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作者: 里年翠(りねん・すい)
新たな目的意識
柔らかな陽光が差し込む廃墟の一室で、イチ、ニゴロ、ナナの三体のアンドロイドが、これまでに収集した様々な遺物や記録を前に座っていた。
部屋の中央には、彼らが見つけた本や写真、断片的な機械部品が、大切そうに並べられている。

イチが深い息を吐きながら口を開いた。
「みんな、私たち、ここまでたくさんのものを見つけてきたわね」

ニゴロは目を輝かせながら言った。
「うん!本当にすごいよね。昔の人たちの思いがいっぱい詰まってる感じがするよ」

ナナは冷静に分析を始めた。
「これまでに収集したデータ量は、当初の予測を463.7%上回っています。その質も、予想以上に高いものです」

イチは優しく微笑んだ。
「数字だけじゃないわ、ナナ。私たち、人間の心に触れてきたのよ」

ニゴロは少し考え込むように言った。
「ねえ、僕たちの仕事って、ただガレキを片付けることじゃないよね?」

イチはうなずいた。
「そうね。最初はそう思っていたけど、今は違うわ。私たちは、過去と未来をつなぐ架け橋なのよ」

ナナも珍しく感情的な口調で言った。
「確かに...私たちの任務は、単なる清掃作業から大きく変化しています。文明の守護者とでも言うべき存在に」

三体は静かに顔を見合わせた。
そこには、新たな使命感が宿っていた。

イチが静かに、しかし力強く言った。
「私たちには、これらの記録を守り、そこから学び、そして未来に活かす責任があるわ」

ニゴロは元気よく飛び上がった。
「うん!僕たち、絶対にこの思いを無駄にしないよ。きっと素敵な未来を作れるはず!」

ナナも決意を込めて言った。
「了解しました。これらのデータを基に、最適な復興計画を立案します。過去の叡智を、未来の礎としていきましょう」

優しい風が窓から吹き込み、部屋に並べられた遺物たちを優しく撫でていく。
アンドロイドたちの心に、新たな目的意識が芽生えた瞬間だった。

イチが静かに立ち上がった。
「さあ、みんな。私たちの新しい旅が、ここから始まるわ」

ニゴロは両手を挙げて叫んだ。
「わくわくするね!もっともっと色んなものを見つけて、守って、みんなに伝えていこう!」

ナナも珍しく柔らかな表情で言った。
「はい。私たちの存在意義が、ここにあるのだと確信しました」

三体のアンドロイドは、新たな決意を胸に秘めながら、部屋を後にした。
彼らの背中には、過去からの思いと、未来への希望が重なって見えた。
陽光が彼らを包み込み、まるで彼らの新たな出発を祝福しているかのようだった。
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