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作者: ちありや
蛇足 後日譚
※注意!
 こちらは本文の続編です。冗談抜きで蛇足です。私の悪い癖が出てしまい、《《ある意味》》アキト君が更に救われないお話になりました。
「ユリって雑草だよね」の作品イメージを崩したくない方は読まない方が良いと思います。ハイ、本気でw
 ユリが亡くなってから1年が経った。最初の3ヶ月はなんだか体の半分を失くしてしまったかの様な感覚で、まっすぐ立つことも覚束おぼつかない日々が続いたものだ。

 年が明けた辺りから徐々に頭が働き始めて、勉強などにも手が付けられる様になってきた。

 年が明けてから変わった事と言えば、『ユリの分まで人生を味わおう、ユリに笑われない人生を送ろう』
 そう考えてクラスや部活のみんなとも、以前よりも積極的に交流するようになった事だろうか。

 その結果、俺自身にも、俺の周りにも笑顔が増えた。ユリを失くして空っぽになったと思われた俺の人生に、ほんの少し、とても小さい物だが新しい光が宿った様な気がした。

『新しい恋』なんてのはまだ当分できそうには無いけど、あいつを想って沈み込んで生きるのは卒業出来たと思う。

 今年もまた視界の端に高砂百合が花を咲かせているのが分かる。世話焼きのお前はそうやって、ずっと俺を見守ってくれているんだよな。

 まだお前に「そんなお節介いらねーよ」と言える程の気持ちの整理は付いてないけど、「心配しなくても前を向いて生きてるよ」とは伝えたい。

 ユリ、天国で元気にしていろよ。お前が羨むくらいの土産話をたくさん仕入れて、いつか余さず聞かせてやるからな。

 澄み切った遠い夏空に思いを馳せながら、俺はユリとの思い出を独り噛み締めていた……。

 


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「ヒャッハー! このまま一気に行くよーっ!」

 魔導師団の一斉攻撃によって、魔王城の結界が破られたのを確認した女勇者の一行と、後続の王国兵団主力部隊は、その勇者の高く掲げた聖剣を旗印に魔王軍に突撃する。

 彼女の持つ聖剣の柄にはユリの花の彫刻レリーフが燦然と輝いていた。世界に平和をもたらす為の最終決戦、勝利は目前だ。

 喜色を満面にあらわした勇者の叫びが木霊こだまする。
「やっぱ異世界チート最高!!www」
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