故か高まる鼓動に疑問を感じつつ、日課である【結合】の訓練を行うのである。
そして、この日はメリルも来ることが無かったのであった。