残酷な描写あり
デートしちゃいけないですか⁈ ③
「アシカのショー、楽しかったねぇ」
奏お姉ちゃんはご満悦といった表情だ。確かに面白かった。アシカの芸も見事だったし、お兄さんとお姉さんの掛け合いも面白かった。ショーとはこう言うものでなくてはいけないのだと、私は思った。
「そうだね。芸も良かったし、話も面白かったしね」
「次のイルカショーも楽しみだねえ」
奏お姉ちゃんは微笑んでいた。それから少しすると、イルカショーの案内が流れた。ここのイルカショーはバンドウイルカ、カマイルカという2種類のイルカに加えて、コビレゴンドウというクジラもショーに参加する場合があるらしい。
「今日はクジラさん見れるといいなあ」
奏お姉ちゃんがキョロキョロと探している。そう言えば昔来た時はクジラはいないショーだったから、観れると嬉しい。
さて、今日はどっちだろうか。ステージの奥のプールに目をやると、イルカの中に少しゴツい生き物が見えた。間違いなくクジラだ。
「お姉ちゃん、あそこにいるよ」
私が指を指した方を奏お姉ちゃんは向く。
「ほんとだ! 今日はラッキーだねぇ!」
奏お姉ちゃんは体を少し揺らしながら喜んでいるようだ。こればかりは運だったから、今日のこの幸運を噛み締めておこう。喜ぶ奏お姉ちゃんが見れてとてもラッキーだ。
「さて、イルカたちの準備も整ったので、ショーを始めていきましょう!」
スピーカーからの案内の声とともに、イルカが水中から高く高くジャンプする。2、3メートルの高さに吊るされているボールに届いてしまうくらいの大ジャンプだ。観客席からおぉっという歓声が上がっていた。
「おおっ! すごーい!」
奏お姉ちゃんは口をあんぐりと開けている。今日は珍しい奏お姉ちゃんの表情が沢山見れる。水族館に感謝しないといけないみたいだ。このまま奏お姉ちゃんの表情をずっと眺めててもいいが、先程同様、話をされると困るのでイルカショーの方に戻ろう。私は視線を前にと戻した。
奥のステージには4人のトレーナーさんがいて、プールの中のイルカ達が軽快な音楽のリズムに乗るように、右から左、左から右へと次々とジャンプを決めていく。クジラはのっそりと動きながら、時折尾鰭を大きく動かして水飛沫を飛ばしている。
ジャンプが終わると今度は、イルカが水中から奥のステージへと凄い速度で乗ってくる。痛くないのかなあと思ってしまうくらいのスピードだが、他の子もやっているし、その後も平気そうに泳いでいるし、そこからスピンを決める子もいる。きっと大丈夫なんだろう。私はそう思うことにした。
一通り終わると、今度はイルカ達の紹介に入った。私達から見て左側のトレーナーさんのそばにいるのがカマイルカらしい。紹介されると、カマイルカは立ち泳ぎの芸を披露しながらこちらの方へと向かってきた。
イルカは芸が達者だというイメージがあったがその通りだ。こういう泳ぎ方って器用じゃないとできないから、きっとイルカは相当器用なのだろう。あと、芸を覚えると言うことは頭もいいはずだ。
「凄いね美優羽ちゃん、立って泳いでいるよ」
奏お姉ちゃんは普段より高い声をしている。興奮しているのだろうか。
「こういう芸を覚えられるって相当頭いいんだろうね」
そう私が優しく返すと、
「そうだよねぇ。頭良くないと無理だもんねぇ。私達もイルカに負けないようにしないとね」
なぜかイルカと張り合おうとしていた。人間だから負けたらダメでしょと思うが、私はそんなこと言わずに、そうだね、と否定せずやんわりと返すだけにした。
なんだか今日の奏お姉ちゃんはいつもより幼く感じる。水族館に来るとこうなるのだろうか。それとも、寝不足のせい? いずれにせよ、こんな奏お姉ちゃんは滅多に見れないから今のうちに楽しんでおこう。それはそうとして、イルカショーも見よう。私は再び目線を戻した。
ステージ真ん中のトレーナーさんのそばにいるのがバンドウイルカらしい。紹介されると、カマイルカの時のように立ち泳ぎを披露しながら、こっちに向かってきた。イルカというのはどの子も賢いんだなあと感じた。
一方のステージ右側にいるクジラは、流石に立ち泳ぎができないためその場でくるくると回りながら泳いでいた。クジラは大きいから無理があるだろうなあ。イルカほど俊敏じゃなさそうだし。
紹介が終わると、トレーナーさんがクイズを出してきた。
「問題です。カマイルカとコビレゴンドウでは、どちらが速く泳げるでしょうか」
そう言うと、トレーナーさん達はリズミカルに左右に揺れ始めた。それに合わせてイルカ達も頭を左右に振っている。ここのイルカは芸が細かく仕込まれているなあと私は感心した。
「これは簡単だよねぇ」
奏お姉ちゃんは自信満々そうにしている。相変わらずかわいくてたまらない。それは置いておいて、答えはカマイルカのはずだ。ショーが始まってからの動きを見れば一目瞭然だ。
「イルカだよね。すばしっこそうだし、これまでの動き見てもそうだろうしね」
「うん。絶対そうだよ」
奏お姉ちゃんの自信は揺らがないようだ。シンキングタイムが終わりいよいよ答え合わせだ。イルカとクジラが一斉にスタートを切る。イルカはとてつもない早さでプールの中をスイスイと泳いでいる。一方でクジラは頑張っているんだけど、動きがイルカに比べると遅いし重い。これはもう決まったようなものだ。
「はいっ。と言うわけで、正解はカマイルカでした!」
その声に合わせてイルカとクジラに対して拍手が送られる。私も拍手をして労った。奏お姉ちゃんも笑顔で拍手をしている。
「では、次の問題です。この中でどの子達が水飛沫をいっぱい飛ばせるでしょうか!」
トレーナーさんの声と共に再びシンキングタイムに入る。これも簡単だ。クジラで間違い無いだろう。確信に近い自信を感じながら、答え合わせの時間を待った。
「それでは、カマイルカ達から順番にやってもらいましょう!」
トレーナーさんがそう言うと、カマイルカがプールの縁を沿うようにゆっくりと泳ぎ出した。そして、観客席のあるエリアに近づくと、尾鰭を勢いよく左右に振り出す。水飛沫が飛ぶ。ただ、そこまで多くはない。
「次はバンドウイルカです!」
バンドウイルカも同じように動いて、水飛沫を飛ばす。今度はカマイルカより体格が大きい分水飛沫の量も多い。流石に私達の席までは飛んで来ないが、それでもかなりの量である。
最後はクジラだ。のっそのっそと動きながら、水飛沫を飛ばす。やはり量は多い。ただ、バンドウいるかとそう差がないかもしれない。と言うことは、答えは二つなのだろう。私はそう考えた。
「答えはバンドウイルカとコビレゴンドウでした!」
やはりそうなったかと私は思った。
と言うわけで、クイズタイムは終了。ここからはいよいよクライマックス。イルカたちのジャンプに入るみたいだ。
夏らしい陽気で軽快なナンバーが掛かると同時に、イルカたちが一斉に高々とジャンプする。そのジャンプに観客席中からおおっと大きな歓声があがる。奏お姉ちゃんも同じような反応を見せて大喜びだ。
それからは、イルカたちが宙返りや捻りながらのジャンプなど様々なジャンプを見せる。その度に観客席と奏お姉ちゃんはキャーとか凄いとか色んな反応を示す。足をジタバタさせて奏お姉ちゃんはやっぱりかわいいなあ。
そして、クジラがついに動き出す。何をするんだろうか。私はワクワクする。次の瞬間。体を捻りながらのダイナミックなジャンプをした。これは凄い。あの重い体をよくあんなに飛ばせるんだと感動する。思わずすごっと声を漏らしていた。
イルカとクジラ達のジャンプが終わりショーも終了。最後はイルカ達が左の胸鰭を振りながらプールを泳いでいた。
「かわいかったし凄かったね!」
奏お姉ちゃんはご満悦のようだ。
「うん。観に来て良かったね」
私は頬を緩めていた。イルカショーにアシカショー。観に来て良かったと心の底でそう思った。
奏お姉ちゃんはご満悦といった表情だ。確かに面白かった。アシカの芸も見事だったし、お兄さんとお姉さんの掛け合いも面白かった。ショーとはこう言うものでなくてはいけないのだと、私は思った。
「そうだね。芸も良かったし、話も面白かったしね」
「次のイルカショーも楽しみだねえ」
奏お姉ちゃんは微笑んでいた。それから少しすると、イルカショーの案内が流れた。ここのイルカショーはバンドウイルカ、カマイルカという2種類のイルカに加えて、コビレゴンドウというクジラもショーに参加する場合があるらしい。
「今日はクジラさん見れるといいなあ」
奏お姉ちゃんがキョロキョロと探している。そう言えば昔来た時はクジラはいないショーだったから、観れると嬉しい。
さて、今日はどっちだろうか。ステージの奥のプールに目をやると、イルカの中に少しゴツい生き物が見えた。間違いなくクジラだ。
「お姉ちゃん、あそこにいるよ」
私が指を指した方を奏お姉ちゃんは向く。
「ほんとだ! 今日はラッキーだねぇ!」
奏お姉ちゃんは体を少し揺らしながら喜んでいるようだ。こればかりは運だったから、今日のこの幸運を噛み締めておこう。喜ぶ奏お姉ちゃんが見れてとてもラッキーだ。
「さて、イルカたちの準備も整ったので、ショーを始めていきましょう!」
スピーカーからの案内の声とともに、イルカが水中から高く高くジャンプする。2、3メートルの高さに吊るされているボールに届いてしまうくらいの大ジャンプだ。観客席からおぉっという歓声が上がっていた。
「おおっ! すごーい!」
奏お姉ちゃんは口をあんぐりと開けている。今日は珍しい奏お姉ちゃんの表情が沢山見れる。水族館に感謝しないといけないみたいだ。このまま奏お姉ちゃんの表情をずっと眺めててもいいが、先程同様、話をされると困るのでイルカショーの方に戻ろう。私は視線を前にと戻した。
奥のステージには4人のトレーナーさんがいて、プールの中のイルカ達が軽快な音楽のリズムに乗るように、右から左、左から右へと次々とジャンプを決めていく。クジラはのっそりと動きながら、時折尾鰭を大きく動かして水飛沫を飛ばしている。
ジャンプが終わると今度は、イルカが水中から奥のステージへと凄い速度で乗ってくる。痛くないのかなあと思ってしまうくらいのスピードだが、他の子もやっているし、その後も平気そうに泳いでいるし、そこからスピンを決める子もいる。きっと大丈夫なんだろう。私はそう思うことにした。
一通り終わると、今度はイルカ達の紹介に入った。私達から見て左側のトレーナーさんのそばにいるのがカマイルカらしい。紹介されると、カマイルカは立ち泳ぎの芸を披露しながらこちらの方へと向かってきた。
イルカは芸が達者だというイメージがあったがその通りだ。こういう泳ぎ方って器用じゃないとできないから、きっとイルカは相当器用なのだろう。あと、芸を覚えると言うことは頭もいいはずだ。
「凄いね美優羽ちゃん、立って泳いでいるよ」
奏お姉ちゃんは普段より高い声をしている。興奮しているのだろうか。
「こういう芸を覚えられるって相当頭いいんだろうね」
そう私が優しく返すと、
「そうだよねぇ。頭良くないと無理だもんねぇ。私達もイルカに負けないようにしないとね」
なぜかイルカと張り合おうとしていた。人間だから負けたらダメでしょと思うが、私はそんなこと言わずに、そうだね、と否定せずやんわりと返すだけにした。
なんだか今日の奏お姉ちゃんはいつもより幼く感じる。水族館に来るとこうなるのだろうか。それとも、寝不足のせい? いずれにせよ、こんな奏お姉ちゃんは滅多に見れないから今のうちに楽しんでおこう。それはそうとして、イルカショーも見よう。私は再び目線を戻した。
ステージ真ん中のトレーナーさんのそばにいるのがバンドウイルカらしい。紹介されると、カマイルカの時のように立ち泳ぎを披露しながら、こっちに向かってきた。イルカというのはどの子も賢いんだなあと感じた。
一方のステージ右側にいるクジラは、流石に立ち泳ぎができないためその場でくるくると回りながら泳いでいた。クジラは大きいから無理があるだろうなあ。イルカほど俊敏じゃなさそうだし。
紹介が終わると、トレーナーさんがクイズを出してきた。
「問題です。カマイルカとコビレゴンドウでは、どちらが速く泳げるでしょうか」
そう言うと、トレーナーさん達はリズミカルに左右に揺れ始めた。それに合わせてイルカ達も頭を左右に振っている。ここのイルカは芸が細かく仕込まれているなあと私は感心した。
「これは簡単だよねぇ」
奏お姉ちゃんは自信満々そうにしている。相変わらずかわいくてたまらない。それは置いておいて、答えはカマイルカのはずだ。ショーが始まってからの動きを見れば一目瞭然だ。
「イルカだよね。すばしっこそうだし、これまでの動き見てもそうだろうしね」
「うん。絶対そうだよ」
奏お姉ちゃんの自信は揺らがないようだ。シンキングタイムが終わりいよいよ答え合わせだ。イルカとクジラが一斉にスタートを切る。イルカはとてつもない早さでプールの中をスイスイと泳いでいる。一方でクジラは頑張っているんだけど、動きがイルカに比べると遅いし重い。これはもう決まったようなものだ。
「はいっ。と言うわけで、正解はカマイルカでした!」
その声に合わせてイルカとクジラに対して拍手が送られる。私も拍手をして労った。奏お姉ちゃんも笑顔で拍手をしている。
「では、次の問題です。この中でどの子達が水飛沫をいっぱい飛ばせるでしょうか!」
トレーナーさんの声と共に再びシンキングタイムに入る。これも簡単だ。クジラで間違い無いだろう。確信に近い自信を感じながら、答え合わせの時間を待った。
「それでは、カマイルカ達から順番にやってもらいましょう!」
トレーナーさんがそう言うと、カマイルカがプールの縁を沿うようにゆっくりと泳ぎ出した。そして、観客席のあるエリアに近づくと、尾鰭を勢いよく左右に振り出す。水飛沫が飛ぶ。ただ、そこまで多くはない。
「次はバンドウイルカです!」
バンドウイルカも同じように動いて、水飛沫を飛ばす。今度はカマイルカより体格が大きい分水飛沫の量も多い。流石に私達の席までは飛んで来ないが、それでもかなりの量である。
最後はクジラだ。のっそのっそと動きながら、水飛沫を飛ばす。やはり量は多い。ただ、バンドウいるかとそう差がないかもしれない。と言うことは、答えは二つなのだろう。私はそう考えた。
「答えはバンドウイルカとコビレゴンドウでした!」
やはりそうなったかと私は思った。
と言うわけで、クイズタイムは終了。ここからはいよいよクライマックス。イルカたちのジャンプに入るみたいだ。
夏らしい陽気で軽快なナンバーが掛かると同時に、イルカたちが一斉に高々とジャンプする。そのジャンプに観客席中からおおっと大きな歓声があがる。奏お姉ちゃんも同じような反応を見せて大喜びだ。
それからは、イルカたちが宙返りや捻りながらのジャンプなど様々なジャンプを見せる。その度に観客席と奏お姉ちゃんはキャーとか凄いとか色んな反応を示す。足をジタバタさせて奏お姉ちゃんはやっぱりかわいいなあ。
そして、クジラがついに動き出す。何をするんだろうか。私はワクワクする。次の瞬間。体を捻りながらのダイナミックなジャンプをした。これは凄い。あの重い体をよくあんなに飛ばせるんだと感動する。思わずすごっと声を漏らしていた。
イルカとクジラ達のジャンプが終わりショーも終了。最後はイルカ達が左の胸鰭を振りながらプールを泳いでいた。
「かわいかったし凄かったね!」
奏お姉ちゃんはご満悦のようだ。
「うん。観に来て良かったね」
私は頬を緩めていた。イルカショーにアシカショー。観に来て良かったと心の底でそう思った。