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作者: 桐谷 碧
スマートフォンのアラームがなる二分前。もう、一時間以上前からベッドで身悶えるように寝返りを繰り返していた。ちゃんと寝ないと肌荒れしちゃう。でも興奮して眠れない。外はまだ薄暗いけれど、新聞配達の自転車が家の前に止まって「カシャン」とステンレスの郵便ポストに新聞が投函される音がした。
「よし、起きよう!」
 上半身を起こしてタオルケットを剥いだ。今日から一ヶ月以上は使わないベッドを綺麗にメイクしてから部屋を出る。パパとママはまだ寝ているはずだから、起こさないよう慎重に階段を降りた。顔を洗って鏡を見ると思ったより浮腫んでいなくてホッとする。髪を梳かしてからキッチンに向かうと、ママが冷蔵庫を開けて牛乳を取り出すところだった。
「あれ、ごめん。起こしちゃった?」
「おはよう凪沙。ううん、お店の仕込み」
「あ、そっか。夏休みだもんね」
 パパは小さな運送屋の社長をしているけれど、なぜか学校の夏休み限定でラーメン屋を始める。ママは仕込みの手伝いに初めは文句ばっかり言ってたけれど、ここ数年はなんだか楽しそうだ。
「体調はどう、朝ごはんは?」
 ママがコップに牛乳を注ぎながら言う。
「大丈夫、ご飯は友達とマックでも行くから」
 私は嘘をつく。
「そのままお婆ちゃん家?」
 ママはお婆ちゃんと言ったり、お母さんと言ったりバラバラで本人は気付いていない。でも、正確にはお母さんが正しいのかな。どっちでも良いや。
「うん」
「お母さんも夕方には行くから。夕飯は?」
「えっとー、大丈夫……かな」
 私が申し訳なさそうに言うと、ママは小さくため息をついてから無理矢理に笑顔を作った。色々と心配しているのだろう。申し訳ないと思う。
「分かった、無理しないでね」
「うん、大丈夫。行ってくるね」
 わずかな罪悪感を圧倒的な高揚感が上回り、ちょっと早いけれど私は家を出た。大丈夫、合鍵は持っているし寝込みを襲うのも悪くない。ふふふ。
「デートか凪沙ちゃん」
 隣のアパートに住む黒田のお爺ちゃんが窓から顔を出していた。年寄りの朝は早い。相変わらず真っ黒に日焼けしていてゴボウみたいだった。
「まあね、分かる?」
「締まりのない顔してるからなあ」
 言い方。
「しばらく神田のお婆ちゃんとこ。寂しい?」
「カッカッカ! 夏は高校野球で忙しいから大丈夫だよ」
 野球に負けた。
「じゃあ、行ってくるね」
「おう」
 清々しい夏の朝。蝉の声。何処からともなく聞こえてくるラジオ体操のテーマ。夏休みは学生に与えられた一大イベントだ。初日は特にテンションが上がる、最終日までのカウントダウンはまだずっと先。私はスキップするように駅を目指した。
 銀色の箱が、朝日に反射しながら駅のホームに滑り込んでくる。通勤ラッシュにはまだ早い。東京方面の京浜東北線には、これから出勤なのか、それとも仕事帰りなのか分からない人達が乗っていて、一人浮かれている自分が咎められているような気がした。空いている席には座らないで、ドアの前に寄りかかり外の景色を眺めた。朝日が眩しくて目を細める。手首を返して時計を見ると五時三十二分、思ったよりもギリギリだ。海斗くんは起きているだろうか。私みたいに楽しみで眠れない……。なんて事はないだろうな。そこまで考えて急に背筋が寒くなった。車内の冷房は強くない。弱冷房車のステッカーが窓に貼られている。でも、確かに肩がブルっと震えた。
 
 海斗くんは楽しみに待っているのだろうか――。
 
 一年に一度、夏休みの間しか逢えない女。結婚はおろか、子供を作ることさえ出来ない。そんな奴を首を長くして一年も待っている奇異な男がいるだろうか。とっくに新しい彼女と一緒に住んでいて、去年の夏、私が過ごしたあの部屋は化粧の濃い女の趣味にあわせてサンリオのぬいぐるみが欄列し、カーテンもベットカバーもピンク色の気味の悪い部屋に様変わりしているのではないか。
 首を横に振って嫌な想像を掻き消した。電車は赤羽駅を出発して十五分、上野駅で地下鉄に潜り日比谷線に乗り換えると、すぐに目当ての人形町に到着する。改札を出て地上に降り立っても、一年経ったような変化は見て取れない。歩いて一分で瀟洒なマンションは姿を現す。考えてみれば駅からこんなに近い立地でさぞや家賃は高いだろう。あんまり仕事をしている様には見えないが、今年はそんな事も聞いてみよう。去年よりも深ーい関係になれる気がする。ふっふっふ。
 鍵は持っている。合鍵を渡されるなんてまるで同棲中のカップルみたいで顔がニヤける。左手をポケットに入れて握りしめ、その感触を確かめた。マンションの前には、青い作業服を着た管理人のおばちゃんがいた。ホウキと塵取りで熱心に掃除をしている。
「おはようございます!」
 このおばちゃんとも一年ぶりだ。覚えてるとは思えないけれど、私は元気に挨拶をした。
「あら、佐藤さんの妹ちゃん」
 金髪をリーゼントにしたファンキーなおばちゃんは、私を見て破顔した。妹ちゃんの愛称がなぜか嬉しい。
「えー! 覚えてくれてたんですか?」
「こんな可愛いお嬢さん、中々いないからねぇ」
「やだ、もー」
 おばちゃんの二の腕をバンバン叩いた。
「お兄ちゃん元気ですか?」
「佐藤さんは、いつも仏頂面だから分かりにくいけどねぇ。挨拶は返してくれるし、ゴミも綺麗に出してくれるから助かるわよ。酷い人なんて燃えるゴミと空き缶は一緒だし、ペットボトルのラベルは剥がしてくれないし、大変なんだから。でも几帳面な男はモテないわよ」
「確かにー。愛想の無い潔癖症とか最悪ですよね」
 二人で海斗くんの悪口で盛り上がっていると、背後に視線を感じた。おばちゃんが先に気が付いて声をかける。
「あら、佐藤さん。おはよう」
 振り返ると少し年を重ね、髪がちょっとだけ伸びた海斗くんが立っていた。手にはコンビニの袋をぶら下げていて、顔はやっぱり仏頂面だった。
「おはようございます」
「海――」
 斗くん、と叫びそうになって口元を両手で押さえる。
「お兄ちゃん、久しぶり」
「あ、ああ」
 それだけ言って鍵をオートロックのセンサーにかざすと、海斗くんはスタスタとエントランスの中に入っていく。私はおばちゃんと顔を見合わせて笑顔を作ってから、その背中を追いかけた。エレベーターが閉まった瞬間抱きついて、一年待った海斗くんの温もりと匂いを堪能する。なんか変態みたいだな。
「サンリオの女は? カーテンピンクになってない?」
 私は、抱きついたまま見上げて聞いた。
「なんだよ、それ」
 海斗くんは唇の端を軽く上げた。でも、それは喜びを我慢している時の顔だと私は知っている。思わずそのままキスしたくなるけれど、無情にもエレベーターはすぐ六階に到着した。海斗くんの部屋は驚くほど変わっていなかった。部屋の配置からゴミ箱の場所まで、すべて昨年と同じ光景だ。
「まるで変わってないね、一年長かった?」 
「ああ」
 それが何を意味するのか深く考えるのが怖くて、思考を無理やり停止させた。インターホンのディスプレイを操作して訪問者をチェックする。最新式のインターホンは部屋番号を押した人物が記録に残っている。別に浮気を疑っている訳じゃないけど、一応それもチェックする。黒いカバンを背負った男性、赤い帽子を被った男性が殆ど毎日、入れ替わりで映し出された。
「海斗くん、毎日出前ばっかりじゃん。体に良くないよ」
「え、ああ、どーも一人分作るってのが」
 小姑みたいになってないかな。しかし海斗くんの体調を心配するのは恋人として当然だ、ふふふ、恋人。
「じゃあ、今日からはまた私が作るね」
「助かる」
 たっぷりと宿題が詰め込んであるバックパックを下ろしてキッチンに立った。ピカピカのシンクに黒い冷蔵庫、赤いエプロン、何もかもが懐かしい。私はさっそく朝食の準備に取り掛かった。久しぶりの再会なのに、ラブラブする事も、イチャイチャする事もない健全な私たち。話したい事は沢山あるのに何から話したら良いか分からない。でも、海斗くんと一緒の時間は有限だから有意義に過ごさなければ。そうだ、海斗くんの仕事を手伝おう。そうすれば、二人の時間がもっと増える。
「ねえねえ、海斗くんの仕事ってなんなの?」
 簡単な朝食を作って二人で食べている時に聞いてみた。しかし、プログラミングがなんたら、HTMLがCSSでどーたら。全くチンプンカンプンで仕事を手伝うというのは即刻あきらめた。 
「仕事かあ……」
 よく考えてみれば、私は一切仕事をしたことがない。学生だから当然だけど、アルバイトくらいは高校生だってみんなしている。私は、自分でお金を稼いだことがない。なんだか、急に自分が子供のような気がして恥ずかしくなった。海斗くんは良く解らないが、ちゃんと仕事をしてこんな立派なマンションに住んでいる。
「なに、美波は仕事がしたいの?」
 鮭の切り身を上手にほぐしながら、海斗くんが聞いてきた。どうなのだろう、やってみたい気持ちはあるが自分に務まるのか不安だ。
「うーん、やったことないから一度くらいは」
「やめとけ、やめとけ、別に金に困ってる訳じゃないんだから」
 お前にはムリムリ。って言われているようでカチンときた。絶対に仕事してやる。そして、そのお金で海斗くんに何かプレゼントを買う。あ、これすごくいい考えだ、採用。そうだ、ここの家賃なんかも払っちゃおうかな、夏休みの間だけでも。
「ねえ海斗くん、ここ家賃いくら?」
「え、二十三万だけど」
 に、にじゅうさんまん、だと――。
 家賃は取り敢えず諦めよう。問題は何の仕事をするかだ。家を空けて海斗くんとの時間を減らす様な事はしたくない、それでは本末転倒だ。家で自分にもできる仕事。朝食を食べ終わって、食器を片した後もずっとその事を考えていた。スマートフォンで検索するうちに、私は一つの答えにたどり着いた。
「わたし、ユーチューバーになる!」
「はあ?」
 書斎で仕事をしていた海斗くんに後ろから宣言すると、くるりと椅子ごと振り向いた。いつも本ばかり読んでいて、あまり見た事はないけれどユーチューブはものすごい人気で、誰でも動画を上げてお金を稼ぐ事ができるらしい。さっきスマホで調べた。
「いやいや、ユーチューバーって。何でまた」
「だって、お家でできるし、お金もすごく稼げるんだってさ」
「いや、それはごく一部の奴らだけで――」
 いーや、やる。もう決めたんだから。久しぶりの再開なのにマイペースに仕事をする海斗くんの事は無視してさっそく準備に取り掛かった。スマホで調べればやり方なんていくらでも出てくる。
『グーグルのアカウントを取得してください』
 アカウントとは何の事だろう。グーグルは知っている、アメリカの会社だ。ユーチューブとアメリカの会社が何の関係があるのだろう。よく考えてみたら自分はあまり機械に詳しくない事に気が付いた。スマホの初期設定すらできない。早くも挫折しそうで、天井を見上げてため息をつくと、後ろから視線を感じた。海斗くんが私のスマホを覗き込んでいる。
「手伝ってやろうか?」
 そう言いながらニヤニヤした顔を近づけてきた。かー、憎たらしい。しかし、ここは海斗くんの助力が必要だ、まったく先に進めないのだから。
「お願いします……」  
「何にせよ、パソコンでやったほうが早いな」
 そう言って書斎に入ると、ノートパソコンを小脇に抱えて戻ってきた。
「これやるよ。前に使っていたやつだけど、まだ全然」
 パソコンを起動させると、カタカタと何やら打ち込んでいる。そして、アッという間にアカウントとやらは取得された。
「で、なんの動画を上げるわけ?」
 それが問題だった。人気のあるユーチューバーの中にはカップルで動画を撮って上げている人達も多いらしい。見知らぬ他人のイチャイチャ動画に需要がある事自体が謎だったが。うーん、カップルかぁ。
「海斗くんと、美波のカップルチャンネルとか」
「絶対に嫌だ!」
 意志の強さが語尾に現れていた。確かに海斗くんがユーチューバーになって動画に出ている姿は想像できない。どうしようか、自分の得意分野といえばソフトボール、野球、読書、以上。
 それからも、ずっと何を配信するか悩んでいた。パソコンであれこれ検索しても、コレと言って良いアイデアは浮かんでこない。
「まあ、取り敢えず撮ってみるかな」
 なんの計画もなくスマートフォンを動画撮影モードにして、ダイニングテーブルの上に置いた。ティッシュ箱に立てかけて角度を付けると、画面には自分の姿が映し出される。
「どーもー、星野美波でーす」
 流石に本名はまずいか。みんなニックネームのような物を付けていた事を思い出す。ニックネームねえ……。
「どーもー、ホシミナでーす! 今日はワイルドピッチと、パスボールの違いについて解説していきまーす。野球初心者のそこの君、ホシミナチャンネルで目指せメジャーリーグ」
 イェイイェイ。とダブルピースしていると、後ろから大爆笑が聞こえてきた。書斎で仕事をしていたはずなのにいつの間にか出てきたようだ。
「プッ、クククッ、誰が観るんだよそれ、ワイルドピッチとパスボールの違いって、美波、冗談だろ」
 腹を抱えて笑っている。今日は一年ぶりに逢ったというのにこの仕打ち。絶対に良い動画を作って大儲けしてやる。
「これは練習だから良いの。もう、そんな馬鹿にして、海斗くん嫌い」
「ごめんごめん、あまりにおもしろ――、いや可愛らしくて」       
「じゃあキスして」  
 私は、目をつぶって首の角度を上げた。
「それは駄目だ、美波が成仏しちゃうかも知れない」
「え? なにそれ」
「美波が夏休みに凪沙の体を借りられるのは、確かに凪沙のお願いが神様に通じたのかも知れない」
 ぷっ。海斗くんの口から神様なんて、なんか笑える。
「でも俺は、それだけじゃないと思う。この世に未練というか、やり残した事があって。それを叶えるために夏休み限定で戻ってこられる。そう思うんだよ」
「なるほど、それで?」
「俺は考えた、美波のやり残した事は何なのか。そして見つけたよ。去年、実家に行った時に」
 えっ、えっ? 話が見えない。海斗くんは名探偵よろしく、部屋の中を歩き回りながら、事件を解決するコナンくんのように私を見た。
「それは、美波の手帳に書かれていた! 海に行く。花火を見る、そしてキスをする。おそらく夏休みに彼氏を作り、この夢を叶える予定だったが美波は……」
 ちょっとちょっと。
「そして、俺たちは海と花火に行ってしまった! 残されたのはキスのみ。それが達成された時、美波の未練はなくなり成仏する。アーメン」
 一年でキャラ変わった?
「あの、考えすぎじゃないかな?」
「いーや! 危ない。リスクは回避するに越した事はない」
 やり残した事を全て叶えた時に美波は成仏する。つまり夏休みをループするのもお終い、海斗くんともサヨウナラ。つまりは、そう言う事らしい。私はため息をついた。
「美波とキスしたくないの?」
 うわあ、自分で言ってて恥ずかしい。顔が火照って赤くなるのが分かる。恐る恐る見上げると、海斗くんはそっぽを向いていた。けど耳まで真っ赤で少し震えている。
「な、な、なんてねー。なんちゃってー。よーし、ユーチューバーになるぞー」
 無理やり誤魔化すと、海斗くんは「お、おう」と頷いた。
「ま、まあ、最初から上手くはいかないだろ。取り敢えずカメラを固定する機材くらい合ったほうが良いな。動画の編集するならソフトも必要だし秋葉原でも行くか?」
「うん」
 結局、いつも私の味方になってくれる優しい海斗くん。さっき大爆笑したのは許さないけど、やっぱり大好き。これからもずっと一緒にいたいけれどそれは出来ない。最初から分かっている。
 記念すべき第一回目の動画は、海斗くんに馬鹿にされたワイルドピッチとパスボールの違いについて解説する動画だった。あまりに需要が無さそうな所が逆にウケるかも知れないと思ったからだ。終始、海斗くんは笑いを堪えていたが無視して撮影を続けた。
 出来上がった動画に音楽やテロップを付けてくれたのは海斗くんだ。それだけで一気に本格的なユーチューブ動画になった。あとはアップロードして再生回数が上がるのを待つだけだ。
「私って、何にも出来ないなぁ」
 結局は海斗くんに頼りっぱなしで、情けなくなる。
「ロイヤルストレートフラッシュにも苦手な事があったか」
「え?」
「凪沙が言ってたんだよ。人生は配られた手札で決まる。美波はロイフラだってよ」
「そ、そんな事……」
「ああ」
 ああ、の意味は聞けなかった。海斗くんも言わなかった。
「ねえねえ、どれくらい見られるかな?」
「いや、厳しいと思うよ。まあ、面白いから毎日あげてこーぜ」
 すっかり海斗くんの中では趣味の部類に入っている。収益化出来るとはまるで考えていないようだ。でも、明日はなんの動画を撮ろうか考えているだけで、直面している悲観的な問題から逃避する事が出来て私の心は穏やかになった。毎朝、五時半に起きてお婆ちゃんの家を出る。歩いて二十分の道のりは朝の散歩にちょうどいい。目的地には好きな人が待っていて、今日も一日一緒にいられる事が、こんなにも私を幸せにする。
 ラジオ体操をしたら二人で朝食を食べて、海斗くんはお仕事をする。その間に私は動画を撮影して、撮影した動画は午後に海斗くんが編集する。去年とはまた違う一日のルーティーンはすぐに確立されていった。
「また、明日ねー」
「ああ」
 タクシーで帰れと言う海斗くんの忠告は無視してお月様の下を歩いて行く。しみじみと今日の出来事を思い返しながら、時折り顔がニヤけた。でも、海斗くんとの距離が離れるにつれ、それは物理的な距離にも関わらず心細くなる。自分は何者なのか、自問自答の行き着く先に辿り着くのはいつも同じ疑問。

 ――ねえ、海斗くん。あの場所で出会ったのが星野凪沙でも、やっぱり好きになったのかな?

 イエスでもノーでも嫌な答えに耳を塞ぎたくなった。本人に尋ねればきっとノーと答えるだろう。しかし、美波は死んでいて、凪沙は生きている。この揺るぎない現実に直面すると何が正解なのか分からない。
 どんなに立派な手札でも、ジョーカーが混じっていたら終わり。人生はトランプじゃない。私たちの手札には口の端を卑しく上げたジョーカーが、仲良く一枚づつ混じっていた。
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