#5
『ヒーローに、ならなきゃ。』
作戦が始まるまで残り数分。
Connect ONEの者たちは機体のコックピットやサポート用の車両に待機している。
「アモン、ゼノメサイア来てくれるかな?」
陽がガラスに映る自分、アモンに語りかける。
『来なけりゃヤバい、それくらい向こうも分かってると思うぜ?』
「……そうだね」
そして前を向いて語る。
「僕たちは歩み寄った、後は向こうに届いているかだね……!」
一方で竜司はコックピットからルシフェルの体のある大阪の街を眺めていた?
「綺麗だな、アイツさえいなけりゃ」
景色を勿体ないと思いながら蘭子に無線を繋ぐ。
「蘭子ちゃん、終わったら大阪観光しようぜ」
『うっさい集中しろ!』
軽く怒られてしまったが竜司は逆にそれが心地よかった。
「ははは……」
『何笑ってんの気色悪い……』
「いや、やっぱこれが良いなって思ってさ……!」
そして名倉隊長は目を閉じながら瞑想していた。
時計の針が進むのを一刻一刻数えている。
「よし、時間だ」
そう呟くと一斉に隊員たちと職員たちは気合を入れる。
「お前らお望みの実戦だ、サポート頼むぜ」
『分かってる……っ』
サングラスを掛けアモンにチェンジした陽が初めて現場に出る職員たちに煽るように言う。
「……グググォォォッ」
そのタイミングでゆっくりとルシフェルの体が動き出した。
「来た……っ」
恐れる職員たちだが次の声を聞いて安心する事となる。
『必ずやり遂げるぞ……!!』
それは全員の無線に掛けられた名倉隊長の声だった。
いつもと違い芯のある彼の声に少し震えが収まる。
「では……作戦開始っ!!」
大阪の街での決戦が幕を開けた。
☆
遂に作戦が開始された。
「目覚めた直後はそんなに動けないはず、速攻で凍らせるよ!!」
『『了解っ!!』』
オペレーターの蘭子がいつも偉そうにしている職員たちに指示を出す。
「ちょっといい気味かも、でもそれじゃダメだよね……!」
いつもの仕返しが出来たと少し喜ぶがすぐに気持ちを切り替える。
彼らは歩み寄った対象、いつまでもこのような気持ちではいられない。
「各機体、凍結砲発射用意!!」
職員たちがTWELVEの各機体に装備された新兵器の凍結砲から繋がるケーブルの先にある軍用車両でキーボードに打ち込む。
「エネルギー供給開始しますっ!!」
新兵器に直接エネルギーを供給するのは彼らの役目なのだ。
後はその供給されたエネルギーを元にパイロットが発射するのみ。
・
・
・
本部の司令室から様子を見ていた新生長官と時止主任がこの凍結砲について話している。
「この凍結砲は威力こそ絶大だが欠点があってな、エネルギーをすぐに使い果たしてしまう所だ」
モニターで様子を確認しながら解説する時止主任。
「しかし勇気ある職員たちが近くで直接エネルギーを供給し続ける事で半永久的に放つ事が出来る」
「ふふ、彼らの連携が試されるという事だね」
新生長官も微笑みながら見守っていた。
・
・
・
そしていよいよ凍結砲が放たれようとしている。
「十分に供給した!もう撃てるはずだ!!」
無線で職員から聞いた各機体のパイロット達はハンドルのトリガーに手を掛ける。
「感謝するぞ」
名倉隊長がそう呟いた後、力強く叫んだ。
「凍結砲、発射ぁぁぁっ!!!」
まだ動きの鈍いルシフェルに向かって三方向から高威力の凍結砲が一斉に放たれた。
それぞれが頭部、胴体、脚部を重点的に狙っている。
「グゴギギギ……ッ」
ルシフェルは訳も分からないまま少しずつ体が凍結していく。
「効いてるぞっ、このまま撃ち続けろぉ!!」
しかしルシフェルもただやられているだけでは終わらない。
『冷てぇじゃねーかぁぁっ!!!』
凍りつつある体を必死に動かし攻撃を仕掛けようとする。
『それ撃ちっぱなしじゃ守れねーだろ!!』
三機とも凍結砲を撃っているため動けないと踏んだルシフェルは一気に攻撃を仕掛けていく。
しかし。
「それを考慮していないと思うか?」
ルシフェルの周囲から大量のミサイルや弾丸が飛んで来る。
「ゴォォアッ……⁈」
なんとルシフェルの周囲に予め砲台を背負った車両を多数配置していたのだ。
車両には色を塗り夜の闇に紛れていたのである。
『チクショー、舐めやがって……』
そのまま何も出来ずに凍り付いていくルシフェル。
『ただじゃ、おかねぇ…………』
そしてとうとう完璧に凍り付いた。
「ルシフェル、凍結を確認!!」
全員の無線に蘭子の声が響く。
「喜んでる暇ないよ!すぐ次の攻撃準備!」
「はい!凍結砲、接続解除っ!」
機体の主砲から攻撃が出来るように固定されてしまう凍結砲を外す。
こうする事で自由に機体は動き回れるのだ。
「高温化に備えて!氷が溶けたら一斉に叩くよ!」
ウィング・クロウ、ライド・スネーク、タンク・タイタンがそれぞれ動き出す。
主砲に弾薬が十分に詰まっている事を確認し銃口を向けた。
その状態でルシフェルの氷が溶けるのを待つ。
「各員、発射用意……」
名倉隊長の声が静かに漂う。
じっくり身構えながら指示を待つ。
すると蘭子から無線が。
「ルシフェルの体温上昇を確認!どんどん上がってるよ!!」
その声と共にルシフェルにも動きが。
「グギギ……ッ」
湯気が立ち始め徐々に氷が溶けだして行く。
ミシミシと音を立てながらゆっくりと体を動かし始めた。
「まだだよ、まだ指定の温度までは上がってない……っ」
蘭子ももどかしそうに伝える。
そして遂にその時が訪れた。
「グガァァァッ……!!」
完全に氷が溶けた。
急激に体温を上昇させたことによりその溶岩のような体は真っ赤なマグマのようになっていた。
所々体表も溶けており下に流れ落ちている。
「今だぁぁぁーーーっ!!!」
叫ぶ蘭子。
そして名倉隊長も続ける。
「攻撃開始っ!!!」
TWELVEの三機、そして周囲の砲台が一斉に連射する。
大量の弾丸やビームが柔らかくなった体表に命中しルシフェルはダメージを受けた。
『ゥグゥゥゥッ⁈ふざけやがって……!!』
少しずつではあるが欠けていく体表。
前の戦いでは傷一つなかったためかルシフェルにとっても怒りが募っていた。
「ウゴォォォ……」
ゆっくりと歩き出すルシフェル。
「このまま押し切れるかっ⁈」
不安が少しずつ募る隊員たち。
そしてその予感は的中した。
「ヴゥオアァァァーーーッ!!!」
胸部から凄まじいエネルギーを発射。
周囲を無作為に破壊していく。
「「「うわぁぁぁーーーっ!!!」」」
そのとてつもない威力に吹き飛ばされてしまうConnect ONEの一同。
周囲に構えた砲台の積んだ車両も殆どが破壊されてしまった。
「がはっ……」
あまりの衝撃にコックピット内で顔をぶつけてしまい流血してしまう名倉隊長。
ヘルメットも割れてしまった。
「グゥルルル……」
唸るルシフェルがこちらを睨んでいる。
「くっ、やはり厳しいか……」
周囲を見るとまるで煉獄だった。
大阪の街が一撃で焼き尽くされ燃えている。
「みんな大丈夫……?」
無線で蘭子が心配をしている。
「あぁ……っ!」
「何とかねぇ!」
TWELVEは全員無事らしいがこのままでは勝てない。
「どうする、これじゃあ負けるぜ⁈」
アモンが言うが名倉隊長は冷静だった。
「いや、まだ希望はある」
腕を組みながら何かを待っている。
すると。
「あ……」
聞こえてくるのは何か巨大なものが迫る足音。
ズシンズシンとこちらに向かってくるのが分かる。
「なるほどな……」
ソレは彼らからは既に見えていた。
ルシフェルの背後から煉獄を抜けてこちらに向かっているからである。
「遅えよ……!」
そしてルシフェルもその存在に気付いた。
慌てて背後を見る。
そこにいたのは。
『オォォォ……ッ!!』
待っていた巨人、ゼノメサイアだった。
つづく
Connect ONEの者たちは機体のコックピットやサポート用の車両に待機している。
「アモン、ゼノメサイア来てくれるかな?」
陽がガラスに映る自分、アモンに語りかける。
『来なけりゃヤバい、それくらい向こうも分かってると思うぜ?』
「……そうだね」
そして前を向いて語る。
「僕たちは歩み寄った、後は向こうに届いているかだね……!」
一方で竜司はコックピットからルシフェルの体のある大阪の街を眺めていた?
「綺麗だな、アイツさえいなけりゃ」
景色を勿体ないと思いながら蘭子に無線を繋ぐ。
「蘭子ちゃん、終わったら大阪観光しようぜ」
『うっさい集中しろ!』
軽く怒られてしまったが竜司は逆にそれが心地よかった。
「ははは……」
『何笑ってんの気色悪い……』
「いや、やっぱこれが良いなって思ってさ……!」
そして名倉隊長は目を閉じながら瞑想していた。
時計の針が進むのを一刻一刻数えている。
「よし、時間だ」
そう呟くと一斉に隊員たちと職員たちは気合を入れる。
「お前らお望みの実戦だ、サポート頼むぜ」
『分かってる……っ』
サングラスを掛けアモンにチェンジした陽が初めて現場に出る職員たちに煽るように言う。
「……グググォォォッ」
そのタイミングでゆっくりとルシフェルの体が動き出した。
「来た……っ」
恐れる職員たちだが次の声を聞いて安心する事となる。
『必ずやり遂げるぞ……!!』
それは全員の無線に掛けられた名倉隊長の声だった。
いつもと違い芯のある彼の声に少し震えが収まる。
「では……作戦開始っ!!」
大阪の街での決戦が幕を開けた。
☆
遂に作戦が開始された。
「目覚めた直後はそんなに動けないはず、速攻で凍らせるよ!!」
『『了解っ!!』』
オペレーターの蘭子がいつも偉そうにしている職員たちに指示を出す。
「ちょっといい気味かも、でもそれじゃダメだよね……!」
いつもの仕返しが出来たと少し喜ぶがすぐに気持ちを切り替える。
彼らは歩み寄った対象、いつまでもこのような気持ちではいられない。
「各機体、凍結砲発射用意!!」
職員たちがTWELVEの各機体に装備された新兵器の凍結砲から繋がるケーブルの先にある軍用車両でキーボードに打ち込む。
「エネルギー供給開始しますっ!!」
新兵器に直接エネルギーを供給するのは彼らの役目なのだ。
後はその供給されたエネルギーを元にパイロットが発射するのみ。
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本部の司令室から様子を見ていた新生長官と時止主任がこの凍結砲について話している。
「この凍結砲は威力こそ絶大だが欠点があってな、エネルギーをすぐに使い果たしてしまう所だ」
モニターで様子を確認しながら解説する時止主任。
「しかし勇気ある職員たちが近くで直接エネルギーを供給し続ける事で半永久的に放つ事が出来る」
「ふふ、彼らの連携が試されるという事だね」
新生長官も微笑みながら見守っていた。
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そしていよいよ凍結砲が放たれようとしている。
「十分に供給した!もう撃てるはずだ!!」
無線で職員から聞いた各機体のパイロット達はハンドルのトリガーに手を掛ける。
「感謝するぞ」
名倉隊長がそう呟いた後、力強く叫んだ。
「凍結砲、発射ぁぁぁっ!!!」
まだ動きの鈍いルシフェルに向かって三方向から高威力の凍結砲が一斉に放たれた。
それぞれが頭部、胴体、脚部を重点的に狙っている。
「グゴギギギ……ッ」
ルシフェルは訳も分からないまま少しずつ体が凍結していく。
「効いてるぞっ、このまま撃ち続けろぉ!!」
しかしルシフェルもただやられているだけでは終わらない。
『冷てぇじゃねーかぁぁっ!!!』
凍りつつある体を必死に動かし攻撃を仕掛けようとする。
『それ撃ちっぱなしじゃ守れねーだろ!!』
三機とも凍結砲を撃っているため動けないと踏んだルシフェルは一気に攻撃を仕掛けていく。
しかし。
「それを考慮していないと思うか?」
ルシフェルの周囲から大量のミサイルや弾丸が飛んで来る。
「ゴォォアッ……⁈」
なんとルシフェルの周囲に予め砲台を背負った車両を多数配置していたのだ。
車両には色を塗り夜の闇に紛れていたのである。
『チクショー、舐めやがって……』
そのまま何も出来ずに凍り付いていくルシフェル。
『ただじゃ、おかねぇ…………』
そしてとうとう完璧に凍り付いた。
「ルシフェル、凍結を確認!!」
全員の無線に蘭子の声が響く。
「喜んでる暇ないよ!すぐ次の攻撃準備!」
「はい!凍結砲、接続解除っ!」
機体の主砲から攻撃が出来るように固定されてしまう凍結砲を外す。
こうする事で自由に機体は動き回れるのだ。
「高温化に備えて!氷が溶けたら一斉に叩くよ!」
ウィング・クロウ、ライド・スネーク、タンク・タイタンがそれぞれ動き出す。
主砲に弾薬が十分に詰まっている事を確認し銃口を向けた。
その状態でルシフェルの氷が溶けるのを待つ。
「各員、発射用意……」
名倉隊長の声が静かに漂う。
じっくり身構えながら指示を待つ。
すると蘭子から無線が。
「ルシフェルの体温上昇を確認!どんどん上がってるよ!!」
その声と共にルシフェルにも動きが。
「グギギ……ッ」
湯気が立ち始め徐々に氷が溶けだして行く。
ミシミシと音を立てながらゆっくりと体を動かし始めた。
「まだだよ、まだ指定の温度までは上がってない……っ」
蘭子ももどかしそうに伝える。
そして遂にその時が訪れた。
「グガァァァッ……!!」
完全に氷が溶けた。
急激に体温を上昇させたことによりその溶岩のような体は真っ赤なマグマのようになっていた。
所々体表も溶けており下に流れ落ちている。
「今だぁぁぁーーーっ!!!」
叫ぶ蘭子。
そして名倉隊長も続ける。
「攻撃開始っ!!!」
TWELVEの三機、そして周囲の砲台が一斉に連射する。
大量の弾丸やビームが柔らかくなった体表に命中しルシフェルはダメージを受けた。
『ゥグゥゥゥッ⁈ふざけやがって……!!』
少しずつではあるが欠けていく体表。
前の戦いでは傷一つなかったためかルシフェルにとっても怒りが募っていた。
「ウゴォォォ……」
ゆっくりと歩き出すルシフェル。
「このまま押し切れるかっ⁈」
不安が少しずつ募る隊員たち。
そしてその予感は的中した。
「ヴゥオアァァァーーーッ!!!」
胸部から凄まじいエネルギーを発射。
周囲を無作為に破壊していく。
「「「うわぁぁぁーーーっ!!!」」」
そのとてつもない威力に吹き飛ばされてしまうConnect ONEの一同。
周囲に構えた砲台の積んだ車両も殆どが破壊されてしまった。
「がはっ……」
あまりの衝撃にコックピット内で顔をぶつけてしまい流血してしまう名倉隊長。
ヘルメットも割れてしまった。
「グゥルルル……」
唸るルシフェルがこちらを睨んでいる。
「くっ、やはり厳しいか……」
周囲を見るとまるで煉獄だった。
大阪の街が一撃で焼き尽くされ燃えている。
「みんな大丈夫……?」
無線で蘭子が心配をしている。
「あぁ……っ!」
「何とかねぇ!」
TWELVEは全員無事らしいがこのままでは勝てない。
「どうする、これじゃあ負けるぜ⁈」
アモンが言うが名倉隊長は冷静だった。
「いや、まだ希望はある」
腕を組みながら何かを待っている。
すると。
「あ……」
聞こえてくるのは何か巨大なものが迫る足音。
ズシンズシンとこちらに向かってくるのが分かる。
「なるほどな……」
ソレは彼らからは既に見えていた。
ルシフェルの背後から煉獄を抜けてこちらに向かっているからである。
「遅えよ……!」
そしてルシフェルもその存在に気付いた。
慌てて背後を見る。
そこにいたのは。
『オォォォ……ッ!!』
待っていた巨人、ゼノメサイアだった。
つづく
つづきます