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作者: 犬物語
犬「お手入れはやさしくていねいにやで!」
犬種を生み出した人間がしなければならないことがある
 古今東西さまざまな"犬種"がいます

 それらはほんらい『犬』というひとつの動物ですが、人間が引き継ぐ遺伝子を選別、調整して「こういうの・・・・・を〇〇と名付けよう」といった形で固定した犬に、それぞれ"犬"とは別の名前をつけています

 それらを管理する国際畜犬連盟(FCI)および各国のケネルクラブ――日本ではジャパン・ケネル・クラブ(JKC)――では「〇〇という犬種は〇〇という特徴があって、□□の場合は減点・・するよ」的な感じで『スタンダード』という概念を定めています

 なぜこのようなことをするかというと、人は犬を狩りのお供や作業犬、そのほかもろもろの活動を通して利用してるので『そういった各種活動に適した犬』をデザインするために定めているのです。たとえば『人間に愛されるため』というデザインでつくられたコンパニオン・ドッグもそうです

 犬は『犬』でしかありませんが、そこには人間の手によっていろんな特徴・・・・・・を強化された個々の集団(犬種)があるってことですね。で、ここからが問題

 人間の都合でデザインされたわんわんの中には、人間にお手入れしてもらわなければならないタイプの子もいたりします。ほっとくと毛やツメが伸び続けて毛玉のような状態になったり、巻き爪で自分の身体に突き刺さっていってしまう場合もあります。デザインされた犬は『人間といっしょに暮らす』ことが前提とされているのでそういった点は人間がケアする、逆に言えば世話する人間がいないと毛がボッサボサになったりツメで自分の身体を傷つけてしまったりするようになるの

 だからこそ、そういったわんわんは人間が世話してあげましょう。ってことで、今回は犬のお世話的な話をしていきます





:お手入れは安全だよと教える:

 ニチャァと笑みを浮かべて、ハサミを持って近づいてくる人がいたらアナタはどうしますか? ――っていうのが冗談としても、人間が「はい爪切りするよ~」言うて前足を掴んだら、犬にとっちゃあ上記のような感じに見えなくもない。ってなれば犬としては「ヤメロ!」ってなるじゃん?

 お手入れのために爪切りでパチパチやる必要があるのは人間だけが知ってる事情。犬からすりゃ『なんか知らんが前足を掴まれて手の近くでなんかバチンバチンやられてる。しかもなんかおててに妙な感じがする』って状況よ。拒否する子はガン拒否ですわ

 爪切りに限らず、ブラッシングにタオルにシャンプーなど、それらは清潔な身体を保つことで犬の病気を予防することに役立ちます。ただ、それを犬が理解してるワケがなく、人間のお手入れを許すかどうかは『アナタ(飼い主)を信頼してるかどうか?』という点、もしくは『ソレ・・が安全であるかどうか?』にかかってきます。前者はぜひ愛情たっぷり育てていただくとして、じゃあ後者はどうやって教えれば良いでしょうか?

 犬は知らないモノに対し警戒心を抱きます。いきなり爪切りを前足に近づけたら「なんだソレは! ヤメロ! お、オレのそばに近づけるな!」とワンワン吠えたり拒否ったりします。この経験した人多いでしょ? じゃあどうすればいいかって話。まずは『お手入れ道具とのあいさつ』からはじめましょう

 いやマジメな話よ? ガチで警戒心高い子は爪切りを見せただけでワンワン吠えるもの。ってことで以下のようなステップを踏んできましょう

① お手入れ道具を見せる + おやつなどのごほうびをあげる
② お手入れ道具を近づける + ごほうび
③ お手入れ道具を身体に当てる
  → 爪切りの場合"ツメ"に当てる + ごほうび
④ お手入れ道具をちょっとだけ使う
  → 爪切りの場合ツメのひとつだけを切る + ごほうび

 慣れない子はほんっとにこんくらいの段階を踏まなアカンねん。でもまあだいたいは『②』を1回やれば慣れてくれるはず。ブラッシングやタオルなどは上記のような手間はいらないと思うけど爪切りとか歯磨き、あと肉球の世話はマジで根気が要る。愛犬の機嫌と相談しつつ、ゆっくり気長にやってきましょう。続けて、基本的なお手入れをいくつか紹介してきますかね



:ブラッシングはやさしくね♡:

 ブラッシングはどのわんわんにも求められる行為です。短毛で抜け毛の心配がない犬種でもブラッシングは気持ちいもんだし、なんだったら飼い主さんが「ブラッシングしたい!」まである。抜け毛が多い犬種はほぼ日課になるお手入れ代表だね

 これに関してはとくに難しい点はありません。ふつーにペット用品売り場にあるブラシを用意してしゃーしゃーやればおk。ただし、犬の皮膚は人間のそれより薄いので、あまり強く押し当てると痛がると思います。皮膚に押し付けないレベルでやさしくブラッシングしましょう

 全身どこでもブラッシング。背中は基本中の基本。お腹は犬種にもよるけど"だっこ"してやると落ち着きながら受け入れてくれる。お腹は肌が露出してるのでよりやさしく丁寧に行いましょう



:犬はツメにも血管や神経があるんだぜ:

 爪切りは多くのわんわんが「断固拒否!」するタイプのお手入れです。まずは上記で紹介したように根気強く鳴らしていきましょう

 犬用の爪切りはハサミみたいな形をしたタイプと、なんかニッパーっぽい工具的な見た目をしたタイプ、あと電動でブーンとしてくれるヤスリみたいなタイプがあります。あとトリマーさんが使うユニークな形状のもあるけどアレって市販されてるのかな? ――まあいいや

 初心者さんはハサミかニッパーを使いましょう。ただ犬種によってツメの大きさや硬さに違いがあるので、基本はアナタといっしょに暮らしてるわんわんに合わせてあげてください

 ツメをよぉ~く見ると、その中心に透けて何か見えてくるはずです。それが犬のツメ内部にある神経と血管。そこまで切っちゃうと犬がかわいそうなので、爪切りの際は先端をちょっとずつ、ほんとにちょっとずつ切っていくようにしましょう

 なかにはツメ色が濃く中まで見えない場合があります。そん時は上記のように先端をちょっとずつ切っていき、その断面にうっすら血管が見えてきたタイミングで終りにしましょう。えーっとどう書けばいいかわからんが――

  ↓犬のツメ
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 っとまあ、こういう感じにちょっとずつ切ってくイメージ。はじめから神経や血管が透けて見えるならそれを目安にして、そうでない場合は切った時の断面を確認して、うっすら血管が見えてきたらそこで終了するイメージでよろしくおねがいします



:垂れ耳くん必須の耳掃除:

 うち、ラブラドール・レトリーバーと同居してるんだけどね、あいつのおみみ掃除する度まっくろくろすけやねん。ほんっとうちの家庭環境が悪いのか? って思うほどまっくろいねん

 犬耳の掃除は基本週いちくらいでいいです。あまりやりすぎると耳内部の皮膚環境に影響するので頻繁にやりすぎないようにしましょう。わたしは個人的に散歩で予想以上に汚れまくったとかドロにダイブしたとかいうイベントの後は、その直前に耳掃除していたとしてもやっとくようにしてます

 犬耳は複雑な構造をしてるので綿棒でのお掃除はやめときましょう。あと犬耳はデリケートなのでもれなくイヤがります。上記方法で慣れさせて、なおかつ『耳の中に異物が侵入するイベント』を乗り越えさせるたけの信頼感をもってもらいましょう

 犬耳はデリケートなので『アルコールは決して使わない』ようにしましょう。かえって耳の皮膚を傷つけてしまうことになりかねません

 耳掃除用のコットン類は例によってペット用品コーナーで販売されてます。とれと耳栓常用の液を併せて購入し、それをコットンにつけて犬耳をお手入れしていきましょう。用法用量はそれぞれの商品に記されています

 耳掃除は基本『指が届く範囲』でおk。どうしても耳奥まで掃除したいって方は、洗浄液を直接耳に満たす方法を採用しましょう

 洗浄液を直接耳にいれる場合、途中でブルブルされないようしっかり押さえておきましょう。できるたけたっぷり、目視で洗浄液が見えるようになるくらいに入れてね

 その後、耳の付け根をマッサージしていきます。この際はやさしくマッサージしましょう。耳のねっこはデリケートな構造をしてるからあまり強くすると痛たがっちゃうよ。ある程度マッサージしたら開放して犬が『ブルブル』するのを待ちます。もしブルブルしない時は耳に息を吹きかけましょう。そうすっと犬は「んだよ、もうっ」的な感じでブルブルします

 洗浄液が耳からふっとばされ、ついでに汚れもいっしょに飛んでくのでそれらを拭き取ります。べつにそこらじゅうにベチャァと飛び散るワケじゃないのでご安心ください。犬のブルブルはアナタが想像する以上にパワフルなので、これで耳内部の洗浄液も出てきてくれます。最後の拭き取り作業中、耳にキズがないか、痛がる箇所はないかなとどチェックしとくのもいいですね



 お手入れのコツは『愛犬との信頼感を得る』ことです。何をされても「この人はわたしに害を加えるようなヤツじゃない」と思われているなら、たとえアナタが爪切りや耳掃除をしたとしても受け入れてくれるでしょう

 アナタと一緒に暮らすわんわんは、そういったお手入れをすんなり受け入れるタイプですか? それとも「やめ、ちょ、やめてください!」言うタイプですか? いずれにしてもお手入れはせなアカンもの。愛犬の健康をまもるためにも、ぜひ上記で紹介したあれこれをご活用ください

 今回のお話がわかりやすかった、役に立ったという方は高評価、感想をおねがいします。また「〇〇知りたい!」や「〇〇ってどうなの?」といったリクエストも受け付けております。アナタの好奇心が世界を救う。どうぞアナタとアナタの"家族"に幸多からんことを
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