R-15
part Kon 5/16 pm 3:40
藤浜駅のベンチで 英語のイディオムをチェックしていく…。
Do you mind if I stop by your house?
No,not at all. Be my guest!
えっーと…『あなたの家に… 行っても いいですか？』で… No,not at all.は この場合 オッケーってこと だから…『もちろん 遠慮なく！』のハズ…。
赤のチェックシートを外して 和訳を確認する。
All right!! 英語は なんとかなりそうだ。
うん。やっぱ 数学だな…。
数学は ヤバい…。
そもそも あたしみたいな服飾デザイン科の人間と 三角関数にどんな繋がりがあるのか かなり謎。
モチベーションの上がりにくい教科な上に 藤工の 機工や工化の男子たち（明日香先輩とか日菜乃みたいに 女子もちょっとは いるけどさ…）は 数学得意な子が多い。
苦手教科とはいえ 推薦取ること考えると 最低 評定３ライン できれば 平均点超えの点数が欲しい。
やっぱ 数学を重点的にやるべきなんだけど……ねぇ？
スマホを取り出してＳＮＳをチェックする。
あきちゃんからの 新しいメッセージは 届いてなかった。
１６時 待ち合わせで変更無しってことなんだろう。
今朝は 珍しくあきちゃんからメッセージが届いていた。
〈大雨で自転車乗れないから お母さんに駅まで車で送ってもらう〉ってゆー内容。
……だけど あきちゃんが出てくるＨな夢見たばっかりだったから アプリに〈宮村 亜樹〉って表示されたときは 心臓 止まりそうになった。
ドキドキしながら 開けてみたら 丁寧だけど簡潔に要件だけを伝える デコりもスタンプもない シンプルなメッセージ。
あきちゃんらしいっちゃ～あきちゃんらしいけど なんか男の子みたい。
ってゆーか 今どき男子でもスタンプの１つや２つ使ってると思うんだけど。
おかげで どんな感じで『了解』って送るかで けっこう悩んだ。
時刻表のところの 時計をチラッと見る。
15:42
次の電車まで あと５分。
待ち合わせは１６時だけど あきちゃんは 律儀な性格だから なんとなく４７分の電車で来そうな予感がする…。
最初は 学校の図書室で数学の勉強しようかと思ったけど もし あきちゃん待たしたら悪いし 駅のベンチで英語の構文 覚えることにした。
……いや まあ 確かに 数学やる気がしなかったってゆーのも あるんだけどさ…。
あたしの通う 県立藤浜工業高校は パパやママが通った ヤンキー校時代の藤工とは まったくの別物だ。
何が『オレらみたいな ノータリンのヤンキーばっかだから 勉強は 心配ねぇ』よ…。
……パパのバカ。
もちろん 進学校ってワケじゃないけど それでも 大学進学率は５割近いし 国公立の工学部や理学部へ行く人もいる。
あたしみたいな 公立のバレー強豪校だからってゆー理由で 藤工選んだ人間が 楽勝で推薦取れるような学校じゃ絶対ない…。
でも あたしは 大学に行きたい。
理由は いくつかあるけど なんといっても１番の理由は『バレーボールがしたいから』。
小学生のころは 高校卒業したらＶリーガーって 本気で思ってた。
けど さすがに高校生にもなると そのコースが かなりキビシイってゆーのも わかってくる。
もちろん夢を諦めたワケじゃないけど 高１から強豪校のレギュラーで… みたいな天才じゃないんだから ある程度 現実的なことも考えないとね。
そう考えると 大学行ってバレーするっていうのが順当なコースだと思う。
社会人になって地域のクラブチームで…っていう選択肢もあるけど やっぱ 練習環境とか厳しいらしいし…。
ただ うちの家は 当たり前に大学行かせてくれるような お金持ちじゃあ無い。
どうしても勉強がしたいってゆーんなら ともかく『バレーボールしたいから大学行かせてくれ』って 両親説得するのは かなり勇気がいる。
有名大学の推薦もらったとか じゃないとね…。
そんなワケで バレーしたいって思うなら 勉強も頑張らないといけない状況に陥っているのだ……あたしは。
バレーは したいし 勉強もしなきゃいけないし 友だちとは 遊びたいし オシャレもしたいし 恋だってしてみたい。
忙し過ぎる高校生活だ。
おっ…と 間違えた。
レギュラー獲るまでは 恋愛禁止。
前髪は 少し伸びてきたけど 相変わらず ボーイッシュってゆーよりは ボーイな感じ…。
……ヤレヤレだ。
………。
……。
…。
to be continued in “part Aki 5/16 pm 3:49”